予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会 第8回

議題

(1)麻しん、風しん、おたふく、水痘、A型肝炎、インフルエンザ、成人用肺炎球菌のワクチンの安全性について
(2)副反応報告基準(水痘、成人用肺炎球菌)について
(3)子宮頸がん予防ワクチンについて
(4)その他

開催日 2014-02-26
委員名簿

平成25年度第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
平成25年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会
(合同開催)委員名簿
日時:平成 26 年 2 月 26 日(水)14:00~17:00
場所:航空会館大ホール(7階)

【副反応検討部会】
稲松孝思   東京都健康長寿医療センター顧問
岡田賢司   福岡歯科大学全身管理部門総合医学講座小児科学分野教授
岡部信彦   川崎市健康安全研究所長
熊田聡子   都立神経病院神経小児科医長
倉根一郎   国立感染症研究所副所長
薗部友良   育良クリニック小児科顧問
多屋馨子   国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長
永井英明   独立行政法人国立病院機構東京病院外来診療部長
道永麻里   公益社団法人日本医師会常任理事
○ 桃井 眞里子 国際医療福祉大学副学長
○:部会長

【安全対策調査会】
○ 五十嵐隆  独立行政法人国立成育医療研究センター総長
遠藤一司   明治薬科大学医薬品安全管理学講座教授
大野泰雄   国立医薬品食品衛生研究所 名誉所長
柿崎 暁   群馬大学医学部附属病院
望月眞弓   慶応義塾大学薬学部教授
○:調査会長

【参考人】
宮本信也   筑波大学人間系長・日本小児精神神経学会理事長
(敬称略、五十音順)

議事録(テキスト)

2014年2月26日 平成25年度第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録
健康局結核感染症課

○日時
平成26年2月26日(水)14:00~17:00

○場所
航空会館 7F大ホール

○議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより「平成25年度第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」の合同会議を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに本日の委員の出席状況について、御報告いたします。

 副反応検討部会の永井委員、安全対策調査会の大野委員、望月委員から御欠席の連絡、副反応検討部会の熊田委員、薗部委員より遅れて参加する旨の御連絡をいただいております。

 現在、副反応検討部会委員10名のうち7名、安全対策調査会委員5名のうち3名の委員に出席をいただいておりますので、厚生科学審議会並びに薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立することを御報告いたします。

 また、本日、参考人として、筑波大学人間系長、宮本信也参考人に御出席いただいております。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして、留意事項を申し上げます。

 開催案内の傍聴への留意事項を必ず守っていただきますよう、お願いいたします。

 留意事項に反した場合は、退場していただきます。

 また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方につきましては、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。

 本日の座長につきましては、議事次第の(1)の成人用肺炎球菌ワクチンを除いた各ワクチンの安全性につきましては、五十嵐調査会長に、そのほかの議題につきましては、桃井部会長にお願いしたいと思います。

 なお、本日の審議の順番ですが、会議の開催案内には、議題(1)各ワクチンの安全性について、議題(2)副反応報告基準(水痘、成人用肺炎球菌)について、議題(3)子宮頸がん予防ワクチンについてとしておりましたが、出席者の都合により、最初に議題(3)、2番目に議題(1)、最後に議題(2)の順番に変更させていただきますので、御了承のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、ここからの進行は、桃井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○桃井副反応検討部会長 それでは、会議を開催させていただきます。

 まず事務局から審議参加に関する遵守事項につきましての御報告をお願い申し上げます。

○事務局 審議参加に関する遵守事項につきまして、御報告いたします。

 本日、御出席をされている委員及び参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受取状況の報告をいたします。

 本日の議題(1)に関しまして、MR、麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘、A型肝炎、インフルエンザ、成人用肺炎球菌、これらのワクチンの製造販売業者である、一般財団法人阪大微生物病研究会、北里第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社、一般財団法人化学及血清療法研究所、デンカ生研株式会社、MSD株式会社、議題(2)に関しまして、水痘、成人用肺炎球菌ワクチンの製造販売業者である、一般財団法人阪大微生物病研究会、MSD株式会社、議題(3)に関しまして、子宮頸がん予防ワクチンの製造販売業者である、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社がございます。

 これまでと同様に、これらの企業から、過去3年度における寄附金などの受取につきまして、各委員と参考人より申告をいただきました。

 なお、競合品目、競合企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りし、御確認をいただいております。

 申告いただきました内容ですが、まず副反応検討部会の委員の方々につきましては、稲松委員が、MSD株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、50万円以下の受取がございます。

 岡田委員が、北里第一三共、武田薬品工業、阪大微生物病研究会、化学及血清療法研究所、デンカ生研及びGSK株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、それぞれ50万円以下、MSD株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、50万円以上500万円以下の受取がございました。

 岡部委員が、北里第一三共、武田薬品工業、阪大微生物病研究会、化学及血清療法研究所、デンカ生研、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、それぞれ50万円以下の受取がございます。

 熊田委員が、グラクソ・スミスクライン株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、50万円以下の受取がございます。

 薗部委員が、武田薬品工業より、講演料として50万円以下の受取があり、MSD株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、50万円以上500万円以下の受取がございます。

 多屋委員が、北里第一三共、武田薬品工業、阪大微生物病研究会、化学及血清療法研究所、グラクソ・スミスクライン株式会社及びMSD株式会社より、講演料又は原稿執筆料として、それぞれ50万円以下の受取がございます。

 続きまして、安全対策調査会委員につきましては、五十嵐委員がグラクソ・スミスクライン株式会社及びMSD株式会社より、奨学寄附金として、それぞれ50万円以上500万円以下の受取があり、武田薬品工業株式会社より、雑誌編集料として、50万円以下の受取がございます。

 遠藤委員が、武田薬品工業株式会社より、原稿執筆料として、50万円以下の受取があります。

 柿崎委員が、武田薬品工業株式会社及びMSD株式会社より、講演料として、50万円以下の受取がございます。

 また、宮本参考人が、MSD株式会社より、講演料として、50万円以下の受取がございます。 以上から、副反応検討部会の岡田委員及び薗部委員、並びに安全対策調査会の五十嵐委員が、子宮頸がん予防ワクチンであるサーバリックス及びガーダシル、並びに成人用肺炎球菌ワクチンであるニューモバックスについて、会議に参加し意見を述べることはできますが、議決には参加いただけませんことを御報告いたします。

 以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 以上でよろしいでしょうか。

 それでは、次に事務局から本日の配付資料について、御確認ください。

○事務局 本日の配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元にクリップ留めしてある資料がございます。

 議事次第、資料一覧、委員名簿、座席表がありまして、あと、資料と参考資料がございます。

 資料としまして、議題(1)の各ワクチンの副反応検討状況につきまして、資料1がMR、資料2が麻疹、資料3が風疹、資料4がおたふく風邪、資料5が水痘、資料6がA型肝炎、資料7がインフルエンザ、資料8が成人用肺炎球菌の副反応報告状況となっております。

 議題(2)につきましては、資料9が水痘ワクチン及び成人用肺炎球菌ワクチンにおける副反応の報告基準についてとなっております。

 議題(3)の子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、資料10が宮本参考人から提出いただきました資料、資料11が接種に当たり注意すべき事項、資料12が診療科別データとなっております。

 また、当日配付資料として、資料6の差し替え資料が1枚ございます。

 そのほか、参考資料として、各ワクチンの添付文書がございます。添付文書につきましては、大部になりますので、傍聴の方には配付しておりません。ホームページには掲載いたしますので、そちらを御覧ください。

 以上です。

 足りないものや落丁などがございましたら、事務局にお申し付けください。

○桃井副反応検討部会長 資料はよろしいでしょうか。

 それでは、議題「(3)子宮頸がん予防ワクチンについて」から審議を開始したいと思います。

 まず最初にこの部会に先立ちまして、午前中、子宮頸がん予防ワクチンに関する意見交換会が厚生労働省の主催で開催されました。この部会の委員であられる倉根委員が座長をお務めになり、さまざまな御意見に関して、ディスカッションがなされました。

 それについて、倉根委員から、この部会に御報告をいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

○倉根委員 承知いたしました。

今日、午前中、1時間半にわたりまして、国内・国外から研究者に集まっていただきまして、有意義な議論ができたと思っております。

 構成ですが、6人の参考人に御発表いただきまして、8人の構成員が参加し、それぞれのコメントを述べたところであります。

 最初に米国のドクター、Sin Hang Lee(シン・ハン・リー)に参考人としておいでいただきましたけれども、HPVワクチンの中に、ウイルス由来のDNA断片が含まれており、突然死の症例からもHPVのL1DNA断片が検出され、この断片が引き起こす反応が、死亡の原因なのではないかという発表がありました。

 これに対して、参考人である、ニュージーランドのHelen Petousis-Harris(ヘレン・ペトウシス・ハリス)先生が、本指摘に関して科学的に行っておるのですが、次の2つについて指摘をされました。

 本研究、ドクターリーの発表については、科学的に検証する上で、欠陥を有しているのではないかとドクターハリスは述べました。特に症例群と対照群の2群を比較して、その2群において差があるかどうかという結論をもって、検討を行わなければならないのであるが、症例群とその原因として疑っている事象の因果関係を述べることはできない。なぜかというと、本研究に対照群がなく、その科学的手法に問題があるのではないかという疑問を投げかけました。また、使用している方法についての疑問も呈しました。

 次に、仮にワクチンにHPVL1のDNA断片が検出されたとしても、この断片はごく微量なものであり、このようなごく微量のDNAが全身に拡散して、激しい炎症反応を起こすことは考えられないのではないかということです。また、これまでのドクターリーの理論の進め方には、多くの仮定に基づくものがあるのではないかというのが、ドクターハリスのコメントでありました。

 さらにこれに加えて、吉倉構成員は、HPVのL1DNAの存在について、製造方法から考えて、それが微量存在していたとしても、それは不思議ではない。それから、本ワクチンの産生細胞とのDNA比からのDNAもあるであろう。むしろ産生細胞のDNAのほうが、率としては多いように計算されるということでありました。特にHPVL1DNAを含むマクロファージが脳に入り、病態を引き起こすんだという仮説をリー先生は立てておるんですが、そこについて、吉倉構成員は考えづらいことではないかと、否定的意見を述べました。こういうことであります。

 ドクターリーの主張に対しては否定的であるという内容であり、私もこの議論を聞いておりましたけれども、ドクターリーの主張をもって、HPVL1DNA、ごく微量なものが、激しい副反応を起こすというのは、科学的に根拠に乏しいのではないかという印象を持ちました。

 2番目に、フランスのドクターFrancois-Jerome Authier(フランソワ・ジェローム・オーチェ)が参考人としておいでになり、発表しました。ドクターオーチェは、アルミニウムを含むアジュバントが、マクロファージ性筋膜炎、MMFという局所の病態を引き起こしており、このMMFが全身の副反応と関連するんだということです。

 それから、クロニック・ファティーグ・シンドロームとの関連、あるいは脳におけるアルミニウムの存在と中枢神経への病変との関連について発表されまた。

 この一連の病態について、フランスで科学的議論を積み重ねておりました、ドクターJean Beytout(ジャン・ベイトー)に参考人として発表いたしました。ドクターベイトーは、次の3点について述べました。

 1つは、アルミニウムをアジュバントとして含むワクチンというのは、世界で既に80年以上使用されている実績があって、広く安全性は確認されている。

 それから、マクロファージ性筋膜炎、MMFを主張するグループは、ワクチンが慢性疲労症候群、クロニック・ファティーグ・シンドロームを引き起こすと述べたり、あるいはアルミの小粒子が脳に毒性を持つという議論であったり、ASIA、Auto-inflammatory Syndrome induced by Adjuvantsという概念を述べたりと、非常に主張を変えており、一貫しておらないということを述べました。

 また、接種部位の炎症であるマクロファージ性筋膜炎、MMFという病態が、全身の症状を引き起こすと述べているものの、局所の炎症であるMMFが、なぜ全身の症状を引き起こすかという根拠は述べられていないということで、単に推測を述べているにとどまっているのではないかということであり、ドクターオーチェの主張に対しては、否定的であるということを述べました。

 さらに構成員として参加しておられました、石井構成員からは、アルミアジュバントの作用機序については、現在、研究が進展しており、正しい科学的知見に基づく議論を今後進めるべきだという御意見をいただきました。

 中山哲夫構成員からは、アルミアジュバントは、動物実験において、局所の炎症は起こすけれども、全身の炎症症状を起こすことはない。したがって、MMFによる全身的な症状との仮説は、自分はサポートすることができない、支持しないという御意見を述べられました。

 私も皆さんの御意見を聞いておりまして、ドクターオーチェのMMFに基づいての副反応の説明というのは、科学的根拠に乏しいのではないかという印象でありました。MMFをもって現在の症状、状況を説明するのは、非常に難しいというのが私の意見でありました。

