感染症部会 第72回

議題

(1)サル痘の名称変更について
(2)基本指針及び予防計画の見直し等について
(3)その他

開催日 2023-02-17
委員名簿

厚生科学審議会感染症部会

【委員】
味澤 篤    がん・感染症センター 都立駒込病院感染症科
今村 顕史   がん・感染症センター 都立駒込病院 感染症科部長 / 感染症センター長
大曲 貴夫   (独)国立国際医療研究センター 国際感染症センター長
賀来 満夫   東北医科薬科大学医学部感染症教室 特任教授
釜萢 敏    公益社団法人日本医師会常任理事
越田 理恵   金沢市福祉健康局長
白井 千香   枚方市保健所 所長
調 恒明    山口県環境保健センター所長
菅原 えりさ  東京医療保健大学大学院医療保健学研究科感染制御学 教授
谷口 清州   国立病院機構三重病院 病院長
戸部 真澄   慶応義塾大学法学部教授
中野 貴司   川崎医科大学小児科学教授
成田 友代   東京都福祉保健局技監
西山 喜代史  豊郷町医療保険課 課長
藤田 尚子   藤田法律事務所 弁護士
森田 公一   長崎大学感染症研究出島特区 特区長
山田 章雄   東京大学名誉教授
四柳 宏    東京大学医科学研究所附属病院長
◎脇田 隆字  国立感染症研究所 所長
◎:部会長
(50音順・敬称略)

【参考人】
伊藤 賢一   全国知事会(福島県保健福祉部 次長)

議事録(テキスト)

