10/02/09 第4回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会議事録第4回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録
【日時】平成22年2月9日(火) 14:00~16:20
【場所】厚生労働省共用第7会議室(5階)
【出席委員】(50音順)飯沼委員、今村委員、岩本委員、宇賀委員、岡部委員、加藤部会長、木田委員、北澤委員、黒岩委員、坂谷委員、櫻井委員、廣田委員、古木委員
【行政関係出席者】上田健康局長、中尾大臣官房審議官、鈴木健康局総務課長、福島健康局結核感染症課長、高井医薬食品局長、岸田大臣官房審議官、熊本医薬食品局総務課長、亀井医薬食品局血液対策課長、鈴木新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長、松岡健康局生活衛生課長、佐原大臣官房企画官、土肥健康局健康対策調整官
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長(鈴木) 定刻になりましたので、ただいまより、第4回厚生科学審議会 感染症分科会 予防接種部会を開催いたします。まず本日の委員の先生方の出欠状況でございますが、倉田委員、澁谷委員、宮崎委員、山川委員の4名の先生方から、ご欠席の連絡を受けております。したがいまして、17名中13名のご出席ということでございまして、定足数に達しているということをご報告申し上げます。それでは加藤座長に議事をお願いいたします。
○加藤部会長 こんにちは、ご多忙のところどうもありがとうございます。ただいまより議事を開始いたしますが、先立ちまして事務局より、資料の確認をお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 まず配付資料の確認をさせていただきます。お手元の座席資料の次に議事次第がございまして、部会の委員の先生方の名簿、その後、資料1として横長のポンチ絵と文章編がございます。資料2が補足資料で、資料1に符合した形で少し補足資料を提示しております。資料3、これは後でまたご説明しますが、この予防接種部会の次回に向けてまとめていただきたい第一次提言のたたき台ということで、とりあえず整理をさせていただいています。
参考資料として4つございまして、参考資料1が毎回出させていただいています緊急に対応が必要と考えられる事項と、それ以降に議論が必要と考えられる事項を2つに分けた主要論点。参考資料2が第2回及び第3回の部会で先生方に主にご発言いただいた事項、参考資料3がワクチン接種について定めた基本方針。参考資料4が8頁以降で、前回までにお出しした資料で、今回もしかしたら使うかもしれないという部分だけ抜粋をしております。資料は以上でございます。もし過不足等があればおっしゃっていただければと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは早速議事に入ります。
まず議題の1番目、「新型インフルエンザ対策として緊急に対応が必要であると考えられる事項」について議事に入りますが、前回の部会におきましては、新型インフルエンザ対策として、緊急に対応が必要であると考えられる事項をひとつひとつご議論をいただきました。各項目につきましては、なお議論が必要、あるいは事務局から詳細な具体案を出すべしとされたところです。本日は各項目につきまして、事務局から再度資料を整理して説明させますが、既に前回まで説明されたところに関しましては、できるだけ簡略にご説明をしていただきたいと存じます。
いま事務局からお話になりましたように、資料1、資料2をご参考にしていただきます。資料の12頁目に「○」と「●」がまず出てまいりますが、「○」のところはもう既に合意が出来ていると思われるところでして、黒く塗ってあるところが今日各委員から、または事務局等から意見をいただくところで進行させていただきたいと存じますので、ご協力をお願いいたします。それでは事務局より資料1に基づきましてご説明をお願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料1と資料2に基づいて説明をさせていただきます。まず資料1の冒頭の1枚ですが、これは前回もお示しをしましたように、今回緊急に対応が必要と考えられる事項について、大きく3つの課題群があるかと思っています。左の上が新しい臨時接種という類型の創設に関連するもの。右の上がパンデミックへの対応として必要と考えられるもの。いちばん下の所が臨時接種として実施した場合の新型インフルエンザで、定期接種への道筋についてどう考えるか。この3つについて論点がそれぞれ1-1から3-2まで付いております。
1頁おめくりいただきますと、いま部会長から伺いましたように、それぞれについて課題がありますので、資料2と少し行ったり来たりしながらではございますが、説明をさせていただきたいと思います。
資料2の冒頭をご覧いただきますと、赤い題がついているものがありますが、これはいま今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)に対するワクチンの事業というのは、国の予算事業で特別措置法で一部手当てをしておりますが、なぜこのまま特別措置法の措置のままでは、難しい点があるということを、簡単に表として整理をしたものです。基本的には今回の新型インフルエンザに対する予防接種の実施は予算事業でされていますし、国や自治体の役割というのも、法では定義はされていないということになります。また、健康被害の救済も今回に限って規定はされていますが、実は附則でこれを見直す旨が書いていますし、輸入事業との契約の内容についても、これは「○」になっていますが、1回限り、今回のもののみになっていますので、今後どうするかという課題が残っています。つまり、新しいインフルエンザが生じた場合は、再度新しく法律を制定しなければいけないという状況になっていますので、今回予防接種法で対応させていただきたいということで議論が始まっております。 それでは1-1から順次ご説明をさせていただきます。まず1-1に関する資料1の2頁目です。「新たな臨時接種」の類型については、部会長からありましたように、これは予防接種法として対応するためには、新しく類型を設ける必要があるだろうということで、その性格としては現行の法律に基づく臨時接種の対象ほど病原性は高くないものの、社会の混乱等を考えると、きちんと一定の公的関与のものに予防接種を行う必要があるものとしてはどうかということで、これはおおむね先生方のご議論でもそうなっているのではないかと思います。
残された論点、「●」で書いてありますが、3つぐらいあるのではないかと我々のほうでは考えています。まず1つ目、これは「新たな臨時接種」、それから「現行の臨時接種」について。これは前回黒岩委員からもご指摘がありましたが、実際にインフルエンザの病原体等の性格を考えて、もしかしたら最初は「現行の臨時接種」でも、そのうち新しいものに移行する必要がある事態もあるのではないかということで、その辺りをどう考えるかということです。これは臨時接種に定めるにしろ、新臨時接種に定めるにしろ、厚生労働大臣が定めるということになっていますので、知見が集積され一定の病原性の評価が定まったときには、きちんとそれに対応するような運用をすることにさせていただけたらと思っています。
3頁、その際、新臨時接種として定める、もしくは新臨時接種から臨時接種に移動するような手続についてどう考えるかということですが、これについては前回までのご議論で、こういうものを定めるときには、科学的で透明なデュー・プロセスに沿った議論が必要だということは、おおむねのご議論がいただけているのではないかというふうに思います。ただし、その矢印の中に書いてありますように、これは国としての健康危機管理上、重要な意思決定であるということもあり、厚生労働省、国としてどう取り組むのか。それから、具体的にどういう組織で、どのように検討をするかということについては、今後検討が必要な事項の中にも入っておりますような、予防接種に関する評価検討組織のあり方とも関連するものであって、今後少し検討が必要ではないかというふうに2点目については思っています。
黒い3点目ですが、これは資料2の3頁の上のところをご覧ください。予防接種体系図となっています。これは前回もお示したものに若干手を加えたものですが、上のほうが通常行う予防接種、左側が一類定期、右側が二類定期ということで、右側はインフルエンザの項になっています。一類はそれ以外の疾病です。現在の臨時接種、これは一類からも二類からも厚生労働大臣が定めることができるということになっているわけです。特に二類からくるものは、例えばインフルエンザの中でも強毒性のものについては、そういう状態になっているのではないかと思います。
翻って今回ご議論をいただいて新たな臨時接種、これは毒性については現在の臨時接種の対象となるものほどは高くないというものにした場合に、私どもがいま考えますのは、二類疾病の中からこの新しい臨時接種の対象を定めるということにすればよろしいのではないかと思っていますが、それでよろしいかどうかということについて、先生方のご議論をいただければと思っています。これが1-1についての、まだ残された3つの論点ということになります。