 3番目のテーマでありますけれども、堺春美先生からの発表がございました。堺春美参考人からは、副反応報告や治験の結果を基にして、HPVワクチン接種の副反応であることが高い可能性について、また、新たに失明や中枢神経症状を示す症例の提示であったり、あるいは妊娠に対する維持に関しての影響の御発表がございました。

 一方、いわゆるその基になっているデータに関しまして、厚生労働省の事務局から、幾つかの問題点、データの解釈につきまして、指摘されました。

 それにつきましては、堺参考人が、厚生労働省発表を用いたとして、副反応報告をもとに独自に集計を行って、さまざまな副反応が多数起こるということを主張しておられますが、副反応報告として報告された症例は、ワクチン接種によるものでないもの、直接的に関係しないものも含んでおるということです。つまり副反応報告が全てワクチン接種を直接的原因としたものであるという理解は、間違えであるということを指摘いたしました。

 さらに事務局からは、堺参考人が、治験のデータをもとに、HPVワクチンが高い確率で副反応を起こすとしておりました。特に堺先生が論拠としているデータが、有害事象、すなわちワクチン接種後に発生した健康上の異常であれば、全てのものを報告する。そこで挙げておりましたけれども、極端な例ではありますけれども、例えば交通事故なども含めた、全くワクチンとは関係ないものでも拾い上げているんだということを示しまして、そういうもので算出する、数を出しているという方法なので、それをもとにHPVワクチンの副反応の発生率を論ずるのは根拠がないのではないかというのが、事務局の意見でありました。

 さらに事務局から、ワクチンと関係ない症状を拾い上げている有害事象が2年間の集計であること、一方、その比較として、同じ年代の女性の年間の重症としての入院率が4%ぐらいあるという基礎データがあるので、そのベースも考慮しながら、理解しなければいけないということで、有害事象と入院患者の4%に対して、そこが基盤となるデータであるということが示されました。

 さらに妊娠に対する影響、妊娠の維持に関する調査では、ワクチン接種による影響が示されていないということが、データとしてあるということと、他国の疫学的調査でも、HPVワクチンによる副反応の差等は示されていないということが述べられました。

 これに加えて、岡部信彦構成員からは、有害事象の意味というもの、すなわち、有害事象の報告というのは、いわゆるワクチンとは関係ない事象も含んでいることを明確に理解して、その上で、データの解析を行うことが必要であるということが述べられました。

 全体としてまとめますと、お二人の海外からの参考人が述べましたMMF、マクロファージ性筋膜炎に基づく説明、仮説、及びHPVワクチンに検出されたとするHPVL1DNA断片によるとする仮説については、前者、MMFについては、既にWHOであったり、フランス高等公衆衛生審議会であったり、後者のHPVL1DNA断片によるとする仮説については、米国のFDAであったり、欧州医薬庁(EMA)において、既に評価が行われており、各機関の発表でも、それについては否定しているものでありますけれども、今回、改めてその可能性について検討すべく、意見交換会を行ったものであります。

 発表を伺いまして、さらにそれに対する専門家からの御意見、反論を聞く限りにおいては、これまでの上記各機関、WHOであったり、フランス高等公衆衛生審議会であったり、あるいはFDA、EMAの医学的評価が妥当であり、これらの仮説で接種者に見られる現象を説明するのはなかなか難しい、できないのではないかと思います。最後のところは、私の意見あるいは感想でございます。

 以上であります。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 ほかに何人か委員の先生も御出席でしたが、追加等の御意見、御報告はおありになりますか。よろしいでしょうか。

 私も出させていただきましたが、種々の仮説を出される方から直接伺って、あるいはその反論もお伺いして、それぞれの主張のエビデンスレベル、つまり科学性のレベルがどの程度かということに関する知見を得るのに、大変有意義な議論であったと考えております。

 それでは、この件に関しては、よろしいでしょうか。

 次に本日は今までいろいろと御議論いただきましたけれども、特に治療、診療体制については、患者さんに適切な診療体制を提供するという意味からも、極めて重要なものでありますので、医療提供体制などについて、御説明をお願いするために、参考人として、筑波大学人間系長の宮本信也先生においでいただきました。

 宮本先生は、小児科専門医でいらっしゃると同時に、小児科専門医を基盤として、小児の心身症や小児神経などに大変造詣の深い先生でいらっしゃいます。

 それでは、宮本先生、よろしくお願い申し上げます。

○宮本参考人 それでは、お話をさせていただきます。

 私に与えられましたテーマは、治療といいますか、対応についてということで、お手元のような資料を御用意させていただきました。

 ただ、最初にお詫び申し上げなければいけないんですが、このような治療構造がなぜ必要なのかということを、最初にお話したほうがいいと思いまして、本日それを追加してまいりましたので、お手元の資料にないものが、最初に出てまいります。これはファイルを残しておきますので、後ほどでも事務局から御配付いただければと思います。

 それでは、スライドをお願いします。

 違いますね。先ほどどなたかにUSBを渡しました。

○桃井副反応検討部会長 これは差しかえのものになっていないのですね。

○宮本参考人 そうです。

○桃井副反応検討部会長 古いバージョンだそうですので、差しかえのUSBを受け取られた方、お願いします。

○宮本参考人 どなたかに緑のUSBをぽんと渡しました。ありますか。

○桃井副反応検討部会長 済みません。口頭でお願いします。大丈夫ですか。

○宮本参考人 今、用意ができるまで、口頭でお話させていただきます。

 本日、私がお話する治療の構造というのは、必ずしも今回のワクチンの副反応だけを想定しているものではありませんが、このような状態が起こるときに、今回の副反応の背景には、もちろんさまざまな要因が関連しているだろうと思われます。

 そして、その中で、仮にある程度心理的な要因も関与している場合があるとすれば、どのようなことが想定できるかということを考え、そのような状況が想定される場合には、どのような対応、治療構造が望ましいか、そのような論旨になっております。

 そこにある基本的なものは、解釈モデルの不一致ということです。今回は痛みと運動障害が中心ですが、その状態に関する患者さん側の受け止め方、理解の仕方と、接種した側あるいは医療側の受け止め方の理解の仕方のずれが、大きな影響を与えるのではないか、そのような根拠、考え方です。

 それでは、お願いいたします。

(PP)

 まず大きく2つに分けられます。それはワクチンの接種前から、既に何らかの心理的な問題を抱えていた場合と、抱えていない場合です。そして、ワクチンの接種前から既に心的な問題を抱えている場合を先に前提とすることは、必ずしも適切ではないだろうと思います。むしろそれはまれな状況だと思われるからです。したがいまして、事前に特にストレスがないにもかかわらず、心理的な要因が後から関与することがあり得るだろうか。

 この場合には、これまでのさまざまな御報告でもありますように、ワクチンによる痛みが、ある種の誘因となる可能性があり得るだろう。

 それはどういう前提かと申しますと、予防接種の痛みに対して、ワクチンを受けたとき、今回のワクチンは筋注ですので、ワクチンの痛みはこの程度だろうと想定していたものから、かなりかけ離れた痛みを感じる。強い痛みやあるいは持続期間です。

 そして、その背景にあるのが、ワクチンという外部から自分にされた行為によって生じた痛みであるという思いです。

 これらの状況は、当然痛みを感じている人に、不安や、これは何なんだろう、何が悪いんだろうという疑心暗鬼のような思いを起こさせてしまう可能性がある。下に示したのは、その1つの例です。

(PP)

 不安や疑心暗鬼の状態は、痛みへの意識の固着を生じさせます。痛みを強く意識する状態です。その意識の固着は、痛みの不快感を増強させ、痛みに対する耐性、我慢するという我慢強さを弱めてします。

 これはもしかすると、皆様も御経験がおありかもれません。私自身も経験がありますが、例えば歯医者さんに行って、いつもと同じような治療を受けようと思って行ったはずが、こちらの想定と違って、いきなり痛み止めを打たれて、ここを削りましょうとやられてしまった。そうすると、その後、少し痛みが残っても、何であんなことをしたんだろうと思ってしまうと、歯の痛みを普段よりも強く感じてしまう。日常的によくあり得ることです。

 そして、そのような不快感の増強や痛みに対する耐性の低下が、さらに不安や疑心暗鬼を高めるという悪循環を生じさせる。この状況を患者さん側は訴えるわけですが、痛みの訴えに対して、なされる説明や対応が、必ずしもその患者さんにとって了解できるものとはならない場合がある。

 それは痛みに関する説明にとどまったり、根拠を示さずに大丈夫である、様子を見ますという説明であったり、あるいはワクチンの影響を否定するような説明であったりします。

 なぜこれが了解しにくいかと申しますと、患者さんや家族が訴えているのは、痛みだけではなくて、そこに伴う不安感や疑心暗鬼の思いを訴えている。多くは後者のほうが大きいわけで、そこに対する手だてや配慮が示されないと、納得し難い。

 さらにそこに到底受け入れられない説明が加わることがあるわけです。それはもしかしたら、精神的なものも関係しているかもしれない。これは患者さん側にとっては、問題を自分たちに責任転嫁されたという思いを持たせてしまいかねない。私が申し上げていますのは、あくまでも1つの仮定、推測です。

(PP)

 そうすると、ワクチンの痛みから、機能性の身体症状へつながる道筋がここからできてくる可能性があります。先ほど冒頭で申し上げましたように、ここで解釈モデルの不一致が生じます。解釈モデルの不一致は、基本的に最初に行った不安感や疑心暗鬼が、むしろ猜疑心や不信感という思いに変化していくプロセスを生みかねないんです。にもかかわらず、不一致状況への気づきや適切な配慮がないままの対応が継続されますと、ここからは2つに分かれます。

 患者さん本人の中にさまざまな陰性感情が生じ得る。そこに挙げてあるように、不信の増強であったり、いらだちであったり、理不尽感であったり等々です。

 一方、特に年齢が低い子供たちの場合は、そこまで強い陰性感情は起こさないかもしれません。しかしながら、家族の中に、そのような強い不安や陰性感情が起こることがあります。あるいは場合によると、マスメディアの報道の内容もそれを助長することがあるかもしれません。このような中にいますと、特に年齢が低い子供は、そのような周囲の不安や陰性感情を自分自身のものとして取り込んでしまう。

 私が前に経験した例ですが、これはワクチンとは関係ない例ですが、中学生の男の子が全く立つことも歩くこともできなくなり、横たわったままになったということで、病院に担ぎ込まれてきました。病院に来たときには、横になったままで、ぴくりとも動かない。手足を動かそうとしても、力が入らない。だらんとした状態です。診察上、神経学的な異常は何もありませんでした。

 この子は、ある日突然、胸の痛みを生じたんです。心臓の辺りです。よくあるものなんですが、典型的な場合は、息を大きく吸ったときに、短い強い痛みをちくっと感じることがあります。これは特発性胸痛と言われまして、器質的な背景はほとんどない、心配の要らないものであるということが、疫学的に知られていますが、この状態でこの方が親御さんに連れられて近くの病院を受診したところ、心臓の辺りが痛いということからか、そこの病院でこれは大変かもしれない、場合によると死亡するかもしれないから、すぐに大学病院に行きなさいと言われ、家族が大パニックになり、その大パニックの中で、中学生の男の子は動けなくなってしまいました。そこに至るのはあっという間です。もちろんその子自身の過敏さもあるかもしれませんが、中学生ですら、周囲の不安が非常に強いときには、このような大きな反応性の症状を示すことがあるということです。

 いずれにしても、両方の経路から、特に陰性感情が何を起こすかというと、それまでは早く治らないか、何とか元通りにならないかと思っていた希望や願望が、予防接種のためにこうなったんだから、治してほしいという要求に変わってしまう。要求に変わってしまうと、この問題を自らが対峙し、自ら対処していくべき問題という、現実的な対応の姿勢が取りにくくなってしまいます。周りからやってくれという。

 そして、適切にこういった状況を言語化できない。ないしはある程度言語化しても、これまでと同じような対応を繰り返されると、言語化以外の表出の手段をとられる可能性が出てきます。ここに機能性の身体症状が出現する意味が起こってくることになります。

(PP)

 症状が悪化、変化、固定・慢性化するという背景としては、今、お話したように、症状がある種の機能を獲得する。

 その機能というのは、さまざまな不安や怒り等の陰性感情の表現手段であったり、自分への注意の獲得、訴えても受け入れてもらえない、理解されないことに対する注意の獲得の手段であったり、自分は本当に悪いんだという、ある種の正当性を主張するための手段であったり、何らかの形での相手への報復的な意味合いがあったり、症状が患者さん側にとってある種の意味を持つことが、機能性の身体症状が固定する大きな背景となり得ます。なぜかといいますと、意味しているところに手だてしないと、症状が変わらないということがあるからです。

(PP)