第72回厚生科学審議会感染症部会 議事録
健康局 結核感染症課

日時
令和5年2月17日(金)10:00~12:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム(5階)
議題
(1)サル痘の名称変更について
(2)基本指針及び予防計画の見直し等について
(3)その他
議事
議事内容
○杉原エイズ対策推進室長 ただいまから第72回「感染症部会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日議事進行を務めさせていただきます健康局結核感染症課の杉原と申します。よろしくお願いいたします。
 本日の議事は公開となります。また、前回と同様、議事の様子をYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しておりますYouTube撮影用のカメラ撮り以外は議事に入るまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。プレス関係者の方々におかれましては、御協力、御理解のほどよろしくお願いいたします。
 また、前回、YouTubeの配信が途中で途切れるようなことがございましたが、テクニカルエラーでそういったことが生じることがございますので、そのときは改めて配信を途中から再開ということもございます。その点も御了承願えればと思います。
 また、傍聴の方々におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議の冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意のほどよろしくお願いいたします。
 本日は新型コロナウイルス感染症における今般の状況等を勘案いたしまして、ウェブ会議で開催することとしております。
 まず、ウェブ会議の開催に当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手いただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただきまして、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしております番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠について御報告いたします。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえまして、委員のお名前をこちらで申し上げますので、一言御挨拶いただければと思います。
 五十音順に、味澤委員。
 今村委員。
 大曲委員。
 賀来委員。
 釜萢委員。
 越田委員。
 白井委員。
 調委員。
 菅原委員。
 谷口委員。
 戸部委員。
 成田委員。
 藤田委員。
 森田委員。
 山田委員。
 四柳委員。
 脇田委員。
 なお、中野委員と西山委員からは御欠席の連絡を受けております。
 また、議事の2、3に係るオブザーバーとしまして、全国知事会より伊藤様の御出席をいただいております。
 現在、感染症部会委員19名のうち17名の御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令に基づきまして、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
(カメラ退室)
○杉原エイズ対策推進室長 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、委員名簿、座席表、資料1から3、4-1、4-2、5、参考資料1、2-1、2-2となります。不備がございましたら、事務局までお申し出ください。
 なお、本日当初予定しておりました「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の法令上の名称等について」につきましては、法令面の政府内の調整に時間を要しておりまして、申し訳ございませんが、本日は議事とせず、次回以降に改めて議事とすることとなりましたので御留意ください。
 それでは、ここからの進行は脇田座長にお願いいたします。
○脇田部会長 よろしくお願いします。
 今、議題を示していただいていますけれども、私が事前に聞いていたのは3番目にもう一個あるみたいな感じだった、カルバペネムの問題もあるということでいいのですよね。
○杉原エイズ対策推進室長 はい。カルバペネムにつきましては、その他の議題の中で取り扱わせていただきます。
○脇田部会長 分かりました。ありがとうございます。
 それでは、議事に入ってまいります。皆さん、おはようございます。本日もお集まりいただいてありがとうございます。
 事務局から委員の皆様には事前に資料の送付があり、そして、説明もしていただいていると思いますが、ここでまず議題1ですけれども、簡潔に事務局から説明をお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 よろしくお願いいたします。事務局から簡単に、サル痘について、これまで9月に御議論いただきまして、それ以降の経緯も含めまして御説明させていただければと思います。本日はサル痘の名称変更についてということで、よろしくお願いいたします。
 次のページをお願いします。サル痘について、2022年5月以降、国際的に拡大しておりますけれども、現時点で110か国・8万人以上ということで、2023年2月16日時点で国内でも20例の症例が確認されております。
 次をお願いいたします。国内対策といたしましては、これまで臨床指針等の指針を作成してきたほか、リスク評価ですとか、あと水際での呼びかけを実施しております。また、検査につきましては、全国の地衛研で検査が可能。都道府県の少なくとも1つの地衛研で検査が可能となっておりまして、ワクチンにつきましては、KMバイオロジクス社のLC16ワクチンについて、サル痘予防の適応追加承認が下りておりまして、こちらは暴露後、患者との接触をされた方につきまして、そのワクチンを投与する臨床研究体制を国立国際医療研究センターにおいて構築しているところでございます。
 また、治療薬につきましては、テコビリマットという治療薬ですけれども、投与する臨床研究体制を構築しておりまして、現在、日本国内で7施設において多施設共同研究の仕組みで研究体制を確立しているところでございます。
 また、情報提供という観点におきましては、特にハイリスクグループとされるMSMのコミュニティーでの情報発信等に力を入れているところでございます。
 国際的な拡大についてということで、次のページを御覧ください。最近のサル痘の状況につきまして、WHOは10月20日、第3回のIHRのエマージェンシーコミッティーを開催いたしまして、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態については継続の見解を勧告しておりまして、その後、11月28日にサル痘の名称について、「Mpox(エムポックス)」の使用を推奨するということを公表しまして、今後1年かけて名称を移行していくということを発表しております。こちらにつきましては、後で細かく御説明させていただきます。
 また、先日、2月9日に第4回となります緊急委員会を開催しておりまして、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態については継続との勧告を得ております。
 次のページを御覧ください。こちらは世界におけるサル痘の発生状況と、あと我が国における発生状況でございます。海外におきましては、アメリカ地域で症例は減少しつつあるものの、特に南米地域において患者の発生が継続して見られておりまして、我が国におきましても、今年1月に入ってから患者の発生が継続して見られるという状況がございます。
 次に6ページ目を御覧ください。サル痘の名称変更についてですけれども、先ほど申し上げましたとおり、11月28日にWHOにおきまして、サル痘の名称を変更するということで、推奨するということで公表をしておりまして、1年をかけて名称を変更していくということでございます。