次には1-2です。こういう新しい類型を設けるとした場合には、その場合の公的関与の度合はどうなのだろうかということです。先ほども少し性格のところでも申し上げましたが、毒性は現在、法で定めている臨時接種ほどは高くないけれども、できるだけ多くの方に接種の意義を徹底し、円滑に接種を実施するためにどうするかということです。
これは資料2の5頁の上と下のところです。例えば5頁目の下のところで黄土色で囲ってある所を抜いて考えていただきますと、現在の3つの接種の方式について整理をしてあります。一番上が臨時接種、2番目が一類定期、3番目が二類定期ということになっていますが、 ○×等々で整理をしていますが、いちばん最初の臨時接種については「努力義務」がかかっている。一類定期も同様に「努力義務」がかかっている。努力義務が接種を受けられる方にかかったような場合には、当然それは接種を受けられる方にそれがかかっており、その方たちに接種が勧められているということを、当然お分かりいただかなければいけないということで、我々としては「努力義務」の中に当然「勧奨」というものも含まれていると考えています。翻って二類定期については、「努力義務」もかかっておりませんし、実施していることは周知をしていますが、「勧奨」というものは行っていないという状態です。
今回黄土色の所を「新しい臨時接種」という類型として設けた場合に、我々としては、ここに書いてあるような性格づけでよろしいかどうかを、確認させていただきたいと思います。具体的には「努力義務」をかけるほどではないが、しかしながら先ほども申し上げたように、できるだけ多くの方に接種を受けていただく。その意義を徹底して円滑に接種できるような状況を整備する必要があるということから、「勧奨」は行う。「お勧め」は行うということにさせていただいてはどうかと考えています。
前回のご質問でも、では、具体的に「努力義務」と「勧奨」の関係がどうなっているかと、いうことがありますが、そこは5頁の上のところを見ていただくと、「努力義務」というのは、受けられる方に対してかかるものではありますが、行政としては、それと加えて「勧奨」というものが国民の方々に対して接種を受けていただくよう勧めるために別途かかるということで、「勧奨」単独で存在するということも、我々としてはあり得るのではないかと考えております。「努力義務」の場合には、当然「勧奨」も含まれているけれども、「勧奨」単独というものもあり得るのではないかということで、5頁の下にあるような黄土色の囲みの性格づけ、「努力義務」はないけれども、「勧奨」はかかるということでよろしいかどうかということを、先生方に確認させていただければと思います。
次に1-3です。これは健康被害が生じてしまった場合の給付の水準です。前回までで、既存の制度とのバランス等を考えて検討をするというところまでは、我々も示させていただいたのですが、では、具体的にどうするのだというご質問がございました。それについては資料2の6頁の下のところです。これは真ん中の所が新たに設ける臨時接種ですが、右側がいまでいう臨時接種、それから定期の一類、左側が定期の二類ということになっていますが、これは公的関与の度合、それがすべからく健康被害が生じた場合の救済の水準に関連するということになっていると我々は理解していますが、現行の臨時接種や定期一類のように、「努力義務」がかかっている場合には、7頁の上の表にもありますが、例えば万が一、予防接種後の健康被害により亡くなってしまった場合、4,300万円程度の一時金の支給がされることになっています。
逆に定期二類の場合で、いちばん左の場合ですが、これは「努力義務」がかかっていないので、公的関与としてはいちばん低いということですが、一時金として713万5,000円、または生計維持者である場合には、年間237万8,000円を10年を限度に、年金として差し上げることになっています。
今回この新たな「新臨時接種」を設けるに当たっては、「努力義務」はないけれども、「勧奨」はさせていただくという体系で、先ほどの議論で考えさせていただくとすると、健康被害が起こった場合の救済の給付の水準というものは、この「努力義務」がある場合とない場合の間の水準ということになるのではないかと思っています。こういう考え方でよろしいかどうかというのが、1-3です。
1-4については資料2の5頁の下の所をご覧いただければと思います。特に5頁のいちばん下の所のいちばん右のカラム、「費用の自己負担」と書いていますが、こことの関係でご覧いただければと思います。現在、予防接種にかかる費用負担関係はどうなっているかということになります。まず黄土色の所を除いて考えてみていただくと、非常に緊急度が高く、病原性が高いという臨時接種のみ自己負担がない、つまり公費で負担をするということになっています。それ以外の一類定期、二類定期については、市町村が支弁をして、その上で実費徴収をすることが可能となっています。ただし、経済的な困窮者については減免をするということになっていまして、この枠組みの中で黄土色の所の「新臨時接種」をこういう形で加えさせていただいたときに、一類定期と同様の規定ということでよろしいかどうかということの確認をさせていただけたらと思います。これまでが1-4ということです。
次に2の論点に進ませていただきます、2の論点は冒頭でも申し上げましたが、「新しい臨時接種」という類型を作るに直接関係した、さまざまな問題と少し離れまして、パンデミックが生じた場合の対応として、どういう手立てが必要かというものを、4点に分けて整理をしたものです。まず2-1、資料1の5頁に当たります。前回までのご議論で、ワクチンの需給がパンデミックで逼迫しており、かつ幅広く国民にもワクチンを接種する必要があるような場合というのは、何らかの形でワクチンをきちんと確保する必要があるだろう。それは買上げというやり方や、企業に対する損失を補償する契約を結ぶといったやり方でカバーするべきではないのか。これは通常想定される企業が負うべきリスクを上回ることが考えられるためだということで、ご議論をいただいたのではないかと思います。その中で、前回も山川委員だと思いますが、具体的に損失補償の範囲や要件についても、具体案を示すべきだと、それについて議論をすべきだということがありましたので、今回少し考えさせていただきました。
資料2の12頁をご覧ください。これは今回の1番、2番について、ワクチンについてどういう対応をしたかということを整理させていただいたものですが、国内産ワクチンと輸入ワクチンについて、国が購入することを予算措置により実施をいたしました。ただし、損失補償については、輸入ワクチンに限定をしていますが、これは今回の国内産のワクチンについては、通常の季節性インフルエンザの株を変えただけという整理で、流通経路等も出来ていることから、輸入ワクチンに限定したというわけです。こういう形で国による購入、それから損失補償の2つのワクチン確保の方法があるということになろうかと思います。
特に損失補償についてですが、損失補償については資料2で言いますと、8頁から11頁まで、それぞれについて論点がありますが、少しまとめて議論をさせていただくと、11頁の上の所、表になっています。これについて説明をしながら必要に応じて前に言及するということにさせていただきます。
主に損失補償の中身について5点ほど論点があるのではないかと思っています。この表ですが、左側に書いてあるのが特別措置法、今回の1番、2番についてどうしたかということで、右側が今回予防接種法に位置づける際にどういう論点があるかということで、整理をさせていただきました。
まずいちばん上の所ですが、これは「発動要件」と書いています。これはどういう場合に損失補償という契約を結べることとするかということですが、今回の特別措置法の場合には特段の規定はありません。ただ、法律そのものが1回限りの措置として認められた限定的なものですから、限定的だという意味でなしえていると思います。右側に書いてありますのが、発動要件としては先ほども申し上げましたが、パンデミックがあり、ワクチンの需給が逼迫して、健康危機管理の観点から、是非ワクチンの確保が必要だという要件で発動をするということでよろしいかどうかということを確認をさせていただけたらと思っています。
(2)ですが、では、どういうワクチンを対象として、この損失の補償というのを考えたらいいのだろうということですが、今回の特別措置法の場合には、特例承認されたワクチン、について、新型インフルエンザワクチンを対象とするということで実施をいたしました。
これを今回の予防接種法に位置づけるに当たっての論点ですが、基本的に先ほど申し上げたように、これは企業が通常以上のリスクをどうしても負わなければいけない場合に、国が損失補償を行うということで考えさせていただいているものですが、このような場合にとりあえず、現段階で予防接種法の中で位置づけるとすれば、特別措置法と同様に特例承認というケースにするのか、それとも対象を広げるということに理由があるのかということです。
