予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 第10回

議題

(1)定期接種での使用の是非について
  ・沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)の高齢者への使用
  ・4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)
  ・沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(ソークワクチン)混合ワクチン
(2)報告事項
(3)その他

開催日 2014-07-16
委員名簿

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会

【委員】
池田俊也   国際医療福祉大学 薬学部薬学科教授
○庵原俊昭  (独)国立病院機構三重病院長
◎岡部信彦  川崎市健康安全研究所長
小森 貴   公益社団法人日本医師会感染症危機管理対策担当常任理事
坂元 昇   全国衛生部長会副会長(川崎市健康福祉局医務監)
澁谷いづみ  愛知県一宮保健所長
多屋馨子   国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長
中野貴司   川崎医科大学附属川崎病院小児科部長
中山ひとみ  霞ヶ関総合法律事務所・弁護士
宮﨑千明   福岡市立心身障がい福祉センター長
◎:部会長 ○:部会長代理

【参考人】
菊地主税   ファイザー株式会社ワクチン・リサーチ部 部長
高橋英之   国立感染症研究所細菌第一部 主任研究員
(50音順・敬称略)

議事録(テキスト)

2014年7月16日 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録
健康局結核感染症課

○日時
平成26年7月16日(水)14:00~16:00

○場所
厚生労働省 省議室

○議事

○石田室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第10回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。

 本日は、御多忙のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。

また、傍聴者の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。

 続きまして、出欠状況について御報告いたします。

本日は、中野委員から御欠席の御連絡を受けております。また、岡部委員、中山委員から遅れて来られる旨の連絡を受けております。現在、委員10名のうち7名に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会の規定により本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 また、本日は、参考人としてファイザー株式会社ワクチン・リサーチ部部長菊地主税参考人に御出席をいただいております。また、国立感染症研究所細菌第一部主任研究員高橋英之参考人もお呼びしておりますが、遅れて来られる旨の連絡をいただいております。

 続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。

7月11日付で井上肇結核感染症課長、高城亮予防接種室長が着任しております。

 それでは、井上結核感染症課長より御挨拶申し上げます。

○井上結核感染症課長 先週金曜日、7月11日付で結核感染症課長に着任いたしました井上でございます。

 多くの委員の先生方、これまでの仕事の中でもお世話になっている先生方が多うございます。新たに結核感染症課長としての所管事項は、今週に入って判子を押し始めているところですが、この予防接種基本方針部会の先生方には非常にお世話になると承知しております。今後ともどうぞ御指導のほどお願い申し上げます。

 本部会は、これまで9回開催され、予防接種基本計画の策定、それから予防接種の多くの課題において御議論いただいているところでございます。

本日の主要議題といたしましては、6月、7月に新たに薬事法の承認が得られたワクチン3種類につきまして、定期の予防接種における取り扱いを御検討いただくということでございます。厚労省といたしましては、今後とも予防接種施策の推進に取り組んでまいります。活発な御議論のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○石田室長補佐 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1~9、参考資料1~2を御用意しております。

 また、髄膜炎菌ワクチンと4種混合ワクチンの添付文書につきましては、未公表資料ですので、委員のみの配付とさせていただいております。

配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

(カメラ退室)

○石田室長補佐 それでは、ここからの進行は岡部部会長にお願いいたします。

○岡部部会長 少し遅れましてどうも済みませんでした。

 それでは、本日の予防接種基本方針部会の議論を開始させていただきます。

 最初に、資料の御紹介が終わったので、審議参加に関する遵守事項をよろしくお願いします。

○石田室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。

 本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告をいただきました。

 委員及び参考人からの申告内容については、前回までは申告のあった委員及び参考人について事務局より読み上げておりましたが、今回からは配付することとしましたので、御確認いただければと思います。

 本日の審議事項は、1肺炎球菌感染症ワクチン(MSD株式会社及びファイザー株式会社)、2髄膜炎菌感染症ワクチン(サノフィ株式会社)、34種混合ワクチン(北里第一三共株式会社)を予定しております。

 なお、審議事項3の4種混合ワクチンの競合品目、競合企業として、4混ワクチンの一般財団法人阪大微生物病研究会のテトラビック皮下注シリンジ、一般財団法人化学及血清療法研究所のクアトロバック皮下注シリンジ、3混ワクチンの武田薬品工業株式会社の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンキット「タケダ」が選定されております。

 本日の出席委員の申告状況から、庵原委員はファイザー株式会社より講演料として50万円超500万円以下の受け取りがありますので、議題(1)の1沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの高齢者への使用の審議には参加いただけますが、議決に加わることはできません。

 また、薬事承認に係る申請資料に関与された委員はおりませんが、菊地参考人が肺炎球菌ワクチンの申請資料に関与されておりますので、この取り扱いについてお諮りいたします。

 なお、このほか「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員、参考人はおりません。

 以上でございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 今、事務局から御説明がありましたけれども、菊地参考人は当然ながらメーカーの方なので、こちらからお呼びしているという事情があります。ただ、本日の趣旨は、ワクチンに関して純粋に科学的にどういうデータがあるかということなどに対する提示をしていただき、そのやりとりということで、退席していただくと何にもなりませんので、御発言をいただきたいのですが、そこのところは菊地さん個人のほうにもお話をしていますので、留意していただいた上で御意見をいただきたいとしたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 それでは、よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○宮崎委員 私はクアトロバックの申請書に名前がありますが、よろしかったですか。

○岡部部会長 本日の紙に書いてあるのではないですか。

○宮崎委員 書いてあります。ちゃんと申告をしていますので。

○岡部部会長 では、宮崎委員は審議に参加できるあるいはできない範囲ですか。

○石田室長補佐 その部分は、申しわけございません。意見を述べていただくということでよろしいのではないでしょうか。

○岡部部会長 審議に参加することはできるけれどもというところですね。

○石田室長補佐 はい。

○岡部部会長 審議に参加することはできるけれども、議決に参加できないという形ですね。それでよろしいですか。結構ですか。

 そのほかに何か確認しておくことがあるでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局、そのほか、この参加について加えることがあったらどうぞお願いします。

○石田室長補佐 1点報告事項がございます。4月25日に副反応検討部会において参加規程に沿った対応が行われていなかったことを記者発表しておりますが、当部会においても昨年度の寄附金、契約金等の受け取り状況について全委員に改めて確認したところ、各委員から次のとおり申告の訂正がありましたので、御報告いたします。

 庵原委員から第3回会議において、ファイザー株式会社より講演料として50万円以下の受け取りがある旨の申告がありましたが、実際は50万円超500万円以下の受け取りであった旨の訂正の申告がございました。

 多屋委員から第3回会議及び第7回会議において、MSD株式会社より講演料として50万円以下の受け取りがあった旨の申告がありましたが、実際は受け取りなしである旨の訂正の申告がございました。

 中野委員から第2回会議及び第3回会議において、北里第一三共ワクチン株式会社より講演料として50万円超500万円以下の受け取りがある旨の申告がありましたが、実際は受け取りなしである旨の訂正の申告がございました。

 また、委員から事前に申告をいただいておりましたが、事務局が審議の際に報告を行っていない事案がありましたので、あわせて御報告いたします。

第3回会議において庵原委員から、北里第一三共ワクチン株式会社及びファイザー株式会社から50万円以下の講演料の受け取りがあった旨の申告がありましたが、事務局が会議において報告していませんでした。

第3回会議において岡部委員から、MSD株式会社から50万円以下の講演料の受け取りがあった旨の申告がありましたが、事務局が会議に報告していませんでした。

第7回会議において岡部委員から、一般財団法人化学及血清療法研究所及びMSD株式会社から50万円以下の講演料等の受け取りがあった旨の申告がありましたが、事務局が会議に報告していませんでした。

なお、庵原委員は第3回会議に欠席でしたが、議題に対する意見書の提出がありましたので、申告対象としていることを補足させていただきます。

ただいま修正報告しました内容につきましては、審議参加規程に照らし各回における各委員の審議への参加資格や議決権に影響を及ぼすものではないことを確認しましたので、あわせて御報告いたします。

今後、事務局ではこのような事案が発生したことを重く受けとめ、とりわけ事務手続については複数の職員による重層的な確認を徹底するなど再発防止に努めてまいります。各委員におかれましても、講演料等の受け取りについて通帳や源泉徴収票などの書類で御確認いただくことにより正しい内容を申告いただきますようよろしくお願いいたします。

事務局の報告は以上でございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

今の報告について何か御意見はありますでしょうか。

○岡部部会長 ほかになければ、それでは本日の議題に入りたいと思います。本日の議題では、13価肺炎球菌結合型ワクチン、4価髄膜炎菌ワクチン、DPT-IPV、不活化の新しいものというような形、これを定期接種で使うことの是非についての検討になります。

 3種類ありますので、1つずつということですけれども、一番最初が沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの高齢者への適応ということです。多くの方は御存じだと思いますけれども、肺炎球菌13価型は既に小児用としての使用は定期接種ワクチンとして導入されております。したがって、年齢幅が異なって高齢者への適応ということでメーカーの方が申請されて、薬事法上の承認がおりたということです。10月からは高齢者への肺炎球菌ワクチンが予定されているので、今後、新たに承認された高齢者に対する13価ワクチンをどういうふうにするかということがこの委員会での検討事項です。データその他について、今までの治験というようなことについて御説明をいただくことになったので、これを菊地参考人にお願いすることになりました。

 それでは、菊地参考人、どうぞよろしくお願いいたします。

○菊地参考人 それでは、よろしくお願いいたします。

 早速、13価肺炎球菌結合型ワクチンの成人に関する臨床試験データの概要説明をさせていただきます。参考人として参りましたファイザー株式会社の菊地と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、説明させていただく内容は3点でございます。

 まず初めに、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)について簡単に説明させていただき、次に、今回高齢者に対して肺炎球菌感染症の予防の適応症が承認される際に根拠となりました国内第3相臨床試験結果の概要及び免疫記憶の確立に関する外国臨床試験のデータの一部を説明させていただきます。

 それでは、スライド3をごらんください。本年6月20日に65歳以上の高齢者に対してワクチン血清型に対する肺炎球菌感染症の予防の適応症が承認されました。投与経路は筋肉内注射でございます。諸外国の状況でありますが、50歳以上の成人に対して本年6月現在106の国と地域で承認されております。