 こちらに関して、近日中にICD10のオンライン版に掲載される予定で、mpoxという用語がICDの検索可能な用語になるという状況でございます。
 こちらはもともとサル痘、モンキーポックスという言葉を使われておりましたけれども、一部のコミュニティーで人種差別やスティグマのような表現が見られたことがWHOに報告されたということで、WHOのほうで変更がなされたものでございます。
 こちらの名称につきましては、新しい名称の影響を最小限とするために、今後もコミュニケーションにおいてmpoxという用語を採用して、この勧告に従うように奨励するということで、WHOが11月28日に発表しております。
 次のページを御覧ください。この観点で、我が国における四類感染症としてのサル痘の名称の対応案につきまして、御意見をいただきたいと考えております。今、サル痘の名称につきましては、エムポックスまたはM痘という表現、いずれかの名称に変更してはどうかと考えております。三種病原体であるオルソポックスウイルス属モンキーポックスウイルスという病原体名につきましても、政令上に指定があるわけですけれども、こちらに関しましては、まだ現時点において国際的なウイルス分類の委員会のほうから変更の見解が出ていないという状況がございまして、別名について、この名前に関してモンキーポックスウイルスというウイルス名はあるのですが、この別名で現在、サル痘ウイルスという名前がついております。これも政令上に別名として記載があるのですが、こちらはサル痘という名称を変更するに伴いまして、エムポックスウイルスまたはM痘ウイルスのいずれかに名称を変更してはどうかと考えております。
 また、このエムポックス、M痘につきましては、様々な方々に今御意見を伺っているところでございますが、幾つか御指摘をいただいているところでございます。
 まず、エムポックスについてですけれども、これは片仮名で全てエムポックスと記載する場合ですが、現在流行中のサル痘については、性的接触によるものが多いということで、症状についても、肛門・咽頭痛、倦怠感などがあるということで、従来のサル痘で知られているような疫学・病態とは異なる点が多いので、発疹を意味する痘の使用では現状とそぐわない可能性があるという点。
 一方で、M痘につきましては、アルファベットを用いた感染症名は感染症法上存在するということと、poxという用語については、これまで痘を用いているケースが多いと。M自体には科学的な意味はないというところがございますが、一方で、ハイリスクグループとなりますMSMと呼ばれる男性と性交渉を行う男性のグループの中のMと共通する用語である点で、懸念があるという御指摘もございます。あと、一般的には、国内でM痘という用語が使用されている事例もあると承知しておりまして、こういった状況があるということでございます。
 次のページに感染症の法令で現在規定されている和名についてということで、エムポックス、サル痘以外の感染症で同様のものということで並べております。感染症法の中では文頭にアルファベットがつく疾患名、感染名としまして、Q熱、いわゆるQ feverや、ヘルペスのBウイルス病、RSウイルス感染症、E型肝炎などがあります。
 感染症法上のポックスウイルス科感染症につきましては、現在はサル痘と痘そうの2つがございまして、また、家畜伝染病予防法においては、このように様々な動物のポックスウイルス科による感染症が規定されております。
 感染症法で発疹を起こすポックスウイルス以外の主な感染症においては、水痘や麻疹、手足口病などがありますが、それぞれこのような表記となっております。
 事務局からの説明は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そうしますと、今日はサル痘の名称変更についてということで、基本的な情報であったり海外の状況、国内の感染状況ですね。そして今、名称の考え方についての説明をしていただきました。
 では、皆様から御意見いただければと思いますが、今日は順番ではなくて、手挙げの順番ということにさせていただきますので、まず、今村先生、お願いします。
○今村委員 今村です。
 名称に関してですけれども、M痘よりは、片仮名でのエムポックスのほうがいいかなと考えております。理由は2点あります。1点目は、英語名の場合にはmpoxは全てがアルファベットですけれども、M痘はアルファベット大文字が1文字と日本語の組合せになっているので、普通に考えれば英語の意味を知りたくなるというのが人の常だと思うのです。それでMを調べると、結果的にモンキーという名前につながってくることになるので、むしろ調べたいという意識につながって、差別という点ではかえって目立ってしまうというのが1点目の理由になります。
 もう一点は、先ほどもちょっとお話の中にあったように、現在流行の中心となっているのがMen who have Sex with Men、略してMSMという形で表現されますけれども、これはHIV、エイズの分野ではMSMという表現は一般的によく使われています。そのMと共通するということが新たに生じますので、差別という意味では、新たな差別的な発言を誘発することが危惧されるかなと思います。
 その2点を含めて、本来の差別を避けるという目的からは逆行するということで、M痘よりはエムポックスのほうがいいかなと考えております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。そもそもモンキーポックスがなぜ差別なのかというのがよく分からなくて、では鳥インフルエンザも差別で、ネズミチフス菌も差別で、みんな差別なのかなという気がしてしまって、ちょっとよく理解ができないのですが、変えたいというのであれば、反対はいたしません。
 ただ、今の今村先生のお話はもっともだなと思ってお伺いしていました。日本語には片仮名という非常に便利な表記方法があるので、これを使えば確かに、どんな英語名も全部できるのですね。そうすると、今後これが前例になるのかなという気もちょっとして、わざわざ日本語をつくらなくても、みんな片仮名で表記すればいいじゃんという話になるのも変な感じかなと思って、個人的にはどちらかというとM痘のほうがいいのかなと思っていたのですけれども、今村先生のお話はちょっと思いつきませんでしたので、全員の総意をもってお決めいただければと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 事務局に伺いますけれども、今日は決めるということではなくて、意見を述べるということでよろしいですか。
○杉原エイズ対策推進室長 はい。御意見をいただきたいと考えております。
○脇田部会長 分かりました。ありがとうございます。
 白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。ありがとうございます。
 私も今村先生と同じような懸念を持ったことと、あと、資料の説明の中で、国際的にはWHOのほうではmpoxのmが小文字だったのですけれども、M痘になると大文字のMになるので違和感があったということで、今回変えることについては、国際的にそろえていくという意味では、エムポックスでいいのではないかなと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そのほかいかがですか。
 大曲委員、お願いします。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
 私自身は、痘という言葉自体の使い方はやはり注意が要ると思っていまして、実際に患者さん方を診てきましたけれども、水痘だったり、天然痘は僕は見たわけではないですが、教科書で見知る天然痘というもので、いわゆる痘というもので想起されるような臨床像とはかけ離れているといいますか、かなり違うという印象を持っています。ですので、今の段階では病気自体、まだ臨床像が完全には知られていないような状況で、痘という言葉を当てはめないほうがいいのではないかという印象を持っております。