少し戻りますが、9頁の上の所をご覧いただければと思います。これは少し模式的に示していますが、赤い色が付いています。今回の特別措置法のイメージとして、若干簡潔化して書いたところはありますが、どうして特例承認に限ったかというところを少し論理的に説明をしたものです。まず、縦軸は短期・大量に接種を行うことに伴うリスクです。通常の定期接種等であれば、これは一定の時間をかけてできます。しかし、今回の場合には非常に短期にこれを行ったということで、一定のリスクを上回るという点。横軸ですが、これは通常承認の場合と通常承認はないけれども、外国の承認をもって我が国に一定の要件で認めて流通をさせるという場合ですが、これは我が国での承認を得ていないということで、通常承認のケースと異なるリスクが一定程度あり得るのではないかということ。この2つの要件が絡んだところで、特例承認に限定するという、今回の特別措置法についての論理立てになっています。元に戻りまして資料の11頁、予防接種法に位置づける場合にも特例承認というケースに限定をするという考え方でいいのか、それともその対象を広げるという理由があるかということについて、ご議論をいただければと思います。
3点目は実際に損失補償の対象となる損失はどのようなものかです。今回は特別措置法においては健康被害、その他新型インフルエンザにより生じた損失という書きぶりになっていまして、健康被害に限定せずにその他のものも含むということになっています。新たに予防接種法に位置づけるとして、これは健康被害に限定をするのか、それとも、やはり健康被害を基本とはするものの、一定のその他どうしても健康管理上必要な事項についても負わなければいけない損失も含むのか、というところを議論をしていただければと思います。
4点目の手続きについてです。今回の特別措置法には、1回限りということもあり、またワクチンの購入で、もしくはその他の法律で、実際に国会でもご議論をいただいたということで、特段の定めは法律の中にはなかったのですが、今回、予防接種法の中で具体的に位置付けるということにした場合に、透明性の確保という観点や、説明責任を果たすという観点から、必要性や妥当性を、例えば国会審議等で確保するというような要件が必要ではないかという意見もあると思いますし、また、その場合に機動性をどう確保するかという論点もあろうかと思いますので、この点についてもご議論をいただければと思います。基本的には政府の決定、国会審議等々の手続が必要だという前提には立っています。
5番目、損失補償規定の期限です。今回の特別措置法では、新型インフルエンザ、これは昨年の4月28日に宣言をされたものという限定がされています。今回、予防接種法に位置づけるに当たって、特別措置法は1回限りのものとして定めたものですが、それでは予防接種法に位置づけるに当たって、一定の年限を区切って、これは原子力損害賠償補償契約でも、そのようなことになっていますが、一定の年限を区切った時限措置としたほうがいいのか、それともそれを恒久的な措置としなければいけない理由があり得るのかということで、これは国内における生産能力の内容等も踏まえてどう考えるのか。措置の一般性と特殊性を考えてどうかというところも含めて、ご議論をいただければと思います。これが2-1です。
2-2です。「接種の優先順位づけ」ということで、特にパンデミックのような場合には、順次ワクチンが生産されていきますので、ある一時期を見ると、ワクチンの不足が生じているという状況が当然あり得るということで、その場合にどう考えるかということです。少し端折って説明をさせていただきますと、資料2の14頁の下です。これは現在の臨時接種が上の青い所に書いています。これは予防接種法の第6条に第1項と第2項とがあります。第
1項はいわば地域的な流行、第2項は広域的な流行を想定していまして、形としては第1項、第2項とも疾病は厚生労働省が指定をした上で、第1項の地域的な場合には対象者と時期を都道府県が指定して、都道府県自らが実施するか、もしくは市町村に実施の指示をするという形になっています。
第2項の広域的な場合には、対象を国が指定して、国は都道府県に接種の指示をして、実際に都道府県は対象者を時期を定めて自ら実施するということに、いまの仕組みはなっています。今回の1番、2番等も含めて、私どもで少し加える必要があるのかなということで下の茶色の所、特に破線の囲いの中で書いているところを加えさせていただいたらどうかと思っています。
1つは第2項の広域的な場合について、国が例えば対象者や優先対象者への接種の大まかな標準的な時期の設定をするということが規定されていませんでしたので、地域的な場合は県がしていただけるのですが、全国的な流行の場合には国がするということにさせていただいたらどうかというのが1つです。
2つ目は一番右です。今は第2項の広域的な場合には都道府県が自ら行うしかなかったわけですが、現在、定期接種の場合、予防接種は市町村が実施主体となっているということもあって、これは必要に応じて市町村に指示ができるということを供定させていただいたらどうかというのが「(2)」です。
現在の場合には市町村に指示をした場合、県の役割は全く規定がないわけですが、やはり広域的なワクチンの流通の調整ですとか、または郡レベル等の医師会との調整となると、県にやっていただくのがよいという場合があると思いますので、「(3)」ですが、これは第1 項にも第2項にも関わるのではないかと思っておりますが、市町村に対する県の支援を規定したらどうかということで、この3点ぐらいについて臨時接種のやり方、役割、関係等について、若干補足させていただいたらどうかと考えているのが、資料1の2-2の優先順位づけ等に関する課題です。
資料1の2-3、ワクチンの供給調整です。これはワクチンについてメーカー、ワクチンを製造される方々、全国的に販売をされる方々、それから卸の方々、この3つについてであろうかと思いますが、詳細は資料2の15頁の上に書いてあるとおりです。一定の計画が作られたそのときに、その計画に沿って流通・販売をしていただくことに対する協力を要請する規定を導入することが考えられるのではないかと思っています。
2-4は資料2の15頁の下に当たる部分です。パンデミック時には、やはりどうしても一時的に量が不足するという中で、接種の優先順位を設定させていただくということになろうかと思いますが、その際に優先順位が守られていない、しかも、それが例えば反復してやられるということになると、やはり、そこについては正していただく必要性があろうかと思いますが、その際に国に関する規定もしくは仕組みとしてどういうものが考えられるかというのを、3つの選択肢で示しています。
この中で先生方に今日ご意見をいただければと思っていますが、いずれも私どもで考えていますのは、報告が必要なときには受けられる。それから調査を必要なときにはさせていただく。常時するというわけではありません。そういう権限を規定させていただくのはどうだろうということです。(案1)と(案2)は、法律に規定するという考えです。(案1)と(案
2)の違いは、(案1)は法律でそういうものを規定した上で、それに従っていただけなかった場合の罰則を設ける場合。罰則はないというものが(案2)です。
(案3)は法律には設けないということですが、実際に実施主体が市町村の場合は、例えば、市町村と医療機関なり医師会で契約を結んでいただいて接種をするということになると思いますので、その契約の中に同様のものを書き込むという方法はいかがだろうかというのが(案3)です。ただし、これは市町村、実施主体によって違いが出てくる可能性というのは一定程度はあると思います。
いずれにしろ下に「留意点」と書いていますが、我々としても大事だと思っていますのは、予防接種というのは基本的には医療機関のご理解とご協力を得て行っているものですので、理解を得られないような規定が設けられると、なかなか接種の実施自体が難しくなるという側面もあります。片方では一定程度きちんと優先順位を守っていただく必要性、もし駄目な場合に、何らかの手だてをとる必要はありなから、やはり協力をしていただく医療機関、現場の混乱等々も考えて、どういう措置が考えられるかというのを、3つの選択肢の中から選んでいただければと思っております。ここまでが2のところでパンデミックの場合に生じた論点で1から4までを申し上げました。
最後のところですが、臨時接種、もしくは新臨時接種として新型インフルエンザを取り扱った場合、いずれ定期接種にそれが移行していくことが当然として考えられるわけです。
3-1のところは、この場合には科学的な議論が必要だということも前回ご議論をいただきました。臨時接種、新臨時接種になった場合に、その定期接種化に向けた検討を行うという旨の規定は設けたほうがいいのではないかということになろうかと思います。これは具体的にどういうところで、どのように議論するかということについては、先ほど申し上げたように
ACIPの議論等もありますので、それを待って今後議論をしていただくということになろうかと思います。これについてはあまり大きな論点はなかったのではないかというふうに思っています。