 一方、事前にストレスがある場合はどうなるのか。

 ワクチンによる痛みと陰性感情のところは、今、お話したことと同じなんですが、事前のストレス状況下で、何とか対処して、大きな問題が表面化しないでやってきていた状況があったわけです。ここに痛みと陰性感情が起こることで、同じように機能性の身体症状が出現する意味が出てきます。

 ただし、この意味は、今、お話した意味と同じ部分もありますが、大きく違う点は、そこにあるように、事前のストレス状況から回避するという機能が症状に加わることになります。そうしますと、単に症状の固定化だけではなくて、この状態では、症状をよくしようとする周りの働きかけをすればするほど、もとに戻されるわけですから、むしろ抵抗する。したがって、一生懸命やっているに悪化していく。最初は簡単に痛みを訴えていただけなのが、歩かなくなるどころが、非常に派手な症状がどんどん発展することがあり得るということになります。

(PP)

 このように、1つの心理的プロセスを考えますと、治療に関する1つの考え方としては、ここに挙げてあるように、解釈モデルの不一致を何とか整理していく必要がある。

 それと原因の一時的な棚上げ、休戦条約を結んで、現実的な対応に患者さんの目を向けさせることが、意味を持ってくることになります。

(PP)

 一つ一つについて、要点だけお話させていただきます。

(PP)

 解釈モデルと申しますのは、皆様御承知のように、もともとはかなり古いんですが、医療人類学の領域で使われてきた概念です。いずれにしても、病気や病的状態に関する考え方は、いろいろな原因であったり、病状の重さであったりします。この解釈モデルには、その人自身が、今、自分が罹患している病状、病気そのものと、その人が自分自身ないしは周りの人から見聞きした病の経験、この2つがあると言われています。

 ちなみに、小児科領域では、バルネラブル・チャイルド・シンドロームという言葉があるんですが、子供はそんなに大したことないのに、親が非常に心配して、医療機関を頻回に受診する。何度大丈夫だと言っても、でもと言って来る。そのような方は、多くの場合、母親が多いんですが、母親自身ないしは母親の身近な人に大きな病気で、例えば子供さんが亡くなられたとか、そういう病の経験を持っておられる方が少なくないと言われています。このような母親は、子どものちょっとした変化に対する解釈モデルが、一般的な視点とかなり異なってきているわけです。

 そして、結局、診療行為というのは、医療側と患者さん側の解釈モデルのすり合わせをすることがとても大事で、すり合わせがうまくいくことで、患者さん側は医療側が提供する治療方針を受け入れることになります。このすり合わせがないままに治療方針を提供し、治療を進めると、患者さんは治療を受けながらも、不満を持ち続けることになります。

(PP)

 患者さん側がどのような解釈モデルを持っているのかということを理解することは、極めて重要になります。その基本は傾聴です。

(PP)

 会話のスキルとあります。非常に僭越ですが、傾聴というのは、具体的にどんなふうにするのかという、例えばの例です。共感、共感的理解、受容ということは、言葉ではよく言われますが、具体的にどういうふうにするのか。要するに相手の気持ちや行動を言語化し、相手の言葉を繰り返してあげる。行動論的にはそのようになります。これは後でごらんいただければと思います。

 そこに○とか×とか△と書いてあるのは、こんな言い方よりは、○のような言い方のほうがいいですという一例です。△や×は、患者さん側にある一定の先入観や方向性を与えてしまいかねないことになります。

(PP)

 それから、4つの質問タイプと言われるものがあります。これは見ていただければわかるんですが、医療の診察の場で、普通行われるのは上の2つです。

 最初はCircular Questionといって、問題が提示されて、患者さんの主訴があり、そこから背景は一体何なんだろうということをいろいろ探る質問をし、その問診や診察の中で、医療側にはこういう病気ではないかという、ある一定の仮説が成立します。仮説ができ上がりますと、一番上のLinear Questionで、仮設を検証する、あるいは否定することの有無を確認していくことになるわけです。

(PP)

 傾聴というのは、基本的には患者さんあるいは御家族の疾病観を把握していくことになるわけですけれども、その際、いろいろな問いかけがあるわけですが、このときの質問は、今、お話した中では、Circular Questionという形式を中心とする。

 そして、合間に合いの手を入れるということですが、合いの手は、先ほどお話した共管・共感的理解・受容のスキルです。

 こちらの判断や解釈は、基本的には加えない。

(PP)

 それと並行して、医療側の解釈モデルの説明を行うことになります。このときに大事なことは、真ん中にある原因がわからないという状況に関しても、丁寧に説明することになりますが、なぜ原因がわからないのかという理由の説明がとても重要になります。

(PP)

 原因がわかる部分ももちろんあるわけですが、原因がわからない部分に関しては、正直にこれは1回保留にしましょうという提案をすることになります。そこで肯定すると、どうしても先に進めなくなってしまうからです。そこにあるような1つの流れで説明することになります。

(PP)

 現実的な方向での治療を進める上で、大事なことは、患者さんや家族が一体どのような方向性を望むのかということなんです。当たり前ですが、今の状態が完全によくなることですが、そこに一気に向かえない。向かえるのであれば、当然するわけですから、向かえない場合には、その前段階として、どんなふうになったらいいでしょうか、どんなことができたらいいでしょうかということで、それを非常に小さく落とし込んでいきます。

 そこに鍵括弧で書いてあるのは、1つの言い方の例だと思ってください。

 そして、いろんなことが出された中で、最も現実的な要望を選ぶことになります。

(PP)

 そうすると、選ばれた望ましい状態に向けて、具体的に何をしましょうかということになるわけですが、今、機能性の身体症状を前提にしておりますので、直接症状をなくすとか、軽減するということもそうですが、それよりも、その症状があっても何ができたらいいかという、そういう前提になります。

 そのためにはこういうことをということで、患者さん側と一緒にできること、例えばずっと自宅で休んでいる子が、学校には少しずつでも行きたいという要望を出したら、それは非常に現実的ないい方向ですので、それを何とかしましょう。学校に1日でも、週1回でも行くようにするには、どうしたらいいでしょうか、そのような形になるわけです。

(PP)

 提案されました方法の中から選ばれたものを、あとは実際に実施していくことになります。

 経過中とても大事なことは、それによって、患者さん側に生じたわずかな変化を捉えて、それを強化してあげる。共感、喜んであげるということです。

 それと、無理をさせないということの保証が非常に大事です。なぜかといいますと、最初にお話したように、症状には意味があります。機能性の身体症状には意味があります。その意味というのは、患者さんにとってのものです。したがって、一気に直そう、改善しようとすると、症状の持つ意味が改善されない限りは、うまくいかなくなります。

 そんな中で、解釈モデルの確認も並行して行うことになります。

(PP)

 望ましい状況に向かわせるということで、望ましい状態とは何だろうかというときに、子供の場合、とても重要なことは、その子供の年齢相当の普通の体験にできるだけ戻すということです。これが現実的な対応になります。

 なぜならば、3番目にありますけれども、大人と違って、小児は成長・発達するという力に期待できるところが大きいからです。たとえ症状があり、それで苦しみ、それでいろんなことができないという状況があっても、その中でも、その子なりの生活、社会体験をしていれば、半年あるいは1年経つと、今、対処できなかったものも、1年後には対処できるように、本人の成長が期待できます。残念ながら、大人はそうではありません。30歳の人を1年待って、31歳になったらできるようになるということはなかなかなくて、新しいスキルを入れないといけないんです。

 そして、子供をそのように成長させるものは、圧倒的に学校です。学校の持つ治療的な意義というのは、皆さんもよく御承知だろうと思います。東日本大震災、阪神・淡路大震災のときにもそうでしたが、学校の早期の再開が、最も子供たちの精神保健にプラスに働いています。ということで、とにかくいろんな配慮・手段をとって、少しずつ学校に戻すというのが、何より優先されます。ですから、望ましい状況に向かう、望ましい方向、とり得る手段というのは、年齢相当の社会生活にどのように復帰するかということを、実は想定しながら考えていくことになります。

(PP)

 今回もそうですが、最終的に不登校状態になってしまっている方も少なくありません。これは一般的な不登校の状態に対する考え方の1つの例だとお考えください。

 どんな変則的な形にせよ、学校に向かっている場合には、その状態を維持することを基本と考えます。例えば週1回1日行けている子を、どうやって2日行けるようにしようかとは考えない。週1日行けている状態を維持する、週1日が2週間に1日に落ちないようにすることを心がけます。なぜならば、週1日しか行けていないことは、それが今のその子にとって精一杯だと考えるんです。それ以上に頑張らせると、心のエネルギーが枯渇してしまう。そうすると、またダウンしてしまうことになります。そのためには、絶対に無理をさせないことがとても大事です。

(PP)

 一方、完全に行けていない、全欠席状態、不登校のお子さんにはそういう方も多いんですが、このような場合にはどうするかというと、そこにあるような規則的な生活リズム、生活時間、定期的な外出、これが一番難しいんですが、毎日ちょっとでもいいから勉強するということです。この3つを完全にやれていれば、その子が1年間学校に行けていなくても、最終的には何とかなります。今、言ったのは、少し言い過ぎかもしれませんが、このような3つのことをとやりましょう。

 全く学校に行けていない状況の子供たちも、当たり前ですが、その状況を自分でいいとは思っていません。決してハッピーではないんです。何とかしなければと思いつつも、何をしていいかわからない、どうしていいかわからないということで、このように具体的な行動目標を与えるんです。これをやると大丈夫だということです。

 何となくおわかりいただけると思うんですけれども、毎日夜早く寝て、朝きちんと起きて、そして、家に閉じこもらない、勉強もしていたら、それはよくなるだろうということです。よく考えると、そこまでいけたら誰も苦労しないということになるんですが、それをあたかもこうするといいんだという、具体的な行動目標として設定してあげることで、行けていない子供たちに、何とかなるんだというモチベーションを持たせることができます。

(PP)

 今回このように考えてみると、予防に向けての提案の1つのあれですが、きょうお話したような推定は、もちろん全ての事例に該当するはと思いません。もし該当する事例が何例かでもあるのであれば、そうした事例はある程度予防できるかもしれない。

 1つの案としては、中学生・高校生を対象として、ワクチンの痛み対する意識調査をして、一般的なイメージを把握する。

 そして、その調査結果をもとに、今回のワクチンも含めて、ワクチンの痛みというのは、一体どういうものなのか。普通の予防接種は皮下注射で、これは筋肉注射で、痛みというのは、これぐらい違うんだということを説明するような文章をつくって、ワクチンの接種前に配付する。

 それから、ワクチンの接種時の問診票に痛みのイメージに関する質問項目を1項目加えて、この痛みのイメージが軽い子供に対しては、今回のワクチンは、残念ながら、あなたが思っているよりは、ちょっと痛いということをだめ押ししておくことでも、少し違うような気がいたします。

 最後は可能ならということになります。

(PP)

 あとは御参考までですので、見ていただければと思います。

(PP)

 なお、きょうの資料の一番最後、参考資料の最後につけてありますが、今、お話したような治療構造の内容を、1人の医者、1人の診療科が全て行うのではなくて、役割分担をして行うことが望ましいのではないかと思います。

 以上です。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。大変複雑な心身の反応、あるいは機能性身体症状を、非常にわかりやすく、かつ学問的にも御説明いただいたように思います。

 今の御発表に対して、質問や御意見等をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○岡田委員 具体的な説明をどうもありがとうございました。

 私も小児科医でございますけれども、一番最後のスライドで、痛みに対するイメージが軽い子に対して、このワクチンは少し痛いということを説明することが、今回の先生の新しい御提案だと考えてよろしいんでしょうか。

○宮本参考人 新しいかどうかはわかりません。つまり同じ状況であっても、事前に機序なり、そうなるということがわかっていれば、不安が軽くなるという意味合いです。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○岡部委員 岡部と申します。ありがとうございました。

 お尋ねをしたいのでけれども、この委員会でも心身的な反応であるとか、心の問題、あるいは心因性反応いう言葉がときどき出てくるんですけれども、これは一般に気のせいだという捉え方がよくされるような気がするんですが、必ずしもこれは気のせいとか、そういうことではなくて、反応性としては、いわゆる病的な状態ではないかと思うんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

○宮本参考人 まさしくそのとおりだと思います。今回の状態全てがそうだとは思いませんが、今回の副反応で出ている症状で、それを説明する身体的な問題が見つからない場合、該当するものとして思い当たるのは、いわゆるコンバージョンです。転換性の障害、あるいは転換性の症状で説明するのが、最も妥当だろうと思います。ただし、これは古典的なヒステリーという意味ではありません。それで心因性という言葉を使わないで、機能性とお話したわけです。

 今、新しいものでは、Conversion Disorderの別名をFunctional Neurological Symptom Disorderという名前にしてあります。必ずしも心理ということは強調しない。体の病気ではないけれども、確かに運動性や感覚性の障害は起こっているんだという、その意味合いだけを提示しています。そして、その中にいろんな要因があるけれども、心理的な要因もあるかもしれないし、あるとすれば、このようなことも考えられます、そのような説明になります。