 スライド4をごらんください。既に先生方御存じのこととは思いますが、一般的な結合型ワクチンの特徴を少し御説明させていただきます。

 上段に示します多糖体ワクチンの成分である莢膜多糖体は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌の莢膜の構成成分でありまして、そのものだけではT細胞非依存型の抗原であると考えられております。多糖体はB細胞を介した免疫応答を開始しますが、T細胞を活性化しないためT細胞の抗原提示は行わず、一般的な免疫獲得の機序でありますT細胞依存型の免疫応答を誘導しないということが考えられております。従いまして、結合型と違いまして、量的、機能的に低く、免疫記憶は確立しないと考えられております。

 一方、多糖体にキャリアタンパクを結合させた結合型ワクチンでは、図の下段にありますように、B細胞の活性化に加え、T細胞依存型の免疫応答を誘導し、量的、質的に高い抗体を産生させるとともに、メモリーB細胞を誘導し免疫記憶を確立して、次回抗原曝露時の免疫応答に備えることができると考えられております。

 それでは、国内第3相臨床試験(1088試験)の結果の概要を説明させていただきます。

 スライド6をごらんください。試験の目的です。免疫原性に関します主要目的は、ワクチン接種後1カ月時の血清型特異的オプソニン化貪食活性抗体価(OPA抗体価)を指標としまして、12共通血清型についてPCV13の23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPV23)に対する非劣性を示すことです。

 また、PPV23に含まれていない血清型6Aに対しましては、ワクチン接種後1カ月時の血清型6Aに対するOPA抗体価が、PPV23と比べ、PCV13で4倍以上上昇した被験者の割合が統計学的に有意に高いことを示すことです。

 安全性に関する目的としましては、局所反応、全身反応及びその他の有害事象の発現率を指標としたPCV13の安全性プロファイルを評価することとしました。

 スライド7をごらんください。試験の概要でございます。試験デザインは、並行群間、無作為割りつけ、実薬対照、modified二重盲検、多施設共同試験で実施をいたしました。

65歳以上の肺炎球菌ワクチン未接種の日本人高齢者764名を無作為に2群に割りつけ、免疫原性と安全性を評価いたしました。

スライド8に免疫原性の結果をお示しいたします。グラフは、縦軸が血清型、横軸がOPA GMT比を示しております。灰色の丸は12共通血清型ごとのPCV13とPPV23のOPA GMT比を示し、線は95%信頼区間を示しております。

 また、右の表はOPA GMTの点推定値を示しております。

 結果としまして、PCV13、PPV23の両群で免疫応答が見られ、OPA GMTの点推定値ではほとんどの血清型でPCV13群が高い結果となりました。また、非劣性基準を0.5とした場合、PPV23に対するPCV13のワクチン接種後1カ月時のOPA抗体価の非劣性は全ての12共通血清型で示されました。

 スライド9に移りますが、もう一つの主要目的の結果を示しております。つまり、血清型6Aに対しますワクチン接種後1カ月時のOPA抗体価が4倍以上上昇した被験者の割合でございますが、PPV23に対しましてPCV13で統計学的に有意に高い結果となりました。

 スライド10でございますが、安全性に関する結果のうち、ワクチン接種後14日間に被験者より収集した局所反応の結果を示しております。縦軸は被験者の割合、横軸は局所反応の事象及び重症度を示しております。また、赤はPCV13、青はPPV23を示しております。

 各局所反応を見た場合は、発赤及び腫脹はPPV23と比較してPCV13でp値が0.001または0.05を下回り、統計学的に有意に高い結果となりましたが、ほとんどが軽度から中等度であり、忍容性に問題はないと考えられました。

 スライド11でございますが、ワクチン接種後14日間に被験者より収集された全身反応の結果でございます。縦軸は被験者の割合、横軸は各全身反応の事象を示しており、赤はPCV13、青はPPV23を示しております。

 両群で多く報告されました事象は、新規の全身性筋肉痛、頭痛及び疲労でありました。また、発疹につきましては、PPV23と比較してPCV13で有意に高い結果となりました。

 スライド12に、1088試験の結果のまとめをお示ししております。

 免疫原性につきましては、主要目的を達成し、全ての12共通血清型においてPPV23に対するPCV13の非劣性、血清型6Aにつきましては、統計学的に有意に高い免疫原性が示されました。

 また、安全性につきましては、局所全身反応以外のその他の有害事象の発現率は同程度でありまして、因果関係を否定できない重篤な有害事象、中止、死亡例はありませんでした。また、これらの結果及び局所全身反応の結果に基づき、日本人高齢者に対してPCV13の1回接種の忍容性は良好であり、安全性プロファイルは許容可能であると考えられました。

 次に、免疫記憶の確立に関します外国臨床試験データ004 Extensionの結果の一部をお示しいたします。

 スライド14でございますが、004 Extension試験は、60~64歳の肺炎球菌ワクチン未接種者を対象といたしまして実施した先行試験(004試験)においてPCV13またはPPV23の1回目接種を受けた被験者に対して、3~4年後にPCV13またはPPV23の2回目接種を行った試験でございます。

 本試験ではさまざまな比較検討を行っておりますが、本日は時間の関係で、1回目にPCV13を接種後2回目にPPV23を接種したオレンジの群と、1回目、2回目ともにPPV23を接種した灰色の群を比較した結果のみを次にお示しいたします。

 スライド15でございますが、ワクチン2回目の接種前後における血清型別OPA抗体価を示しております。縦軸はOPA GMT、横軸は各血清型を示しております。赤丸は、1回目PCV13、2回目PPV23を接種した群、灰色の丸は、1回目、2回目ともにPPV23を接種した群を示しております。

 2回目接種前のOPA抗体価は、1回目にPCV13を接種した群において血清型7F、9V、6Aで高い傾向を示しましたが、それ以外の血清型で同程度でありました。また、両群とも接種前に比べ、2回目接種後でOPA抗体価の上昇が認められました。

 スライド16でございますが、縦軸が血清型、横軸がOPA GMT比を示しております。赤丸は、血清型ごとのPCV13/PPV23群と、1回目、2回目ともにPPV23を投与した群のOPA GMT比を示しておりまして、線は95%信頼区間を示しております。また、右の表はOPA GMTの点推定値を示しております。

 結果といたしまして、全ての12共通血清型及び6Aにつきまして、PPV23/PPV23群と比較してPCV13/PPV23群において2回目接種後のOPA GMT比は統計学的に有意に高くなりました。

 スライド17でございますが、004 Extensionにおける本群間比較の結果のまとめでございます。PCV13接種後3~4年後にPPV23を接種したときのOPA抗体価は、PPV23接種3~4年後にPCV23を接種した群と比べ、全ての12共通血清型及び血清型6Aで統計学的に有意に高くなりました。

 従いまして、PCV13を先に接種した場合、続いて接種するPPV23に対する免疫応答は増大されることが示され、免疫記憶を指示するものと考えられました。

 最後に、スライド18でございますが、まとめです。

 国内外の臨床試験結果より、日本人65歳以上の成人に対してPCV13の良好な免疫原性及び安全性プロファイルが確認できました。

 また、PCV13は、免疫記憶を確立し、それに続いて接種される肺炎球菌ワクチンまたは肺炎球菌の自然曝露に対する免疫応答を増大させることが示唆されました。

 以上でございます。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 質問があろうかと思うのですけれども、もう一つ資料を事務局で用意していただいているので、資料2になると思いますが、事務局がまとめたものを先にということで、氏家補佐からでしょうか。よろしくお願いします。

○氏家課長補佐 よろしくお願いいたします。

 資料2をお手元に御用意ください。

 まず、最後のページからご覧になっていただきたいと思いますが、今回審議いただいている、新たに承認が得られたワクチンの位置づけについて簡単に御説明させていただきます。

 今年の3月に「予防接種に関する基本的な計画」が告示されたところですが、その項目の中で「科学的根拠に基づく予防接種に関する施策の推進」という項目がございます。この項目の中では「国は、予防接種施策の推進の科学的根拠として、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータについて可能な限り収集を行い、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、予防接種施策に関する評価及び検討を行う」と規定されております。

 今般承認が得られ、本日審議いただく3ワクチンにつきましては、3ポツ目の薬事法上の製造販売承認は得ているが、定期の予防接種に位置づけられていないワクチンに当たる製剤になります。これらの製剤を定期の予防接種に位置づけることについての評価及び検討を本審議会での意見をお伺いして実施するというものでございます。

 2ページ目に戻っていただけますでしょうか。今回薬事法上の承認を得られた肺炎球菌結合型ワクチンですが、国内外の状況についてその変遷をまとめた表がございます。海外での動向を見ますと、平成12年に7価のプレベナーという製剤が海外で販売承認を取得しましたが、日本では7価の製剤の承認が平成21年、その後平成22年に公費での予防接種が開始されております。

 今回審議いただく13価のプレベナー13という製剤につきましては、平成25年、昨年11月1日に小児に対して定期接種が位置づけられたところでございます。高齢者に対する接種適応に関しますと、平成23年に海外で接種適応が拡大されまして、今般日本でも平成26年6月20日に65歳以上の方を対象に接種することが適応として拡大されたところでございます。これまでの小児の議論としては海外から10年程度の期間を経て定期接種化されたところですが、今回議論いただく高齢者での接種については、海外での承認からの経過がまだ3年程度というような現状に違いがございます。

 3ページ目をご覧ください。先ほど参考人のほうからも製剤の説明があったところですが、日本において高齢者に使用できるワクチンは2製剤ございます。1つがニューモバックスNPという商品名でございまして、種類として多糖体ワクチン、先ほどPPV23と発言があったものでございます。今回承認が得られたのはプレベナー13という商品名の製剤でございまして、ワクチンの種類としては結合型ワクチン、先程の発表ではPCV13と略称されております。

 製造販売会社はそれぞれ、MSD、ファイザー株式会社でございまして、ワクチンの中に含有する莢膜型としてはニューモバックスNPが23種類、プレベナー13が13種類となっています。

 接種年齢、価格につきましては、ここに記載があるとおりでございます。ニューモバックスNPにつきましては、既に今年の10月から、65歳の者、60歳以上65歳未満のハイリスク者に対してB類疾病として定期接種を実施する際に使用する製剤ということに位置づけられております。