3-2です。定期接種とする場合の対象者をどうするかということについて、論点が2点あろうかと思っています。これは参考資料2の18頁の上の所をご覧いただきたいと思います。これは先生方も十分ご理解いただいていると思うのですが、入念的に入れたものです。予防接種法上、インフルエンザとそれ以外の疾病では、少し規定ぶりが変わっています。
どういうふうに変わっているかというと、もちろん病気自身は法律で、一類、二類の違いはありますが、病気自身は法律で定めることになっています。原則的には先ほどもありましたが、接種の対象者については、政令といいまして法律の下のレベル、内閣で決めるものの中には委任をされて具体的に規定しているところですが、インフルエンザだけは、平成6 年に予防接種法の対象疾病からインフルエンザが除外されて、平成13年に戻したときの経緯もありまして、詳細は政令に委任されているのですが、ただ、法律の附則の中でインフルエンザを定期接種で行う場合に、高齢者に限定するという規定が法律で定められています。したがいまして、この法律の附則の規定をどのように考えるのかということが、1つの考え方だと思います。
資料2の19頁の最後の所をご覧ください。問題点、課題というものは、いま、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)に対するワクチンは、これは子どもさん、妊婦の方それから基礎疾患のある方も含めて接種していただいているわけです。こういう方々に接種しているものが将来どうなるかという確証はないにしましても、一定の期間内に定期接種に移行するというときでも、やはり対象として接種すべきだということになる蓋然性があるのではないかというところが、前回までのご議論だったと思います。
論点として下に書いてありますが、その場合にもちろん具体的な対象は、専門家の先生のご意見を得て、政令で規定するとして、法律で一定の限定があると、それ自体が一部障害になる可能性もあると思いますので、まず、前回までのご議論でもし我々の誤解がなければ、
A/H1N1の今回の新型インフルエンザについては、高齢者限定というものから除外してもいいだろうということになっていると思いますが、(1)以外に(2)、(3)という選択肢もあろうかと思います。(3)は何かといいますと、高齢者限定を法律自体から全てなくしてしまって、季節性インフルエンザについても、高齢者限定をなくすということですが、これは、それが妥当かどうかという科学的論拠と、それから実際に平成13年のときに法律として入ったということがあり、我々の理解するところでは、具体的に高齢者以外に、例えば死亡なり重症化が防げるとというデータがいま得られていない場合もあって、季節性インフルエンザ全体という(3)はなかなか苦しいかもしれない。
翻って(2)はどうか。(2)は「新型インフルエンザ」全体について、65歳以上限定という限定を外すことが是か否かということですが、新型インフルエンザというのは基本的には国民の大多数の方に免疫がないという前提で我々は考えていますので、前提として免疫がないということであれば、それは高齢者に限らずお子さんとか基礎疾患のある方でもやはり接種すべきだという蓋然性が、一定程度あるのではないか。
繰り返しになるかもしれませんが、そうであれば、今回、法律の附則にあるインフルエンザの定期接種についての65歳以上の年齢限定というのは、全てを解除するのでなくて、例えば(2)であるなら新型インフルエンザについては解除するということで、いかがだろうかということが3-2の論点でございます。以上です。
○加藤部会長 ありがとうございました。討論に入りますが、資料が戻ったり行ったりいたしまして、頭の中の整理はできておりますでしょうか。論点は1、2、3と分かれていまして、「新型のインフルエンザワクチン」、いま起きているワクチンが予防接種法の制度の上に乗っていないと。特措法の中にのっているために、今後の運営がやりにくいということでございますので、何らかの新しい措置でもって、予防接種法の中に入れていきましょうというのが1番目の柱です。2番目の柱は、これからもしかして出てくるかもしれない今回の新型のインフルエンザ様の疾患が出てきた場合に、どのような方法をとっておくべきかというのが2番目の論点であると考えます。3番目は仮に臨時接種、新しい臨時接種を置いたときに、そのものを定期接種に持っていくときに、どのようにしたらよろしいかと、こういう3つの柱がありますので、その柱を頭に入れつつ論点の最初のところからご意見がある方にはご意見を伺わせていただきます。資料1の2頁の「新たな臨時接種の類型の創設」の1番目、「○」が付いています新たな臨時接種の類型の話、類型の必要性及び性格のところで、残された論点のところで事務局からお話があったのですが、このところで各委員からご意見がございましたら伺います。
○岡部委員 論点に入る前に確認なのですが、次長が説明されているときに、例えば現状の新型インフルエンザ、あるいは通常のインフルエンザの場合でも、病原性ではなくて、毒性が強い、高いという言い方をされています。私はいつも注意して言っているけれども、毒性というのは生物学的なものであって、必ずしも病原性を反映するものではないので、毒性という言葉でやると、強毒性=病気として重症、弱毒性=病気として軽症な石病原性がほとんどないという誤解のもとになります。文章のほうには「病原性が高い弱い」と書いてあるので、できるだけそれに統一して説明をいただきたいと思います。
○加藤部会長 そのようなことでお進めいただきたいと思いますが、この論点の1番目、委員の中で何かご意見がありますか。
○岩本委員 3頁目にある「●」としては3つ目ですが、新たな臨時接種の対象疾患についてです。ここでは一類、二類の定期接種対象疾患しか考えられていないようです。ワクチンが全く存在しない疾患は考えても無理だと思いますけれども、現在、任意接種の対象になっている疾患で、病気の性質上、例えば想定外の流行をきたすということが起こった場合に、ここに組み入れられるようにしておく必要はないのかという点です。例えばA型肝炎がある地域で急に、通常飲食物を介してだと思いますが、発生源が特定できないまま流行が続いた場合などです。ワクチンを受けていなければ、現在の日本では50歳以下の人はほとんど A型肝炎の抗体を持っていません。もう1件は任意接種であってもワクチンそのものが足りなくなった実例ですが、数年前フィリピンで狂犬病ウイルスに感染した方が国内で発症した例がありました。これも想定は難しいかもしれませんが、日本の野犬に狂犬病が入ってしまった場合に、いわゆる任意接種で対応できるのかというような問題です。
○加藤部会長 岩本委員の意見はよく分かりました。それはいま、たぶん任意接種の中で行われているようなワクチンがあって、任意接種で行われているような病気がこのような状況になる可能性は無きにしも非ずなので、そのときにはどうするかと、こういうことですね。その件に関しては、もし私の説明が足りなかったら事務局で補足してください。この件に関しては、かなり重大なことですので、この1回目とあともう1回ぐらいは「新型インフルエンザワクチン」のところで討論があると思いますが、かなり大きな問題となりますので、この部会はこれで閉じるわけではございませんから、そのときに集中的な議論をしていただきたいと思いますが、事務局からどうぞ。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いまの岩本委員のご指摘ですが、予防接種法の第2条第2項に、一類疾病というのが規定されています。1のジフテリアから8の結核までですが、9のところに前各号に定める疾病の掲げる疾病のほかといって、いわば発生や蔓延の状況から、政令で指定できるようになっていますので、一類疾病、二類疾病に一旦入れば、そこから臨時接種なりにいけるということになりますので、法律上は対応できるようになっています。
○加藤部会長 法律上はやろうと思えば対応できるけれども、いますぐということではなく、またどの疾患を決めるかどうかということについては、この部会の中で議論を進めていこうと、こういうことでございます。他に何か。
○北澤委員 この1-1のところに別に異論があるわけではないのですが、この図のようにきれいに現行の臨時接種と新たな臨時接種というのが分けられるのかどうかというのが、自分としてはよく分からないので、専門の先生にもう一度確認をしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤部会長 専門の先生といいますと、インフルエンザの専門ですか。
○北澤委員 一般論でかまわないのですが、例えば急に新たな感染症が起こってきたときに、すっとこれはこっちだよ、これはこっちだよと分けられるものなのかというのが、今ひとつよく分かりません。
○加藤部会長 分かりました。今度新たに起きたときのところは、論点1ではなくて論点2 の話題でして、新たなパンデミックが起きたときの対応というところで議論が行われるべきでして、いまは論点1のところでの議論で、次の話題になろうかと思いますが、違いますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 聞き違いかもしれませんが、北澤先生のご意見は、おそらくいろいろ生じた疾病について、臨時と新臨時、一応性格付けを分けていますが、たぶん、きちんとこれは臨時だと、これは新臨時だというふうに分けられるようなものなのかという疑問点だと思います。
