予防接種・ワクチン分科会 第10回

議題

(1)報告事項
(2)その他

開催日 2016-10-31
委員名簿

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会委員

(委員)
池田俊也   国際医療福祉大学 薬学部薬学科教授
伊藤澄信   独立行政法人国立病院機構本部総合研究センター長
大石和徳   国立感染症研究所感染症疫学センター長
◎岡部信彦  川崎市健康安全研究所長
釜萢 敏   公益社団法人日本医師会感染症危機管理対策担当常任理事
亀井利克   全国市長会評議員(三重県名張市長)
坂元 昇   全国衛生部長会副会長(川崎市健康福祉局医務監)
澁谷いづみ  愛知県一宮保健所長
館林牧子   読売新聞医療部
戸田善規   全国町村会行政委員会委員(兵庫県多可町長)
○中野貴司   川崎医科大学附属川崎病院小児科部長
中山ひとみ  霞ヶ関総合法律事務所 弁護士
沼尾波子   日本大学経済学部教授
福島若葉   大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学教授
三田村敬子  公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院小児科部長
桃井眞里子  国際医療福祉大学副学長
森 康子   神戸大学大学院医学研究科臨床ウイルス学分野教授
◎:分科会長 ○:分科会長代理

(参考人)
多屋馨子   国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長
畑 秀二   SSPE青空の会
(50音順・敬称略)

議事録(テキスト)

2016年10月31日 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録
健康局健康課

○日時
平成28年10月31日(月)16:30~18:00

○場所
厚生労働省 省議室

○議事
○大林室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第10回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催します。

 本日は、御多忙のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。

 続きまして、出席状況について御報告いたします。

 池田委員、亀井委員、福島委員から御欠席の連絡を受けております。また釜萢委員からおくれていらっしゃる旨の連絡を受けております。現在、委員17名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規程により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 また、多屋参考人、畑参考人にも御出席いただいております。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○大林室長補佐 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1から3、参考資料1から2と、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。

 それでは、ここからの進行は岡部分科会長にお願いいたします。

○岡部分科会長 それでは、きょうもよろしくお願いいたします。第10回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」になります。

 参考人の畑参考人、多屋参考人、どうもありがとうございます。御存じだと思いますけれども、畑参考人は今日のこの会だけではなくて、この審議会に全て加わっていただいて、御発言を全てについていただけるということになっていますので、一応念のために、よろしくお願いいたします。多屋先生も、自分の部分だけではなくて、この全体のところで本日はどうぞ御発言をお願いします。

 それでは、事務局のほうから審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いします。

○大林室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。

 本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議会参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告をいただきました。各委員からの申告内容については机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 本日の出席委員の申し出状況及び本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員はおりませんことを御報告いたします。

 以上です。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、早速、本日の議題に入りたいと思いますが、本日の議題は特に審議事項としてはないのですけれども、報告事項としては全体を知る意味で非常に重要な部分があるのではないかと思いますので、報告事項だけですけれども、この会を開催ということにいたしております。

 それでは、報告事項が3点ありますが、議事次第に従いまして、最初の「各部会からの審議状況等報告」、これは事務局のほうで報告をしていただいて、その後、各部会の部会長の先生あるいはその他の先生がおられましたら、もし追加する事項がありましたら、どうぞ御発言をお願いします。

 それでは、事務局から、最初は基本方針部会ですね。それから研究開発及び生産・流通部会、副反応検討部会、それぞれについて、まず説明をいただきたいと思います。お願いします。

○芳川室長補佐 それでは、資料1をお手元に御準備ください。前回6月の分科会から本日までに開催された各部会における審議状況等について御報告をいたします。

 まず、ページをおめくりいただきまして、「予防接種基本方針部会開催状況」と書いてございますけれども、9月16日と10月7日の合計2回開催されてございます。いずれも予防接種に関する基本的な計画のPDCAに関するものですけれども、本件につきましては、5月に開催されました基本方針部会において、本年度が基本計画を5年ごとに見直すとされていることの中間年度となることから、PDCAを行っていく方針について、基本方針部会において御了承いただいたところでございます。

 9月16日の部会では、その進め方について審議をいただきました。書いてございますとおり、1つ目といたしまして、主として基本方針部会においてその検討を行いますが、副反応や研究反応等に関する事項につきましては、副反応検討部会及び研究開発及び生産・流通部会で検討を行う。また、基本方針部会においては、予防接種の実施主体である市町村や医療関係者、研究者等からヒアリングを行うとともに、必要に応じて事務局が資料を提出し、基本計画策定後の取り組みの確認と検討を行うとされてございます。

 また、各部会において、これまでの取り組みの評価を行った上で、今後、必要な取り組み等についての意見を取りまとめること。

 基本方針部会において、各部会における検討結果を整理した上で、基本計画に基づくPDCAサイクルによる定期的な検証の今後の進め方を検討し、分科会に報告する。こういったことについて御了承を得たところでございます。

 また、この部会におきましては、本分科会の委員でもございます澁谷委員から、PDCAの開始に当たり、基本計画のまとめをいただいたところでございます。

 なお、参考資料2として、現在の基本計画並びに今後進めていくDCAの項目についての整理表をつけさせていただいてございます。

 第17回の10月7日の部会におきましては、基本方針部会の委員など3名から、予防接種に関する基本的な計画策定以降の取り組み状況などについて報告をいただきました。坂元委員、多屋委員、岡田賢司参考人の3人から御報告並びにヒアリングを行わせていただいております。

 基本方針部会の開催状況につきましては、以上となってございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 一応全部の部会の報告を先にお願いしましょうか。次は、坪井補佐のほうからよろしくお願いします。

○坪井室長補佐 それでは、引き続き、研究開発及び生産・流通部会の開催状況について御報告申し上げます。次のページをごらんください。

 前回6月に開催された第9回の分科会以降、研究開発及び生産・流通部会は、7月27日に1回開催がございました。

 主な議題は大きく2つでございまして、1つ目は、研究開発部会におけるこれまでの取り組みと今後の進め方についてということで議論が行われました。予防接種法第3条第1項の規定に基づく予防接種に関する基本的な計画、いわゆる予防接種基本計画におきまして、開発優先度の高いワクチンが位置づけられましたけれども、この平成26年に基本計画が告示されて以降、研究開発部会では開発者に対するヒアリングを行ってまいりました。前回の部会では、これまで5回にわたりヒアリングを行ってきたこと等が報告をされました。

 また、基本計画では、PDCAサイクルによる定期的な検証が求められているということも踏まえまして、今後、開発優先度の高いワクチンについて、どのような検討を進めていくべきか等につき、意見交換をいただきました。

 2つ目の議題は、インフルエンザワクチンについてということでございまして、まず、2016・2017、今冬シーズンのインフルエンザ株の選定理由につきまして、国立感染症研究所の小田切参考人から御報告をいただきました。今冬シーズンのインフルエンザワクチン株は、H1N1、H3N2、B型山形系統及びB型ビクトリア系統から、それぞれ資料にお示ししたような株を選定したところでございます。

 また、今冬のインフルエンザワクチンの供給につきまして、ワクチンを効率的に活用する観点から、平成23年度以前に実施しておりましたインフルエンザワクチンに関する安定供給対策も参考の上で、各都道府県における体制等必要な事項について周知し、協力を要請するとともに必要な準備を依頼することについて、御報告をいたしまして、御了承をいただいたところでございます。

 研究開発及び生産・流通部会に係る御報告は以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 副反応検討部会のほうは、芳川補佐からお願いします。

○芳川室長補佐 続きまして、副反応検討部会の開催状況について御報告をさせていただきます。次のページにお移りください。

 7月と9月の合計2回開催をされてございまして、それぞれ定例の各ワクチンの安全性について、副反応の疑いとして報告をされた全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例の詳細な経過等に関する資料に基づいて審議が行われております。重大な懸念は認められないと評価をされてございます。

 また、7月の審議会においては、HPVワクチンについても審議がなされまして、安全性について新たなシグナル検出はなく、取り扱いについては引き続き本部会で検討を継続すると評価されてございます。