 次に、4ページ目をご覧ください。現在の成人、高齢者における侵襲性肺炎球菌感染症の疫学情報でございますが、昨年度の4月1日から感染症法上、肺炎球菌のうち侵襲性肺炎球菌感染症を全数把握疾患として医師の届け出義務を設けて発生状況を把握しているところでございます。その報告が感染研のIASRという月報の病原微生物検出情報でございましたので、御紹介させていただきます。昨年度1年間で届け出のあった侵襲性肺炎球菌感染症につきましては、1,481例ございまして、今回、65歳以上に関しては751例、罹患率に直すと2.43人/10万人年という状況でございます。

 5ページ目をご覧ください。小児に関しての肺炎球菌感染症の疫学情報の推移を御説明させていただきますが、先ほど申し上げましたように、2010年10月から肺炎球菌7価のプレベナーが公費で接種開始されました。それ以降、2010年、2011年、2012年と青い棒グラフの内訳を見ていただきますと、全体の肺炎球菌感染症のうち79%を占めていたものがワクチンの公費負担が開始されたことなどを理由に全体における割合が減ってきているという状況でございまして、79%が26%まで低下しています。具体的にはワクチンで予防される者が増えたことで、全体の数が減少すると同時に、予防できる血清型の割合も相対として減ってきているという状況がございます。

 6ページ目をご覧ください。最新の情報で、平成25年度に分離された侵襲性肺炎球菌感染症患者の血清型の分布について示したものでございます。別の研究結果であるため直接の比較はできませんが、参考としてPCV7で予防できるものは2010年には79%あったものが全体で16.7%まで減少している現状がございます。昨年11月から13価の肺炎球菌が接種開始されておりまして、昨年度の時点では全体の48%を占めるという現状がございます。同様にこのカバー率というのは今後また変化が見られてくるものと思われます。

 7ページ目をご覧ください。今回御議論をいただく主要先進諸国における成人に対するプレベナー13の推奨状況について先月時点で当課が調べた内容のまとめでございます。先進諸国を見ていただきますと、日本で行っている定期接種と同様の推奨内容が上段の健康な高齢者に対する推奨でございますが、健康な高齢者を対象とした国としての推奨を実施している国というのはまだ多くないという現状がございます。

 最後のページになりますが、疫学情報等をまとめたものでございます。沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンの高齢者における臨床での予防効果というものは、接種によって抗体が上がるということはわかっているわけですが、まだまだ新しいワクチンということもあって臨床的な予防効果については確立していない部分があるというのが現状でございます。

また、近年、ワクチンで予防可能な肺炎球菌血清型が変化してくるということがわかっております。

こういった背景を踏まえて、今後の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを定期接種で高齢者に接種することについては下記のように考えてはいかがかということで2つ提案がございます。

 1つ目として、定期接種で使用することの是非についての検討を今後行うこととしてはいかがか。

 もう1つとしましては、予防接種に関する基本的な計画に基づき、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータについての収集を行い、評価及び検討を行うこととしてはいかがかという提案でございます。

 事務局からは以上です。

○岡部部会長 どうもありがとうございました。

 最後の事務局から提案されていることは、バラバラなことを検討するのではなくて、検討した結果について定期ワクチンとして導入するのが妥当かどうかということではないかと思うので、それでいいですね。

○氏家課長補佐 ここで審議いただく内容としましては、さらなるデータの収集を行って、そういったプロセスを経て定期接種への導入を検討することの是非について審議いただきたいと考えております。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の先生方から事務局あるいはファイザーの方への追加の質問あるいはコメントなどがありましたら、お願いします。

どうぞ、坂元委員

○坂元委員 衛生部長会の坂元でございます。

 過日、6月の終わりごろ、厚生労働省から自治体のほうに、10月1日から定期化されるニューモバックスと今回製造承認がとれたプレベナーの取り扱いに関して事務連絡が参りました。それを見ると、一旦ニューモバックスを受けた人は次に定期ではニューモバックスは打てないという縛りと、プレベナーに関してはプレベナーを受けても定期でニューモバックスは受けられますという内容の事務連絡だったと思います。

この点に関して、プレベナーが成人用に承認された云々という情報自体も自治体に一般的に広まっていない段階で、10月1日からニューモバックスが定期化されたときに、自治体としての懸念は、ニューモバックスの接種は5年置きなので、その期間内にいろんな事情で早く打ちたいという問い合わせが必ず来ると思うのです。その際に、プレベナーであればニューモバックスの前に打ってしまっても、例えば直近の5歳刻みの年齢が来たらニューモバックスも定期で使えますという内容の案内を、今後、10月1日以降に例えばQ&Aに出して、自治体の間で混乱が起きないように周知されるのかということです。

なぜかというと、ニューモバックスとプレベナーというのは同じ成人用の肺炎球菌という適応症を持っていて、片一方が定期化で認められて、片一方が製造承認はとれているけれども、適応化でないという経験は、自治体側にとっても今までない経験なので、その辺、混乱が起きないように先般の事務連絡をできればQ&Aの形で生かしていただきたいというお願いでございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

これは事務局のほうから何か、どうぞ、氏家補佐。

○氏家課長補佐 坂元委員から御指摘いただきました事務連絡について背景等を御説明させていただきますと、プレベナーが先月20日に高齢者の適応承認を拡大したことを受けて、実際に10月から予定されている高齢者の成人用肺炎球菌ワクチンに使用できるワクチンに含まれるのかということが現場で混乱しているという情報を得まして、これまでの審議状況に基づく現在の規定について整理をさせていただいたところでございます。

 実際にニューモバックスとプレベナー13の両ワクチンを、健康な方へどのように接種することが医学的に推奨されるかどうかにつきましては、今後の議論が必要になってくることかと思います。また、両ワクチンを接種する際の具体的な接種間隔、接種する順番等についても、事務局でも質問等を受けることがありますので、こういったことについては学会等の関係者によく相談の上、それらの整理や情報提供について検討していきたいと考えております。

 御指摘のように、Q&Aでの一般の国民の方に対する情報提供につきましても、本日、改正省令が公布されましたので、そういったことを受けてできるだけ早く情報提供できるように準備をしていきたいと考えております。

○岡部部会長 坂元委員、よろしいでしょうか。

○坂元委員 はい。

○岡部部会長 ちょっと複雑な部分があるので、できるだけわかりやすく、なおかつ専門家の人たちには理屈が通るようにというところでよろしくお願いいたします。

 我々もそれに協力して、わかりやすいような説明をどうしたらいいかというサジェスチョンをしていかないといけないと思います。

 そのほかに御質問あるいはコメントがありましたら、どうぞよろしくお願いします。

 どうぞ、池田委員。

○池田委員 池田でございます。

先ほど事務局から御説明いただいた資料2で聞き逃したかもしれないので教えていただきたいのは、5ページで示された2010年、2011年、2012年の肺炎球菌の血清型については小児ということであったと思うのですが、6ページに関しても同様に小児のものということでしょうか。それとも成人も含まれているのでしょうか。

○氏家課長補佐 お答えいたします。6ページでサーベイランス体制について簡単に御説明させていただいたところですが、昨年度より感染症法に基づく侵襲性肺炎球菌感染症というものが全数把握疾患となりまして、全ての年齢で感染状況について把握できる体制というものが整っております。それ以前というところに関しましては、実際に侵襲性肺炎球菌感染症としての届け出がなかったものでございますから、研究班を通じて小児でのデータというものをお示ししたものでございます。6ページ目に関しての基本は全ての年齢に届出を基礎に行っていますが、この血清型の評価自体は、届け出のあった症例全数で血清型まで全て調べられているというものではございません。届出症例の一部について、成人を中心に研究班でさらなる詳しいデータとして血清型を調査した研究結果になっております。研究結果としては、研究班の性質から成人のデータが中心となった血清型のカバー率になっております。

○岡部部会長 これはIASRから出ているので、多屋先生、何か補足ありますか。

○多屋委員 6ページのグラフということでよろしいのでしょうか。

○岡部部会長 そうですね。

○多屋委員 6ページのグラフは、恐らく年齢に関係なく侵襲性肺炎球菌感染症患者さんから集められた菌の血清型分布だと理解をしております。○岡部部会長 ちょっと齟齬があるといけないのですけれども、氏家補佐が成人を中心にと言ったのは両方のことですか。それとも6ページも含めてですか。6ページだとすると私の理解も、これはサーベイランスで出ているので、年齢別ではなくて全部だと思います。

○氏家課長補佐 サーベイランスの中では血清型までの報告を求めておりませんので、お示しした血清型のカバー率のデータについては、その報告があった中から研究班でさらに詳しく血清型についてとれたものになっております。先ほど4ページで御説明したように、1年間で1,500近い報告があったわけでございますが、そのうち実際に血清型まで調べられた調査数は200弱ということで、全体の中での一部の血清型について調べたものでございます。全体届けについては、もちろん小児から高齢者まで報告があるところでございますが、血清型調査結果の内容は、研究班で調べたものでございますので、6ページ目にあるカバー率の多くは成人の報告について血清型を調べたものでございます。

○岡部部会長 どうぞ、庵原先生。

○庵原委員 説明と確認なのですけれども、少なくとも5ページのデータは私がしている研究班のデータで、さらに言うと2013年だと明らかに7価のカバー率が数%ぐらいに落ちて、さらに7価以外のところの約半数が19Aで、残り半数が19A以外というのが2013年のデータです。

6ページのデータは、大人の部分では大石先生の研究班が動いていますけれども、子供と大人のデータを合わせたデータですか。それとも大石先生のデータですか。そこの確認です。

○難波江課長補佐 これは大石先生が実施されている成人の肺炎の研究班のデータプラス流行予測調査のデータも入っているものです。IASRにどこのデータかという出典が書いてあります。

○岡部部会長 そうすると6ページは小児を除いてあるのですね。

○難波江課長補佐 完全に除かれているかというところまでは確認できていないのですが、成人IPD中心のデータだと理解しております。

○岡部部会長 データの詳細はともかくとして、カバー率が随分違っているということと、細かいところはIASRを見ていただいて、そこのデータの分析をしなくてはいけないと思うのですが、池田委員、御質問の趣旨はそれでよろしいですか。

○池田委員 専門的な知識がないものですから、小児と成人で原因菌が違うのかとか、このワクチンの効果がある程度ここから類推できるのかということで確認させていただきました。