 よろしいでしょうか。

○岡部委員 ありがとうございました。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○多屋委員 きょうは、大変わかりやすい、具体的な御説明をありがとうございました。

 私も小児科医なんですけれども、1つ教えていただきたいのは、痛いワクチンであるとういうことは、確かにそのとおりだと思うんですが、その説明のタイミングなんですけれども、非常に痛いワクチンなんですということをお子さんに説明するタイミングとして、最も適した時期はどのような時期があるんでしょうか。

○宮本参考人 根拠はありませんけれども、余り早い段階でないほうがいいだろうと思います。1日前とか、2日前です。お子さんの中には、逆に過敏になってしまうこともあるかもしれません。

○多屋委員 ありがとうございます。

 血管迷走神経反射も比較的多く届けられていたものですから、痛いということをいつ説明するのがいいのかと思いまして、御質問させていただきました。接種をする直前ぐらいの段階で、痛いかもしれないということを、丁寧に説明して差し上げることがよいと理解してよろしいでしょうか。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○柿崎委員 御説明ありがとうございました。

 機能性胸痛の後に、全く動けなくなってしまった中学生の例を挙げられていたのですが、その方の症状というのは一過性なのでしょうか。何らかの誘因があって、動けなくなる症状が出るのか、あるいは、特定の誘因なしに、また起こったりするのでしょうか。

○宮本参考人 先ほど例に挙げた患者さんは、入院しましたけれども、3~4日で完全に治ってしまいました。再発もありません。

 これはとても大事なポイントなんですが、小児の場合には、いわゆる古典的な神経症のイメージのような、心の葛藤であるとか、おどろおどろしい心理的な悩みなんか何もなくても、割と簡単にというと言い過ぎですけれども、神経症性障害というよりは、古典的な言い方でいうと、原始反応とか、反応性というか、不安と予期不安がベースでなってしまう方がいます。そのような方の場合には、1回安定すれば、再発はほとんどないと考えていいと思います。

○柿崎委員 中には繰り返し起こす方もいらっしゃるのですか。

○宮本参考人 あると思います。その場合には、機序が違ってきます。先ほどお話したように、既に何らかのストレス状況にあったりしています。つまりその場合には、副反応でも、それ以外の問題でも、今、起こったのは、たまたまあった1回であって、ほかのことがあっても、ほかの状況で何か起こしたかもしれないという意味です。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○遠藤委員 きょうはどうもありがとうございました。

 最後のスライドの中に、相談窓口が必要なのではないでしょうかという記述がありましたが、この場合の相談窓口というのは、どんな形の相談窓口がよろしいのでしょうか。例えば先生のような小児科の窓口がいいのか、精神的な部分のものとか、いろいろ複雑だというお話だったのですけれども、実際に窓口をつくるとすれば、先生はどんな形のものがよろしいとお考えでしょうか。

○宮本参考人 あのプロセスでいくと、多分痛みがあっても、ある程度我慢するとか、納得してしまう方もいるだろうと思いまして、それでも続いたり、不安が強い場合の方を想定しています。その場合の窓口は心理でないほうがいいです。医療関係者で、医師でも看護師さんでもいいと思いますけれども、これはマンパワーの問題です。

 そこで大事なことは、とにかく聞いてあげることです。いろんな訴えを黙って聞いてあげて、そして、それは心配ですねと共感をする。つまり痛みそのものを訴えているのではないんだということを理解して対処してあげることが大事で、その中で、どうしても御心配なら、こういうところもありますという紹介先の情報を提示することでいいのではないかと思います。

○遠藤委員 ありがとうございます。

○桃井副反応検討部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○宮本予防接種室長 事務局から失礼いたします。

 一番最後のページに心の診療とはというところがございましたが、私どもはどうしても最終的に具体的な体制がどうなればいいのかと考えますので、診療科も含めて、この時点で何か御示唆いただけることがあれば、ありがたいと思います。

○宮本参考人 スライドを何枚か戻っていただけますか。今のものでいいです。後で参考のところをごらんいただければと思います。結局さまざまなストレッサー、ストレス状況から、安定するのか、それとも問題が発現するのかは、そこに四角である4つの因子の相互作用、力関係で決まるという考え方です。左側が問題回避に向かわせる要因、右側が問題出現に向かわせる要因です。このバランスです。したがって、ストレッサーそのものへの関与が普通はできないのがほとんどです。ワクチンにしても、打ってしまったわけですから、なかったことにはできないので、多くの場合、ストレッサーに介入できるのは、いじめと虐待だけです。今もそれが続いているときだけです。そうすると、本人の弱さを何とか弱めるか、強さを高めるか、援助システムを高めるか。でも、子供の弱さを小さくするというのは、現実的にはなかなか難しいです。ということで、左側に対応することになり、そして、それぞれ行う方法として、最後のところにもありましたが、それをどこが役割分担するかということになるわけです。

 援助システムというのは、基本的には人の関係になりますので、いわゆる心理的なサポートが中心になります。個人の特性に関しては、ここが医療やリハビリの役割になる。かつリハビリがとても大事だと思っておりますが、それは治るきっかけを与えてあげるということです。何もなければ治らないという言い方は変ですけれども、そのために具体的にこういうことをするんだ、そのような考え方が大事だと思います。

 今の御質問とぴたっと合っていないかもしれませんけれども、医療に対するさまざまな疑心暗鬼というか、不安がある。それに対しては、医療がきちんと応えなくてはいけない。それとリハビリ的な対応をする。心ではなくて、身体的にかかわってあげる部分です。本当は心かもしれないけれども、それを身体的な問題として扱ってあげるという意味です。

 あとの心理の部分は、必ずしも精神科である必要はないだろうと思います。病理性が強い場合には、精神科が必要になりますけれども、それは状態で大体判断できると思います。そこは必ずしも心理でなくてもいいだろうと思います。要するに本人や御家族が自分の気持ち、いろんな部分や不満を聞いてもらえた、受け入れてもらえた、理解してもらえたという思いを持つことが大事で、その医療機関なり、その地域で担当できる役割の人がいればいいと思います。

 よろしいでしょうか。

○宮本予防接種室長 ありがとうございます。

○桃井副反応検討部会長 最後に1つ私からお伺いしたいのですが、この治療の中で一番大変なところは、医師と患者さんの解釈モデルの不一致をどう修正のルートにもっていくかというところで、一番敷居の高い難しいところだと思うんですが、それが1人の医師あるいは何らかの委員会なりグループが、患者さん10名、20名、50名に向かって、幾ら言葉を尽くして説明しても、病気の解釈モデルの不一致の修正にはなり得ないと思うんです。これに関して、先生から何かサジェスチョンがあれば、お願いします。

○宮本参考人 おっしゃるとおりで、ここには今までの治療構造に入っていない人が、入るのが一番いいと思います。少なくとも、今、回復に向かっていない場合の話です。導入はどういう形でもいいと思いますけれども、その場合、それはその医療機関で、例えば筑波だったら、私のところに来るだろうと思いますし、そういう形で、心理の人でもいいし、あるいは看護師でもいいし、私はMSWでもいいんだろうと思います。ポイントは、今までの治療構造とちょっと違う立場にいる人です。患者さん側がこの人は比較的中立的な立場だと捉えれば、いろいろ話に乗ってくださるかもしれません。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 大変わかりやすく、かつ学問的に御説明いただき、参考になりました。宮本先生、大変ありがとうございました。

 それでは、次に移りたいと思います。

 前回までの議論で、接種に当たり、どのような注意すべき情報が提供できるかということを種々御議論いただきました。そのまとめが資料11、それに関しまして、どのような医療機関で受診をしたらいいかということも含めた資料が資料12にございますので、資料11と資料12について、御説明をお願いいたします。

○宮本予防接種室長 資料11でございますけれども、前回の1月20日の合同会議におきまして、検討いただきました内容を、簡単にですが、まとめております。

 1番目としまして、接種前に十分な説明を行うことということで、接種部位に強い痛みが生じやすいワクチンであることですとか、有効性などについて、説明を行うことが重要であるという意見がございました。

 2つ目ですけれども、接種後に強い痛みですとか、生活の質が低下するような事態が生じた際には、それ以降の接種の中止や延期を検討することはどうかということでした。

 3つ目としましては、予診票に関してですけれども、過去に予防接種を受けた際に、強い痛みなどの苦痛を受けたことを自己申告していただくような、そういった内容にしてもらえるように、見直してはどうかということでした。

 4つ目としまして、安心して接種が受けられるように、かかりつけ医での接種を推奨してはどうかという御意見がございました。

 特に最後のところに関連すると思っておりますけれども、資料12の説明をさせていただきます。

 これはサーバリックスとガーダシルそれぞれについて、どういった医療機関、診療科で接種をされたのか、副反応報告については、どの診療科からいただいたのか、副反応報告のうち、広範な疼痛ですとか、運動障害症例、今回、御検討いただいておりますような、比較的重いものも含まれる方々が、どういった診療科から報告が出されているのかということで、メーカー、私どものデータを整理いたしまして、まとめたものでございます。

 マル1診療科について見てまいりますと、病院、一般内科が多く、小児科、産婦人科もそれに続くということで、これが現状行われております、接種の診療科の現状になろうかと思います。

 一方で、副反応報告を提出いただいた診療科については、なかなか解釈が難しいとも思っておりますが、ごらんいただきますように、サーバリックスについては、一般内科、小児科、産婦人科、その他ということで続いておりまして、どうしてもわからない部分が相当程度あるということでございます。

 マル3の広範な疼痛・運動障害症例についても、同様でございます。

 今、御説明しましたのは、サーバリックスでございましたけれども、カーダシルについても、同様の分析を行っておりまして、傾向としては、同様の傾向が出ております。

 一番最後の3ページ目に、サーバリックスとガーダシル、両方を合わせたものをまとめております。

 メーカーにはかなり御尽力いただき、私どもも努力をして、こういったデータをつくったところではございますけれども、正直申しまして、一定の傾向、どの診療科だけが副反応を出すとか、報告をいただく割合が高いとは、この中ではなかなか言い切れないと思っております。

 また、副反応報告をいただく割合も、例えば小児科のよく予防接種のことを御存じの先生のほうが、出しやすい傾向があるかどうかですとか、さまざまなバイアスといいますか、要因もあると思いますし、この中で、一定の傾向があるとは申し上げにくく、そうしますと、資料11のところで申し上げた、かかりつけ医での接種というのは1つのお考えかとは思いますけれども、これを積極的に示唆するまでのデータの状況ではないと思っております。

 以上です。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 これにつきまして、御意見を頂戴して、特に資料11については、もう少し御意見を頂戴した上で、適切な情報提供にしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○岡部委員 詳細な報告をありがとうございました。

 どこでどういう接種を受けたかということなんですけれども、実際に一番問題になるのは、かかりつけ医でということよりも、かかりつけ医がいない年齢であるということです。したがって、一般論としてよくみてもらっていた昔の小児科医か、あるいは現在お母さんがよく診てもらっている先生とか、そういう意味で説明が行き届きやすい医師、あるいは話しやすい医師というのが、私の意見として言いたかったことです。極端な言い方をすると、ぽっと行ったところで、ぱっとやってくれるということがないようにしたほうがいいのではないか、という意味合いになります。

○桃井副反応検討部会長 前回の議論もそのような形でいただいたと思います。子供の不安を増強させない、なじみのある環境といいますか、安心できる環境といいますか、それは多くの方にとってはかかりつけ医であろうということで、ここにかかりつけ医と出ているのだと思いますが、別の環境でもなじみがあればということが言えるように思います。

 ほかに御意見等はおありになりますか。岡田先生、どうぞ。

○岡田委員 資料11で、追加として、きょう、宮本先生のお話にありましたように、私もかかりつけ医という言葉は残してほしいです。痛みが出たときに、かかりつけの先生だったら、今までの話をある程度聞いてもらえると思います。そうでない場合、不安が残って、負のスパイラルがめぐっていくと思います。もし痛みがあった場合には、対処法というか、そういうものもどこかに書いていただければありがたいと思いました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 多屋先生、どうぞ。

○多屋委員 1つは、私も今の岡田先生の御意見と一緒で、強い痛みを訴えた場合にどうするかということがあるといいと思ったのと、もう一つ、先ほど少し御質問させていただいたところと重なるんですが、1番の接種前に十分な説明を行うことのところに、接種部位に強い痛みが生じることについては、比較的接種のすぐ前に丁寧に行ってあげることが必要だと思います。有効性については、事前に十分な説明があってもいいと思うんですけれども、強い痛みが生じやすいワクチンであることについては、比較的接種のすぐ前にということが入るといいと、先ほどのお話を伺って思いました。