 そうしますと、やはり僕も意見は同じで、エムポックスのほうがよいのかなと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 次に、越田委員、お願いします。
○越田委員 私も、以下の2点で、片仮名表記のエムポックスがいいのではないかなと考えてます。
 1点目は、先ほど白井先生もおっしゃったように、WHOが1年かけてmpoxの名称に移行する予定であるということ、それから、ICD10で検索可能な用語となっているということ、これを片仮名という素晴らしい日本語で表記ができるということが1点目です。
 2点目は、やまいだれの「痘」はポックス属ではない、水痘と既に根絶宣言がなされている天然痘を除いて、家畜伝染病予防法における和名であることを勘案しても、エムポックスのほうが誤解がなくてふさわしいのではないかということです。加えて、臨床像においても必ずしも水疱瘡のような発疹が出るわけではないので、エムポックスのほうがふさわしいのではないかと思いこちらに一票です。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、山田委員、お願いします。
○山田委員 今回の臨床像は異なるかも分からないのですけれども、今回のアウトブレイクの前にアメリカ大陸でガンビアンラットだったかな。その辺からうつって人ではやったものについては、天然痘と間違えるような病巣をつくっていたという事実があります。だから、今回のようなのは特殊なケースかもしれない。別のルートで入ってきたときに天然痘と間違うような従来の病巣が出る可能性は否定できないので、ここで名称変更してもいいのですけれども、いわゆるポックスウイルスの感染とは違うんだというような誤ったメッセージを出さないほうがいいのではないかと私は危惧しています。
 それと、ICTVでウイルスの名称はいまだに多分モンキーポックスになっていると思うので、そこの整合性も必要になってくると思いますし、結構教科書とかそういったものも書き換えなければいけないという、いろいろな問題点が出てくると思うのです。だから、そういうデメリットもよく考える必要があると私は思っています。
 かといって、名称を変更すること自体にはさほど反対するわけではありません。というのも、もともと猿にとってははた迷惑な話のモンキーポックスですので、名称を変えること自体には反対はいたしません。ただ、今言ったようなことについては考慮が必要だろうと思っています。
 以上です。
○脇田部会長 確かに臨床像については、今回はそういうことですがということですね。ありがとうございました。
 賀来委員、お願いします。
○賀来委員 今の山田先生のお話もよく理解しております。ただ、WHOがmpoxという名称にある程度統一していこうという方針があること。それから、資料にもありましたように、今回は多彩な臨床症状が見られていて、教科書的な典型的な発疹、あるいは痘というような症状が比較的少ないということもあります。
 そういう意味では、M痘という疾患名ですと、やはり発疹や痘などが非常に強調されるようなイメージがありますので、今回はエムポックスという名前で、ある程度国民の方にも発疹を含めた多彩な症状であることを理解していただくことと、疾患名としてのグローバル化という点からも、エムポックスという疾患名のほうが国民の方にも理解していただきやすいという意味からも、私はエムポックスという名称が良いと個人的には考えます。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。
 成田委員、お願いします。
○成田委員 都内で大半のケースが出ているということもあり、大曲先生がおっしゃったように、各事例を見ますと、発疹が限局しているケース、また、濃厚接触者においては無症状の方もいらっしゃいますし、必ずしも痘というイメージではないということが1点ございます。
 また、今村先生をはじめ、ほかの先生もおっしゃっていたように、M痘となると、ハイリスクグループであるMSMにつながってしまって、今も実際に積極的疫学調査が難しいというか、調査への協力が得づらいということもあり、そういったことを助長してしまうことも懸念されますので、WHOと同様、エムポックスという名称がよいのではないかと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 大体よろしいでしょうか。多くの先生方は、片仮名表記のエムポックスがよいのではないかといったところが、今のところの臨床像であったり、WHOとそろえるというところでということでありました。私もその意見に賛成をしますけれども、ますます感染症、あるいはウイルスの名称のつけ方というのが難しくなってきて、非常にこれから今後も大変だなと、そんな感想を持っているところであります。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、こちらは今いただきました御意見を参考にしていただいて、また事務局で検討を進めていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題2「基本指針及び予防計画の見直し等について」に進めさせていただきます。
 まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 資料2を御覧ください。こちらの2ページ目をお願いいたします。スライド番号は1番となっております。基本指針及び予防計画を見直す経緯ということでございます。
 これまでの経緯としましては、昨年12月に成立した改正感染症法によりまして、次の感染症の危機に備えるために、都道府県が平時より定める予防計画について、保健・医療提供体制に関する記載事項を充実するとともに、感染症に関する医療を提供する体制の確保その他感染症の発生を予防し、蔓延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保についての数値目標を定めることとするということと、保健所設置市等は都道府県の計画を踏まえて新たに平時に予防計画を策定するという2点が新たに加えられております。こちらは令和6年4月1日が施行予定となっております。
 また、都道府県におかれましては、予防計画を定めて、またはこれを変更するに当たっては、医療法に規定されます医療計画及び新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定されます都道府県行動計画との整合性を図らなければならないこととされております。
 都道府県の予防計画の策定に当たりましては、国が定める基本指針に沿って作成するということにされておりまして、国が定める基本指針につきましても、12月の感染症法の改正の内容を踏まえまして、記載事項を充実させることとされております。
 こちらは今後どのように検討していくかということにつきまして、簡単に御報告させていただければと思います。
 まず、検討が必要な事項でございますが、この基本指針・予防計画そのものも含めてなのですけれども、厚生労働省令で定める体制の確保について、数値目標を設定することとされましたことから、以下の事項につきまして、検討が必要と考えております。
 まず1点目ですけれども、予防計画の実効性を担保するために定めることとされた数値目標について、どの事項について数値目標を設定する必要があるということ。
 2つ目ですが、数値目標について、具体的にどのような考え方で都道府県に設定いただくかということでございます。
 検討の考え方ですけれども、下のところに示しております数値目標の項目案につきましては、昨年9月5日の感染症部会において案をお示ししたものでございます。医療については、病床や発熱外来、後方支援、人材派遣、自宅療養者等への医療の提供ですね。検査は、検査体制の確保、宿泊施設に関しては、宿泊施設の確保、物資に関しては、個人防護具の備蓄等が含まれておりました。