○岡部部会長 どうぞ、宮崎委員。

○宮崎委員 まず、ファイザーの資料からですが、表紙に成人用13価肺炎球菌結合型ワクチンの臨床試験データとありますが、これは少し誤解を生じる可能性があって、成人用のワクチンができたわけではないので、沈降13価肺炎球菌連合型ワクチンの高齢者における臨床試験というふうにして公表されたらどうかと思います。まず、それが1点です。 

 もう一つは、適応なのですが、小児は肺炎球菌による侵襲性感染症の予防ということが適応になっていて、今回、高齢者では、ただ肺炎球菌による感染症の予防となっています。これは恐らく、ニューモバックスのほうがその辺が曖昧な書き方になっているので、非劣性を証明したからこうなったのかなと思わなくはないことが一つ。

もう一つは、高齢者以外の免疫不全といいますか、摘脾の方とかいろいろございます。そこは全く今回触れられていないと思うのですが、今後も含めて、高齢者だけをピックアップしてされていますが、その2点についてメーカーとしての考えを。

○菊地参考人 最後の御質問をもう一度よろしいでしょうか。

○宮崎委員 今回ニューモバックスとの非劣性を見てますが、ニューモバックスは適応が高齢者はその一部であって、ほかの免疫不全がいろいろある中の一つ、もう一つはさっき言った侵襲性かどうかというところがちょっと曖昧で、有効性の問題がどうかということです。

○菊地参考人 わかりました。まず最初に、先生御指摘されました表紙の部分でございますが、製剤そのものは小児と成人は同じものでございますので、沈降13価の肺炎球菌ワクチンということで、今回は高齢者の適応追加という趣旨でございます。

高齢者の部分に関しまして、既存の承認されております23価の多糖体ワクチンとの適応症の話でございますが、臨床開発の段階で臨床試験をどういうふうに計画していくかというところで、医薬品機構の方ともいろいろ御相談させていただきまして、既存の23価との非劣性をOPA抗体価できちっと示していくことで承認可能であるということで、そういった形で臨床試験を組みましたので、ニューモバックスの高齢者の65歳というところと同じような適応症で今回申請をして承認されております。

 最後の御質問の高齢者以外のハイリスク患者の部分につきましてですけれども、現時点で明確な開発予定というのは社内で計画はございませんが、今後その辺についてどういうふうにしていくかということは検討課題であると認識しております。

○岡部部会長 どうぞ、宮崎委員。

○宮崎委員 再確認ですが、ニューモバックスは、肺炎球菌による重篤疾患に罹患する可能性が高い者と書いてあるのですが、プレベナーは、ただ肺炎球菌による感染症となっているところが、読み方として、侵襲性肺炎球菌感染症以外の一般の肺炎球菌感染についての予防が適応とれているかどうかという確認をもう一回したいのです。

○菊地参考人 ニューモバックスの適応症でございます肺炎球菌による感染症の予防としまして、第3項目としまして高齢者というものが対象でございますが、要は高齢であるということが肺炎球菌の感染のリスクと認識しておりますので、こういった適応症で。

○宮崎委員 ということではなくて、今日配付されている添付文書を読みますと、その前段の効能・効果のところで、2歳以上で肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険が高い次のような人というのがニューモバックスの適応になっているわけですね。プレベナーは、高齢者と書いてあって、肺炎球菌による感染症の予防というふうにして、重篤とか侵襲性という言葉がないのですが、これは侵襲性感染症以外の一般の肺炎球菌感染症に適応がとれているかどうかという確認です。

○菊地参考人 そういう認識でございます。

○宮崎委員 これは国的にいえばどうなのですか。

○岡部部会長 では、事務局からお願いします。

○難波江課長補佐 ニューモバックスの添付文書につきましても、投与対象は「2歳以上で肺炎球菌による重篤疾患に罹患する危険が高い次のような個人及び患者」として「肺炎球菌による感染症の予防」と書いていますので、こちらも肺炎球菌による感染症の予防という形で適応になっているかと思います。

○宮崎委員 そういうことで今回も特定されなかったというふうに理解してよろしいですね。

○岡部部会長 ただ、プレベナーの場合、今、議論になっている13の場合は、若年層の使用というのは適応になっていないのですね。

○菊地参考人 若年層といいますと。

○岡部部会長 小児というか、成人であったり。

○菊地参考人 間の部分。

○岡部部会長 間の部分が抜けているのですね。

○菊地参考人 間の部分は抜けております。

○岡部部会長 そこも確認だと思いますが、間というのは、小さい子供たちに対する肺炎球菌予防の13価、これは承認がとれて定期になっていて、今度65歳以上が承認になっているので、この真ん中というのは承認事項にはなっていない。

それから、従来使われている23価は高齢者が中心だけれども、例えば脾臓を摘出した子供さんたちなどについては適応になっている、そこの差があるということですね。これはそちらに問い合わせるのではなくて、そういうことがあるので、考える上には注意が要りますけれども、今回の定期接種にするかしないかについて妥当かどうかというところからはちょっと議論が外れるということなります。しかし、それも全部ひっくるめて、今回承認された13価についてデータ上あるいは治験の方法その他について何か御質問がありましたら、どうぞお願いします。

庵原先生、お願いします。

○庵原委員 メーカーにお聞きしたいのですけれども、2点あります。

1点目は、諸外国は既にPCV13は小児に広く使われるようになって、その結果、高齢者のPCV13のカバー率はどのような動きをしているかということです。といいますのは、実際、PCV7を使うことによって、高齢者の7価にカバーされている肺炎球菌の血清型の保有率が日本でもぐっと落ちているのです。これと同じようなことが、要するにPCV13を使うことによって諸外国で実際起こっているのかどうかということが1点目です。

 2点目は、PCV13を打った後に自然感染にかかった場合に二次免疫応答が起こっているというような臨床的なデータをお持ちかどうかということです。

○菊地参考人 1点目の御質問に対しますお答えですけれども、カバー率というのは外国でも同様に下がっていると考えております。

○庵原委員 どのくらいの比率に今なっていますか。特にフィンランドとか、要するにPCV13を積極的に使っている国での落ちぐあいはどういうものですか。といいますのは、本邦の子供のPCV13の接種率は確か98%ぐらいだと思います。そうするとPCV13のカバー率ががくっと落ちてきているはずなのですけれども、高齢者におけるカバー率がどう動くかとか、諸外国でも特に接種率が高い国での動きがわかればという、そこのことです。

○菊地参考人 地域差はあるということでございますが、10%から20%のカバー率ということは傾向としては見られております。今日詳しいデータを持ち合わせておりませんので。

○庵原委員 わかりました。要するに子供の13価のカバー率がどのくらいで、65歳以上の13価のカバー率がどれだけになっているか。同時に23価のカバー率もそうなのですけれども、子供に積極的に打つことによって23価のカバー率が落ちてきていることと13価が落ちてきていることは確かなのです。それがどれだけ落ちているか。逆に言いますと、それがたくさん落ちれば落ちるほど、高齢者に23価、13価をやる必要がどこにあるのか、こういう議論がまた出てくる危険性があります。さらに、池田先生に医療経済効果をお頼みしますといったときに、カバー率をいくらで設定して医療経済効果を出してくるのだという話になりますので、諸外国の高齢者におけるPCV13、PPV23の動きというのをはっきりと押さえておかないと議論が進まないと思うのですけれども、それが私のコメントです。

○岡部部会長 ありがとうございます。

進まないというよりも非常に流動的で、日本の場合も13価が薬事法上の承認を得て市場に導入されたところですし、23価がこれから定期接種として導入されるというところですけれども、肺炎球菌のサーベイランスをできるだけ早く導入してということがあったのですが、血清型も含めてきちんと見て、その状況をモニタリングして評価する必要があるだろうと思うのです。

 それから、将来的に、これは何年先の将来かはわかりませんけれども、現在のワクチンがそのまま使われるかどうかということにも変化が出てくる可能性があるし、また一方では違った形の肺炎球菌ワクチンが世の中に出てくる可能性もあるというようなところではないかと思います。

幾つかの質問点もあったり、あるいはデータで今御説明できなかった部分については、手元になければメーカーの立場としてはうっかりも言えないでしょうから、後で結構ですのできちんとしたデータを庵原先生なり委員に見せていただくということにしておきたいと思います。

 基本的なところでは、通知もたしかすでに国から出ていると思うのですけれども、10月からの使用開始に当たっては23価でスタートするわけですが、予防接種の基本方針にも予防接種で防げるような病気であるならばできるだけそれを防ぎたいという方向で議論するというのが大前提にあって、そのためには科学的検証を行っていかなければいけないというのが2番目にあるわけです。

さらに、現在、定期の予防接種に位置づけていないワクチンについても同じようにこれが定期接種として妥当かどうかということを分科会等々で行うということで、今日はそのスタートなわけですが、ここは事務局が提案されたように、今までのやり方を踏襲して、ファクトシートをちゃんとつくって、ファクトシートをつくる側はこの前も大変な思いだったというのは、私もつくる側にいたのでよくわかります。大変な思いをさせて申しわけないのですけれども、そこはきちんとした科学的な検証に基づいてということになるので、名前としてはワーキンググループになるのでしょうか、そこで検討していただくという事務局の提案について、これはよろしいでしょうか。従って、今日すぐにこれが定期接種云々という結論ではなくて、これについてデータを得た上で次回、次々回か、そこはデータを見ながらということになりますけれども、検討していくということでよろしいでしょうか。

 どうぞ、多屋先生。

○多屋委員 ファクトシートは感染研でつくると聞いております。別の質問なのですけれども、定期接種に導入することになった場合に、65歳以上はもちろん、60代前半の既存疾患をお持ちの方も定期接種として認められていたと思います。そうなった場合、現在のプレベナー13ですと60代前半の方は対象ではない、そこは受けられないという理解でよろしいのでしょうかというのが1つ目です。

 それから、PCV13を接種して3~4年後に23価を接種する、あるいは13価を接種するという検討がなされているのですけれども、3~4年という期間は、いろいろやってみて3~4年が一番よかったから3~4年が出されているのか。ほかはわからないけれども、この3~4年だけなのか。最初PCV13を接種しておいて後でPPV23を接種するとOPAの平均抗体価が非常に高いというデータをお出しになられているので、間隔はこれがベストだったからなのかというのが2つ目です。

 3つ目は、発疹という副反応があったのですけれども、高齢者の方で発疹という副反応は今まで余り聞いたことがなかったものですから、この8%の方の発疹というのはどのような発疹が出るのかということです。