それはもちろん病原性について、現行の臨時ほどは高くないというものが新しい臨時接種で、努力義務をかけるほどではないというのが、先ほどの説明です。もちろん当初の観察なり知見が途中で変わることはあり得ると思います。それは厚生労働大臣が定めるというところで、例えば最初はこちら側になっていても、あちら側に変えるということはさせていただきたいと思います。ただ概念としては分かれうるのではないかと我々は考えます。もし専門の先生方で違うということがあれば、また教えていただきたいと思います。
○加藤部会長 いまの事務局の説明で何かご意見がありますか。岡部さん何ありますか。岩本先生よろしいですか、ご納得ですか。ほかにご意見がありましたらどうぞ。
○岡部委員 論点1全体でいいのですか。
○加藤部会長 「●」の所です。論点1-1いかがでしょうか。「●」のところですがよろしいですか。そうするとこの「●」に対して、矢印が書いてあるのが「●」で、前回もう少し詳細に述べていただきたい、または調査していただきたいということに対するご返事ということになりますが、ご議論がないということは、この矢印どおりでお認めいただくということでよろしいでしょうか。
○廣田委員 最初の「●」でございますが、新たな臨時接種から現行の臨時接種の類型に移行させうる等の運用、とありますが、逆に現行の臨時接種の類型から新たな臨時接種に移行させるという運用もあり得るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 おっしゃるとおりだと思います。
○加藤部会長 そのとおり、事務局それでよろしいですか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい。
○加藤部会長 ほかにいかがでしょうか。1-1につきましてはご意見がございませんようなので、この矢印どおりのご意見どおりということにさせていただきまして、1-2です。「接種の必要性に応じた公的関与のあり方について」ということでして、この中の「●」の所、「残された論点」につきまして、ご意見がある委員はお願いいたします。主に勧奨接種を行うということでございますので、この辺りのところでご意見がありましたら伺いたいと思います。
○今村委員 今村個人の意見プラス全国衛生部長会でまとめた意見として発言させていただきたいと思います。前回申し上げましたように、新型ゆえに国民が免疫を持っていない。それから今後ウイルスが変異する等があるかも分からない中で、今回、病原性が低いとかを断定するにはまだある程度の時間が必要な中で、できるだけ速やかにこの予防接種をするとしたら、やはり現行の臨時接種のような形で努力義務を設けるべきではないかというのが、全国衛生部長会の考えです。
そして、それプラス、ここでまだ十分に議論はされていませんが、費用負担に関しても全国知事会等の要望もございますので、十分に協議をしてそれがなされるよう要望したいと思います。そこを申し上げたいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございました。ご意見としては、病原性が低いと分からないので、そういう疾患については努力義務を設けるべきでありましょうと、こういうことですね。費用については後ほどお話します。
ただ、しかし、この新型インフルエンザの件に関しては、そもそも論として臨時接種の中に入らなかった1つの理由は、どなたが判断をしたかは分かりませんが、それほど病原性が高いとは見受けないということ。即ち臨時接種は天然痘のようなものを対象としているわけです。場合によってはH5も入ってくるかもしれませんが、それが臨時接種です。それには努力義務は課さなければならない。しかし、その中に入れられなかった理由として、それはいろいろな経過があったと思いますが、努力義務を課すほどの重大な疾病ではないと我が国が判断したので、努力義務を課さなかったために、このような形になったというふうに私は判断をしていますが、それでよろしいか、よろしくないか、事務局としてご答弁してください。
○結核感染症課長 実際に今回の経験で申し上げますと、発生当初はよく分からない状況がございましたが、実際にワクチンが確保できる段階、契約する段階等になってまいりますと、ある程度の病気の状態が分かってまいりまして、その中では現行の臨時接種、努力義務をかけるようなものでは、やはり適さないという判断をしたわけでして、それはいま座長がおっしゃったとおりです。ですから、逆にそれに対応できる類型をやはり設けるべきではないかということで、このような検討の場をいま設けているということでございます。
○今村委員 今のお話は結局努力義務イコール重症とか生命に危険がある。そこで努力義務を課したのだと、そういう基準でもう決まっていますという発言なのですが、臨時接種という枠はどうして設けられたかというと2つの理由があったと思うのです。緊急に速やかに予防接種しなければいけないという考えからしたら、病原性が本当に確定しているかどうかは別としても、決して臨時接種の枠の中に入れてはいけない、努力義務に当たらないという議論は、私には納得できません。
○加藤部会長 今村委員のご意見はよく分かるのですが、これは結果論でございまして、その当時そのように判断されたということですから、今後の反省の材料にはなると思いますが。
○今村委員 前回がまずいとかそういうことを言っているのではなくて、今後やるに当たり努力義務としたらどうでしょうかという発言でございます。
○加藤部会長 ありがとうございました。
○生活衛生課長 今のご議論ですと、新しい臨時接種を作っても努力義務を課せということだと思いますが、それですと全く現行の臨時接種と同じであり、新しい類型を作る意味がございません。そういう意味で新しい努力義務なしというものを作り、それと勧奨をセットにするものを作ったほうがいいであろうというのが、この議論であろうと思っております。
○加藤部会長 そこのところの議論は前回済んでいるというふうに考えていますので、それはまた次のパンデミックが起きたときの話題にさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、今の新型インフルエンザの持っていき場所がないという事態になっていますので、そこの持っていき場所を決めましょうというのが、まさに今やっている討議の最中ですから、そこのところでいわゆる努力義務を課さないような、即ち勧奨接種というような形での臨時接種という方向に持っていったらどうかという話が、前回からされているところですので、この「●」に対するお答について、または「●」自身の内容についてでも結構ですが、そこについて議論をしていただきまして、振り返り議論は避けていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○岡部委員 確認ですが、「新型インフルエンザ」という言葉を使っているから非常に混乱が起きていて、新型インフルエンザというと、この次にくる新型インフルエンザ、あるいはその次にくる新型インフルエンザ、あるいはH5も全部引っくるめて、そういう概念にある
のですが、いま検討をしている新型インフルエンザワクチンを新臨時接種にというのは、あ
くまでパンデミックA/H1N1/2009についてですよね。それでこの次の議論なのですが、次回のそのほかのパンデミックの原因になるようなもの、あるいは感染症Xといったような場合には、別に議論をするというような考え方でいいのですか。
○加藤部会長 事務局よろしいですか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい、そのとおりです。
○櫻井委員 内容的な方向性については、何ら異論がないのですが、先ほどのご意見もそうだと思うのですが、感想だけ申し上げると、勧奨と努力義務の使い分けの問題なのですが、これはやはり説明の仕方としてはやや、よく言えばテクニカルというか、何か特殊な領域においてはこういう使い方をしていて、こういう場合には補償する、補償しないという、そういう非常に特殊な世界の役所の言葉かなというふうに思うので、たぶん一般の受止め方との関係で言うと、混乱が生じることはあり得ることだし、それから努力義務という言い方自体が、それは強制的な義務とは違って努力義務であるということで、非常に中間的なものであやふやなものですから、それに更に勧奨というのを噛ませて、中間的なもののセットするということなので、概念の使い方としては少し無理があるような感じもします。言葉も発明しなければいけないので、それはそれとして内容的にはよろしいかと思いますが、そこは問題点としては意識しておく必要があるのではないかと思います。