 このうち医療につきましては、医療計画との整合性を図るということで、医療全体への影響を勘案して数値目標を設定することが必要であることから、第8次医療計画検討会というものを医政局において実施しておりまして、こちらは保健所の体制、及び地方衛生研究所における検査の体制につきましては、地域保健対策の推進に関する基本的な指針の改正に伴う議論というものがありまして、地域保健健康増進栄養部会という厚生科学審議会の中の部会で議論しております。本部会においても、こちらの検討会の検討結果を踏まえまして、3月以降に部会の中で御議論いただく形とさせていただきたいと考えております。
 こちらは参考資料1に基本指針・予防計画の記載事項の変更の方向性がございまして、その後半のほうに医療計画であったりとか、参考資料2-1と2-2に医療計画策定に当たっての対応の方向性というもので、現在、医政局のほうで検討されている内容の記載がございます。
 事務局からの説明は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 基本指針と予防計画を設定するに当たって検討が必要な事項というところで、医療とか検査とかありますが、ただ、そちらは医療計画検討会であったり、地域保健健康増進栄養部会というところでまず議論をされて、その上でこちらの感染症部会でも意見を述べるという形になるということで、それが3月以降ということですが、今日は目出しというところでしょうか。
 それで、今御説明いただきましたが、この時点で先生方から何か御意見はございますでしょうか。
 白井委員から、まずどうぞ。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
 ちょうど医療については第8次医療計画との整合性ということを述べていただきましたので、そこでぜひお願いしたいことなのですけれども、参考資料にもありましたが、病床の確保だけではなくて、自宅療養については在宅医療とかその辺の訪問診療ということも挙げていただいていますが、高齢化に伴って、これは本当にコロナというか、感染症に限らずとも必要なことかなと思っています。
 そういった意味で、そこにぜひオンライン診療であるとか、これはコロナ対策にもかなり有効だったと思いますので、あとはデジタルトランスフォーメーションの推進によって、今までも遠隔医療などは研究はされてきたと思いますし、地域によっては実行されてきたと思いますが、そういうことも考えながら、在宅医療、特に自宅療養者が多くなるパンデミックの場合には、そういうことを想定した医療計画に含めていただきたいと思っています。
 地域によっては病院の統合とか過剰病床の整理ということがコロナ前から進んでいますけれども、コロナを経験したということで、さらに感染症に対しての医療計画ということについては、こちらの部会からも申し出ていただきたいなと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。感染症に対する医療の部分が今回の法改正のメインで、それに伴ってこういった予防計画を変えるわけですけれども、ただ、感染症法の本丸である感染症対策について、いまだに届出以外に状況を把握する方法がない。これはそもそも何が起こっていて、何がリスクで、重症例がどのぐらいなのかということを柔軟に情報収集できないのですね。
 この主な原因は、感染症法にサーベイランスの概念がなくて、届出しかないことによると思いますし、少なくとも日本以外のG7の国なんかは、感染研のような組織が地域、あるいはいろいろなところときちんと契約を行って、サーベイランスネットワークをつくってやっているわけです。それがきちんと国家の感染症対策に使われるわけです。研究ではなくてパブリックヘルスとして使われるわけです。まずそこを考えていただかないと、結果としてたくさんになった感染者数をいかに収容するかということも大切ですけれども、そうならないようにするというのが感染症対策の本丸ではないでしょうか。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。医療に今、直接のコメントではないですけれども、その前段階で情報の収集体制というのは非常に重要であるという御指摘だと思いました。
 釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 今日の資料の中の参考資料2-1あるいは2-2です。第8次医療計画等に関する検討会の検討内容が出ていまして、予防計画と整合を図るという点については、両方とも同じ認識でいるわけですけれども、医療計画のほうはそれを見てみると、例えばフェーズの考え方などがかなり細かく分かれているのだけれども、都道府県で策定したほうは、そんなに細かくフェーズが実際には分けられないという認識の中で対応している都道府県もあるというふうに感じました。
 こちらの感染症法については、国が示される基本指針、またそれに基づいた予防計画がつくられるわけですけれども、想定される感染症はコロナと同様のものとは必ずしも限らないわけで、いろいろな場合があり得るので、常にどのようなものが来るか分からないという認識は持った上で、なるべく計画がしっかりつくられるようにする必要があるだろうと思っています。
 それから、こちらの予防計画のほうでは、今日の資料の2ページに医療の対応として病床、それから発熱外来、後方支援、人材派遣、自宅療養者等に対する医療の提供というふうにしっかり書かれているのでよろしいと思いますが、医療計画のほうは外来の対応をどうするかということがあまり明確に書かれていないように感じられますので、予防計画をつくる上では、患者さんの受け皿が最初の段階からしっかりできるようにということを想定して用意しておく必要があると思います。
 それから、確かに都道府県の実情に合わせて、それぞれ都道府県で考えていただくということも大事ではありますけれども、感染症は国全体の問題ですし、都道府県によってあまり違いが生じないようにということで、国が策定される基本指針というのを非常に重要にして、それに基づいて都道府県が計画を練る場合に、あまり都道府県による差が生じないようにしておくということも観点として大事ではないかと感じました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、伊藤参考人、お願いします。
○伊藤参考人 ありがとうございます。福島県保健福祉部次長の伊藤でございます。本日は全国知事会を代表して申し上げます。よろしくお願いいたします。
 この基本指針及び予防計画については、今般の改正感染症法により設定すべき事項が拡充されます。次の新興感染症への備えとして重要である一方、都道府県に求められる役割も大きいことから、現場の状況を十分に踏まえた指針を示していただくことが実効性を担保する上で極めて重要であると考えております。
 その上で3点ほど申し上げます。
 まず、参考資料2-1の医療計画検討会で議論されている内容を見ますと、確保病床や診療・検査医療機関の項目で、「新型コロナの実績を参考に、その数値を上回ることを目指す」との方向性が示されております。これは、現在の新型コロナウイルスに対して段階的に整備してきた医療体制を基本的に継承していくとの考えに基づくものと思われますが、今後の新興感染症の病原性が明らかでない中で、現在の水準を上回る目標の設定は医療現場の実情を踏まえると相当困難であると思われます。この点、地域の実情を踏まえた柔軟な目標設定の考え方や目標を実現するための方策などをお示しいただきたいと考えます。
 2点目。1点目とも関連しますが、こうした数値目標や前提とする感染症の考え方が医療計画検討会資料で先行して示されております。医療計画や地域保健対策と整合を図るものと理解いたしますが、感染症対応において根幹となる今後の対策の基盤となる考え方については、感染症対策を標榜する本部会で議論されるものと考えており、早急に議論を深めていただき、それを基本として関連する計画等に展開されますよう、お願いいたします。
 3点目、都道府県では予防計画の策定後に医療機関等との協定など、関係者との具体的な調整を実施していくことになります。特に何ら財源の担保がない中で、医療機関と協定締結を協議していくことは困難が予想されますので、国において補助金等の支援策を併せて示していただく必要があると考えております。