 7月の部会では、国立感染症研究所に開発いただいた副反応疑い報告書入力アプリについて、以下のとおり報告をさせていただいてございます。従来の報告様式に加え、当アプリで作成をした副反応疑い報告書によっても、本件10月1日から報告可能とするため、関係通知を改正予定であること。当アプリで作成した副反応疑い報告書は、引き続きファクスにてPMDAへ送付をいただくこと。

 次のページですけれども、9月の部会におきましては、先ほどからお話をさせていただいています、いわゆる予防接種の基本計画につきまして、副反応検討部会でも検討をしていくこと。

 また、予防接種副反応分析事業につきまして、これもまた多屋先生に御報告をしていただいてございます。

 副反応検討部会の開催状況については以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、一つ一つについて戻るような形で話を進めていきたいと思うのですけれども、一番最初に御報告いただいたのは予防接種基本方針部会で、2回開催をしております。これは私が部会長なので、特につけ加えることとしてはないのですけれども、現在のところ御報告いただいたように、ヒアリング、3名の方ですけれども、これはさらにいろいろな分野から医療関係者、研究者等々、あるいは自治体の方とか、そういったようなところからお話を伺う。あるいは学会単位で現在、意見を伺っているというようなこともしております。学会から意見を伺っているのは、部会としてまとめているのではなくて、部会を通じて岡田参考人のほうから、今、学会としての意見をまとめているといったような状況もあります。

 結論としてはまだ出ていないので、これは今後のあり方ということでフォローしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、研究開発及び生産・流通部会のほう、これは伊藤先生がおいでになっているので、もし補足がありましたら、お願いします。

○伊藤委員 今回提出した記録には記載おりませんけれども、随分活発な議論が行われておりまして、予防接種の基本計画ができてからもう2年ぐらいたちますので、計画策定以降の進捗について、委員の先生方がお持ちの情報などをあわせて、どんな形でモニタリングしていくのかという話も出ています。

 それから、流通の問題についても少し考えなければいけないということで、内部で議論が進んでおります。

 以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 先ほどちょっと申し落としたのですけれども、そこの部会に出席している先生、もし何か加えて補足がありましたら。開発流通部会はよろしいですか。

 この生産・流通部会、先ほど伊藤部会長もおっしゃったのですけれども、流通に関しては今回かなりいろいろな問題が浮き出ているので、ぜひ検討を。たしかこれは検討事項の中には安定供給という言葉もあるので、ぜひその辺も加えてお願いしたいと思います。

 どうぞ。

○伊藤委員 ありがとうございます。

 もちろん安定供給という供給サイドの問題だけではなく、やはり市場というか小児科医もしくは接種医の手許に届くまでの安定的な配送についても、何らかの形で見える化などを検討する余地があるのではないかという議論が出始めているところでございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 何か全体に開発流通部会への御意見はありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、副反応検討部会、これは2回開催されておりますけれども、桃井先生がおいでになっているので、桃井部会長のほうから補足がありましたら、お願いします。

○桃井委員 特に補足はございません。そこにございますように、いずれのワクチンも新たなリスクシグナルの検出はないということに尽きます。

 また、予防接種後副反応疑い報告書の入力アプリについての御説明で、このアプリそのものとは別のことでございますが、副反応疑い報告書と明記をされたことは、副反応のシステムに関して一般の理解を促進するのに非常に重要な用語の使い方であろうと思います。

 また、次のページの3について、予防接種副反応分析事業は本当は中身は副反応疑いの全ての情報の分析事業でございますが、これは事業名ですので副反応分析事業になっておりますが、その事業報告書の中の説明には副反応疑い情報であるということが明記されていますので、このようなきちんとした用語の使い方が正しい科学的理解を促進するものと理解をしております。追加でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 従来は副反応報告とか、副反応の分析とかいうふうに使われていたので、うっかりすると全てが副反応ではないかというようなことにとられがちだったのですけれども、それについてはここの委員会でもその他いろいろな関連委員会でも議論していたと思うのですが、別の言葉で言うと有害事象報告であって、いろいろなものを含む。ただ、有害事象という言葉自体もまだなかなか浸透しにくいあるいは誤解を受けやすいといようなところですけれども、あくまで「副反応の疑い」報告であって、副反応か否かの分析はさらに行っていくという意味になりますので、今、桃井部会長から補足していただいたことは極めて重要なことだと思います。

 それから、予防接種後副反応疑い報告書入力アプリをせっかく多屋先生、参考人で来ているので、ちょっと何か追加がありましたら、お願いします。これは一般の臨床医にとってもかなり重要というか、わかりやすくなっているのではないかと思います。

○多屋参考人 ありがとうございます。

 今、感染研のホームページと厚生労働省のホームページからダウンロードすることができるようになっています。報告される先生にとっては、一回入力をしておけば、次の報告も同じことを入力しなくてもいいようになっています。あとは、記載がどうしても必須のところです。生年月日ですとか接種日、副反応発症日なども必須項目として入力がしやすいようになっていますし、あと、報告していただく届け出症状も選べばいいだけになっていますので、手書きで書いていただくよりは、より書いていただきやすいかなと思っているところです。

 以上です。

○岡部分科会長 私が言うのもなんですけれども、厚労省のホームページも感染研のホームページもなかなか肝心なところに到達しにくいときがあるのですけれども、どこから入ればいいですか。

○多屋参考人 感染研のホームページですと、感染研のトップページから感染症疫学センターのホームページに行っていただく方法もありますし、感染研のトップページの左側の感染症情報のバナーの上から3番目に予防接種情報というのがありますので、そこにアクセスしていただいて、トピックスの1番下に「 予防接種後副反応疑い報告制度(厚生労働省HP ) 」というサイトを作っていますので、そこから入っていただけるようになっています。ぜひ御活用ください。もう既に何人か御報告していただいているみたいなので、ぜひ御活用いただければと思います。

○岡部分科会長 ぜひ一回、試しにのぞいていただければと思います。1回見れば、あとは大丈夫だと思うのですけれども、なかなか最初はとっつきにくいかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

 中野委員、どうぞ。

○中野委員 多屋先生を初め、このアプリを作成していただいた方々には本当に心から感謝したいと思います。大変便利でいいと思うのですが、将来的なことなのですが、臨床の現場では今、多くの医療機関が電子カルテを使っております。電子カルテは原則的にはオンラインとはそのパソコンはきっとつながってはいないでしょうし、あと、恐らくは今、アプリを一旦ダウンロードして、そこに何らかの方法で転記して保存しておけば上書きもできるし、次回の報告もできるとは思うのですが、ある意味、今後これからさらに発展させていただくために、今はまだファクスですけれども、本来、オンラインでもっと報告できるといいと思うのですが、そこの流れに当たっては、そのような注意も必要かなと臨床サイドとして思いました。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 そこら辺も今後の課題としてとっておいていただければ。

 何かありますか。いいですか。よろしくお願いします。

 ほかには何かありますでしょうか。全体を通じて各部会に何か御意見あるいは御質問があれば。

 大石委員、どうぞ。

○大石委員 先ほど伊藤委員から、生産・流通部会の中でワクチンの流通の状況を見える化するという話がありましたけれども、大変いい提案だと思います。定期接種ワクチンであれば、そのカバーするワクチン量と恐らくプラスアルファのワクチン量が生産されて、それがどういう状況で流通しているのかというのが常に見える状況にあれば、とりわけ厚労省としても把握しやすくなるので、それでワクチンで予防できる疾患のアウトブレイクが発生ときにワクチンをどう供給するかいう指示が出しやすくなると思いますので、ぜひそういうシステムをつくっていただければと思っております。