この3つについて教えていただきたいと思います。

 それから、これは事務局の方にお伺いするのがいいと思うのですが、先ほど坂元先生のお話では、5年ごとの接種はオーケーというようなことをおっしゃられましたか。

○坂元委員 ニューモバックスは一旦やってしまったら二度とだめというのが今の仕切りなのですけれども、プレベナーをやってもその後ニューモバックスは定期接種の該当期間なら接種しても構わないという事務連絡が各自治体に来たという趣旨なのです。

○多屋委員 わかりました。ニューモバックスを例えば5年とか10年前に任意で接種されていたとしても今はできないという事務連絡が届いたということですね。

○坂元委員 ただ、プレベナーは定期のニューモバックの前に打っていても構わないということです。

○岡部部会長 それは定期接種としてやってはいけないという意味ですね。

○坂元委員 そうです。我々自治体の理解は、ニューモバックスに関しては以前1回でも受けてしまったら定期としては接種を認めませんということなのですけれども、プレベナーはその前に打ってもニューモバックスとはインディペンデントだという考え方にもとづく通知だと思います。

○多屋委員 最後、つけ加えなのですけれども、先ほど難波江補佐からお話のあった流行予測調査なのですけれども、今年は去年よりも都道府県の数がふえて、多くの都道府県で調査をしてくださっていますが、先ほどのグラフは一つの自治体の結果で、今年、もう少し多くの自治体のご協力が得られると思います。流行予測は年齢制限なく全ての年齢層からになっています。

 以上です。

○岡部部会長 それでは、多屋先生の質問については答えがありますか。手短にお願いいたします。

○菊地参考人 1点目の御質問の、今回、プレベナーで65歳未満のリスク患者の方に対しては承認されていないけれども、これが定期化になるかというところにつきましては、私が答えるのは。

○岡部部会長 承認事項の中に入っていないのですね。

○菊地参考人 そうですね。承認事項に入っていないということは事実でございます。

 あと、3~4年の期間を今回あけた004 Extension試験というデータを御紹介しましたが、そのほかにも外国臨床データではございますが、1年間隔で投与したものがございまして、それでは十分に2回目の抗体価が上がらなかったというようなデータも得られております。上がっているものもあるのですが、いろいろ組み合わせによっては十分に上がっていないというものもございますので、もう少し間隔をあけて3~4年でやったら、きちっとそういう免疫記憶を確認できるようなデータになった。現在、5年あけて再投与しているような試験も海外では進行中でございまして、それが出ればまたいろいろデータの分析ができるかと思いますが、どのくらいの期間をあけたらいいのかというところに関してはまだ確立できていないと考えております。

○岡部部会長 今のところ承認として出ているのは単回投与ですね。

○菊地参考人 そうです。再接種を否定するものではないと思います。

○多屋委員 あともう一つ、発疹は。

○菊地参考人 発疹につきましては、今回、23価1回群と差がつきましたけれども、ほかの海外データを見てみますと差がついていない同程度のものもございますので、今回たまたまそこはついたのかなと。

○多屋委員 済みません。差がついたということではなくて、どんな発疹が8%の方に認められたのかという質問です。

○菊地参考人 こちらは患者の日誌から報告を得てやっておりますので、実際どのようなものであったかというところは確認ができていないという状況でございます。

○岡部部会長 そこは後で、もしわかるようだったならば教えていただくということで。

どうぞ、氏家補佐。

○氏家課長補佐 御質問の1点目については事務局から御説明させていただくのがよろしいかと思います。今回の審議内容につきましては、定期接種で使用することの是非について検討を行うということでございますが、仮に定期接種するべしということの結論を得た場合においても、対象年齢については基本的な計画に記載がありますように、薬事法上の製造販売承認を得ていることがまず議論の前提でございますので、現段階において65歳未満に薬事法上の承認がありませんので、65歳未満を対象とした定期接種の検討は行われないものと考えております。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 では、最後の質問にしましょうか。どうぞ、坂元先生。

○坂元委員 先ほど厚生労働省からの資料2の主要先進国における成人に対するプレベナー13の推奨の有無ということで、ハイリスク者に対する推奨有無というふうに書かれているのですが、今後、日本でも定期接種化されたニューモバックスと、製造承認はとれているけれども、まだ定期化されていないプレベナーの位置づけというのが問題になるとは思うのですけれども、諸外国においてニューモバックスとプレベナーの位置づけというのは何かルール化されたりしたものがあるとか、その辺のもし情報があれば、わかれば教えていただきたい。

○岡部部会長 どうぞ。

○氏家課長補佐 諸外国の状況ということで、これは当課で調べた範囲での内容でございますが、国の推奨というのは、国がそれぞれの評価に基づいて推奨を決めているものでございますので、画一的なものがあるということではないだろうと理解しております。また、ハイリスク者に対する定義につきましても、諸外国と国内での状況というのはいろいろ枠組みが違うところもございます。例えば日本の場合ですと健康保険の対象者として見られるハイリスクがあり等、そういったいろんな制度の違いなどもございますので、一概に規定されたルール等はないと理解しております。

○岡部部会長 諸外国、例えばアメリカが肺炎球菌に対して一番熱心にやっている国だと思うのですけれども、そこでも23価と13価がひっくり返るのか、あるいは一緒に使うのか、AとBと使うのか、BとAと使うのか、現在議論中でもあるので、そういうことも含めてファクトシートには書いていただいて、日本としての結論をどういうふうに出していくかということになると思います。

ファクトシートは、先ほど感染研でとおっしゃって、感染研が中心だと思うのですけれども、たしか外部の方も入ったりしていることもあると思うのですが、今回は感染研が中心になるのですか。

○多屋委員 いえ、前と一緒だと思います。ファクトシートの後また作業チーム報告書があると思います。

○岡部部会長 いずれにせよ、そういうような形でもう少しわかりやすく、あるいは定期接種を前提として議論するためのファクトシートであるというようなことでお願いいたします。

 時間も来たので、そろそろ肺炎球菌は詰めておきたいのですが、メーカーにお願いしたいのですけれども、これは承認されたワクチンで、同一のワクチンだけれども、小児と高齢者で投与ルートが違う。片方は皮下で片方の大人は筋注、多分見た目も違うのですね。両方ともプレフィルドですか。

○菊地参考人 はい、両方とも。

○岡部部会長 そうするとますます使うときに明確に何か区別できるようにしておいていただかないと医薬上に齟齬はなくても実際のルール上で外れたりすることもあるので、その辺わかりやすくマーケットに出るようにということをお願いしておきたいと思います。

○菊地参考人 その辺はわかりやすく情報伝達する形で現在検討を進めておりますので、よろしくお願いします。

○岡部部会長 よろしくお願いいたします。

では、最後に氏家補佐。

○氏家課長補佐 今後の検討状況について事務局としての提案といいましょうか、予定を御説明させていただきます。

予防接種に関する基本的な計画にございますように、定期接種を前提としたというよりは、実際の科学的な根拠としての有効性、安全性、費用対効果、このデータをファクトシートでお示しいただくと理解しておりますので、感染症研究所にファクトシート作成の依頼をかけたいと考えております。また、予防接種を評価する審議会については、1月にワクチン評価委員会という小委員会の設置が決まっているところでございます。まずは、ファクトシート作成後、他のワクチンと同様に作業班で審議のための報告書を作成し、その上で評価小委員会での検討を行いたいと考えております。さらには、ワクチン評価小委員会での審議結果についてで、本部会にてさらなる審議を進めていただきたいと考えております。

○岡部部会長 ありがとうございました。

いろいろな名称のグループがあったりなどで混乱するようですが、実はこういう委員会を設けたときも米国のACIPのようにオープンでデータの議論ができるようにすることと、ACIPの会議で突然良い悪いが出てくるのではなくて、そのバックグラウンドには既にワーキンググループ等々でいろんな議論とデータのレビューをやって、それを会議で提示しているわけです。そういった意味で今回の肺炎球菌ワクチンは、データをこういう形でオープンにしながらワーキンググループをつくっていただいて最終的な結論を得るという形になると思いますので、その点の認識もぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、時間が押しているので、次の話題に行きたいと思うのですけれども、次は髄膜炎菌ワクチンであります。

これも国内において既にでき上がっているものですが、国内において製造販売が承認されたということです。日本で今、髄膜炎が大流行しているというわけではないのですが、ニーズその他も含めたことになると思うのですけれども、国内外において髄膜炎菌による感染症、特に侵襲性髄膜炎菌感染症がどういう状況にあるかということで、きょうは高橋参考人においでいただいているので、大変ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

○高橋参考人 感染研細菌第一部髄膜炎菌担当をしております高橋と申します。本日はよろしくお願いします。

 本日は、国内外における侵襲性髄膜炎菌感染症の疫学についてということでお話をいただいたので、それについて簡単にお話しさせていただきます。

 2ページ目をお願いします。疫学を話す前に、肺炎球菌でもお話があって理屈は同じなのですけれども、髄膜炎菌にも血清型別がありまして、これがワクチンにつながるということです。右上のほうに漫画みたいな図がありますが、これが髄膜炎菌の断面です。断面図を見ると黄色でオーバーラインが引いてありますが、莢膜多糖体が一番外側になって、免疫抗原として人に感染すると抗体が上がります。ウサギに打っても同じなので、血清型別というのはウサギに免疫してその血清で血清群を調べます。

血清群を調べることによって何がわかるかといいますと、莢膜多糖体自身がワクチンの抗原であり、防御効果は血清群特異的です。莢膜多糖体の血清群というのは莢膜多糖体の糖鎖によって違うだけなので、種類は、右下にA、B、C、Yといろいろ書いてありますけれども、13種類ぐらいあります。赤のA、B、Cと言われるのが一般的に疫学でいえば大流行の起炎菌ですが、その下のYとW-135も含めて5血清が髄膜炎菌感染症の病原菌の血清群として認定されます。

それぞれのワクチンの防御効果というのは血清群特異的でありますので、ワクチンを導入するかどうかに関しましては、流行地の起炎菌の血清群が把握できないとわからないということで、流行地の起炎菌の血清群は何がはやっているのかというところが公衆衛生的な対策の基本的なデータになります。この辺の基本的なことを踏まえまして、国内の疫学の情報についてお話しさせていただきます。