それとの関係で言うと、内容はいいのですが、そういうセットの仕方をした上で健康被害救済の給付額が、要するに中間的なものだというのはいいのだけれども、やはりもともとの概念がはっきりしていないと、中間という概念自体もかなり幅がありますので、そこも唯我独尊にならないように、分かりやすい形できちんと、広報の問題になるのでしょうか、そこのところは明確にしていただくということと、そういう意味では論理必然の関係にはおそらくないのだろうなというふうに、客観的には言えるかなと思っています。感想でございます。
○加藤部会長 先生がおっしゃるとおり、これは平成6年の予防接種改正のときにも話題になったことです。その平成6年までは義務接種ということで、ここには「強制」という言葉が陰に隠れていたのです。しかし、それはいけないということで、病気が怖いか注射が怖いか秤にかけてくださいと。そのときに一時、「勧奨」という言葉も出たというように、私は記憶しております。先生がおっしゃっているとおり、役人言葉と言われてしまえばそれまでだと思いますが、最終的には「努力義務」という言葉になったのです。行政的に努力義務というのは、「ほぼ義務」だと私は思っています。間違っていたらごめんなさい。この「勧奨」という言葉を、櫻井先生だったらどういう言葉をお使いになりますか。
○櫻井委員 何ですかね。
○加藤部会長 役人言葉とおっしゃったからには、役人でないお言葉は何ですか。
○櫻井委員 要するに勧奨と努力義務の違いが、それほど全く明確ではないというのが、普通の日本語の感覚だと思うということです。
○加藤部会長 では、感想ということでお聞きしておいてよろしいでしょうか。事務局からどうぞ。
○生活衛生課長 一応ここでも資料で説明させていただいておりますけれども、努力義務のところに、行政側の働きかけの部分と国民側の受けとめの部分という2つに分解しております。「努力義務」と言うときには勧奨もセットで、そういう運用をしております。勧奨の内容は、その中で努力義務という部分を課さないという状況で、接種をお勧めするということでした。つまり、これまでの努力義務なしの場合は、接種をお勧めするということまでは言っていなかったのです。そういう状況の中で今回お勧めするということを、行政としてもはっきり言うということで、これまでとは違うのではないかと思っております。我々としても国民に説明なり広報なりをするときには分かりやすく、よく説明をさせていただくということに努めていかなければいけないと思っております。
○加藤部会長 わかりました。これは非常に難しいのです。こうなりますと、例えば私や岡部先生や飯沼先生があちらこちらで講演をする際に、櫻井先生がおっしゃったとおり、非常に説明しにくいのです。分かっていただかなければならないということです。他にご意見はありますか。
○坂谷委員 いまの勧奨ということに絡みます。勧奨には2つの意味があると思います。法的な用語で、この茶色の部分の勧奨という規定と、臨時接種、一類定期接種のときに勧奨をするというのは一般的な勧奨、お勧めをする行為そのものを勧奨という意味で使っておられています。今回のこの茶色の部分の勧奨というのは、はっきり定義をした法律用語としての勧奨というように、区別をして使わないといけないと思います。
国民を誘導するためにその上の努力義務の部分と、今度の勧奨の部分と、いちばん最後の任意の部分を、右端の自己負担の部分と被害補償のところで区別を付けると。国が一般的な意味での勧奨をする程度の具合が違うということを、具体的な事実で自己負担と障害の補償の程度を変えることによって、国民に知らしめればいいことではなかろうかと思います。
○加藤部会長 そういうご意見ですが、いかがでしょうか。
○黒岩委員 どの段階でお話しようかと思っていたのですが、いま「勧奨」と「努力義務」という言葉が出てきたので、そこであえてお話をしたいと思います。そもそも予防接種とは何なのかという根本的なところは、今後の抜本的改正の中で話をすることです。しかし我々は、当面何か変えなければいけないと言われて、そのような枠組みの中で議論をしているけれども、当面変えると言っても、やはり根本的なところにしっかり目を向けないと、何をしているかわからなくなるというところがあると思います。 私は、基本的に予防接種法というのは、やはりシンプルであるべきだと思います。第1 回から言いましたが、一類・二類と分かれていることの意味そのものも一体何なのか、非常に複雑です。定期と臨時で分かれていることも非常に複雑です。その上「努力義務」「勧奨」という言葉で仕分けることで、どんどん、どんどん複雑にしているというあり方そのものに、私は大いなる疑問を感じています。折角議論を重ねているわけですから、今この議論を全部ぶち壊しにするわけにはなかなかいかないので、とりあえずの議論については、私もその流れの中に沿ってはいきます。しかし抜本的改正の議論の中で、すべてをチャラにしながら議論をしていただきたいと思います。
○加藤部会長 黒岩委員の発言は非常に重大です。歴史を紐解くと、一類・二類というのはそもそも論として、高齢者にのみインフルエンザワクチンを接種するためにつくられた類型ですので、その疑問はよくわかります。したがって今後、この一類・二類という考え方自体、または任意ということもひっくるめて、引き続きこの部会で是非、議論をしていただきたいということでよろしいですか。ほかにご意見はありますか。
(意見なし)
○加藤部会長 ご意見がありませんので、2番の黒丸です。今日、矢印にそのお答えが書いてあると思いますが、これでよろしいですか。事務局もいいですか。
(意見なし)
○加藤部会長 ご意見がないようですから、了解と認めます。それでは次の3番です。健康被害救済の給付水準について、残された議論として具体的な案を示せということです。先ほど具体的な案が一部出たと思います。これは資料2の6頁の下の段で、このように書かれております。一類と二類の間に先ほど来問題になっている勧奨を置いて、健康被害救済の給付の水準としては、接種を勧めるということになっておりますが、二類は勧めることにはなっておりませんので、その間を採りたいという発案です。この件に関してご意見をいただきます。
○古木委員 行政の立場からではあるのですが、いわゆる広報等を通じて、予防接種をしなさいと、皆さんにお知らせするわけです。それで接種を受けたところ、いろいろ何らかの問題が生じたということになれば、中間と言うよりは、それはやはり努力義務と同じレベルの救済処置があっても、おかしくないのではないかという思いが強くするのです。その辺は皆さんはどうお考えでしょうか。勧めた側からして、なぜこうなのかということです。結果として、たまたま問題がおきて、救済しなければいけないという処置になるわけですけれども、その辺はどうか。やはり国が勧めるものですから、そこはあまり差がないほうがいいのではないかという思いがいたします。
○加藤部会長 差がないということは、一類の方向に持って行っていただきたいというご意見ですか。
○古木委員 はい。
○生活衛生課長 この点は先ほども資料で説明しました。5頁にありますように、努力義務を課しているか課していないかというのが、もう1つ非常に重要な要素です。そういう意味で言うと公的関与の度合が、新しい臨時接種のものは一類などより低い形になるし、努力義務のところで見ると、二類の定期に共通するようなところもあるので、やはり一類や現行の臨時と同じような水準での公的関与とは違うのではないかということで、分けてやったほうがいいのではないかというのが、事務局として整理させていただいたところです。
○加藤部会長 定期の二類よりも高いということですね。
○古木委員 はい。
○加藤部会長 ほかにどうですか。
○坂谷委員 そういうことで補償のほうを最高額に持って行きますと、結局、努力義務があるかないかだけの区別になります。そうしますと、努力義務があるほうへ片づければすっきりするわけです。この茶色の部分をつくろうということで合意をして、話が進んでおりますので、この区別をどうするかというときに、その次の議論である自己負担のことを先に言ってしまいますが、臨時接種は自己負担なし、一類の定期接種は今はありだけれども、これをなしにすべきだと思います。それから茶色の臨時の接種、いま議論になっている部分を、自己負担なしにすべきだと思います。それで、この上の3つの区別は何かと言いますと、上の 2つは補償額が最高額、新の茶色の部分の補償額は低いものと高いものの中間ということで区別をすれば、私の頭の中ではすっきりするのです。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 先ほどの黒岩先生のご指摘にもかかわると思いますが、根本的に予防接種というものについて、費用負担なり分類なりをどう考えるべきかというのは、非常に大きな議論で、いまのご指摘にあったような、たくさんの事柄も含めて検討しなければいけません。これは我々も重々心に刻んでおりますし、今回、今年の国会に向けての準備を進めている以降でも、必ず議論しなければいけない事項だと思っています。
ただし冒頭でも申し上げましたけれども、今のままの予防接種法と、今のままの特別措置法と予算事業では、来年以降も続けるわけにはなかなかいきません。そこを今のものの中で組み込むとしたらどうするかということを、とりあえず今は考えさせていただいているところです。もちろん一定程度の手当てができた後は、坂谷先生や黒岩先生がおっしゃっているようなシンプルな構成とか、そもそもの費用負担をどう考えるかということも含めて、実態も含めて、我々としても真摯に議論をさせていただきたいと思っております。