○伊藤委員 ありがとうございます。ぜひ頑張りたいと思います。

○岡部分科会長 中野委員、どうぞ。

○中野委員 私も、流通の見える化には本当に大賛成なのですけれども、インフルエンザはある程度それがうまく回っていると思います。きっとその理由は、定期接種として毎年使われる本数と、任意接種としてある程度幅を持って使われる本数とが結構同じような数があって、同じというかかなりの数があって、その中で回っているから、このような供給にかかわるいろいろなコメントも出していただけると思うのです。ただ、ほかの小児期の定期接種ワクチンは、定期に使われる分以外が非常に少ないわけです。定期接種化までが目標で、本来ワクチンは基本的な計画にもあるように、ワクチンで予防できる病気は予防するというところが基本なので、定期接種を外れた年齢でもまだ打っていなかったら打ちたいですし、そこを考えて、この流通の面を考える上ではそのような定期接種対象外のワクチンの推奨というのもすごく大事なことだと昨今の問題を見ながら考えております。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 見える化をしなければならないという一番大きな必要性は、例えばこの前の麻疹のアウトブレークがあったときにワクチンが不足する、定期接種として打たなければいけない子供のところにワクチンが届かない、なくなったというので大騒ぎになりましたが、そういう不測の事態を防ぐためにも、やはり供給のコントロールが明示されていないとまたパニック状態になるのではないかというところが背景にあるのだと思っております。

 また、こうした問題点も委員の間で整理させていただいた上で、卸の人たちとも相談する機会が必要かと思いますし、安定的に国民の方々に安心を与えてあげられるようなシステムを作っていくということが課題だと思っております。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 潤沢に全部じゃぶじゃぶつくっておくというわけには多分いかないと思うのですけれども、どういうときに対応できるか。それから、ACIPのようなところでも定期的に、むしろこのワクチンはちょっと足りなくなりそうだとか、そのようなことも議題になっていることがあるので、今度、受けとめる側がそれを冷静に受けないと、うっかりすると足りなさそうだという情報が入ってしまうと本当に足りなくなったりするような、買い占めてしまうとか、そのような状況も一方では改善していかなくてはいけないと思うので、ぜひ見える化ということでも御努力をよろしくお願いいたします。

 ほかには何かありますか。よろしいでしょうか。

 それでは、今のこれまでの部会の報告ということは一応終了にしたいと思います。

 この次が報告事項の2になりますけれども、「予防接種に関する間違い報告」、これも用語が後から説明に出てくると思うのですけれども、従来、事故報告といったようなものだったのですが、間違い報告であると。間違いについてきちんと数をまとめて、それについての報告という意味になりますので、そのつもりでお聞きいただければと思います。

 事務局のほうでは、これは芳川補佐から御説明をお願いします。

○芳川室長補佐 それでは、事務局のほうから資料2について御説明をさせていただきます。「予防接種に関する間違いについて」ということでございまして、平成27年度分ですけれども、平成27年4月1日から平成28年3月31日までに発生した予防接種に関する間違いについて取りまとめた結果を報告させていただきます。

 昨年度まで、岡部分科会長からお話があったように、事故についてという形で御報告をさせていただいておりますが、今年度から間違いについてという形で御報告をさせていただくこととしております。

 本報告につきましては、予防接種の実施要領に基づきまして、市町村からの報告を都道府県経由あるいは取りまとめの上、報告をいただいているものでございまして、毎年度取りまとめて御報告をさせていただいているものでございます。

 間違いの態様として、以下の分類に基づき御報告をいただいてございます。1から11までございますが、接種するワクチンの種類の間違い、あるいは対象者を誤認して接種してしまった。比較的多いものといたしまして、不必要な接種を行ってしまったであるとか、これは昨年度も一番多かったのですが、接種間隔を間違えて行ってしまった。その他、接種量を間違えた、接種部位・投与方法を間違えてしまった、接種器具の取り扱いが適切でなかった。8番につきましては、特に健康被害につながり得る重大なものとして別に記載をしてございますが、既に他の対象者に使用した針を使う等、接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こし得る可能性のあるもの。9として、期限の切れたワクチンの使用。10、不適切な補完をされていたワクチンを使用してしまった。その他。こういった形で類型化して、御報告をさせていただいております。

 4番の接種間隔の間違いについては、昨年同様、最も多い間違いという形で御報告をいただいてございます。合計といたしましては6,168件でございまして、平成26年度の定期接種延べ接種回数が4,400万回ということでございますので、10万回当たりの率としては13.81という数をお示しさせていただいているところでございます。

 次に、ページをおめくりいただきまして、8番の血液感染を起こし得る可能性があるものについて、8件という形で御報告をさせていただいておりますが、その概要と間違いへの対応につきまして、8件についてまとめて報告をさせていただいております。

 1つ目といたしましては、ヒブ・肺炎球菌・4種混合ワクチンの同時接種に当たって、看護師の手に誤って針を刺したが、針を変えずにそのまま被接種者へ針を刺し、接種をした。

 2番目もほぼ同様ですけれども、医師の指に注射針が触れたが、そのまま接種をした。その後、医師の指から出血があった。

 その次ですけれども、同様で、医師が自分の手指に注射針先端を刺してしまったが、そのまま児に接種をした。

 4番も同様で、接種医の母子背側に接触したが、そのままの針で接種を行った。

 次に移っていただきまして、5番目、これは昨年度も御報告をさせていただいた事例に近いものかと思いますけれども、BCGの集団接種において、この報告をいただいた接種医の手順としては、トレーから針を取り出してキャップを外して、机の上に仮置きし、対象児の腕を両手で固定してから右手で仮置きした針を持ち、接種しているということなのですけれども、接種後、右手で机の上に残ったキャップに押し込んではめ、台の下の廃棄物入れに捨てている、これが通常の手順だということなのですが、接種後、医師が対象児の対応に気をとられ、使用済みの針を破棄せずに机の上に置いてしまった。その結果、対象となる5人のうち1人に再使用した可能性がある、こういった事案でございます。

 6番、DTの集団接種において、対象者の本数分の注射器を用意したはずであったが、接種終了後、1本余っているということで、32人のうちの1人の児童に接種済みの注射器で接種してしまった可能性がある。

 7番は、使用済みかどうかが確認できていない、血液感染を起こし得る可能性があるものということでここの中に含めて報告をしていますが、注射針を刺したが、ワクチンが入っていなかったため、再度予防接種を実施したということで、これが使用後のものであったか、使用をしていなくて空のものだったかということについては不明であるということでございます。

 8番は、使用済みの注射器がリキャップをして置いてあったので、それを薬液の入った準備された注射器と思い込み使用したと、そういった事例でございます。

 間違いへの対応につきましては、右のカラムに記載をされてございまして、血液検査等で対応いただいて、報告時点における被接種者の健康被害等の症状はないといような報告を受けているところでございます。

 資料2につきましては、以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 参考資料1については多屋先生に後で説明していただくことにして、今までのところの間違い報告について、何か御意見がありましたらお願いをします。

 中野委員、どうぞ。

○中野委員 今、御紹介いただきました8番の間違いというのは、ワクチン・予防接種という行為が血液・体液と接触する器具を使う行為でございますので、これは私たちのワクチンの歴史の中で、こういうことが絶対あってはならないことというのは非常にわかっているわけで、これをきちんと書いていただいて、わかる範囲で健康被害がなかったというところまで御報告いただいたのは非常に大切なことだと思いまして、ぜひ今後も続けていただきたいと思います。

 同時に、私たちは現場でこのような間違い、どんな間違いでも起こってはいけないわけでございますけれども、肝に銘じで起こらないように再度確認する必要があると思います。

 そして、ほかの間違いに関して、たくさん起こっているものもあるわけなのですが、例えば接種間隔の間違いというのは、今、定期接種としては基本的なスケジュールが示されていても、添付文書上、不活化ワクチンで3週間で打てるものと4週間で打てるものがあったりとか、これはきっと、そのあたりをもう少し今後改善していけるところがあれば、間違いがもっと減ってくると思うのです。やはり予防接種・ワクチンは誰にとってもわかりやすくないといけないと思いますから、そういったあたりが解決の手段として一つ考えられるのではないかということと、もう一つは、有効期限が切れたワクチンを使用してしまったというのが比較的多いのですが、今、各社のワクチンを拝見いたしますと、製造年月日と有効年月日の書き方が結構さまざまなのですね。せめて有効期限だけでももうちょっとわかりやすく、文字が大きくなるとか、色を決めるとか、それも現場でわかりやすいような記載にしたら少しでも減るのではないかと思って日常接種をしております。