4ページ目をお願いします。感染研の疫学センターで毎年出されているIASRで昨年12月に侵襲性感染症の特集がありましたので、その図を拝借しました。戦前から統計をとられている赤の折れ線グラフで示しているのが患者数です。終戦直後あたりは4,000例ぐらいあったという報告が記録としては残っております。その後、特に公衆衛生対策もないまま、この場合は敗血症を含めない形の報告がほとんどだと思うので、髄膜炎菌性髄膜炎ということで見ていただいていいと思いますが、患者数が激減して、右上の1980年から2013年までの棒グラフを見ていただくとわかると思うのですけれども、近年では年間10例から20例の希少感染症として一般的には認識されている形になっています。これが国内の現状です。

5ページ目をお願いします。2012年までは感染症法の届出の基準として、髄膜炎菌症状が出た場合のみということで定義されていましたが、昨年度から侵襲性髄膜炎菌感染症として敗血症も含めた形の基準になり、その変化というものがIASRの特集でありましたので、その図を拝借いたしました。

2005年から見ていただくと、先ほどお話ししたとおり、年間10例前後の報告例だったのですが、2013年から侵襲性感染症として敗血症を含めた形の届け出の基準が変わり、昨年度1年間では38例の報告例がありました。敗血症を含めたことによって報告例が倍ぐらいになったということなのです。これは昨年度1年の結果なので、今年以降の経過を見てどのくらいかということを言わなければいけないと思うのですが、少なくとも昨年度1年間を見ただけでも倍増している傾向が推測できると思います。

6ページ目をお願いします。国内の発生動向です。髄膜炎菌感染症が起こって疫学センターに届け出が来た場合には、地方自治体もしくは病院に菌自身を持ってこないと血清群が調べられず、それがない場合は原因菌が何かわからないということなので、そのあたりでやりとりが難しいのですが、1999年に感染症法の中に髄膜炎菌性髄膜炎が設定されてから2004年までの5年間が左の円グラフ、それ以降2013年までのデータが右の円グラフです。

左の円グラフですが、5年間では82例の報告例があって、その半数が菌株の回収が不可能であったために血清群不明ということです。回収できた中で調べますとB群とY群が多いという傾向が認められます。

右の円グラフの2005年から2013年3月までの115例に関していいますと、さらに菌の回収率が悪くて血清群がわからず、半数以上が不明の状態です。その中で調べた限りにおいてはやはりB群とY群が多いということです。

後でお話しするのですけれども、全部を把握できていないので何とも申し上げられませんが、B群とY群が多いという傾向は海外ではなかなか認められないパターンであるというふうに海外のデータと比較すると理解できると思います。

7ページ目をお願いします。昨年度1年間の38例のデータです。38分の21(55%)と書いてあるのは回収率なので、逆に言うと不明に部分がそれぐらいあるということなのですが、昨年度に関しましては、全国の傾向としてどちらかというとBが少なくてYが多かったということです。数年のタームで見ればBとYがだんだん集積していますが、この辺に関しても国内の分離例の全部がなく、不明の中にどのくらいBとYが入ってくるのかということに関してもわからないので、もう少し回収率を高めることによって国内の疫学がある程度わかってくるのではないかと思っております。

8ページをお願いします。今回、4価の髄膜炎菌ワクチンということで、Conjugateワクチンは莢膜多糖体にConjugateをつけたワクチンだと思うのですが、今までの髄膜炎菌ワクチンの歴史をお示ししてあります。

今はConjugateワクチンといって莢膜多糖体にConjugateをつけた形のものが一番有効だということで、最近のワクチンで用いられている主流だと思うのですが、髄膜炎菌に関しては、ちょっと前までは莢膜多糖体のみのワクチンが使われておりました。1価、2価、3価、4価というものがあったのですけれども、2年間しかデュレーションがない、2歳以下には免疫原がない、いろいろ問題がありまして、それでConjugateワクチンのほうに移りました。

今回国内に導入されたのは4価ですが、ヨーロッパではC群の単価のワクチンが既に定期接種化としていろいろ入っております。

莢膜多糖体のみのワクチン、Conjugateワクチン、ここまでで終わりではなくて、後でもお話ししますけれども、最初の資料で御説明させていただいたように、A、B、C、Y、W-135の5つの血清群が主流なのですが、4価というのはBが入っておりません。Bがなぜ入れないのかということではなくて、Bの莢膜多糖体というのはヒトの糖鎖の抗原とよく似ておりまして、自己抗原として認識されて抗体が立ち上がらない。莢膜多糖体ではワクチン抗原としてはできないということで今まで開発されてきませんでした。

それをどうするかということで各ワクチンメーカーがいろいろ努力されまして、昨年度EUで認可された非莢膜多糖体のワクチンということで、外膜タンパクを幾つか入れ込んだB群用のワクチンが初めて開発され、それをEUが昨年度導入しました。

3番のB群ワクチンに関しては導入されたばかりで、これからアウトプットを見ていかないとわからないと思うのですけれども、日本もこういった海外の動向を見ていく必要があるのではないかと思います。これは髄膜炎菌ワクチンの概略の話なので、疫学とはちょっと離れますけれども、御参考までによろしくお願いします。

9ページ目をお願いします。今まで血清群のお話をさせていただきましたが、日本では昨年度38例でしたが、それまでは10例から20例程度でした。髄膜炎菌感染症が発生した場合は、海外に渡航された方が帰ってきて、要するに輸入感染の可能性も考えられるのですが、それをどう判断するか、血清群だけでは難しいので、細かいことになりますが、バクテリアの分子疫学的解析手法としてよく用いられているMLSTという手法がありまして、概略図を9ページに示しております。

細かい話をするといろいろ面倒なことになるので、ざっとお話しさせていただきますと、髄膜炎菌の遺伝子を読んで、その塩基配列の違いでデータベースと、海外の読んだ菌はみんなデータベースに登録されておりますので、それと比較します。国内のデータベースも我々は得られた菌に関しては並べていますので、その菌が国内にあるものと一致するのか、一致しない場合には当然海外から来た可能性が強いということで、その辺でいろいろ判断させていただいている状況です。

こういった手法を用いて、先ほど円グラフで示しましたように、報告例の半数ぐらいがまだ回収できておりませんが、回収できた分だけを国内分離株として調べたものの結果が次の10ページ目になりますので、ご覧ください。これは論文にしたものなので、2003年までのしかないのですが、過去30年何も調べられなかったものを300株ぐらい全部調べてまとめたものです。

今年は2014年度ですので、ここから11年たっておりますが、傾向としては余り変わっておりませんので、このデータを参考にしていただいても十分判断できると思います。これに関して、9ページ目の説明でありましたように、7つの遺伝子を読みますが、7つの遺伝子の塩基配列のうち5つまでが一致する場合にはcomplex、ファミリー、同族として、数字が合わなくてもその派生物として認識して、学術上はcomplex、ST(シークエンスタイプ)というのですが、数字を充ててそれが同族かどうかを調べております。

この円グラフはそれだけだと何もお示しできないのですが、海外のデータベースを調べて私のところで解析させていただいた結果から考えますと、海外と一致するもの、それがなぜ海外由来かといいますと、海外のほうが先に同定されて、その後日本で初めての分離があったということから、海外から人間の行き来で日本に入ってきたものではないかと推測されるものがあります。

あと、海外由来株なのですが、先ほど申しましたようにcomplexと呼ばれるファミリーがあって、海外と一致しないのですけれども、その同族で、海外では報告されていないというものが幾つかありました。結局、国内に入ってきてから、それが派生して国内に定着したものがあります。

あと、海外では全く報告されていないものも幾つかあります。例えば円グラフの中のST-2046 complexというのは海外では全く報告されていません。日本が島国であることや髄膜炎菌がヒト・ヒト感染しか行われないことを考えるとリーズナブルではないかと個人的には思っております。

分子疫学的方法をやると国内の髄膜炎菌はこういった3タイプで構成されている可能性があるのではないかと考察しております。

国内の疫学のお話はここまでなのですけれども、次に海外のお話をちょっとさせていただきます。

12ページをお願いします。海外は日本ほど静かではなくて、いろいろ盛んに起こっております。海外のどこでアウトブレークが起こったかということなのですが、点の集合地をざっと見ていただきますとやはりアフリカに多いと思われます。アフリカの赤道直下、くびれたところのそのあたりが髄膜炎ベルトと言われまして、一番のホットスポットになります。そこにWHOが積極的に髄膜炎菌の流行を抑えるような形の動きを毎年しております。あと、イギリスを中心としたヨーロッパや、米国の場合には発生例として2,000例ぐらい毎年あるとCDCのホームページに載っていますが、散発例として出ています。先進国で年間10~20例しかないのは日本しかないのではないかと思っております。

そのような中でWHOは、年間50万人の患者と5万人の死者が出ているとアニュアルリポートでは出しております。

13ページをお願いします。海外ではどんな血清群が流行しているかということなのですが、論文から図を引っ張ってきたものなので、ざっとした概略的なものですが、アフリカの髄膜炎ベルトでは間違いなくAが一番多いです。Aに関しては、御存じの先生方もいらっしゃると思うのですが、WHOが一昨年度、単価のAのConjugateワクチンを導入して効果がかなり出ているという報告が出始めているところです。今、W-135やX、その他がWHOのリポートとして少しずつ出ていると判断しております。ヨーロッパやアメリカではB、C、Yが多いのですが、C群のConjugateワクチンを1999年にイギリスを皮切りにEUが全部入れたように、欧米のほうでもかなり入れていますので、C群は激減しており、B群がそれを上回っています。先ほどワクチンのほうで説明させていただいたように、B群のワクチンが要るということで、開発され、導入されたという経緯です。

先ほどの国内の例を思い出していただきたいのですけれども、BとYが多く、AとCが少ないというのは、海外とは違った傾向があると考えてもいいのではないかと思っております。

14ページ目をお願いします。海外でどのくらい多いのかということに関しては日本国内にいるとなかなか情報が入ってこないので、論文に出ていたものをとってくるしかないのでそれで見ていただきますと、これも発生した年が先ほどの地図のものとそんなに変わらないので、やはりアフリカの髄膜炎ベルトあたりが一番多いと判断していいと思います。それが発生率の高い国々というふうに出ております。

15ページ目をお願いします。発生率のやや高い国々といいますと、国の名前を見ていただきますとEUの国が出てくると思うのですが、髄膜炎ベルトあたりの国ではないですが、欧米ではまだ発生例として出ております。