 以上です。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。倉根先生、どうぞ。

○倉根委員 資料11なんですけれども、今、説明では、科ごとに副反応の報告があるとは言えないということなんですが、例えばサーバリック+ガーダシルを見ると、一般内科で50%の方が受けていて、副反応報告の辺りを見ると、3分の1ぐらいまで下がってくるというのは、接種者全体の数とすると、かなりの数なんだけれども、副反応報告の数、特にマル3の広範な疼痛等であると、数が大分少なくなってくるので、ここについては、そこまでの相関というか、そこまでの結論を出すのは難しいのではないかというのが、事務局の判断なんでしょうか。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○宮本予防接種室長 今の御指摘は、1ページ目のサーバリックスのマル2の接種を行ったドクターの診療科の内訳等のことに関するものと思いますが、1つは不明が多く、そうしますと、各診療科の関係というのは、これだけ不明が多いと、解釈が難しいということで、そのように申し上げました。

○倉根委員 不明の部分が多いのでということですね。

○桃井副反応検討部会長 多屋先生、どうぞ。

○多屋委員 サーバリックスとガーダシル、資料12なんですけれども、サーバリックスのほうでは、非常に不明が多いんですが、ガーダシルのほうはほとんど不明がないんですけれども、それには何か調査の違いがあったのかということと、もう一つ、以前、使われていた予防接種後副反応報告書では、報告者の記載欄と、接種場所の記載欄の両方があったんですが、接種場所の記載欄が現状ではなくなっています。もしこういうことを把握しておくことが重要であると判断されるのであれば、予防接種後副反応報告書の中に、報告者と接種場所の情報を書き込んでおくと、不明の部分が少なくなるのではないかと感じました。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。道永先生、どうぞ。

○道永委員 資料11なんですが、1.は有効性という表現でよろしいかと思いますけれども、なぜその年齢で打たなければいけないかということが、一番理解してほしいことだと思うので、そういった表現を入れていただけたらと思います。

○桃井副反応検討部会長 接種する理由でしょうか。

○道永委員 そうです。その年齢でということです。

○桃井副反応検討部会長 その年齢で接種する理由及び有効性ということですね。

 ありがとうございます。

 ほかに御意見いかがでしょうか。

 それでは、いただいた御意見ですが、文章は後で相談して、よりわかりやすい文章にしたいと思いますが、1番に関しましては、子宮頸がん予防ワクチンは、接種部位に強い痛みが生じやすいワクチンであること及びその年齢で接種をする理由、ワクチンの有効性について、接種前に十分な説明を行うこと。医療現場で接種前に長々時間をかけて、有効性とその年齢で接種をする理由を説明するというのは、なかなか難しいので、その辺を少し区別して記載する必要があるかと思います。

 2番目は特にこのままでよろしいと思います。

 3番目もこのままでよろしいと思います。

 先ほど宮本先生からいただいた御意見で、痛みのイメージに関するチェック項目があると、よりよいのではないかということは、接種部位に強い痛みが生じやすいという説明でよろしいでしょうか。

○宮本参考人 参考人ですから、余り意見を述べる立場ではないと思うんですが、個人的な意見として、痛みが起こるだけではなくて、先ほどお話したように、大事なことは、それまでにその人が持っているイメージと違うということなんです。したがって、なぜ普通のワクチンよりも痛いのかという、その理由を書いたほうがいいと思います。

 説明はどうでもいいんですが、中学生・高校生レベルだと、普通のワクチンは皮下注射なんだけれども、これは筋肉の中に入るのでとか、大人ですと、もう少しこういうことで痛みが強く起こるということで、メカニズムがわかっていると、同じ症状があっても我慢できることがありますので、書き方はさまざまかと思いますが、1つの参考意見として受け取っていただければと思います。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございました。

 4番目ですが、資料12からは、何科ということは、データとして明確に出せないけれども、文章としては、子供たちが安心して接種を受けられるように、ここはさまざまな御意見がありましたが、かかりつけ医等のなじみのある医療環境ということでいかがでしょうか。かかりつけ医等のなじみのある医療環境での接種を推奨することでよろしいでしょうか。

 以上の御意見を頂戴いたしました。

 特に何か追加はおありなりますでしょうか。どうぞ。

○多屋委員 先ほどの予防接種後副反応報告書について訂正なんですけれども、接種医、接種場所の記載欄もあるようなんですが、不明はあり得ないということになりますね。なので、そこに何々科というところまで書いていただいたりすると、不明がなくなると思います。訂正です。よろしいですか。

○桃井副反応検討部会長 医院名があっても、きっと診療科がわからない書き方になっているんでしょうね。

○宮本予防接種室長 診療科の情報は、複合的な面がありまして、例えば産婦人科と書いてあれば、クリニックで、非常にわかりやすいわけですけれども、クリニックとだけなっていると、一体それは何科として扱えばいいのか。その辺りも割り切りで集計はしておるんですが、お一人の先生が必ずしも1対1、診療の実態としてあるかと思います。今回初めて行ったものですので、今後、同様の調査を行う際には、どういった工夫があるのか、また考えてまいりたいと思います。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほど申し上げましたように、まとめさせていただきました。細かい文言につきましては、微修正をして、また皆様方に見ていただこうと思います。

 以上でございますが、前回、申し上げましたように、これまでの議論を集約して、報告書を作成する方向です。その報告書の作成に関しましても、皆様に御尽力をいただきつつ、完成をしてまいりたいと思います。

 以上でHPVの議論は終了でございます。

 次の議題は、議題(1)でございますので、五十嵐先生に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございます。

 それでは、議題(1)の各ワクチンの安全性について、検討したいと思います。

 事務局から、資料1から資料3まで、説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料1から資料3まで説明させていただきます。

 その前に、本日、議題とされておりますワクチンにつきまして、少し説明をさせていただきます。

 昨年9月の合同会議におきまして、その後、検討するワクチンについて説明をさせていただいておりました。ただ、その後、同時接種の症例の取りまとめ等につきまして、委員の皆様から御指摘をいただいております。これらのことを踏まえまして、昨年9月の合同会議で説明させていただきました、検討するワクチンにつきまして、一部変更しまして、本日の合同会議におきましては、比較的同時接種が行われていないワクチンにつきまして、副反応の報告の状況をまとめさせていただきました。次回の合同会議では、比較的同時接種されることが多いワクチンにつきまして、御議論いただきたいと思っております。御了解いただけますよう、お願いいたします。

 また、現在、本会議の事務局を務めております結核感染症課、安全対策課、医薬品医療機器総合機構、国立感染症研究所におきまして、症例の取りまとめやロットの表記などについて検討しております。結果につきましては、資料の形になって御報告されると思いますが、この場をおかりして、状況を御報告させていただきます。

 それでは、資料の御説明をさせていただきます。

 資料1をごらんください。麻疹、風疹混合ワクチンの副反応の状況をまとめております。

 まとめ方につきましては、従来と同じとなっておりまして、今回は昨年7月から12月までの報告をまとめております。

 表紙の真ん中の表になりますが、この期間の医療機関への納入数量をもとにした接種可能延べ人数は約113万人であり、製造販売業者からの報告は12件、報告頻度は0.001%、医療機関からの報告が、非重篤のものを含めまして20件、報告頻度は0.002%、重篤のみが8件で、報告頻度は0.001%であります。昨年9月に報告しましたMRワクチンの報告頻度と同じでありまして、また、ほかのワクチンの副反応の報告頻度と比較しまして、特段高いものではございませんでした。

 そのうち、下の表は、製造販売業者からの報告と医療機関からの副反応報告のうち、医師が重篤として報告したものでございます。直近で得られた転帰の情報をまとめた表となっております。

 2ページ以降は、個別症例の概要を一覧にしたものでございます。

 年齢につきましては、今回から、わかる範囲ではございますが、記載をさせていただいております。

 8番の症例のアナフィラキシーにつきましては、専門家に経過などを御確認いただいております。

 7ページをごらんください。アナフィラキシーとして報告された症例につきまして、専門家の方に御確認をいただき、ブライトン分類として、レベルが4と評価をされて、因果関係につきましては、情報不足とのコメントをいただいております。

 事務局としましても、アナフィラキシーとは判断できないという判断をしております。

 8ページ目に後遺症症例のケースの概要を掲載しております。

 本症例は、9月12日の合同会議において、転帰は回復とされていた症例でございますが、その後の追加情報を含めて、転帰が後遺症となったことから、今回の会議において、概要をより詳細に紹介させていただくものでございます。

 専門家からの御意見をいただいており、接種10日後に脳症が発現しており、また、ほかのウイルスやほかの株の可能性もあるが、咽頭ぬぐい液から、麻疹ウイルスが検出されていることから、ワクチンによる副反応の可能性は否定できないなどの御意見がございました。

 9ページの表は、昨年4月からの副反応のケースをまとめたものでございます。

 続きまして、資料2を御説明させていただきます。

 資料2は麻疹ワクチンの副反応の報告状況についてで、昨年7月から12月までに、約3万5,000回分の医療機関への納入がございまして、製造販売業者から2件、医療機関から重篤症で1件が報告されております。報告頻度は、9月の合同会議のときと比べて大きな差はなく、ほかのワクチンの報告頻度と比べても、特段高いものではございませんでした。

 2ページ、3ページが個別症例の概要となっております。製造販売業者からは、ギランバレー症候群とアナフィラキシー、医療機関からは、おたふく風邪ワクチンとの同時接種で無菌性髄膜炎の症例が報告されております。

 無菌性髄膜炎の症例につきましては、ウイルスの検査が行われており、ワクチン株かどうかはわかりませんが、ムンプスウイルスが検出されたということでございます。

 医療機関からの報告のアナフィラキシーの症例につきましては、専門家に症例を御確認いただいており、5ページに評価結果などをまとめております。ブライトン分類で4、因果関係につきましては、情報不足で評価できないとの御意見をいただいております。

 事務局としましても、アナフィラキシーとは判断できないとしております。

 続きまして、資料3の風疹ワクチンについて、説明させていただきます。

 風疹ワクチンの接種可能延べ人数は約8万8,000回分で、製造販売業者からの副反応の報告が3件、医療機関からの報告はございませんでした。

 2ページに個別症例の概要がございます。

 1番の症例につきましては、切迫流産の症状がございましたが、結果は正常に分娩されたということでございます。

 麻疹、風疹、混合ワクチンに関する資料の説明は以上でございます。

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御意見、御質問はありますでしょうか。

○岡部委員 質問をよろしいでしょうか。MRワクチン接種で、専門家の意見を伺っている症例で、資料1の後ろから2枚目の裏側になりますけれども、これは接種された方が、急性脳炎ないし脳症の症状を起こしているわけです。麻疹ウイルスが咽頭ぬぐい液からPCRで検出されているという記載はあります。この麻疹ウイルスがどういう麻疹ウイルスだったかというのは、わかりますか。つまり野生株であったか、ワクチン株であったか。ワクチン株であるとすれば、同じようなものであるのかとか、その辺の情報はないんでしょうか。

 もう一つ、時期もそうです。いつの時点で分離されているのか。

○事務局 まずウイルスの型ですが、これにつきましては、C委員のところにも少し書いてあるんですが、麻疹ウイルスの遺伝子型は同定しておりませんので、ワクチンのほうと比較できないということです。

○岡部委員 PCRでやっているなら、通常、遺伝子型までわかると思います。その原因が何かということは必要があるので、もしこの中になければ、後で調査をしていただきたいと思います。

○事務局 わかりました。結果として、判断はできなかったと伺ってはいるんですが、再度、確認をしてみます。

 あと、時期のほうもわからないということです。確認をいたします。

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございました。

 いかがですか。どうぞ。

○倉根委員 資料2の3ページ目に、おたふく風邪のワクチンと麻疹を同時接種して、ムンプスウイルスのRNAが出てきているという、無菌性髄膜炎があるんですけれども、確認ですけれども、この症例は資料4の中にも入っていて、後でディスカス、見ることになるんですか。それとも資料4には入っていないんですか。

○事務局 資料4の3番の症例と同じになります。4ページです。資料4の4ページの3番の症例になります。

○倉根委員 わかりました。そこでまた伺えばいいので、まずは確認だけです。

○五十嵐安全対策調査会長 それでは、後でよろしいですね。

 ほかはいかがですか。

 そういたしますと、MRワクチンと麻疹ワクチンで、それぞれ1例ずつ、アナフィラキシーの疑いということで、報告がされていたわけです。

○事務局 五十嵐先生、済みません。多屋先生から御意見がございます。

○五十嵐安全対策調査会長 どうも済みません。

○多屋委員 先ほどのおたふく風邪ワクチンのナンバー3番の方と、同じ方ということであれば、こちらにはワクチン株が検出と記載されているので、麻疹ワクチンの表にも、ムンプスウイルスRNA陽性株について、ワクチン株と掲載されてもよろしいのではないかと思いました。