いま既存のものをいろいろ変え出すと、それこそ全体をどうするのかという議論に必ずなってしまいます。そして結果として、早急に手当てをするというところが意見がまとまらないということになってしまいますので、申し訳ありませんが、とりあえずの問題設定としては、今回どうしても予防接種法の中では手当てができなかったところに手当てをするとしたら、どうなるかというところだけをまずご議論いただいた上で、積残しの議論については、しっかりと議論をさせていただきたいと思います。
○加藤部会長 よろしいでしょうか。ほかにご意見はありますか。
(意見なし)
○加藤部会長 ないようですので、次に4番目にまいります。今のことと少し絡みますが、接種費用の負担について、ご意見のある委員はどうぞ。
○黒岩委員 接種費用の負担については私も前回、ありやなしやという話をしました。あることがおかしいと思っていろいろ聞いてみたら、自己負担があると言いながら、実は自治体が負担をしていて、本人にとっては払わないものが多いという話を聞きました。要するに、これは先ほどの言葉ともつながるのですが、お役人の言葉ではなくて、やはり住民のサイドに立った言葉にしてもらいたい。無料なら無料、かかるならかかるということにしてもらわないと。この区分けというのは、国がお金を出すか出さないかという話であって、受ける側からすればどうなのかということです。その辺は各自治体によっても差があるかもしれないし、差があるとするならば、住民が住んでいる地域によっていろいろな格差を受けていることになりますから、その辺りが実質的にどうなっているのかという調査も含めた上で、今後の検討課題にしていただきたいと思います。
○加藤部会長 黒岩委員は大変勉強なさってきましたので、大体の所が無料であるということが、少し判明してきたということですね。ただ文章としては、費用は取っても構いませんというように書いてありますので、それは取ってもよろしいというように理解しているところで、今回もこれを当てはめたということです。ほかにご意見はありませんか。
○岡部委員 根本的なところはちょっと置いておいて、運用の問題だと思うのですが、この実費徴収可能という考えには、実費徴収が可能だからできるだけ費用を頂きたいというのと、実費徴収可能という方法があるけれどもできれば費用を取らないでほしいという、2つの運用方法があるのです。一類定期の場合は、大体ができれば取らないという方法になっていて、現在の新型インフルエンザのワクチン、H1N1パンデミックというのは、どちらかというと実費はご本人の負担という形になっているのです。そこらの基本的な考え方はどのようになるのでしょうか。
○結核感染症課長 これは実際には財源の問題と絡む議論です。制度上の仕組みとして私どもが考えているのは、現在の臨時以外は定期の一類といった努力義務がかかっているものについても同様の規定があるということからすれば、今回の新類型についても、当然そうなります。今回の実際の予防接種の減免については、市町村に対して補助金という形で、私どもで用意をさせていただきましたが、実際のところ市町村によっては、若干の差があります。しかし基本的には接種を受けられる方に自己負担、その費用を持っていただくという仕組みになっているわけです。この類型についても制度上は現時点において、同じようなことを考えています。もちろん次の大改正の議論で、費用負担のあり方全体について議論をする中でどう考えるか。いま黒岩委員からご指摘のあったように、定期接種については実態的には費用負担がほとんどないということはありますけれども、現時点でのパッチを当てるという議論においては、そのような整理でお願いしたいと考えているところです。
○今村委員 私も、もともとは黒岩委員と一緒で、根本的な議論をせずしてこの議論をすること自身に、最初から問題を感じています。そうはいっても緊急に新型インフルエンザに対する対応を決めなければいけない中で、議論に乗っているというスタンスです。その中で先ほどの勧奨は、全国衛生部長会はきっと譲らないと思いますが、今のところは譲るとして、勧奨の5頁の表を見ても、結局、自己負担があること自身のほうが、私は位置づけとして非常に疑問があります。臨時接種の枠の中で臨時接種の勧奨をするのですから、どういうようになるかは別として、どうせ変えるのでしょう。当面の接種費用は自己負担なしという形で、今は位置づけておいたほうがシンプルというか、すっきりするのではないかと思います。
○加藤部会長 そういう意見もありますが、事務局、どうぞ。
○生活衛生課長 この件については5頁にありますように、公的関与の度合などを見まして、一類定期をどうするかといったご議論もあるかもしれませんけれども、これとの並びと二類定期との間の並びも考えますと、これはやはり「接種費用の自己負担あり」という形にせざるを得ないのではないかと思います。また、実際にかかる費用や経費といった問題についてもどうかということもあるだろうと思います。
○坂谷委員 いま一言出ましたが、実は費用のことが最大の問題ではなかろうかという気もいたします。もし国のほうに十分なお金がありましたら、義務にして費用もただにして、補償も十分することができるわけですし、それがいちばんいいだろうと。ところがお金がないから義務にはしないで費用も取って、補償も少し下げるという筋になっているのではなかろうかと勘ぐるわけです。
それと、今日は勧奨と義務の話ではないのですけれども、できるだけ打ってほしければ、受ける場所の数を多くし、アクセスをよくするという作業もしていかないといけません。「打て、打て」と言いながら、打てる場所が少ないということがもしありましたら問題だと思います。
○生活衛生課長 財源のことも少し申し上げましたが、基本的には5頁にありますように、考え方の整理として公的関与の度合などから考えますと、ここをまた「接種費用の自己負担なし」ということにすると、非常におかしな位置づけになります。いまの制度の仕組みの位置づけの中で考えますと、お示しした形にするのが妥当ではないかと思っております。
○木田委員 先ほどからいろいろな議論が出ていて、黒岩先生の言われるようなシンプルなというのもよく分かります。ただ、そういう複雑なところを一般国民がいちいち見ているわけではないので、その辺りは皆さんに見ていただいたらいいと思うのです。今回、市の立場としては、費用も国で見ていただくというご意見が出ているというのは、非常にありがたいのです。しかし今回の新型インフルエンザの状況などを見ますと、初めに思っていたほどのものでもないという中で、国民はワクチンを受けるのもその費用との釣り合いを考えて、案外受けない人が多いという状況になっているわけです。結構国民は賢いのです。ですから中間的なものをこしらえていただいて、国民に判断してもらうということを考えると、ほぼ義務のものから勧奨といって勧めるだけのものもあって、その費用は自分で持ってくださいといった今回のこの案はやむを得ないというか、いい方向ではないかと個人的には思います。 ○岩本委員 次のところで言おうと思ったのですけれども、ちょうど財源のことが出たので申し上げます。私は勧奨というのはレコメンデーションということだと思うので、自己負担はあってもいいと思うのです。ただ今の議論の中で財源のことだけが問題になっていますけれども、ワクチンの価格設定の問題もあります。ワクチンを自分で打とうとしたら一体いくらするのかという値段設定が、例えば国際的なレベルと比較してどうか、このぐらいだったらお金を出そうと思うのではないかという議論も必要だと思います。今議論して頂きたいということではなく、あくまでもコメントです。。
○加藤部会長 貴重なご意見で、今後の話題の1つになりますので、ノートオンしておいていただきたいと存じます。
○岡部委員 基本的というか、先の話を考えれば黒岩委員がおっしゃったように、予防接種
のあり方を十分検討することが要るのですけれども、いま現在置かれているH1N1パンデ
ミックをどうするかと考えた場合、もう1つはやはり現状のDisease Burdenと言いますか、木田委員もおっしゃっていたように、疫学状況を考えて判断しておかないと。いまの状況の新型インフルエンザというのは、かなり季節性インフルエンザに近いものです。しかし注意をしないと、かなりの人に健康被害が起きる可能性がある。そのときに現在、これに努力義務接種をかけて全部費用負担をなしにして、非常に強烈なものだというと、イメージとしては旧来考えていたH5N1スタイルに戻ってくるので、これは非常に危険性を促す可能性もあると思うのです。季節性インフルエンザ並みという言い方は非常に誤解があるのですが、そのレベルの強弱を考えた場合、いまの季節性インフルエンザとは離れたような非常にきついものにすると、少なくともこの1-2年間ということで考えるならば、努力義務接種というのはちょっと行きすぎではないかというのが私の意見です。
○加藤部会長 ほかにご意見はいかがですか。よろしいですか。ないようですね。そうしますと、先ほど事務局から出たように、これを予防接種法に載せる以上は国と地方の分担割合については、現行のルールに沿って行わざるを得ないということでよろしいかと座長は考えました。