 以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 このごろ包装のケースのほうに有効期限とかロット番号が書いてあって、あそこに有効期限があいてあるのが多いですね。そのようなところを臨床側は十分確認していただかなくてはいけないので、確かに医学的にはそれほど問題にならないのも多々あるとは思うのですけれども、間違いは間違いなので、やはりここは臨床医のほうに、前のときは小森先生もこれは日医のほうでもちゃんと連絡をしますというようなことをおっしゃっていただいたので、臨床側がこれは十分に連絡をしながら、学会も含めてきちんとしていただかなくてはいけないところで、特に8番の血液感染を起こし得るもの、実際には起きていないわけですけれども、実際の被害は起きなくてよかったのですけれども、これはやはり臨床サイドが十分に気をつけなくてはいけないところだと思います。

 質問なのですけれども、ケース7で細かいことなのですが、「予防接種実施のため、注射針を指した」とあるのは「刺した」のですよね。

○芳川室長補佐 7番の概要のところですね。これは「注射針を指した」は「指」ではなくて「刺」ですね。失礼いたしました。

○岡部分科会長 そうですね。ミスタイプだと思います。

 それから、やったからいいというわけではないのですけれども、B型肝炎ワクチンや何かをきちんとやっていると、かなりこんな場合でも未然の防止という意味では、肝炎の免疫を持っている人はそれだけリスクが減るというところも、今度のB型肝炎ワクチンの一つのメリットではないかとも思います。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 全国での予防接種実施自治体である市町村を経由して上がってきたデータだと思うのですけれども、もし、例えば発見動機というのがある程度わかるとよいのですが、例えば自治体の担当者としてこれを見ていると、医療現場でその間違いが見つけられて報告されたものと、場合によると市町村に上がってくる問診票の写しの中で見つかったケースもあると思います。例えばこの接種間隔というのはよく問診票で見つかることもあるのですが、これを見ていると恐らく自治体によって間違いの件数にかなりばらつきが出るのではないかという推測されます。それぞれの自治体の人がこの数値を見たときに、自分の自治体がこれより多いか少ないかとか、そういうものがわかると思うのです。つまり、データがちゃんと本当に正しく集まっているかどうかという問題も根底にあると思います。つまり、どこでこれが見つかったかというものもどこかで調べていくと、もう少しきっちりしたデータベースになると思います。自治体の担当者も自分のところを見ていて、あれ、自分のところは多いなとか少ないなというのはある程度参考になって、いわゆる予防接種に対する接種医師への説明会とか研修会、そういう場においての有益な資料になるということと、予防接種の安全性につながるということで、その辺のデータがとれればいいのかなと思っております。

 以上です。

○戸田委員 関連です。

○岡部分科会長 どうぞ、お願いします。

○戸田委員 私も専門家ではありませんけれども同じようなことを思っておりました。どの段階で間違いが起こったのかという部分です。その中で、4番の接種間隔の間違いというのは、市町村側の間違いということもあるのではないかと思ったりもします。予防接種の案内をする中でですけれども、この辺りのところをもう少し詳しく教えていただければ、こちらも気をつけられることがあるなら気をつけさせていただきますし、周知をしますので、よろしくお願いいたします。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 資料2の1ページ目の1番から11番をずっと出すのではなくて、もうちょっと何か分析の方法がないかという意味合いの御意見だと思うのですけれども、この辺はいかがですか。

 室長、どうぞ。

○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。

 今、間違いの報告に関しましては、今回御報告申し上げていますのは年1回、全国的にどれぐらいの件数があったかということの取りまとめの数字でございまして、それに関しましては、詳細な細かい内訳はないという現状でございます。重大な間違いに関しましては、その都度報告ということで、もう少し情報をいただいているということでございますけれども、この報告に関しましては、これからの間違い防止対策として、どういった取り組みが必要かということを探求するための調査であるという観点から、調査の負担にも少し配慮しながらとは思っておりますけれども、どういう調査方法にできるかということを検討したいと思います。

 現状は件数を中心に数字を集めておりますので、どこの段階でこの間違いが発見されたのかということとか、あるいは市町村側が伝え間違えたのか、それとも現場のほうでの間違いだったのかというのは、内訳がまだわからないものが大部分でございますので、そこについてはこれからまた検討したいと思っております。

○岡部分科会長 実際に事故が生体の何らかに影響を及ぼす可能性の高い事故と、例えば期限が1日切れただけで接種したというちょっとしたミスであるとかいうのがわかるといいと思うのですけれども、分析方法については引き続き検討をよろしくお願いします。

 接種器具の適切ではない取り扱い、血液感染を起こし得るもの、これは早い報告なのですね。

○江浪予防接種室長 そのとおりでございます。

○岡部分科会長 これはかなりリスクが高いものということで、早く報告をいただいて、早く改善をしていただく必要があると思います。

 ほかには。

 三田村先生、臨床の現場で実際にやっていて、このようなことについて何か感想がありましたら。

○三田村委員 当院では、なるべく他の医師以外のスタッフを交えて情報交換するようにしているので、あまり事故はないのですし、小児科の中ではそうは事故はないと思うのですが、やはり内科というか、成人対象にやっていらっしゃる先生とか、ふだん予防接種をあまりやっていないけれどもインフルエンザだけやるとか、そういう日常的に予防接種をやっていない先生たちはなかなかこういう情報が届かない状況にあるのではないかと思います。ですから、こういう情報をどのように伝達するかというのはとても重要だと思います。

 また、地域によっては予防接種をやる医療機関を届けでると思うのですけれども、そのときに予防接種をやる先生は講習会を1年に1回受けなければいけないとかいうシステムをとっている地域もあるようです。最近は、かなり幅広い多くの接種医療機関があるので、eラーニング等何でもいいのですけれども、やはりある程度一定の講習ということも義務で考えていただきたいと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 かなり義務でやっているような医師会あるいは自治体もふえてきていると思うのです。川崎市もそうですよね。

○坂元委員 川崎は、その予防接種の研修会に出席しなければ接種を委託しないという方法をとっております。ただ、病院単位につきましては、全員の医師が出るのは無理なので、代表の医師等が出て、その医師が責任を持って病院内で伝達講習等をするという前提でやってます。つまり出席しなければ接種医として認めないという方法をとっております。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 何らかの形で臨床側も本当に工夫の要るところだと思うので、そういうときの予防接種における間違いを防ぐために、これで多屋参考人にきょうは来ていただいているのですが、これは以前からあるのですが、特に今回、B型肝炎ワクチンが定期接種になったということで、2016年改訂版ということが出ているので、その辺の内容が新しくなったところも含めて多屋参考人、これについて御説明をお願いします。

○多屋参考人 ありがとうございます。

 この冊子は、一番後ろに書いてあるAMEDの研究班の中でつくったもので、佐藤研究員が中心になってまとめてくれたものです。前回の部分は、ぱっと見た感じがグリーンのイメージなので、今回は青でつくっています。なので、2016年改訂版ということがすぐわかるようになっています。

 大きな改訂箇所は、B型肝炎ワクチンが定期接種になりましたので、それを定期接種のところに入れ込んだというのが一つで、7ページの3番目が「B型肝炎(水平感染予防)」となっている部分になります。

 この冊子の見方なのですけれども、これの前身の研究班でつくったときに、研究班の先生からいただいたご意見で、とにかくトップページに実際にあった間違い事例を入れていただくのが一番の予防につながるということをおっしゃっていただきまして、1ページが、実際にあった間違い事例で、こういうことに気をつけなければいけないというのをまず最初に見ていただくためにまとめたものです。なので、先ほどから御意見が出ているような、具体的にどういうことが起こっていたのかというのがわかってくると、それをお読みいただくことで予防につながるかなと感じています。

 これらを踏まえて、確認のポイントが2ページから5ページまであるのですけれども、前回と違うところは、特に気をつけるところを赤字で、下線を引いて、それぞれのポイントのところで記載をしたというのが1つと、接種量の間違いが今回も105件と多いのですけれども、間違えやすいワクチンは決まっているので、3ページのベージュに囲んであるこのワクチンのこの接種のときによく間違えられているというのを表にして出してあります。