○事務局 今、確認をしておりますので、結果は御報告させていただきます。

○五十嵐安全対策調査会長 御指摘ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。どうぞ。

○岡部委員 1点コメントです。先ほどのPCRにこだわるんですけれども、PCRというのは非常に鋭敏な検査だけに、コンタミがあったり、あるいは逆に野生株かワクチン株かどちらだということがよくわかるので、もしPCRで出てきた場合には、どこで検査がやられて、どういう結論が出ているのかというのは、もし疑問が出てくるようだったら、チェックをしていただいたほうが、より副反応の可能性があるのか、あるいはそうではないのかということが、議論しやすいと思うので、ぜひよろしくお願いします。

○事務局 御指摘ありがとうございます。

○五十嵐安全対策調査会長 すぐに結果は出ますか。わかりますか。確認できますか。

○事務局 済みません。もう少しお時間をいただければと思います。

○岡部委員 後でも結構です。

○五十嵐安全対策調査会長 それでは、後で御報告いただくことにいたします。

MRワクチンと麻疹ワクチンの先ほどのアナフィラキシーのことなんですけれども、ブライトン分類では、アナフィラキシーと言うことはできない。その理由は、情報不足があるので、わからない点があって、かつ因果関係がわからないという御評価だったと思います。

 それから、副反応の報告の頻度につきましても、これまで報告がありましたワクチンに比べて、特段高いということでもないということですので、現時点では何らかの対応を行う状況にはないので、引き続き、報告状況や報告内容に十分な注意をしていくという方針でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございます。

 それでは、先ほどの御質問について、後で御報告いただきたいと思います。

 それでは、次の資料4から資料7について、御説明をお願いいたします。

○事務局 資料4につきまして、説明をさせていただきます。おたふく風邪ワクチンについてでございます。

 昨年7月から12月までの医療機関への納入数量をもとにした、接種可能延べ人数は約45万人でございまして、製造販売業者からの副反応報告は16件ございました。また、医療機関からの報告は12件あり、その全てが重篤症例ということで、報告をされております。

 報告頻度は、表の下の欄、昨年4月から12月までのものと比べて、若干高くなっておりますが、これは昨年4月から6月までの3カ月間での医療機関への納入数量と、今回取りまとめを行った6カ月間の納入数量が、3カ月のほうが倍以上も多かったことによるものと考えられます。このようなことから、副反応の報告が急に高まったものではないと考えております。また、MRワクチンなど、ほかのワクチンに比べても、今回の報告頻度が特段高いということにはなっておりません。

 2ページは、副反応報告があったものの個別症例の概要でございます。副反応として、無菌性髄膜炎などが報告されております。これらの株について調査をしまして、わかったものにつきましては、ワクチン株かどうか、※をつけまして、記載をしております。添付文書におきまして、2,300人接種当たり1人に無菌性髄膜炎が発生すると報告されておりまして、この発生頻度と比較すると、特段今回のものが高いということではございませんでした。

 7ページに移りまして、アナフィラキシーとして報告された症例の評価になります。1番の症例が単独接種、2番の症例がインフルエンザワクチンと水痘ワクチンとの同時接種の症例でございます。

 ともに、専門家によるブライトン分類の評価は4以下となっておりまして、ワクチン接種との因果関係は否定できないという評価になっております。

 事務局としましても、アナフィラキシーとは判断できないとしております。

 続きまして、資料5の水痘ワクチンについて、説明をいたします。

 昨年7月から6カ月間の接種可能延べ人数は約45万人で、製造販売業者からの副反応報告は6件、医療機関からの報告も6件あり、うち重篤として5件の報告がございました。報告頻度は0.001%と、ほかのワクチンと比較しても、特段高いものではございませんでした。

 2ページにいっていただきまして、個別症例の概要となります。

 こちらも副反応名として、水痘あるいは帯状疱疹と報告されたものにつきましては、株の特定について調査をしまして、結果がわかったものについては、記載をしております。

 6ページにアナフィラキシーの症例の概要がございます。先ほどのおたふく風邪ワクチンと同じ症例でございますので、結果の説明は省略をさせていただきます。

 続きまして、資料6のA型肝炎ワクチンについて、説明をいたします。

 こちらも昨年7月から6カ月間の集計となっておりまして、接種可能延べ人数が約6万7,000人、副反応報告ですが、医療機関からの非重篤の報告が1件ございました。

 申しわけございませんが、資料の訂正がございます。1ページ目の下の表、重篤例の転帰でございますが、表の左側の製造販売業者からの報告で、回復/軽快の欄が1、合計の欄が1となっておりますが、今回の集計結果に副反応の報告はございませんでしたので、それぞれ0となります。重篤例の転帰の表の左側、回復/軽快の欄が0、合計の欄も0に訂正をさせていただきます。本日、差しかえ資料を1枚配付をさせていただいておりますので、それと差しかえをしていただければと思います。

 2ページは、医療機関からの非重篤として報告された症例の概要となっておりまして、嘔気、頭痛、倦怠の副反応がございます。転帰は軽快となっております。

 続きまして、インフルエンザワクチンの副反応報告の状況について、説明をさせていただきます。資料7になります。

 今シーズンの集計を行っておりまして、集計機関は昨年10月から12月までとなっております。

 表の一番下の合計の欄になりますが、製造販売業者からは48件、医療機関からは212件の報告があり、そのうち重篤として報告されたものが56件ございました。

 表の欄外、下に注意点を記載しております。一番上の※にございますとおり、昨年10月から12月までの医療機関への納入数量から算出した接種可能人数は、約5,300万人でございます。これを用いた報告頻度は、表の合計欄に記載しております。ほかのワクチンに比べても、特段高い状況ではございません。

 死亡例につきましては、同じ表の中に記載がありまして、合計で6件ございます。昨年10月から12月までの集計期間で6件ございまして、その後、3件の死亡例の報告がございましたので、それらにつきましては、後ほど説明をさせていただきます。

 3ページをごらんください。参考としまして、昨シーズン、一昨シーズンの副反応の報告数を掲載しております。今シーズンの集計は昨年10月から12月までのものでございまして、単純には比較できませんが、副反応の報告の数が、特段高いという状況にはございませんでした。

 4ページからは、副反応として報告された症例の概要となっております。

16ページまで飛びまして、アナフィラキシーとして報告された症例の報告数とブライトン分類で3以上とされた報告数、並びに報告頻度をインフルエンザのロットごとに集計した表になっております。

 表の一番下の合計になりますが、アナフィラキシーとしては24件の報告があり、うちブライトン分類で3以上とされましたものは15件ございました。

17ページは昨シーズンのものでございまして、それと比較して、報告数に変化はございませんでした。

 また、アナフィラキシーとして評価され、委員評価を行ったものが括弧内にございますが、特に多くなっていることはございませんでした。

 各製造販売業者ごと、ロットごとの報告数や報告頻度につきましては、ばらつきはございますが、特定のロットのみが高くなっていることもございませんでした。

18ページからは、アナフィラキシーとして報告された24件の概要となっております。

24ページをごらんください。ギランバレー症候群あるいはADEMの可能性のある症例について、まとめたものでございます。

 今シーズンは12月末までに7例の報告があり、専門家による評価を行ったところ、ギランバレー症候群として1例、ADEMとして2例は、副反応の可能性が否定できない症例とされております。

 それらの症例の概要は、25ページからございます。

28ページにいきまして、死亡症例についてでございます。1月22日までに報告されたものになります。

 1番の症例は、接種同日に敗血症が発現し、死亡された症例です。詳細につきましては、調査中でございます。

 2番の症例は、接種2日後に起床時から様子がおかしく、病院到着時には心肺停止の状態でございます。同日、死亡が確認されております。

 2番の症例につきましては、委員限りではございますが、より詳細な調査結果の資料がございます。資料の30ページからになっております。3名の医師に概要を見ていただき、基礎疾患が死因の可能性もある、あるいはその可能性が高いという御意見をいただいております。

 3番の症例は、接種翌日、起床数時間後に手が冷たく反応がない状態で発見され、搬送先にて死亡が確認された症例でございます。

33ページ以降に症例の詳細についての資料がございます。

35ページに専門家の御意見がございますが、死因は心不全か、そうではないか、分かれておりますが、ワクチンとの因果関係は考えにくいという内容となっております。

 4番の症例は、接種3日後に発熱、息苦しさの増悪があり、接種11日後に死亡された症例でございます。

 詳細は36ページ以降にございまして、37ページの下のほうに、専門家の御意見がございます。ワクチンと死亡との因果関係は考えにくいという内容となっております。

 また29ページの表に戻っていただきまして、症例の5番は、接種4日後に血小板減少性紫斑病が発現し、41日後に死亡された症例でございます。

 症例の6番は、接種15日後に脳炎が発現し、41日後に死亡されております。

 症例の7番は、接種2日後に掻痒症、5日後に肝機能障害、腎機能障害、心不全が発現し、14日後に死亡されております。

 症例の8番は、接種翌日に死亡されている症例でございます。

 症例の9番は、接種日に呼吸障害が発現し、死亡されている症例でございます。

 これらにつきましては、現在、詳細について、調査中でございますので、調査が済みましたら、改めて御報告をさせていただきます。

 資料の説明は以上になりますが、先ほどのインフルエンザワクチンの死亡例の症例2番につきましては、委員限りの資料となっておりますので、御発言に当たりましては、個人の特定がなされないように、御配慮をよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○五十嵐安全対策調査会長 どうもありがとうございました。

 それでは、御質問、御意見はいかがでしょうか。

○倉根委員 2つですが、まず資料4の2ページでいきますと、無菌性髄膜炎という副反応名があって、1番、4番は何も書いてない。ワクチン株検出ということも書いてある。それから、例えば8番のように、ウイルス同定未実施ということも書いてある。そうすると、1番とか4番のように※が書いていないものは、同定をしようとしたんだけれども、ワクチン株は出なかったということなんでしょうか。未実施であれば、ここは未実施と書いてあるだろうし、あるいはその記録も書いていないということなんでしょうか。

○事務局 印がついていないものにつきましては、検査が実施されたかどうかも含めて、情報が得られていないところでございます。

○倉根委員 もう一つは、資料5の2ページ目の1番なんですけれども、この方は1年前にワクチンを接種した。発生日が1年後なので、ワクチン株による帯状疱疹ということなんですか。私は実際にこれを使用しているわけではないんですが、ワクチン株による帯状疱疹というのは、結構あるものですか。

○五十嵐安全対策調査会長 あると思います。

○岡部委員 私は臨床から離れていますけれども、ロイケミーの場合などにはあると思います。健常者では、あってもおかしくはないと思うんですが、非常にまれであろう。水痘の発疹のメカニズムから考えても、非常に少ないのではないかと思います。

○五十嵐安全対策調査会長 どうぞ。

○倉根委員 そうすると、この方は、まれだけれども、ワクチン株に由来する帯状疱疹があるという解釈をしていいというのが、臨床の先生方の御意見ですね。

○岡部委員 これを見れば、私もそう思わざるを得ない、そう思っていいのではないかと思います。

 ただ、追加なんですけれども、同じ水痘のところで、例えば6番の症例では、逆に高齢者の方で、25年9月に接種して、9月5日に帯状疱疹を発症している。そういうことになると、ワクチン株がとれていなくても、ワクチンではなさそうであるということがあると思います。

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○柿崎委員 年齢が1とありますが、前にも出たかもしれませんが、1というのは、生後間もなくの人から、1歳11カ月までを含んでしまうのでしょうか。そうだとすると、6カ月未満の子と1歳11カ月の子が同じ表記で1というのは、判断がし難いので、できれば何カ月とか、6カ月未満とか、1歳とか、2歳とか、そういう表記にしたほうがいいのではないかと思います。

○五十嵐安全対策調査会長 どうですか。

○事務局 表記についてなんですが、1と書いてあるのは、1歳以上の方を指しております。

○柿崎委員 そうすると、この報告の中には1歳未満の症例は全く含まれていないということですか。

○事務局 1というものだけだと思いますので、1歳代の方ということです。

○五十嵐安全対策調査会長 どうぞ。

○岡田委員 おたふく風邪のところで教えていただきたいんですけれども、資料4の3ページ目の症例11の難聴の例です。それから、同じように、4ページの症例6番、接種日からは違う症例みたいですけれども、お聞きしたいのは、3ページ目の症例11で、転帰内容が軽快となっていますが、もしわかれば、軽快なのか、回復なのか、難聴が完全によくなったのかどうかということ、それから、同じく4ページ目の症例6のケースで、このケースは報告医が関連なしとしていますけれども、関連なしとした根拠がもしわかれば、教えていただきたいです。