 以上、本議題については、感染症対策における国の強いリーダーシップ及び地方との連携が重要であると考えますので、特段の御配慮をいただきますようお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。自治体からの御意見ということであります。
 続きまして、今村委員、お願いします。
○今村委員 こちらからは医療の数値目標設定に対するコメントをしたいと思います。数値目標を設定するのはかなり難しいと思いますが、その作成には今回のCOVID-19における実際の経験が役に立つのだと思います。しかし、今後発生してくる新たなパンデミックが必ずしも同じようなものになるとは限りません。例えば小児が中心のパンデミックであった場合には、今回と異なった体制、対策が必要となる可能性もあります。
 そのような場合には、設定した数値目標に縛られることなく、柔軟に対応を変更していくことも必要となるでしょう。そのようなときにも、この機会に作成した数値目標というのは、別な意味で、どこが違うのかという視点においても参考として利用できるかもしれないと思いました。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、山田委員、お願いします。
○山田委員 今の今村委員とちょっとかぶるかも分からないのですけれども、数値目標を置くこと自体に別に反対するわけではないのですが、数値目標は多分今回のコロナの経験を踏まえて設定されると思うのです。ただ、コロナの場合、もう御承知のように全く想定外のことが起こってしまったわけで、第1波と第8波で比べると全く様相が違っていたと。要するに、現時点で想定したことが未来に必ずしもそのとおりになるわけではなくて、恐らく想定を超えるような事態も起こり得るということを考える必要があると思います。
 したがって、数値目標を設定して、それで安心してしまって、計画倒れになってしまうというのを一番おそれるので、計画をつくったから万全ではなくて、数値目標を超えてしまうような事態にどうやって取り組んでいくのか。先ほど今村委員がおっしゃるように、柔軟に、どうやって対応していくのかというような、計画できないようなことを計画するという、ちょっと矛盾した言い方かもしれませんけれども、そこら辺が今後極めて重要になってくるのだと思います。だから、計画倒れにならないことを願っています。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 続いて、賀来委員、お願いします。
○賀来委員 意見というよりも、これは確認なのですけれども、物資の備蓄のところで個人防護具:PPEの備蓄という記載があります。ほかの参考資料にはもちろん医薬品も含めたという形で記載されているのですが、確認ですが、この物資という意味は、医薬品、今回も治療薬の供給がかなり滞ったということもあるので、そういったことも含めての備蓄ということでよろしいでしょうか。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 そうしましたら、今、委員の皆様から御意見をいただきましたが、その中で、具体的な要望といいますか、意見といいますか、こちらの感染症部会で早く議論をして、それでむしろほかの医療計画の検討会のほうに戻すべきじゃないかとか、今、賀来先生からは物資の備蓄に医薬品も含まれるか等の御質問がありました。そのほかの点についても、もし事務局のほうからレスポンスがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○江浪結核感染症課長 事務局でございます。
 本日は、議論の進め方ということで御説明にとどまっておりまして、申し訳ないところでございます。基本指針の関係、感染症部会のほうでも議論を進められるように準備を進めたいと考えております。今回、特にCOVID-19、新型コロナウイルス感染症の対応におきましては、医療提供体制の確保が非常に重要で、その部分に関しましては、従来の感染症対策に限らず、医療全体への影響が非常に大きいという中で、今回、医療の計画の部分に関しましては、医療計画検討会と連携を図りながら検討を進めているというところでございます。その検討を進めるに当たりましては、御議論、御意見をいただいておりますけれども、特に自治体の皆様方との連携、御意見をしっかり踏まえた形で検討していくことが非常に重要だと考えておりますので、連携をして取り組んでいきたいと考えてございます。
 サーベイランスの関係の議論も、この感染症部会のほうでも進めていくということを方針としてお諮りもしてございますけれども、その他の課題に関しましても、順次この感染症部会のほうで議論ができるように準備を進めたいと考えております。
 物資の確保の部分に関しまして、感染症によってあらかじめ共通で必要なものと、感染症の種類によっていろいろ対応が異なるものがあろうかと思っております。今回、この表の中では、物資の確保というところで個人防護具の備蓄というものを例示として出させていただいておりますけれども、これは感染症共通の課題として挙げやすいというところで、それを例示として挙げているところでございます。
 治療薬に関しましては、例えば新型コロナウイルス感染症に関しましては、特措法に基づく行動計画の中で、例えば事前の備蓄というものも議論してございますが、それでは新型コロナについてどう考えるのか、あるいはその他の感染症についてどう考えるのか、そういったことについては、また別途しっかりと検討した上で御意見をいただきながら進めてまいりたいと考えてございます。
 本日は、まずは議論の進め方ということの初回の御相談でございますが、本日いただきました御意見をしっかり踏まえて、感染症部会のほうでも議論ができるように進めてまいりたいと考えてございます。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 四柳委員、どうぞ。手が挙がっています。
○四柳委員 ありがとうございます。今日は頭出しに近いような議論でございますけれども、出されている項目を見ると、やはり箱物に関して、あるいはハードに関する項目がほとんどのような気がしております。実際にどのぐらいの人員が必要で、その労務はどのぐらいであるかということは、このパンデミックで非常に大きな問題になったと思いますので、議論の過程でその辺の必要な人員とか労務に関しても議論に入れていただきますように要望いたします。
 以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
 谷口先生からチャットでも意見が入っていますけれども、この感染症部会としては、医療にもつながるというところも議論をしていく必要があるということで、サーベイランスに関しても十分に議論する必要があるといったコメントだったと思います。
 越田委員、お願いします。
○越田委員 越田です。地域医療を担う立場から発言させていただきます。
 予防計画の策定にあたる前提として、基本指針では、現場対応の入口である発生届、ここからスタートします。発生届を受け取った後の保健所の役割を明確にしていただいた上で、役割を担うための法的根拠の整理をぜひお願いしたいと思っております。
 2点目は、検討が必要な2ページ目の事項に記載がない市町村業務となるワクチン接種に関しては、国の責任において多角的な根拠に基づいた情報提供をぜひ行っていただきたいと思いますし、都道府県は市町村をサポートしていただくことを明記していただきたい。多くの市町村、基礎自治体は専門家がいませんので、適切な助言と支援が必要だと今回つくづく感じました。よろしくお願いいたします。
 3点目は、人の住みかは決して「おうち」だけではなくて、入所型の福祉施設にも相当数の住民がお住まいです。ぼんやりとした表現で大変恐縮ですけれども、これらの施設に医療マインドが届くような仕組みが必要ではないかと思っております。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 というところですね。そのほかいかがでしょうか。今、四柳先生、越田先生からも御意見をいただいたので、もしこれ以上なければ、それでは、事務局におかれましては、今いただいた意見を参考にしていただいて、検討を進めていただければと思います。またこちらの部会でも議論をさせていただきたいと考えております。