 4ページからは具体的な流れで、ここの中で特に6ページですけれども、一番問題となる血液感染を起こし得るもので、この冊子をつくった最初のきっかけが、こういう事例があったときに各自治体のほうでどうしたらいいかというのを結構困っていらっしゃったのですが、余り対応について書いたものがなく、それぞれ皆さん同じようなことで悩んでいらっしゃったので、例えばどんな検査を、どんな間隔でするといったことを例として挙げることで参考にしていただけるかなと思ってつくったのが6ページになります。

 7ページからのところは、結構重宝していただいていると伺っているのですが、佐藤研究員が工夫してくれたのは、緑の帯のところで、定期の予防接種の対象年齢が左から右に、左端に最低年齢、右端に最高年齢で、接種の回数と接種の間隔がこの図だけを見ればわかるようにということでつくり込んでもらっている部分で、このワクチンを接種するときに、ここだけを見ていただければ役に立つかなと。どこかに張っておいていただくと役に立つかなということでつくったものです。

 一番最後は、10月時点で国内で使用可能なワクチンの一覧が記載されておりますので、これは新しいものに更新しています。その時々で役に立つページを有効に活用していただくことができればと思ってつくったものです。間違いがこれだけありましたではなくて、対策の部分も一緒にあるといいなというコンセプトです。

 以上です。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 御質問、御意見がありましたら、どうぞお願いします。

 館林委員、どうぞ。

○館林委員 多屋先生のお話をもとに戻してしまうのですけれども、親としては、どきどきしながら予防接種を受けに行き、きょうも大丈夫でよかったなと思って帰るのです。接種するワクチンが違っていましたとか、別の子に打っちゃいましたとか言われるとびっくりすると思うのです。ことしの報告で言えば、例えば1、2,3でも親としては驚く話だと思うのですけれども、その中で副反応疑いになった方はいらっしゃらないのですか。

○岡部分科会長 これは事務局のほうでお願いします。

○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。

 特に重大な間違いの関係に関しましては、その都度御報告をいただく仕組みにはなってございます。そういった中で、実際に接種された方について、どういった副反応なり、そういったものがあったのか、なかったのかということもあわせて御報告をいただく形にしてございます。それに関しましては、現在集計したものが手元にはございませんで、日々届いたものを我々事務局のほうでも見ておりまして、また、最近は感染症研究所のほうにも共有させていただいているところでありますけれども、我々がこれまで確認している中では、直ちに接種の間違いが重大な健康被害につながったという事例が最近は特にはなかったと記憶をしてございます。

○館林委員 ありがとうございます。

 平成25年と平成26年のデータを拝見しますと、件数自体は少しずつふえていて、ただ、割合としては25年と26年は余り変わらないように書いてあるのですけれども、これは増加傾向にあると考えていいのですか。

○岡部分科会長 これも事務局からよろしいですか。

○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。

 この予防接種時の間違いの報告に関しまして、総件数の推移を見ますと3年間、数字上はふえているように見えるところがございます。一方で、血液感染を起こし得るものということに限って見ますと、2年前に御報告申し上げたときからは少し一回ふえて、今回少し減った数字ということで御報告しております。

 この内訳を都道府県別に見たり、こういった間違いの内容ごとに見たりということで、少し我々のほうでも検討しているのですけれども、この結果をもって現在本当に一律にふえているのか、ふえていないのかというのはなかなか見えないのかなと悩ましく思っているところでございます。

 これらの取り組みに関しましては、まずは間違いというものを減らしていく目的で調査をしているのかなと考えておりますけれども、今、御指摘のような点についても、どのように考えられるかということをこれからもしっかり見ていきたいと思っております。

○館林委員 接種努力義務ということで、予防接種を受ける親御さんは説明を一生懸命読んでから伺っています。もちろん血液感染もそうだと思うのですけれども、違うワクチンだったとかそういうことがないような仕組みをつくっていただけるよう、お願いします。パンフレットも変わってよくなるかもしれないですけれども、親が驚くようなことがないようにしていただきたいと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 大変重要な指摘だと思うのですけれども、先ほどの三田村先生のところなどのように、チェックや何かをやっているところでは事故は起きないわけで、いかにそういうチェックをきちんといろいろなところでやっていただくか。これが自治体の説明であるとか、あるいは医師会の説明であるとか、そういうときにこういう例を使って、このようなものは避けていただく、あるいはこういう工夫があるという説明を繰り返しやっていく必要があるのだろうと思います。

 館林委員も何かの機会にそのようなことを発信していただければと思います。

 ただ、副反応検討部会とか、あるいは被害救済とか、あるいは地域での予防接種に関する委員会などで聞いていると、こういうことの間違いで重大な副反応というか身体障碍に結びついたというのは聞いていないので、実態としては幸いそういうものに結びついているものではない。でも、あっていいということではないので注意が必要であるということだと思います。

 繰り返しますけれども、特に血液に関するものは本当に、ああ、よかったなというところなので、これは十分注意をしていく必要があるだろうと思います。

 ほかに何かございますか。

 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 大変きれいなパンフレットができたと思っていますが、この予防接種に関する間違いを見ますと、リキャップに絡んで事故が起こっていて、今の若い医師にはリキャップは絶対しない、採血をしても針とシリンジはそのまま捨てるのが常識として教えているはずなのですけれども、どうもそうでない医療行為が起きているような気がするので、本来は、屋上屋かもしれませんけれども、こういうパンフレットにもリキャップをしないということを入れられたら、血液感染の間違いが少しでも減るのではないかと感じました。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 多屋先生、これは冊子としてもらえるのですか。それとも、例えばそれぞれの自治体などがこれを取り出して印刷したりするのでしょうか。

○多屋参考人 ホームページから、きょうからダウンロードができるようになると思うのですけれども、もし紙で必要な場合は、メールなどで申し込んでいただけたらお送りできるように工夫しようかなと相談しているところです。なので、もし必要があれば御連絡いただければと思います。

○岡部分科会長 全員が紙で申し込むと大変だと思うので、その辺は理解を持っていただいて。ただし、取り込むのはすぐできるのですよね。取り出して、それこそ100人、200人の集まりのようなところでは、そこでプリントアウトしていただくと、多分、感染研はそんなに予算を持っているわけではないので、よろしくお願いしたいと思うのです。委員会が余計なことを言っているかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いします。しかし、普及するようにということで、いろいろなところに活用していただければと思います。

 三田村委員、どうぞ。

○三田村委員 これは要望なのですけれども、この接種間違いだけではなくて、予防接種をするときに気をつけなければいけないこと、例えばお名前を確認、御本人に言っていただくとか幾つかあると思うのです。副反応の疑い、有害事象の疑いがあったときにはこのように届けなければいけないとか、そういうポイントが、例えばBCG接種などはDVDになっていて、必ずふだんやっていない先生に見ていただいてからやっていただいているのですけれども、もし、できればDVD等にそういう一般的な予防接種をやるときの流れみたいなものができていると使いやすいかなと思います。

○岡部分科会長 中野先生、そんなものをつくっていなかったですか。

○中野委員 私自身はつくっていないのですが、現場からの要望は多いと思うのですが、結構細かい手技ですね。打つときにつまみ上げるのか、つまみ上げないのかとか、接種部位はどこなのかとか、やはりつくるのでればとても標準化されたものをつくって、それを配布しなければいけないと思うのですが、そこは結構バリアが高くてできていないというのが現状ではないでしょうか。

○岡部分科会長 そういう映像や何かも検討しておいたほうがいいだろうと思うので、少なくとも先生のところでディスカッションなどをして、アイデアを出していただければと思います。よろしくお願いします。

 ほかには何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、次に移りたいと思うのですが、これは最近の問題でワクチン・血液製剤産業タスクフォースというものができて、そこの顧問の方々からの提言というものが公表されております。それについて内容を知るという意味で報告をしていただければと思うのですが、これは事務局のほうからよろしくお願いします。