逆に発生率の低い国々ということで右側の表に出ております。日本は10万人当たりのインシデンスが0.02で、これはレファレンスを見ますとIASRの英語版から著者らが引っ張ってきて調べたらしいのですが、ここまで低い国はこの表の数字だけを見てもほとんどないので、日本はかなり低いということが御理解いただけると思います。ただ、いかんせんデータが少ないので、そのあたりはもう少し精査する部分はあると思います。

国内外の疫学情報とそれに関する情報を提供させていただきました。ありがとうございました。

○岡部部会長 高橋先生、どうもありがとうございました。

 質疑はこの後ということにして、その前に、さっきと同じように事務局側からの資料説明をお願いします。

○渡邊医療調整係長 事務局から資料説明をさせていただきます。

 今回、髄膜炎菌ワクチンとしてメナクトラが承認されたということで御審議していただいておりますが、参考資料2にサノフィ株式会社から提供いただいたメナクトラの資料がございます。

簡単に御紹介させていただきますが、メナクトラは、4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリア結合体)であるということ、血清型A、C、Y及びW-135に対して予防効果があるということで承認されております。

めくっていただいて3ページと4ページに臨床試験の概要という形で示しております。下にメーンの国内第3相臨床試験の概要ということで示しております。血清型A、C、Y及びW-135の抗体保有率ということで見ておりますが、良好な免疫原性が得られ、安全性に関しても特に大きな問題になるような有害事象は確認されなかったということで承認に至っております。

資料4に戻っていただきまして、事務局からの御提案ですが、まず侵襲性髄膜炎菌感染症等、髄膜炎菌は重篤な感染症の原因となることがある。ただ一方で、疫学的に国内における髄膜炎菌感染症は必ずしも社会全体で疾病負荷が高い疾患とは言えない。ただし、髄膜炎が流行している地域に渡航を予定している者等はワクチンの接種を検討することが望ましい。

これらのことを踏まえまして、今後の考え方についての提案ですが、現段階の疫学情報を踏まえると定期接種として接種する必要性は必ずしも高くない。ただし、髄膜炎菌感染症の疫学情報等の収集を引き続き行うとともに、渡航者等に対してワクチンも含め情報提供を行っていくことが適切なのではないかということで提案とさせていただきたいと思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 それでは、高橋先生のプレゼンと事務局側の提案について御意見、御質問、コメントがありましたらよろしくお願いします。

 多屋委員、どうぞ。

○多屋委員 高橋先生、どうもありがとうございました。

 一つ教えていただきたいのですが、国内の血清型の結果をお示しいただいたところですが、6ページ目と7ページ目では、血清型の分布が随分違っているようです。最近、日本でもYあるいはCといった血清群がふえてきているという傾向を見ているものではないのでしょうか。

○高橋参考人 その可能性は十分にあると思ってはおりますが、何よりも2005年から2013年まで、6ページの右の円グラフというのは半分以上がわからないので、その中にかなりのCが入ってきている可能性は否定できないので何とも言えないのですが、ことしに関して言えば55%回収できて、結構Yがふえてきているので、傾向が変わったのではないかと言われますとそうかもしれません。不明の部分が余りにも多いので、その部分を含めてどう判断していいのかが難しいというところが正直な話でございます。

○岡部部会長 よろしいですか。

 どうぞ、宮崎委員。

○宮崎委員 このワクチンは、発生頻度が少ないので、先ほど事務局も言われていたように、渡航者あるいは免疫不全、日本では特に補体欠損の方に髄膜菌性髄膜炎の罹患率が高いということが知られておりますので、そういう人たちに対しての情報提供というのはぜひ必要なのだろうと思います。

 今の血清型別のことでコメントですが、前半のデータは髄膜炎からの分離菌ですね。去年のデータには敗血症が入っているとおっしゃいました。小児の髄膜炎と敗血症は、例えば髄膜炎だけ見るとヒブが多くて、敗血症を入れると肺炎球菌のほうがぐっと上がってきたりしますので、そういう要素もあるかもしれないと思います。ぜひ引き続き血清型の研究をしていただきたいことと、先ほど言ったホストの側のデータも同時にとれればとっていただきたいと思います。

○岡部部会長 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ、多屋委員。

○多屋委員 今、宮崎先生もおっしゃったのですが、先ほど事務局から御紹介していただきましたメナクトラの参考資料2の3ページ目の上のスライドの上から5行目で日本人のPNH患者さんにおける検討もなされているようですので、ぜひPNH患者さんを診られている医療機関の先生方に髄膜炎菌ワクチンが承認されたという情報がしっかり伝わるようにしていただいたほうがいいのではないかと思いました。

 もう一つは、同じくその資料の右側の安全性のまとめのところですけれども、先日の副反応検討部会でも御紹介がありましたが、髄膜炎菌ワクチン接種後にも血管迷走神経様の症状があるということがHPVワクチンのときに紹介されていました。

承認がされて国家検定を通って市場に出てくるときは、この2点について医療機関の先生方の情報提供をお願いできたほうがいいのではないかと思いました。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 どうぞ、小森先生。

○小森委員 対応については事務局並びに宮崎委員がおっしゃったとおりでいいと思います。基本的にはトラベラーズワクチンだと思うのですが、一つお聞きしたいのは、1回接種した後の免疫の持続といいますか、そういう地域に頻回に行かれる人であっても1回の接種でいいのかどうかということを教えていただければ。

○岡部部会長 高橋先生、何かお持ちですか。それとも事務局のほうが。では、宮崎先生。

○宮崎委員 アメリカ小児科学会編のレッドブック等ではリスクが続く場合は再接種をということが書いてはあります。それはハイリスク者の場合ですかね。海外渡航の場合どうでしょうか。

○岡部部会長 私も余り詳しくないので、庵原先生のほうが詳しい。

○庵原委員 これ、結合型ワクチンですので、T細胞の免疫が誘導できますから、理論上は、高い年齢で接種しておれば1回でオーケーということになります。ハイリスクの場合ということと、血清型Bが抜けているということが一つネックで、パーフェクトに予防できるかと言われたときにはBが流行する地域には何らかの対策をつけ加える必要があると思います。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 どうぞ、池田委員。

○池田委員 アメリカも発生率が低い国ではありますが、ACIPのほうで推奨ということで、今、ワクチンを広く接種していると認識しております。費用対効果の分析がアメリカでは検討されておりまして、私の知る限りの情報では、11歳と16歳で2回打つことで費用対効果が許容できるぎりぎりぐらいの水準という結果が報告されて、その結果としてこれは導入ということになっていると認識しております。

 日本の場合は、それよりも発生率が1桁少ないので、ざっと計算してみても費用対効果という観点からいくと定期接種化というのは難しいのかなと思います。もし細かく計算したほうがよいということであればいたしますが、恐らくするまでもないのではないかと思います。先生方が御指摘されていますように、やはりトラベラーズワクチンとしての接種が適当ではないかと医療経済性の点からは考えられます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 どうぞ、庵原先生、最後のコメントを。

○庵原委員 先ほど補体欠損とかPNHには推奨すべきだというのが出てきたと思いますが、アメリカでは寮生活を送っている高校生、大学生に推奨されています。特にアメリカは乾燥地帯がありますので、髄膜炎ベルトに近いところでは推奨されています。日本でもこの前のIASRの特集号などを見ていますと、やはり寮生活を送っているところでぽんぽんとアウトブレークみたいなのが起こっているので、寮生活を送っているグループに推奨するかどうか、ないしは補体欠損の人たちと同じような形で勧めるべきではないか、ないしは勧めるという文言を入れたほうがいいのか、その辺の検討が要るかと思いますが、いかがですか。

○岡部部会長 日本で集団発生したのは宮崎県の例だったと思います。あれはBタイプなので、いずれにせよこのワクチンに対しては無効であったということなので、それをもって推奨というわけにはいかないと思いますが、きちんとした髄膜炎のような症状が出たときに、不明といってもなかなか培養が難しいものなので、実際は出てこないのですけれども、そういう努力とPCR検査とか、そういうのはフルに活用してなるべく早く型別を出して、予防投与をやるところは予防投与をやって、必要であればワクチンの接種をするということではないかと思います。

今の段階で意見をまとめると、特殊な状況、寮生活ということもありますが、インシデンスからいうと寮生活の人も含めて広く推奨するものではないけれども、必要があったらいつでも使える形にしておくというような、つまり任意接種としての使用ですけれども、それから旅行者の方が海外に行くときに日本の医療機関で法的にもきちんとしたやり方で接種することができるというふうになったのだと思いますが、そういうまとめでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 ありがとうございました。

 では、4価髄膜炎菌ワクチンについては、使い方としては、国内で定期接種にはしないけれども、こういうワクチンの存在というものを法的にもきちんとしておく必要があるだろうということになると思います。

 時間も大分押してきて、要領が悪く申しわけないのですけれども、もう一つ新しいワクチンとしてはDPTプラスIPVで、IPVの性質がこの間導入したのとは違うというのがあります。これについては事務局から御紹介ということで、難波江補佐、お願いします。

○難波江課長補佐 お手元の資料5「新たな4種混合ワクチンについて」をご覧ください。

 本年7月4日に、北里第一三共の沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(ソークワクチン)混合ワクチン(DPT-IPV)が薬事承認されました。今回承認されたワクチンは、北里第一三共が製造販売する既存の3種混合(DPT)ワクチンとサノフィ株式会社が製造販売する単独のIPVを混合して開発したものでございます。

接種スケジュールは、既存の4種混合ワクチンと同じでございまして、また株の違うソークとセービンの互換性についてはこれまで臨床研究で確認されているところでございます。

価格についてもメーカーに確認したところ、ほかの4種混合ワクチンとほぼ変わらないということでございました。

上記を踏まえまして、新たな4種混合ワクチンについては予防接種法に基づく定期の予防接種に使用可能なワクチンとしてはいかがかという提案でございます。

 具体的な対応としましては、下にございますが、既に省令の中で「沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン」とございますので、特段の省令の改正などは必要ないというものでございます。

 お手元に、委員限りでございますが、現時点での添付文書の案を配付しております。御参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○岡部部会長 ありがとうございました。