○山田大臣官房参事官 医政局ですが、よろしいでしょうか。
○脇田部会長 どうぞ。
○山田大臣官房参事官 医療計画を担当しております医政局参事官でございます。
 今日は様々な御意見をいただきましたので、医療計画の検討、また、予防計画の中の医療部分、こちらの医療計画の内容と整合を図ることとなっておりますので、医療計画検討会のほうでも議論を深めまして、またこちらにも御報告させていただき、御議論いただければと思っております。
 中でも今日、特に数値目標の設定について柔軟に、というお話もありまして、御案内のとおり、数値目標の設定に当たってできることとしましては、まずは現に対応しているこれまでの対応の教訓を生かすことができるコロナへの対応を念頭に取り組んでいくというところから始めていこうということでありまして、御指摘もありましたけれども、コロナにおいても様々な変異株にも対応してきて、その都度乗り越えてきたという実績もございますので、コロナで対応してきたいわば最大値をまずは目指していくというところからがスタートなのかなと思っております。
 さらに御指摘いただきました想定を超えるような事態になったときは、機動的に、柔軟に変更等を考えていくということかと思っておりますので、数値目標の設定に当たりましての柔軟性、また一方で実効性といったところも観点として持ちながら、引き続き議論していきたいと思っております。どうもありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 今、委員の皆様からの御意見は、柔軟な対応というのはもちろんあったのですけれども、数値目標ですが、こちらは想定を超えるという場合と、それともう一つ、想定と異なるといったところがあったと思います。それはもちろん数が超えていくということもありますが、対象が例えば今村先生からあったように小児中心の感染症のパンデミックみたいなことがあると、かなり医療の質が異なってくるというところもあると思いますので、そういったところですね。想定を超える、あるいは想定と異なったパンデミックがやってきたときの対応も、想定外ということは許されなくなると思いますので、そこを考えておく必要があるといった意見だったと思いました。
 さらによろしいですか。
 それでは、先ほど申し上げたとおり、今日いただいた意見を基にまた事務局のほうで検討を進めていただければということになります。ありがとうございました。
 そうしましたら、議題1、2は終わりましたので、その他のところですが、事務局からお願いいたします。
○杉原エイズ対策推進室長 ありがとうございます。
 その他は2つに分かれておりまして、まず1つ目、資料3のほうを御覧ください。こちらは五類感染症でありますカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の名称変更についてという資料でございます。
 こちらは資料が専門的で、分かりにくくて申し訳ないのですけれども、現在、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症(CRE)という感染症につきましては、感染症法の五類で届出対象となっているものですけれども、この腸内細菌科細菌感染症というものは、これまで対象とされてきた菌については、分類上、腸内細菌目の下に腸内細菌科というのがあったのですが、それが目の下に全て腸内細菌科のみであったということで、腸内細菌科細菌感染症という言い方をしていたのですけれども、それが2016年にゲノムシークエンス等によりまして系統分類がより詳細になりまして、腸内細菌目の中に7つの科を設定するという形に変更の提言がなされております。2020年からは薬剤感受性試験においても腸内細菌科から腸内細菌目に変更されているということで、今後、腸内細菌目感染症という記載が増えると。アメリカのCDCであったり、他国においても腸内細菌目という表現に変更されてきていることから、対象とする菌が変わるわけではないのですけれども、より適切な名称に変更するということで、科から目に変更したいと考えております。
 こちらの下のほうに分類変更前後の比較がございますが、こちらは科のFamilyと書いてありますが、当初、腸内細菌科に分類されていたものを、現在、腸内細菌科として分類されているものは大腸菌であったり、Klebsiellaであったり、Enterobacterであったりといった菌に限定されまして、Serratiaであったり、Proteus菌であったり、そういったものは別の科に分類されて、こちらに関してもCREの対象となり得るということで、表記を科から目に変更すると。
 ただ、略称となりますCREという表現については、目と科で語尾の部分が変わるだけですので、表現は変わらないことになりますが、そういった名称の変更を同時に行いたいと考えておりますので、こちらを御相談させていただいた次第でございます。
 事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明していただきましたけれども、腸内細菌科感染症か、腸内細菌目感染症ということですね。委員の皆様から御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。
 谷口委員、お願いします。
○谷口委員 ありがとうございます。腸内細菌目になるとYersiniaceaeが入ってきますね。そうすると、Yersiniaceaeの中にはYersinia pestisとかYersinia pseudotuberculosisとかenterocoliticaとかみんな入っていると思うのですが、それもみんな対象になるということなのでしょうか。ここにはSerratiaしか書いていないですけれども、Yersiniaceaeの下にはもちろんGenus Yersiniaも入っているので、質問です。お願いします。
○脇田部会長 先に、もしほかの御意見、御質問があれば伺っておこうと思いますが、よろしいですか。
 調委員、お願いします。
○調委員 名称変更はこれで結構だと思いますけれども、CREに関しては、届出基準に以前から課題があると言われていると思います。いわゆる問題となるカルバペネマーゼ産生性の菌が、現在の届出基準によると大体3割ぐらいしかないということで、恐らく届出基準を変更することによって、本来重要なカルバペネマーゼ産生性の菌だけではないですけれども、効率よく届出ができるようになると思いますので、届出基準の見直しについてはまた考えていただきたいと思います。
 以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 そうしましたら、今、谷口委員、そして調委員から御質問、御要望がありましたので、事務局からレスポンスがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○杉原エイズ対策推進室長 事務局ですけれども、基本的にはこれまでのCREと同等の菌で、大腸菌、肺炎桿菌、いわゆるKlebsiella、Serratia、Enterobacter等ということになっているところでして、Yersiniaに関しては、御指摘のとおりpestisであったり、enterocoliticaであったり、そういった菌もございますが、こちらに関して、特にpestisに関しましては、そもそもペストであるということで、分類が異なるということもございますが、enterocolitica等をどのように分類していくかということに関して、詳細、まさに調委員から御指摘のありました届出基準のところにも関連してきますが、もう少し分かりやすいようにという御指摘かと思いますので、この点に関して、届出基準も含めて検討を進めるようにいたします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○谷口委員 腸内細菌目であれば、これはタクソノミーで全て入りますから、だから含まれるのですかという質問なのです。Genus Yersiniaは腸内細菌目に入りますので。