○芳川室長補佐 それでは、事務局から、資料3について御説明をさせていただきます。

 「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言」ということで、ページを1枚おめくりください。本タスクフォースにつきましては、昨年来の一般財団法人科学及血清療法研究所、化血研の事案をきっかけに明らかとなりました国内のワクチン・血液製剤産業・行政における、そのビジョン及び国家戦略が不明確であること、企業のガバナンスの問題や特定企業・団体等に過度に依存している脆弱な供給体制などの諸問題について対処していくため、厚生労働省内部検討会という形で昨年12月に設置をされたところでございます。事務次官をトップに医政局、医薬局、健康局が合同で議論を行い、顧問という形で、この資料の最後にございますけれども、独立行政法人地域医療機能推進機構理事長であります尾身先生、特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事の花井十伍先生、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司先生、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長の近藤達也先生に顧問という形で御参加いただきまして、議論を行ってまいったところでございます。

 本タスクフォースにおきましては、企業規模や市場構造、価格設定、生産体制、承認制度などの論点を含め、国際的観点をも鑑みながら、我が国のワクチン・血液製剤の安定供給をどうすべきか、そして、企業、厚生労働省、承認機関における透明性の高いガバナンスのあり方をどのように構築するかといった諸問題、諸課題に対する抜本的な対応を既存の施策にとらわれず、ゼロベースで検討し、タスクフォースの一定の取りまとめとして、顧問として今後の政策提言を取りまとめていただきましたので、このたび10月14日に厚生労働省としてプレスをいたしたところでございます。

 内容は3ページ以降になってございますけれども、3部構成となってございまして、1がワクチンに関するものでございます。7ページ、8ページ、9ページが血液製剤に関するもの、10ページがワクチン・血液製剤メーカーのガバナンスの強化に係るものと、このような形になってございます。

 それぞれワクチンと血液製剤につきましては、本文の中で、その産業であるとか行政のあるべき姿、また、それらの課題や現状、そして政策の提言という形で記載をいただいていますが、これはワクチン・血液製剤産業の行政の関係者に幅広くヒアリングを行い、それらに基づき顧問の先生方の検討が取りまとめられたものと承知をしてございます。顧問からの提言という形で、今回まさに御提言をいただいたところでございまして、今後これらの提言の一つ一つにつきましては、どのようなスケジュール感でどのように議論を深め、具体化していくかにつきまして、今後、検討課題と考えてございますけれども、まずは提言が取りまとめられたことを本日この審議会に御報告させていただくものでございます。

 事務局からは以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 細かい内容をきょう御紹介するわけではないのですけれども、経緯ということで報告をいただきました。

 ちょっと確認ですけれども、今、聞いた中でもおっしゃっているようですが、これはタスクフォースがあって、そこに顧問がおられて、顧問の人がタスクフォースに対して提言をしている。だから、提言先は政府なわけですね。

○芳川室長補佐 そちらにつきましては、タスクフォースの一定の取りまとめという形で顧問から厚生労働省並びに、産業のことでもありますので業界、その他関係者に向けて提言をされたものと、このように承知をしてございます。

○岡部分科会長 でも、タスクフォースの中は政府の人ですね。それを顧問が提言しているので、提言先は広く一般にという意味なのですか。そうではなくて、タスクフォースに対して、タスクフォースはこうやりなさいというふうに言っている提言のように聞こえていたのです。つまり、実施するのは誰かということです。

○芳川室長補佐 お答えいたします。

 この提言を受けて考えるべき主体というのは、まさに厚生労働省という形で考えてございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 それと、この取り扱いなのですけれども、これは多分委員会にも関係すると思うのですが、こういう中の細かいところについて、例えばこの委員会で検討すべきこともあるように思えるし、この委員会ではとても検討できないこともあると思うので、そういったようなことを整理して委員会のほうに上がってくるというような形なのでしょうか。

○芳川室長補佐 岡部先生が御指摘のとおりだと考えてございます。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 ちょっと確認だけさせていただいたのですが、もし御意見があればお願いします。

 大石委員、どうぞ。

○大石委員 6ページ目にある研究開発・生産体制の拡充というところで、2番目のポツでは、AMED等が後押ししてベンチャーとの共同でのワクチン創出を支援するということでありますけれども、4番目のポツは、感染研が主語になっていて、世界的拠点化を目指すと書かれているのです。これは感染研が目指すべきであるというような提言なのでしょうか。AMEDがファンディングをするという話と並列に感染研が目指すべきということであれば、何らかの予算的な後押しとかがあるのかないのか、どうなのでしょうか。

○岡部分科会長 補佐、どうぞ。

○芳川室長補佐 先ほども御説明してございますように、まずこの提言自体が、顧問の先生方から行政であるとか業界に向けて出されたまさに提言でございますので、これを書かれている内容につきまして、どのように具体的に実現していくか。まさに「国立感染症研究所は」というところにつきましても、当然、厚生労働省がどのように考えて、国立感染症研究所と一緒にどのように進めていくかということでもございますので、その辺の具体的なところにつきましては、まさに今後の検討という形になろうかと考えてございます。

○大石委員 ありがとうございました。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 今のところ非常に総論的なところではあると思うのですけれども、かなりデリケートな部分も含まれているのではないかと思うのです。先ほどちょっとおっしゃっていましたけれども、今のところ、これからのタイムラインみたいなものは特に設計をされているわけではないのですか。

○芳川室長補佐 先ほども話をしたとおり、具体的な、どのような過程で、どういったスケジュール感でやっていくべきかということについても、今後の検討課題とさせていただいているところと考えております。

○岡部部会長 そうすると、これがどのぐらい実現されているかどうか。例えばこの委員会でやっている基本方針施策は5年間で見直すとか、中間報告があるというのですけれども、これがどのように動いているかどうかというのは、どこがどういう評価をするのですか。

○芳川室長補佐 今、岡部先生が御指摘になったのは、基本計画のPDCAをやっていることと、このタスクフォースで進捗管理をしていくこととのリンクがどうかということですか。

○岡部部会長 リンクではなくて、例えばここは基本方針をつくったところなので、自主的にというか、それがどういう進捗であるかということをまとめて次のものをつくろうとするわけですね。これは提言が出て、この提言がどのように実施されているのか、あるいは提言だから中には難しいこともあるだろうと思うのですけれども、そういうものがどのように動いていくかというのはこのタスクフォースが評価をしていくのですか。どのように動いてくるかということは、どこかで必ず誰かが評価していかないと実施されているかどうかわからないわけですよね。

○芳川室長補佐 まず、この顧問の提言について、行政としてしっかりとそしゃくをするようなところが必要で、その上でスケジュール感であるとか、具体的などこでどのような進捗管理をし、どのような検討をどの場で行っていくのか、その辺の検討を進めていく必要があると考えてございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 その流れなどは時々こういう委員会でできれば報告をしていただくとわかりやすいと思うのですけれども、もちろんそれを全部実現できるかどうかという意味で言っているのではなくて、中にはディスカッションの結果、どうなったのだということも出てくると思うので、そのようなことが見える化だと思うのです。よろしくお願いしたいと思うところです。

 皆さんがよろしければですけれども、よろしいでしょうか。

 中山委員、どうぞ。

○中山委員 私は10ページのワクチン・血液製剤メーカーのガバナンスの強化というところにとても関心がございまして、特に化血研の問題は、つい最近も問題があったと思いますので、この辺はワクチンをこれから国民の中できちんと根づかせていくということに対しても、そういうメーカーがきちんとやっていないと、やはりワクチンに対する信頼が得られないのだと思うのです。ここでは非常に厳しいことが書かれていますので、これが実現できればよろしいのでしょうけれども、これを本当に今、岡部部会長が言ったように、どういう形で実行していくのかというのが、これを聞いただけではすぐわからないので、その辺についても今後継続的に説明なりしていただくとありがたいと思います。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 ほかに御意見がありましたら。

 中野委員、どうぞ。

○中野委員 分科会長がおっしゃったように、提言としては総論的な内容と私も受けとめておりますけれども、例えば3ページの「1.ワクチン」の2)のワクチン産業・行政の現状(課題)というところのポツの4つ目を見ますと、これはまさに予防接種・ワクチン分科会とか基本方針部会とか3つの部会の本当に今取り組んでいることだと思うのです。ここに書いていただいてあることは、不明確である、不十分である、脆弱である、不足しているなので、全てがこのとおり受けとめなければならないのなら、どこが具体的に不足しているのかといったようなことを今後お示しいただけると、私たちとしても今後やっていくべきことが見えてくるのではないかと思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 釜萢委員。