○事務局 済みません。すぐに回答できないので、少々お時間をいただければと思います。

○五十嵐安全対策調査会長 御質問以外で、何か御意見のある方はいらっしゃいますか。

○岡部委員 午前中のときにも、重篤な有害事象例、重篤な副反応例について、議論があったんですけれども、この副反応報告は、あくまで今のような議論を経るための有害事象例報告で、広く集めていることが前提であるということを広く伝えるか、あるいは午前中のときにも申し上げたんですが、我が国もそろそろ副反応という言葉について少し議論をして、定義を明確にしたほうがいいのではないかと思います。したがって、ここで出ている何とかのワクチンの副反応例の重篤なというのは、全てが関連のあるものではないということが前提になっていることを、もう一回、再確認をしておきたいと思います。

○五十嵐安全対策調査会長 そうですね。以前と報告のシステムが変わって、全部出すようにしましょうとなりました。たとえ交通事故で亡くなった場合でも、ワクチンを打った後に起きた事象の場合には挙げてください、そういうことですね。

○岡部委員 目的は広く集めることによって、そこから、それこそ見えない重篤なもの、軽微であっても、本当の副反応がいるかもしれないことを見出すための目的なので、広く拾い出すことが悪いことでは決してないと思います。

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございました。

 いかがですか。

○事務局 岡田先生より御質問いただいた件の回答でございます。3ページの11番の片耳難聴の軽快の内容なんですが、お母さんが気にならない程度に回復をしているということで、状況としては、その程度まで回復をしているところでございます。

 4ページの6番の感音性難聴については、状況がわからずに、報告医からの転帰をそのまま書いているところです。

 あと、因果関係につきましても、いただいている情報では、何か根拠があってというところまでは、今、御説明できない状況でございます。

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございます。

 先ほど倉根委員から御質問いただいたことは、結論が出ましたか。

○事務局 今、こちらに持ってきている情報を調べましたが、どうしてそのように違いが出てきたかについては、わからないところでございます。しっかりと資料を作成させていただきたいと思います。

○五十嵐安全対策調査会長 それについては、次回、御報告いただければよろしいですね。

○倉根委員 はい。

○事務局 わかりました。

○五十嵐安全対策調査会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○桃井副反応検討部会長 インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンは、高齢者に接種されます。高齢者も接種対象になってきますと、基礎疾患とか、基礎疾患がなくても、突然死の頻度は一定程度あるものと考えられます。今までも高齢者のインフルエンザワクチン接種後では、接種後短時間での突然死が症例として挙げられてきて、科学的にディスカッションする高齢者の突然死に関する基本データがないということで、高齢者は突然死が多いからという議論に終始をしていたように思います。個々の高齢者が持っている合併症によっても突然死リスクは随分違いますので、解析は難しいと思うのですけれども、高齢者の突然死の頻度/人年というようなデータがないと、今後、肺炎球菌のほうも突然死例に関するディスカッションができないような気がしますので、その辺を検討する必要があると思います。

○五十嵐安全対策調査会長 御指摘ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。よろしいですか。

 そうしますと、ポイントとしては、おたふく風邪の単独接種と、おたふく風邪プラス水痘ワクチンの同時接種、それぞれにアナフィラキシーとして報告された症例がございましたけれども、ブライトン分類で詳しく見ていくと、アナフィラキシーには相当しない。しかしながら、膨疹とか、発赤とか、局所反応が強かったり、あるいは小さな子ですけれども、機嫌が悪くなったりということで、そういうことが起きたことに関しては、因果関係は否定できないと判断してよろしいでしょうか。

 それから、インフルエンザワクチンにつきましては、副反応の報告数、死亡数、アナフィラキシーの発生頻度、ギランバレー症候群、ADEM、これも含めまして、昨シーズンと大きな変動はないようです。

 それから、各ワクチンにおける副反応の報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて、特段高いものはないとまとめることができると思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐安全対策調査会長 これらのワクチンにつきましては、安全性に重大な懸念は、今のところないだろうということで、現時点で何らかの対応を行う状況にはなく、引き続き、報告状況、報告内容に十分な注意をしていくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐安全対策調査会長 ありがとうございました。

 それでは、水痘、おたふく、A型肝炎、インフルエンザワクチンは、これで終わりにしたいと思います。

 次は成人用の肺炎球菌ワクチンの審議に入りたいと思いますので、桃井部会長に座長をお願いいたします。

○桃井副反応検討部会長 それでは、成人用肺炎球菌ワクチンの資料8の御説明をお願いいたします。

○事務局 資料8の説明をさせていただきます。23価の肺炎球菌ワクチンの副反応報告の状況でございます。

 昨年7月から12月までの副反応の報告は、製造販売業者から32件、医療機関から27件、うち重篤として7件の報告がございました。医療機関への納入数量に基づく接種可能延べ人数は約113万人で、これをもとにした報告頻度につきましては、表に記載されていますように、0.001%から0.003%ということで、ほかのワクチンと比較して、特段高いものではございませんでした。

 表の下に重篤例の転帰をまとめた表がございますが、死亡症例が3件報告されております。

 2ページからは、報告されました個別症例の一覧となっております。

 表の左から5列目には、調査してわかった範囲ではございますが、接種回数についても記載をしております。

10ページに個別症例の概要が載っておりますので、そちらをごらんください。ブライトン分類で評価は5になっております。ワクチンの因果関係については、否定できないとなっておりまして、事務局としましても、アナフィラキシーとは判断できないとしております。

11ページは、死亡症例の概要となっております。

 症例1番は80代の男性の方で、接種当日、血栓性血小板減少性紫斑病が発現。接種19日後に死亡されております。

 症例2番の方は70代の男性で、接種3日後に腎機能障害、肝機能障害、DICが発現し、接種57日後に死亡されている症例でございます。

 3番の症例は80代の男性の方で、接種当日に呼吸困難が発現し、同日死亡されている症例でございます。

 これらの症例の詳細につきましては、現在、調査中でございます。調査が終わりましたら、また御報告をさせていただきたいと思っております。

 説明につきましては、以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 これにつきまして、御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。特段おありにならないでしょうか。

 死亡例の報告が3例ございますが、現在、症例は調査中です。

 それから、アナフィラキシーとしての報告が1例ありますが、ブライトン分類では、アナフィラキシーに該当しない、全て5という評価でございます。したがって、アナフィラキシー0です。

 副反応の報告頻度は、全体として、これまでに検討したワクチンに比べて、特段高くはないという評価でよろしいでしょうか。

 このようなまとめでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 そうしますと、23価肺炎球菌ワクチンにつきましては、現在、特段危険性シグナルがないということで、引き続き、ウォッチをしていくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 以上で、成人用肺炎球菌ワクチンの副反応報告の状況は終了いたしました。

 次に議題(2)に入らせていただきます。副反応報告基準についてでございます。

 資料は9でございますので、資料9につきまして、御説明をお願いいたします。

○難波江課長補佐 それでは、お手元の資料9をごらんください。「水痘ワクチン及び成人用肺炎球菌ワクチンにおける副反応の報告基準について」とさせていただいております。

 1枚おめくりいただきまして、現在、行われている水痘ワクチン、成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種化の検討状況につきまして、御報告させていただきます。

 昨年度までございました、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会におきまして、一昨年5月に第二次提言を出していただきましたが、その中で、広く接種することが望ましいとされました、水痘、おたふく風邪、B型肝炎、成人用肺炎球菌の4ワクチンにつきまして、今年度、予防接種・ワクチン分科会、基本方針部会などで御審議いただきまして、技術的課題の検討がされてきております。

 財源の確保等についても、一定の調整が図られた状態にございまして、ことし1月に開催されました分科会において、水痘、成人用肺炎球菌、この2ワクチンについては、26年度中に定期接種化する方向で準備を進めることとされたところでございます。

 下に導入に向けたスケジュール案をお示ししております。

 2ページ目にいきまして、定期接種に当たりましては、副反応報告基準を設定する必要がございますが、この基準の設定の考え方につきましては、昨年度の予防接種部会の下に作業班を設けまして、数回にわたりお集まりいただき、御審議いただいて、このようにおまとめいただいているところでございます。

 定期接種の副反応については、これまでの経緯で、以下の基本的な考え方のもと、報告基準を定めることとしている。

 想定される副反応をできるだけ統一的に類型化し、接種後、症状が発生するまでの時間と合わせて例示した上で、これに該当するものについて、必ず報告を求める。これは因果関係を疑う、疑わないにかかわらず、報告いただくものでございます。

 また、例示した以外のものであっても、予防接種による副反応と疑われるものについて、幅広く報告を求める。

 今後、副反応報告の状況を踏まえ、報告基準については、適切かつ継続的に見直しを行うという考えで、御整理いただいております。

 水痘、成人用肺炎球菌ワクチンについても、副反応の収集に当たり、どのような症状を類型化し、定めるかについて整理する必要がございます。

 あわせて、時間についても、整理いただく必要がございます。

 次のページが、先ほど申しました作業班などでの考え方の整理をより詳細に記したものでございます。

 基準で定める症状につきましては、薬事法に基づく添付文書において、重大な副反応として記載されている症状については、重篤であり、副反応の報告基準に類型化して定める必要がございます。

 また、添付文書に重大な副反応と記載されていない症状であっても、重篤になる可能性のある症状については、類型化して定める必要がある。

 一方で、必ずしも重篤とは言えない症状、発熱、発疹、局所の異常腫脹等については、それなりの頻度で起こりますので、重篤な副反応の報告を効率的に収集し、迅速かつ適切な措置につなげるために、報告基準に具体的に類型化して定める必要はない。そのかわり、健康状況調査を実施してございますので、そういったもので、発生の頻度などを拾っていくと、整理いただいております。

 それから、接種後症状が発生するまでの時間の設定の考え方でございますが、副反応の報告を効率的に収集し、迅速かつ適切な措置につなげるために、好発時期を合わせて設定するという考え方を基本として、若干の余裕を持たせて定めるべきである。

十分なエビデンスの集積がない症状については、医学的に想定される発生機序から好発時期を推測し、上記と同様の考え方のもと、定めるべきであるとされました。

 これに基づきまして、現在の副反応報告基準が定められているところでございます。

 水痘ワクチンと肺炎球菌ワクチンの添付文書上の記載が4ページにございます。

 水痘ワクチンの添付文書にございます、重大な副反応としましては、アナフィラキシー様症状と急性血小板減少性紫斑病がございます。

 また、肺炎球菌ワクチンにつきましては、アナフィラキシー様症状、血小減少、特発性血小板減少性紫斑病患者における血小板減少の再燃、知覚異常、ギランバレー症候群等の急性神経根障害、蜂巣炎・蜂巣炎様反応がございます。

 その他の副反応としては、以下または右の表に記載しているものがございます。

 5ページ目でございますが、肺炎球菌ワクチンの添付文書にございます、知覚異常、ギランバレー症候群等の急性神経根障害につきましての考え方です。なぜこういう記載になっているのかを確認いたしました。事務局のほうで、このように整理してございます。

ギランバレー症候群は急性多発神経根炎と同義でございます。ここに「急性多発性」と書いてございますが、こちらの「性」は削除でお願いいたします。概念が異なるものになりまして、急性多発神経根炎と同義であると理解しております。

 添付文書にございます、急性神経根障害という疾患概念について、現在のところ、医学的な診断基準として明確に確立されて、広く知られているものではございません。

 ギランバレー症候群の初期の症状として、筋力低下が側(左右差はあってもよい)に見られ、比較的急速に進行するとされておりまして、初期には多発の神経障害の症状を明確に呈さないことがある。企業に確認しましたところ、このような症状についても注意喚起するため、添付文書において急性神経根障害と記載しているとのことでございました。

 また、知覚異常につきましても、下の注釈の1にございますが、ギランバレー症候群の症状を意味するので、記載しているということでございました。

 以上を踏まえまして、 重篤な副反応の報告を効率的に収集し、迅速かつ適切な措置に繋げるために、具体的に類型化して報告基準を定めるとの観点から、 ギランバレー症候群 を報告基準に定めてはいかがかという案でございます。

 続きまして、肺炎球菌ワクチンは、もう一つ、蜂巣炎・蜂巣炎様反応が重大な副反応で、添付文書上記載されております。

 蜂巣炎の定義は、 化膿菌感染によって起こる滲出性炎の一種を化膿といい、化膿は、組織内の好中球浸潤の差により、蜂巣炎と膿瘍に分けられるとされております。

 これについても確認いたしましたところ、平成15年に海外の副反応報告で、企業のデータシートが改訂され、副反応の項に大変稀なものの、ワクチン接種後に蜂巣炎様反応が生じることがあると記載されております。

 当時、国内において、蜂巣炎を否定できない症例が1例報告されておりまして、添付文書上の重大な副反応として、蜂巣炎・蜂巣炎様反応が記載されることになったということでございます。

 その後、ニューモバックスNPの販売開始から、ことしの2月18日までの間に、43例の蜂巣炎を否定できない重篤な症例が報告されているということでございます。

 以上を踏まえまして、 蜂巣炎 を報告基準に定めるとともに、重篤な副反応の報告を効率的に収集し、迅速かつ適切な措置につなげるために、具体的な報告基準としては、蜂巣炎と、さらに 肘を超える蜂巣炎様反応 を報告基準に定めてはいかがかという案でございます。