 これは、既に承認されているDPT-IPVと不活化ポリオワクチンのつくり方は違うけれども、基本的には同じ作用、効果ということと、副反応のレベルについても変わらなくて、なおかつ互換性があるというので、先ほどの肺炎球菌の議論とはちょっと別で、一般に広く定期接種として推奨できるワクチンであるということの事務局からの提言でもあるし、今のところ大体そういうコンセンサスが得られているものではないかと思いますが、データその他について御質問がありましたらよろしくお願いします。よろしいでしょうか。

どうぞ、坂元委員。

○坂元委員 このワクチンではないのですが、4価ワクチンが出るに当たって従来のDPTの在庫に関して、自治体から問い合わせがあった場合、引き続き厚生労働省で対応をよろしくお願いしたいというお願いがいくつかの自治体から私のほうに寄せられていますので、その点よろしくお願いいたしたいと思います。

 以上です。

○岡部部会長 よろしくお願いいたします。

 ちなみに、もう一つ、定期接種にすることについて両ワクチンの価格差も余りないといったこともあるのではないかと思います。

 それでは、事務局案をこの部会としては了承するということにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岡部部会長 ありがとうございました。

 それでは、審議事項としてはこれで終わりなのですけれども、報告事項として幾つか続けてありますので、御説明を難波江補佐からよろしくお願いします。

○難波江課長補佐 では、報告事項の資料6からまとめて御報告させていただきます。

 まず、資料6ですが、平成24年度の予防接種の実施率が取りまとめられましたので、御報告させていただきます。

それぞれのワクチンごとの実施率が右側に掲載されております。ポリオは、ちょうど24年9月から不活化ポリオに切りかわったところでございますが、ポリオだけを集計したものを一番下に再掲として記載しております。1回目124.9%、2回目137.7%となっておりますが、こちらは平成23年度からの生ポリオの差し控えというのが起きておりまして、差し控えられた方がかなり接種されたと考えております。平成24年当時、23年度に差し控えられた方が約23万人おられまして、全体で24年度に受けられる方は133万人程度ではないかと推計していたわけでございますが、生ポリオを1回打たれた方についてはIPVを2回目でカウントしておりますが、144万人の方が打たれているということで、23年度でなくてそれ以前に差し控えられた方も含めて受けられたのではないかと推定しております。

この結果、前回の基本方針部会でも多屋先生から御報告受けましたとおり、抗体の保有率もこの年齢でかなり高い率になっておりましたので、一時期危惧されていたイミュニティーギャップというところは克服できたのではないかと考えております。

 裏のページが過去からの実施率の推移です。

 続きまして、資料7でございます。

 平成25年度の予防接種の事故報告でございます。予防接種の事故があった場合に国に報告いただくよう自治体に求めているところでございますが、2ページは、平成25年4月1日から平成26年3月31日までに発生した事故についていただいた結果でございます。延べ接種数でございますが、25年度はまだ出ていないのですが、24年度につきましては、3,900万回程度の定期接種が行われておりまして、25年度で4,596件の事故がありました。頻度としては10万回当たり11.7なので、1万回接種で1回程度の事故が起きています。

ただ、内容を見ますと4番の「接種間隔を間違えてしまった」というのが約7割を占めていまして、これにつきましては、4月から接種間隔の上限の撤廃などがございましたので、今年度はかなり減るのではないかと考えております。接種間隔を間違えたものを除きますと1,392件となりまして、3万回接種に1回程度の事故となっております。

多い例でいきますと1番の「接種するワクチンの種類を間違えてしまった」、3番の「不必要な接種を行ってしまった」、2番の「対象者を誤認して接種してしまった」というものがございます。それから、8番の「既に他の対象者に使用した針を使う等、接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こしうるもの」が6件ございまして、詳細は次のページでございます。

一度打たれてトレーに戻して次の方のときに使用済みのものを使ってしまったという事故でございますが、これも含めまして、約4,600件のうち実際に健康被害が発生したという情報はいただいておりません。国としまして、前回の基本方針部会でも多屋先生から御説明いただきましたが、事故防止のマニュアルにつきまして全国の市町村に配布するとか、今後もさまざまな研修機会などでこういったものの防止策に努めていきたいと考えております。

 続きまして、資料8でございます。

 風しんにつきましての情報提供でございます。特定感染症予防指針ができまして、風しんを排除していくということで、政府広報やこういったホームページであるとか、一番後ろのページにはラジオなどでの風しんの普及啓発、それから先生方の御協力もいただいて動画作成、さらにさまざまな取り組みをやることとしております。特に今年度は補正予算のほうで検査費用の助成を行っておりまして、妊娠を希望する女性や妊婦のパートナーの方にしっかりと活用いただければと考えております。

 報告事項は以上でございます。

 資料9でございますが、先ほどより話が出ていたPCV13とPPV23についての事務連絡です。

 以上でございます。

○岡部部会長 ありがとうございました。

時間がほぼないのですけれども、ちょっとおくらせていただいて、御質問あるいはコメントがあったら今の報告事項についてお願いします。

宮崎委員、どうぞ。

○宮崎委員 まず、実施率ですけれども、日本脳炎の1期は140~150%ということで、まだキャッチアップ接種が続いている。ただ、逆にこれによって小児の抗体陽性率はかなりもとに戻ってきているのだろうと思います。2期の実施率はなかなか昔から上がりにくいのですけれども、2期がもう少しかなと思います。

 予防接種事故報告は、こういう非常に整理された形で出てきたのは初めてかと思いますが、これからも時々報告をいただければ幸いです。

 それから、風しんは、丁寧なホームページをつくられていますが、文言が「積極的に接種また検査を検討しましょう」と、ちょっと腰砕け的な部分があって、「風しんに関する特定感染症予防指針」に「推奨する」ということが書いてありますので、もう少しきちんと書かれてもいいのではないかという気がしています。といいますのが、去年風疹が流行していた時期は検査にしても地元の熱があったのですが、今は熱がなかなか感じられないですね。もう少し具体的な予防接種行動に結びつくような施策を打っていかないと指針の実が上がっていかないのではないかと思っております。1つは、はしかと一緒ですけれども、進行管理をやっていただきたい。もう1つは、予防接種そのものに対する助成というのをもう一回考えていただければと思います

 以上です。

○岡部部会長 ありがとうございました。

ほかに1つ2つ、どうぞ、小森先生。

○小森委員 予防接種にかかわる事項というのは日本医師会としても大変重大に考えております。分母が大きいからこれは少ないというふうな認識は決してしてはいけないということで、既に都道府県医師会を通じまして郡市区医師会等についても周知あるいはまた改善に向けての取り組みについて要請をしているところでございます。

 また、厚生労働省でおつくりいただいたパンフレット、リーフレット等についても配布しておりますが、また引き続き、予防接種の安全な接種体制の確立のために研修会等についても今後努力をしてまいりますので、御報告と取り組みについて申し上げました。

○岡部部会長 ありがとうございました。

どうぞ、渋谷委員。

○渋谷委員 事故報告についての資料7ですが、血液感染を起こし得る事例の概要を載せていただきましてありがとうございました。特に、自治体にはこういった情報を提供していただいて注意を促していただくということが大切だと思いますので、たとえ件数は少なくても非常に重大なものについてはぜひ広く情報提供していただきたいと思います。ありがとうございました。

○岡部部会長 ありがとうございました。

ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、時間が参りましたので、そろそろ以上にしたいと思うのですけれども、予防接種時の事故というふうになっていますが、これは必ずしも医学的な事故だけではなくて、ルールから外れたという接種方法すなわち事故というものを含んでいるのだということはお伝えしておきたいと思います。だからいいのだというわけではなくて、医学的になるべく正当な方法になるようにということで、接種方法や何かについて今回改正をしていただいたのでということもあります。

ただし、日本医師会でも取り組んでおられますし、自治体の坂元先生にも自治体として全体にお願いしたいのですけれども、できるだけ安全にやるということでは、むしろ医療者あるいは担当行政側の問題なので、きちっとできるだけ事故を少なく正しくできるようにということを周知徹底していただければと思います。

 それから、風しんの分は、後ろにいる傍聴の方にもお願いなのですけれども、だんだん流行が穏やかになっていくとどうしてもいろいろなところでの関心が少なくなっていきます。この委員の中にはメディア関係の方は入っておられないですけれども、やはり国民の方々へのお知らせ、あるいはこういう方法がありますということでは、流行としては静かなときにでもぜひやっていただきたいというお願いをしておきたいと思います。

 それでは、今日、審議事項としては、13価についてはファクトシートをつくって検討を続けるということ、4価髄膜炎菌ワクチンについては、いわゆるトラベラーズワクチンですけれども、承認がおりたので広く使えるワクチンであるけれども、定期接種化としてするわけではないということ、沈降性百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ、いわゆる4種混合で新しくできたものについては定期接種化になる。これはいつからですか。マーケットに出てから同時にということですか。

○難波江課長補佐 そうです。販売自体は年明けになると聞いております。

○岡部部会長 ということですので、メーカーは品不足などということにならないように、あるいは新しいワクチンであるということのアナウンスもぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、以上で今日の会議は終了できると思います。

 その他として特に先生方からはないでしょうか。

 それでは、次回の開催その他について事務局から最後の連絡をお願いいたします。

○石田室長補佐 昨年度、当部会で水痘・成人用肺炎球菌の定期接種化に向けた審議をいただきましたが、本日付で予防接種法施行規則及び予防接種実施規則の改正省令が交付されました。今後、7月2日に公布された予防接種法施行令の分とあわせて施行通知や定期接種実施要領など必要な通知を発出する予定であることを御報告させていただきます。

なお、次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。

 事務局からは以上でございます。

○岡部部会長 それでは、本日、第10回になりますけれども、基本方針部会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

議事録(PDF)

議事録 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会

資料(PDF)

議事次第・配付資料一覧 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
委員名簿 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料1 PCV13の臨床試験データの概要 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料2 13価蛋白結合型肺炎球菌ワクチンについて 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料3 国内外における侵襲性髄膜炎菌感染症の疫学 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料4 髄膜炎菌ワクチンについて 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部
資料5 新たな4混ワクチンについて 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料6 平成24年度予防接種実施率 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料7 平成25年度予防接種事故報告 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料8 風しんに対する普及啓発について 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料9 平成26年6月27日付け事務連絡 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
参考資料1 添付文書 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
参考資料2 メナクトラ(安全性及び有効性に関する資料)第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
遵守事項資料等 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会

開催案内 第10回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会