○釜萢委員 これはワクチン・血液製剤産業に関する問題でタスクフォースというのがつくられて、そして、それに顧問というのがいて、顧問がこういう提言を出してくるということでありますが、このような流れは、この予防接種あるいは血液製剤だけでなく、厚生労働行政にかかわるいろいろな部分でこういう流れが見られまして、ややとまどいを覚える部分もあるわけです。本来こういう問題をしっかり積み上げて考えてくるための組織、この分科会ももちろんそうですけれども、そういうところで地道に積み上げてきた議論があるわけで、その作業に対してやや唐突な印象を受ける。それはどういう関係があって、岡部分科会長が言われたように、それが今後どういう時間の流れの中で整理されているかというのがよく見えない中で、提言だけがぼんと出てくるというのにちょっと違和感を覚えます

 内容については示唆に富むところもあるので、それは大いに参考にすべきだと思いますけれども、きちんと今後継続して問題解決に向けて取り組んでいくためには、やはりしっかりした皆さんの合意を得ながら、地道に積み重ねていくという作業が必要なので、今後このタスクフォースあるいは顧問からの提言をどのように私どもの分科会につなげていくのかというところがちょっと見えないですが、事務局のお考えはいかがでしょうか。

○岡部部会長 江浪さん、どうぞ。

○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。

 今回まとめられました顧問からの提言に関しましては、その内容について関係する審議会でやはりしっかりと御議論いただく必要があるものがあろうかと思っております。そういった内容に関しましては、我々厚生労働省のほうで少し検討課題なり今後の道筋を整理させていただきまして、また改めてこの分科会にも御相談をしていきたいと考えてございます。

○岡部部会長 よろしくお願いいたします。

 桃井委員、どうぞ。

○桃井委員 私も先ほどからこの提言の頭の中での位置づけに非常に苦労しながら聞いておりました。釜萢先生のおっしゃるとおり、この提言は厚生労働行政の中で一体どこに位置するのかということが非常に不明です。一般的に提言は、オープンな議論を積み重ねた中で、さまざまなデータ、情報を解析した上で何が不十分だとか、そのような評価が出て、その上で提言が出されて、ある提言は行政においてそれをできるだけ実現しなくてはいけない提言であり、ある提言の質はその経過から考えて、単なる参考程度にすればよい提言であるというような位置づけが当然明確になされるべきだと思うのです。

 そういう意味で、これが突然このように出てきて、この背景となったデータ等々の情報公開があるかどうか、私は調べていないのでわかりませんが、一体この提言をそれぞれの今この会議に出ていて、また、それぞれの部会でどのような位置づけとして受け取るべきなのか、大変困惑をしています。もちろん、読みますと、総論的であるだけにもっともと思われるところもあるのですが、しかし、総論だけではここから先に進みませんので、その総論的なことがあるデータに基づいた解析結論の上の提言であれば、当然それはある一定の科学的な根拠のあるものちして受理されるわけですけれども、その辺がどうも空白なので、先ほどから非常にこの受けとめ方に戸惑っている次第です。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 沼尾委員、どうぞ。

○沼尾委員 これを拝見して、こうしたワクチンという財の一特性というのでしょうか、安定的に一定のコストで供給するということが国民の健康を守る上で非常に重要だという側面と、研究開発に巨額な経費がかかるので、どうしても独占・寡占状態になりがちであるという面、そして、国際競争力の強化という点で生産体制の強化が求められているという面。これらを加味したうえで生産体制に課題があるという整理だと思いました。

 今、非常に財政も厳しい中で、国家戦略、成長戦略に乗った産業には一定の補助金や支援が出るので、その対象にこうした血液製剤産業を入れていくのかどうかということを含め、血液製剤産業に対する戦略的な位置づけについても論じようとしているのだと思います。ですが、こうした政策目標が、全部並列で載っているので、目指すべき方向性がよくわかりづらかったというのが、これを読んだ印象です。

 先ほどから先生方がおっしゃっているとおり、国民の健康を守るという視点に立てば、安定的な供給を確保するための生産体制を整備するのが大事だというところは間違いないと思うのですけれども、それを国家戦略として研究開発をさらに促進していきながら、海外展開で打って出ていくのだというところについて、これをどう考えるかというところについては、もう少し慎重な検討ということもあっていいように思いながらこれを拝見しました。

 あくまでも感想ですけれども、以上です。

○岡部部会長 これを受けてここが何かアクションを起こすという段階ではないので、きょうはもちろんそれぞれの委員の方の感想を述べていただいて、今後の事務局側の参考にしていただくということになると思うのですが、関連はいずれ、先ほど申し上げましたように、もしかするとおりてくるかもしれないといったようなこともありますし、ワクチンにかかわる審議会の一つとしては、フォローアップはやっていきたいと思いますので、もしほかに御意見があれば。何か決めるというところではないので、そこは自由におっしゃっていただいていいと思います。

 澁谷委員、お願いします。

○澁谷委員 これが出た経緯がそれこそなかなか見えにくい部分があって、4人の顧問の方が例えばどんな経緯の議論や資料収集、ヒアリングをして、どんなことをされてここまでまとめられたのかというところが見えにくい部分もあるので、そういう意味では、総論が書かれていると言われればそうなのですけれども、本日はこれはこういうものが出ましたという御報告ということなのですが、この内容を事務局の視点での精査するというのが一つ必要ではないかと思うのです。事務局として見てどうなのかというところのコメントというか意見を、先ほどの国際化の問題もそうですし、我々がここでさまざまな専門家の先生たちが積み上げてきたような事柄についての「不明確」とか「不十分」と言われている部分について、事務局としてはどのように考えているのか、事務局の考えを一度出していただいてもいいのかなと思います。

○岡部部会長 恐らく、これは事務局側も先ほど説明されているように、これからレビューをしていく。実際に局か課のほうにどういう影響があるかということをこれから考えていくところだろうと思うので、とりあえずはそういう意味での御紹介だと思うのですが。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 例えば2番のワクチン産業・行政の課題というところなのですが、行政の課題と一概に言われても、予防接種の実施主体である市町村の抱える課題と国の課題というのはかなり違ったものがあります。これを見る限り、つまり少なくとも接種主体である市町村から見ると、市町村の抱える課題というのがちゃんと把握されているのかなと疑問に思われる部分もあるので、そこはやはりここに書かれていることが全てではなくて、もうちょっと慎重に取り扱っていただきたいと思います。

○岡部部会長 三田村委員、どうぞ。

○三田村委員 最初のワクチンの部分だけに関して言えば、既にこの分科会で取り組んでいることが幾つか入っているのですね。分科会が最初にいろいろな部会を含めて発足したときに、役割分担あるいはそこで持っている権限がどうなるかということがいっときちょっと話題になって、曖昧なまま今、進んでいる面があるのではないかと思うのです。

 原則的には、このワクチンの分科会というのは、予防接種のあるべき姿をどのように実行するかということで動いているのではないかと思うのですけれども、タスクフォースはそれに加えて産業という面で、それを加味して検討するという解釈なのでしょうか。タスクフォース自体の実態がよくわからないので、そこのところを一つはっきりさせていただきたいと思います。既にこの分科会で取り組んでいることが幾つか入っているけれども、それにもかかわらず問題提起しかされていないような状況ですので、私たちの今までの活動と実態にそぐわないというか、御理解を得られていない部分があるように思うのです。ですから、ワクチンをどのようにすべきか、どうあるべきかということについては既に取り組んでいるので、そういうことも顧問の方とタスクフォースの実際に動いている方とがどのような関係なのかわかりませんけれども、ある程度、顧問の方にもこちらの活動を伝えていただく必要があるのではないかと考えます。

○岡部部会長 ありがとうございます。

 ほかには御意見はいかがでしょうか。

 この厚生科学審議会のワクチン・予防接種分科会というのは、ワクチンに関する技術的なことについては、決定に当たってはこの審議会の意見を聞くというようになっているので、この提言の中の全てではもちろんないわけですけれども、技術的なことをここでも検討しているので、それについてはこの委員会での議論の俎上にも上げていただきたいといったようなところが今のお考えのまとめとして、委員会としての今の報告を受けてこんな考えですといようなことにしておいてもよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 こういう議論が行われたということも、タスクフォースのほうにお伝えいただければと思います。