 以上をまとめますと、7ページに2つのワクチンを定期接種化するに当たりまして、ここの表にございますような、報告基準を定めてはいかがかという案でございます。

 水痘につきましては、アナフィラキシーです。これは従前の基準に即して4時間、血小板減少性紫斑病は28日、その他。

 肺炎球菌感染症につきましては、アナフィラキシーは4時間、血小板減少性紫斑病、ギラン・バレ症候群は28日です。「バレ」とうのは、法令用語上は「ー」を消していますので、ここだけは「ギラン・バレ症候群」になります。それから、蜂巣炎・肘を超える蜂巣炎様反応は7日、その他としております。

 残りは参考情報になります。

 以上でございます。

 御審議のほど、よろしくお願いします。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 これに関しまして、御意見を頂戴したいと思います。どうぞ。

○多屋委員 水痘ワクチンについてなんですけれども、非常に安全性の高い、健康なお子さんでは何も副反応がないといってもいいぐらいのワクチンなんですが、本日も少し前に議論がありました、水痘ワクチンの副反応報告の表のほうでも挙がっていましたが、ワクチン株が検出された方、特に帯状疱疹とか水痘といった副反応報告が挙がっていました。そういう方につきましては、報告基準の中に入れて、ワクチン株なのか、野生株なのかを検討していくとか、そういったことも含めて、入れたほうがいいのではないかと感じておりますが、いかがでしょうか。

○桃井副反応検討部会長 いかがでしょうか。これに関しまして、御意見はおありになりますでしょうか。

 確かに先ほど何例かの報告が、水痘ということでありました。1例帯状疱疹の報告かございました。

 いかがでしょうか。岡部先生、どうぞ。

○岡部委員 質問なんですけれども、今、先生がおっしゃったのは、ワクチン株が同定されたものについて報告をするという意味ですか。

○多屋委員 ワクチン株か野生株かということを、検討していていくことが重要であるというのは、先ほどのムンプスや水痘のディスカッションのところからも感じられました。ですので、水痘やムンプスについては、今もかなり流行しているので、野生株に自然にかかってしまうというのが、副反応に入ってしまうのは、逆に誤解につながりますので、それはしっかり検査をしつつ、ワクチン株が認められた方については、報告基準に入れていくという案でございます。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○岡田委員 行政的に広く有害事象として報告をいただく場合、ワクチン株かどうかという検査は、通常は、なかなかできない検査ですよね。それを入れてしまうと、広く報告を求めるという前提が少し外れてくる気がします。学問的にはとても大切なところだと思うんですけれども、そこの説明をお願いいたします。

○多屋委員 学問的ということももちろん大事な部分なんですが、ワクチン株か、野生株かということをきちんと検討することも、副反応の検討という意味では重要でないかと考えておりまして、それが入ってくれば、しっかりそういう検査をしていく方針も決まるのではないかという意味もあります。ですので、ワクチンを接種した後、副反応名、水痘とか、帯状疱疹というのが、そのまま副反応でいってしまうのではなく、ワクチン株で起こってしまったのか、あるいは野生株の紛れ込みであったのかは、しっかり検討していく必要があるのではないかと感じている次第です。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○岡部委員 症例を報告するときの定義が漠然としていて、頭に入ってこないんですけれども、例えばこれは急性期の症状で、接種した後に水疱性の発疹が出て、そこからウイルスが出てきたものを届けるのか、あるいは何年も経って帯状疱疹と出たものについて、ウイルスを検査したら、水痘だったから届けるのか、それはどうなんでしょうか。

○多屋委員 例えば水痘ですと、先ほどの表を拝見していますと、接種してから1カ月以内に水痘の症状が出て、それがワクチン株由来であるとわかった場合には、御報告をいただくとか、帯状疱疹についても、ワクチン株由来と未実施がそれぞれお一人ずついらっしゃるわけなんですけれども、ワクチン株と同定された方は、御報告をいただくというスキームがあってもよいのではないかと感じております。

○桃井副反応検討部会長 まだ御意見があればお伺いしますが、1つは、自然感染と判別できない形で集約してしまいますと、集約したデータは何の意味もない。これはたしかであろうと思います。

 それから、ワクチン株を確認したものだけ挙げるという意味は、この表を見ましても、7月から12月の非常に短期間で、ワクチン株由来の病態が4例生じていますので、今後そう少なからぬ数が、ワクチン株由来で、水痘として挙がってくる可能性もあるというところを見極める必要はあるのではないかと思いますが、どうでしょうか。

 どうぞ。

○柿崎委員 どこかに送れば、ワクチン株か、野生株か検査してくれるような機関を設けておかないと、これは一般診療では難しいかと思います。例えば国立感染症研究所に血清を送れば測ってくれるとか、そういうシステムはできるでしょうか。

○桃井副反応検討部会長 どうぞ。

○倉根委員 通常はそれぞれの地区でやっていただくことになろうかと思います。現実にワクチン株か否かということを判断するために、例えば大量の検体が感染症研究所に来た場合、ヘルペスウイルス室というのはあるんですけれども、そこが通常やっている業務がなかなか難しくなるということがあります。それぞれの地方衛生研究所でそれをやるということであれば、それはありかと思います。今、委員としての立場で、これに答えていいのかどうかわかりませんが、そういうことであります。

○柿崎委員 これは県のレベルの環境衛生研究所などでは、ルーチンにできるようなことなのですか。

○桃井副反応検討部会長 岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 衛生研究所の立場を代表して、例えばワクチンの重篤な副反応については、検査をする機関がなかなかないので、そういうものは、地域の衛生研究所がやるのが望ましいという意見は、私も再度申し上げているんですが、こういった形で、水痘も全部お引き受けするとなると、感染研はオールジャパンで受け入れられないにしても、ルーチン接種にしたものの後の発疹症を全部引き受けることになると、これは地研のキャパシティーと予算からいって、無理ではないかと思います。

 また、それをさらにやらなければいけないぐらいの重篤なものは、当然やると思うんですけれども、ちょっと発疹が出て、これが自然感染か、ワクチン接種かという鑑別のために行うのは、現状、衛生研究所としては無理ではないかと思います。

○桃井副反応検討部会長 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 現行の副反応報告制度は、接種した医療機関に報告する義務を求めていますから、そのときに検査ができないのに、義務をかけるというのは、行政的には難しいのではないでしょうか。。学問的にはとても大切なところだと思うんですけれども、この報告の今のシステムからすると、法的にどこかで、地方衛生研究所などで、一般の医療機関の先生方が検査しない限り、検査はできないだろうと思います。そこが一番難しいところだと思います。

○桃井副反応検討部会長 岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 衛生研究所のキャパシティーだけではなくて、そういう検体の依頼があると、保健所が出動しなくてはいけないんです。保健所の職員が診療科に行って、検体を得てくるというのが基本的なやり方なので、ルールとして決まってくる。現在、保健所にこういう形で全て求めるのは、保健所のキャパシティーの問題からいっても無理で、それを超えるだけの重篤度を決めるものがあるかどうかというところでの判断だと思います。

○桃井副反応検討部会長 今までの御意見は、データとしてあると、よりベターであるけれども、実際上、全国的なデューティーとして報告をしていただくには、検査のキャパシティーから無理であろうという御意見が大半のようですが、多屋先生、いかがですか。

○多屋委員 状況は理解いたしました。

 私が水痘ワクチンの重篤症例の一覧で見せていただいたのは、ただちょっと発疹が出ただけではないと思います。ですので、免疫抑制剤を飲んでいるお子さんとか、白血病のお子さんなどを水痘から守ろうということででき上がったワクチンなので、安全性の高いワクチンですけれども、そうはいっても、基礎疾患をお持ちの方が、全身性の感染症になった場合は、ワクチン株か、野生株かをきっちり見極めていくということを今後やっていただいて、それができた段階では、ぜひ副反応報告の中にも入れていただきたいと思っています。

 そうでないと、先ほどからの議論で、ワクチン株ですかとか、検討はされているんですかという質問がいっぱい出る状況ですので、そういった方については、きっちり検討していくスキームを取り入れていだいて、将来的には入れていただければと思っています。

○桃井副反応検討部会長 これは全身性の重篤な病態をあらわした場合のみということですね。

○多屋委員 その意味でした。

○桃井副反応検討部会長 岡部先生、地域の機関で可能でしょうか。

○岡部委員 非常に重篤なということであれば、極めてまれだと思いますから、それはお引き受けできると思います。例えば重篤であっても、予防接種の後で水痘を入れるということは、水痘は5類の感染症で、病原診断の対象にはなっていないんです。ですから、そこを行うのは難しいだろうと思います。少し工夫が必要だろうと思います。

 ただ、その前提として、提言ですけれども、こういうものは研究班である程度母数が膨らんでくればできる話だと思うので、ぜひ進めていただければと思います。

○桃井副反応検討部会長 ありがとうございます。

 事務局からどうぞ。

○難波江課長補佐 ちなみに、先生方はよく御承知かと思いますが、報告基準にそういうことを定めなくても、その他の項目で、重篤の報告を挙げていただくことは当然可能で、むしろそこには義務がかかってくる形になります。

○桃井副反応検討部会長 実際上のキャパシティーといいますか、プラクティカルに可能かどうかという論点に関して、現時点ではなかなか難しい。ただし、事務局の御説明にあるように、播種性、全身性の極めて重篤な場合は、その他のところで挙がってくるであろう、そういう理解で、現時点ではよろしいでしょうか。

 ほかに御意見はおありになりますでしょうか。どうぞ。

○五十嵐安全対策調査会長 少し細かいことで、かつ自明なことではあると思うんですが、7ページあるいはそれ以降にある血小板減少性紫斑病の名称なんですけれども、これは急性は入れる必要はないですか。

○桃井副反応検討部会長 今までほかのものは全部入っていないです。慢性化したものは入っていないということです。

○五十嵐安全対策調査会長 これは事務局で御検討いただければ結構です。

○難波江課長補佐 これまでのものも含めてということですか。

○五十嵐安全対策調査会長 今回のものです。

○難波江課長補佐 今回は水痘と成人用肺炎球菌に血小板減少性紫斑病がございますが、9ページ、10ページ、現在、ほかのワクチンでもこのような記載がございます。病態としては、ほかのワクチンと、水痘、肺炎球菌も同じ前提でということでしょうか。

○桃井副反応検討部会長 慢性化するのかどうか判断できない時点での報告もあり得ますので、血小板減少性紫斑病全体を含むという意図の名称であると理解してよろしいですね。それでよろしいでしょうか。

 期間も含めまして、御意見はおありになりますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、先ほど今後の課題として、重症水痘などのことも課題に挙がりましたが、現時点では、プラクティカルには、この案でよろしいという御意見を頂戴いたしました。

 事務局には、10月施行に伴う事務手続をこれから進めていただくことになります。ただ、会議終了後、もしこれに関して追加の御意見等がおありになりましたら、ぜひ事務局にお伝えいただければと思います。

 議題については、以上で終了でございます。

 事務局にお戻しいたします。

○事務局 本日は長時間にわたりまして、御議論いただきまして、ありがとうございます。

 次回の開催につきましては、日程調整をさせていただきまして、日時等を御連絡させていただきたいと思います。

 傍聴者の方にお願いがございます。このビルのエレベーターは、非常に混雑が予想されます。審議会の委員の方に先に退室していただきたいと思っております。申しわけございませんが、しばらくそのままお待ちいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○桃井副反応検討部会長 それでは、本日の会議を終わらせていただきます。長時間にわたりまして、まことにありがとうございました。

(了)

議事録(PDF)

議事録 平成25年度第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録(2014年2月26日)

資料(PDF)

議事次第 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
委員名簿 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料一覧 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

議題1 麻しん、風しん、おたふく、水痘、A型肝炎、インフルエンザ、成人用肺炎球菌のワクチンの安全性について
資料1 乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(MR)の副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料2 乾燥弱毒生麻しんワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料3 乾燥弱毒生風しんワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料4 乾燥弱毒生おたふくかぜワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部
資料5 乾燥弱毒生水痘ワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料6 乾燥組織培養不活化A型肝炎ワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料7 インフルエンザワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料8 23価肺炎球菌ワクチンの副反応報告状況 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

議題2 副反応報告基準(水痘、成人用肺炎球菌)について
資料9 水痘ワクチン及び成人用肺炎球菌ワクチンにおける副反応の報告基準について 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

議題3 子宮頸がん予防ワクチンについて
資料10 宮本参考人資料 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料11 接種にあたり注意すべき事項 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
資料12 子宮頸がん予防ワクチンの診療科別データ 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

遵守事項等資料 第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会

開催案内 平成25年度第8回予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)