○杉原エイズ対策推進室長 なので、御指摘のとおりでして、目に含めますと幅が広くなるというところで、これに関して届出の名称変更で変えるときにどのような形で、どこを区切っていくかということに関しては、届出基準のほうで最終的に考えていくことになるかと思いますので、もう少し詳細なところに関しても詰めていくようにいたします。
○谷口委員 それだったら大きく変えないほうがいいのではないかと思っただけです。Enterobacterales(腸内細菌目)に変えて、Yersinia科はSerratia属だけを報告しろというのは、何か不思議な気がするのですけれどもね。
○脇田部会長 ありがとうございます。ちょっとその辺は私はよく分かりませんが、事務局でさらにそこは検討していただけますか。
○杉原エイズ対策推進室長 はい。ありがとうございます。引き続き検討させていただきたいと思います。
○脇田部会長 谷口先生、御意見ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。分類と届出基準というところで精査していただくということだと思いますが、ありがとうございました。
 それでは、その他はもう一点ありますか。
○江浪結核感染症課長 資料4-1と資料4-2について御説明を申し上げたいと思います。
 資料4-1は、先日この感染症部会で新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて報告をまとめていただきましたものを踏まえまして、1月27日に新型コロナウイルス感染症対策本部決定として、政府としての方針を決定した紙ということでございます。いただきました御意見を踏まえて、新型コロナウイルス感染症に関しましては、五類への位置づけの変更を5月8日に行うこととした上で、位置づけの変更前に改めて厚生科学審議会感染症部会の御意見をお伺いすることとしてございますので、その際にはまた御審議のほどをお願いすることとなります。
 また、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、直ちに対応を見直すということがいただいた御意見を踏まえたものでございます。
 また、感染症法上の位置づけの変更に伴う政策・措置の見直しの関係で、その見直しに関しまして、患者さんへの対応と医療提供体制の関係につきましては、さらにその内容を検討いたしまして、3月上旬を目途に具体的な方針を示すこととしてございます。感染症部会でいただきました御意見を踏まえまして、自治体、医療関係者の皆様方の御意見をいただいて、その内容について整理をした上で御報告を申し上げたいと思っております。
 また、この1月27日の本部決定におきましては、マスクの関係に関しましては、感染状況も踏まえて、マスクの取扱いについて検討して、今後早期に見直し時期も含め、その結果を示すこととしてございましたけれども、資料4-2でございますが、マスク着用の考え方に関しまして、2月10日に新型コロナウイルス感染症対策本部決定として、その考え方を決定してございます。これは1枚目にございますとおり、マスクの着用の考え方の見直し、国民の周知期間とか各業界団体、事業者の準備期間などを踏まえて、3月13日から適用ということ。また、学校におきましては4月1日から適用という内容としておりますほか、最後のほうにございますが、基本的な感染対策に関しまして、引き続き重要ということで、引き続き3つの密の回避、人と人との距離の確保、手洗い等の手指衛生、換気などの励行をやっていくということでございます。
 この新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更の関係に関しましては、1月27日の本部決定にありますとおり、また、その見直しの前に最終的に位置づけの変更を行うかどうかということにつきまして、この感染症部会にも御審議をいただくこととしておりますので、先日の意見の取りまとめを踏まえまして、その後の動きにつきまして、御報告を申し上げるというものでございます。
 私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
 1月27日に感染症部会の後の対策本部決定というところが資料4-1、その後、2月10日に出たマスク着用の考え方の見直しについての御説明だったと思います。
 前回の感染症部会でも様々な先生方から御意見をいただいたところでありますが、さらにここで何かございますか。
 マスクについては、3月13日から考え方を見直しと、基本的な感染対策は引き続き周知ということですかね。よろしいですか。また、類型の見直しの前には議論というお話だったと思います。
 伊藤参考人、どうぞ。
○伊藤参考人 ありがとうございます。今ほどの内容に関しまして、本日の資料5として提出させていただいておりますが、全国知事会では、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への変更に伴う主な課題と対応についてを取りまとめ、2月13日に国に対応を求めております。
 資料5で「はじめに」の下3行に記載のとおり、国民や保健・医療の現場に混乱を生じさせず、国民の生命及び健康を守りながら円滑に移行させるため、現場の声を十分に踏まえた上で、早期に具体的な方針を示すとともに、万全の対策を講じていただくよう、改めてお願いしたいと存じます。
 私からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。資料5に基づいてのお話だったと思います。
 そのほかはいかがでしょうか。この件は大丈夫でしょうか。
 それでは、こちらも引き続きまた感染症部会で議論ということですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、少し早いのですけれども、一応議事は以上となりますが、事務局から、そのほか何かございますか。
○杉原エイズ対策推進室長 いえ、特にございません。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
 そうしましたら、本日の議題は以上になりますので、事務局にお返ししたいと思います。
○杉原エイズ対策推進室長 どうもありがとうございました。委員の皆様の御意見を踏まえまして、進めさせていただきたいと思います。
 この後、当方で、記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
 また、次回につきましては、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中御出席いただきまして、どうもありがとうございました。
○脇田部会長 皆様、どうもありがとうございました。また引き続きよろしくお願いいたします。

議事録(PDF)

議事録 第72回感染症部会

資料(PDF)

議事次第及び委員名簿 第72回感染症部会
【資料1】サル痘の名称変更について 第72回感染症部会
【資料2】基本指針及び予防計画の見直し等について 第72回感染症部会
【資料3】カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の名称変更について 第72回感染症部会
【資料4-1】1月27日政府対策本部決定 第72回感染症部会
【資料4-2】2月10日政府対策本部決定 第72回感染症部会
【資料5】新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更に伴う主な課題と対応について(全国知事会提出資料)第72回感染症部会

参考資料1 基本指針、予防計画記載事項 第72回感染症部会
参考資料2-1 2月2日第22回第8次医療計画検討会資料 第72回感染症部会
参考資料2-2 2月2日医療計画検討会構成員意見 第72回感染症部会

開催案内 第72回感染症部会