 一応そろそろ時間、10分ぐらいはありますけれども、その他のほうでは特に用意はしていないと思うのですが、何かございますでしょうか。

 畑参考人、どうぞ。

○畑参考人 SSPE 青空の会の畑です。

 最初のほうの予防接種基本方針部会開催状況、そのあたりで発言すべきだったのかもわからないのですが、ちょっと資料を見ていて思ったことがあるので発言させていただきます。

 8月中旬から10月にかけて、海外渡航者が原因と思われるはしかの流行、これが大きくマスコミで取り上げられました。幸いにも、最新の10月19日の感染研さんのデータでは収束に向かっていますね。これはこれまでの接種率向上へのいろいろな施策、その成果で大きく広がらないようにできた日本の麻疹の排除状態が実現できているということで、予防接種施策の成功事例として喜ぶべきことではないかと思います。

 しかし、この流行の報道のときに、我々親の会、感染症の被害者として一番ショックだったことが1つあります。それは何かというと、今回の報道での流行の罹患者の中に空港職員、医療関係者、ドクターとか消防の救急の関係者が含まれていたということが報道されました。今、日本は海外からの渡航者、昨日ぐらいの報道ですが、非常に最大の数にふえたと。これからまた2020年オリンピック・パラリンピックの開催でどんどんふえていく状況にあるわけですね。そういう中で、先ほど資料を見ていて、PDCA整理表で国際化への対応、7の2に書いてありますけれども、そこで書いてあることは、海外から日本への移住者に向けたワクチン接種徹底の内容、そういったことが書かれていますけれども、先ほどの報道で出たような視点で、接触窓口である空港関係者とか医療関係者、消防関係者、そういう輸入が考えられるウイルスに接触する人たちは100%の予防接種の徹底、そういう施策があって当たり前ではないかと我々は思うのです。そういう人たちの接種が徹底していないということで、感染源になってしまったという事態が今回起きたということは、非常に我々は残念に思っています。

 もちろん、ベースとしての定期接種率の維持向上というのが第一とは思うのですけれども、こういう国際化対応ということの中で直接具体的な対策として関係者への接種率向上の施策というのが今の資料にちょっと見当たらなかったので、いろいろ検討していただいているとは思うのですけれども、我々としてはお願いしたいと思います。

 今回の流行で、残念ながら1歳以下の子供が16名罹患しているのですね。SSPE について言うと、亜急性硬化症全脳炎の今までの確率的なもので言うと10万人のはしか罹患者当たりで16名程度というデータが一番大きくて、1~2名というデータもあるのですけれども、そういうことから考えると、今回の16名の罹患というのは、ほとんどこれからSSPE になることはないかとは思うのですけれども、一旦かかっている以上はゼロとは言えないわけですね。

 そういうことで、こういう状況の中でウイルスの輸入を防御する直接的な特定職種の従事者の接種の状況確認、過去の接種率が全てチェックされているのかどうか。それから、そういう未接種の人がいれば、接種推進をしていただくということをお願いしたいと思います。

PDCAの資料にそこら辺が出ていなかったものですから発言をさせていただきました。後追いで申しわけないですが、よろしくお願いいたします。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 まだあと5分ほどあるので、もし何か今の点について追加の発言がありましたら。

 大石委員、どうぞ。

○大石委員 畑参考人の御指摘、ありがとうございました。

 今回の麻疹の流行については、自治体、医療機関とともに感染研は積極的に対応し、できるだけ早目に流行を終息させるという方向で頑張ってきたところです。

 基本的に医療従事者ではかなり接種率は高いと思いますが、接種率が高まった若い世代の中で接種が1回以上の人たちの中でも発症するということもわかってきております。ただ、これはいわゆる修飾麻疹という軽いタイプのものであります。このような状況があるということも理解していただきたいと思います。

 それ以外の人が集合する今回の国際空港等の集団感染の問題もありましたけれども、そういったところでも今後また事業所での感染対策が検討されていくだろうと思います。

 1歳以下の児の発症ということについては、かなり心を痛めているところなのですけれども、いかんせん今、定期接種が1歳からということなので、どうしても1歳未満のお子さんがいる現場で感染者が医療機関に入ってしまうと感染が起こってしまうので、できるだけ1歳になったら早目にMRワクチンを接種していただくことが肝要であろうと思います。

 以上です。

○三田村委員 別のことでもいいですか。

○岡部部会長 今の大石委員の発言もありましたけれども、何かほかになければ、別のことでどうぞ、三田村委員。

○三田村委員 質問なのですけれども、今回また麻疹ワクチンが不足の事態になって、テレビでは盛んに予防接種してくださいと言っているけれども、実際、物がないという状況で、やっと最近になって少しずつ入り始めているところです。

 インフルエンザのワクチンは、備蓄と言ったらおかしいのですけれども、予備をつくってストックするようにとメーカーさんの負担でなっているのですが、生ワクチンは難しいと思うのですけれども、ある程度余裕を持って備蓄状態にしておくということは麻疹・風疹の場合は可能でしょうか。それとも多少検討されているのでしょうか。

○岡部部会長 それを含めて開発流通部会での中の課題になっているので、今の状況で定期接種分を超えて潤沢に備蓄まで持っていくというのは、その費用と、それから有効期限が1年間であるとかいろいろな理由があるので、中野先生が先ほどおっしゃったような、今はそんなにたくさん予備ができる状況ではないけれども、今後の作戦としてターゲットをどこに置くかによっても随分違ってくるので、その辺が難しい議論になるのですが、開発流通部会の中でも検討してくださいということです。

 ただ、例えば日本小児科学会の名前が先ほど出ましたけれども、日本小児科学会は少なくとも定期接種をとにかく優先に扱ってくださいというメッセージを出していまして、厚労省のほうもたしか通知文でそういったような内容を出しているので、今回の不足は本当に一瞬ばんと起きることなので、そこに余り過剰な反応をすると本当に足りなくなってしまうので、どこが大切だというのをいつもアナウンスしていかなくてはいけないと思います。

 今後の課題としては、畑参考人がおっしゃっていただいたような成人の場合であるとか、医療機関は随分できているのですけれども、なかなか企業で働いている人などへの働きかけが難しいというのは風疹で随分感じ取ったのですが、そういうところにも向けて呼びかけていく努力はしていかなくてはいけないだろうと思います。

 幾つか御指摘いただいたことは全く課題としてやっていかなくていけないことだと思います。ただ、今すぐの、きょうあすの解決ではないので、この委員会の分科会のほうでの幾つかの議論に持っていくというふうに思います。

 ほかにはよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、ちょうど時間にもなりましたので、きょうは報告事項ということで幾つかの報告をいただいたのですけれども、その意見と感想といったようなものもありましたので、その辺、事務局のほうでまたそしゃくをしていただければと思います。

 次の予定などについて、事務局のほうから何かアナウンスがありますか。

○大林室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。

○岡部部会長 正林さんがおいでになっているので、何かありますか。よろしいですか。

 それでは、きょうはこれで終了にしたいと思います。どうもありがとうございました。

(了)

議事録(PDF)

議事録 第10回予防接種・ワクチン分科会

資料(PDF)

議事次第・配付資料 第10回予防接種・ワクチン分科会
委員名簿 第10回予防接種・ワクチン分科会
資料1 各部会の審議状況について 第10回予防接種・ワクチン分科会
資料2 予防接種に関する間違いについて 第10回予防接種・ワクチン分科会
資料3 「ワクチン・血液製剤タスクフォース」顧問からの提言 第10回予防接種・ワクチン分科会
参考資料1 リーフレット「予防接種における間違いを防ぐために」 第10回予防接種・ワクチン分科会
参考資料2 予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCA整理表 第10回予防接種・ワクチン分科会
遵守事項資料等 第10回予防接種・ワクチン分科会

開催案内 第10回予防接種・ワクチン分科会