これで論点の1は終了いたしますが、締括りと言いますか、まとめさせていただきますと、新たな臨時接種と現行の臨時接種の位置づけについては、知見等に応じて柔軟に対応できる仕組みとすること。臨時接種を行うかどうかについては、今回の新型インフルエンザへの対応を踏まえて、国の健康危機管理上、重要な意思決定をどのような手続きで行うか、専門家の意見を十分に反映させるためにはどのような方法があるかについて、今後検討の必要があるというご意見がありましたので、そのようにまとめさせていただきます。
論点の2については、さまざまな意見をいただきました。行政側から見た公的関与の度合については高い順から努力義務、勧奨、そして全くなしですが、新たな臨時接種については努力義務は課さないものの、勧奨は行うものとする、また臨時に行う接種についての勧奨は、短い間でなるべく多数の対象者に周知が図られますように、適切な手段を活用していただきたいという取りまとめです。
論点1の3もだいぶ議論が出ました。新たな臨時接種の健康被害の救済給付水準については、一類定期接種と臨時接種は努力義務ありで、二類定期接種は努力義務なしですが、この両者の間の水準とするというように取りまとめたいと存じます。
論点1の4の新たな臨時接種については、いまお話にあったとおり定期接種と同等で、実費徴収を可とするということで取りまとめたいと存じます。もちろん今日、これですべてを取りまとめるわけではありません。今日いただいたご議論を基に、また事務局側にきちんとした素案を出させますので、それを見てもう一度、繰り返し点検をしていただきたいと存じます。
続いて第2番目の論点です。これは新型インフルエンザ等の世界的な流行(パンデミック)への対応です。これは資料2のほうは8頁、資料1のほうは5頁からご覧いただきます。いちばん最初はワクチン確保の問題です。この黒丸の「損失補償の範囲、要件について、具体案を示すべきである」ということについては、先ほど事務局からお話がありましたが、この件に関してご意見をいただきたいと存じます。資料としては資料2の11頁と9頁の両者を見比べながら、ご意見をいただきたいと思います。どうぞ、ご意見はありませんか。
○北澤委員 「特例承認に伴うリスク」というのがマルになっているのですけれども、特例承認ということは、外国ではすでに承認済みということが条件になると思うのです。そういうものに限って本当にいいのかどうかということについては、いかがでしょうか。
○生活衛生課長 外国で承認済みの場合の特例承認に限っているというのは、この図にもありますように、通常承認の場合ですと、ある意味、わが国での治験のデータなども十分あって、その有効性・安全性も十分見て承認しますので、これまでに特段、損失補償の仕組みというのはありません。これが特例承認ということになりますと、もちろん安全性・有効性は見ますけれども、かなり簡略化した審査なので限界はありますので、想定以上のリスクが出てくる可能性があります。それから、ワクチンですと短期に大量に接種するということですので、通常想定される以上のリスクがあるわけです。そこは企業としても負い難い部分もあるだろうということが出てまいりまして、そういう特性を見てカバーするということですので、通常の承認の場合とは違っているのではないかと考えております。
○廣田委員 損失補償の対象ワクチンという考え方は、特例承認の新型ワクチンというと、輸入物ということになるわけですけれども、例えば国産のH5ワクチンを使わなければならなくなって、短期間にたくさんの人に打つと。もちろん市販後調査の結果はその後に出るわけですから、国産の場合もそういった損失補償の範囲に含めることを、考えておいたほうがいいのではないかと考えますが、いかがですか。
○生活衛生課長 通常、別に必ずしも国産と海外というわけで分けているわけでもありませんけれども、国内ですでに通常承認が取られているものについては、ある程度リスクの評価をされている部分があるというのが1つです。また、健康被害の部分についてはある程度、救済制度などでカバーできる部分があるのではないかと考えているところです。
○加藤部会長 ここに書いてあるのは輸入ワクチンの場合でしょ。
○生活衛生課長 特例承認になっているのは輸入されているものになります。
○加藤部会長 ただ輸入と言っても、日本では使われていない輸入ワクチンですね。
○生活衛生課長 左様でございます。
○加藤部会長 ほかにいかがですか。
○櫻井委員 資料2の11頁に関連するところで、損失補償契約についてです。上の表の「手続」と「期限」の(4)(5)になりますが、今後、恒久法に入れることになってくると、やはり原子力事故の場合と比べて、明らかにさらに特別扱いするような必要性があるとは全く考えられないのです。したがって、まず手続きについては財政法の観念とか、憲法の予算審議権の尊重ということからしても、国会との関係で何かしらの手続がなければならないのは、当然のことではないかと思うのです。やはり基本的には事前にある程度の枠を設けた上での事前承認というのが、できる限り取れればいちばんいいのです。しかし緊急性ということがありますので、事後的な報告あるいは事後的な議決をいただくということは、当然あって然るべきだろうと思います。それから(5)についてです。期限というか、これにも会計年度を越える越えないという問題がありますが、やはり原賠法関係の規定を越えるような特別扱いは難しいのではないかと思います。
○加藤部会長 貴重なご意見ですが、櫻井委員としては(5)は永久ではなくて、5年ぐらい単位で見直したほうがよろしいのではないかという具合のご意見ですか。この件については、いかがですか。
○生活衛生課長 先ほどの櫻井委員のご指摘の件で申し上げますと、国会との関係で申しまして、どこまで国会の審議なり関与なりが必要なのかといったものについては、いろいろなやり方があるかと思います。どういう手続きが要るかについては、必ずしも一義的ではないところがあります。また、他法令の状況などもいくつか見て、判断するようなことが必要ではなかろうかと思います。何らかの形での財政上のコントロールは重要ですけれども、手続そのものについてはいろいろなバリエーションがあるだろうと思います。そこら辺の研究は必要だと思っております。
○岡部委員 これは特措法で損失補償契約ができているわけですけれども、この時限はいつまでになっていますか。というのは、これで契約しているワクチンが未来永劫使われるわけではなく、現在輸入契約をしたロットは有効期限として切れていくものが、もうすでに3 月ないし12月であると見込まれているのです。その先を見込んでの特措契約が補償のことを考えているのか。あるいは年内ということであるならば、それは自然に消滅してしまうことではないかというようにも思いますが。
○生活衛生課長 今回のワクチンの契約については、国が買上げをしているものに当たりますので、国が買上げをしているかどうかというのが1つの要素になります。もう1つは、新型である間というのが有効期限という形になります。ただ買上げをしたときに、新型であったかどうかというのが1つのメルクマールになりますので、そのときに国が買上げをしたかどうかといったことです。期限は決めていませんけれども、そういう意味で自ずと限界があるだろうと考えております。
○加藤部会長 よろしいですか。不満はありませんか。いいですか。
○岡部委員 この論点は結局、この次の段階ではどうしようということになるわけですが、もし特措法がなくなったときの損失補償をどうしようかという意味合いで、何か新たなものをつくるのですよね。しかし、それはいまの現状のままでいったとしても、有効期限が切れると、そのワクチンについてはもうなくなってしまうのではないですか。使用できなくなるわけですから。
○生活衛生課長 仮にいまの新型インフルエンザについて、いまのワクチンをまた買上げるといった場合については、もちろん適用の対象にはなります。ただ、これ以外の新型インフルエンザが発生して、また買上げをしなければいけないというときには、特措法の対象にはならないということになりますので、今後そういったものも対象にできるようにすることが必要です。
○岡部委員 ということは、この次のシーズンのときには別の海外輸入ワクチンの可能性があるということが、そこの下にはあるのですか。
○加藤部会長 それはやはりあるのでしょうね。事務局、いかがですか。
○結核感染症課長 もちろん、そういう可能性はあります。特例承認で購入しなければいけないような状況が生じた場合に、買えるように規定をしておくものです。いますぐ直ちにそういう状況があるかどうかについては分かりませんが、そういうことになったときにまた特別措置法という形で立法措置を講じなければならなくなりますので、そうではなく前もってそれに対して対応しておくものです。
○岡部委員 薬事審議会のとき、私は参考人だったので採決のほうには全く関与できないのですけれども、そのときの議論では、輸入ワクチンについての特殊認可というのは、たしか
7年有効です。しかし有効期限がきた場合に、もうそれ以上はできないが、仮にこの新型インフルエンザワクチン、いまのH1N1パンデミックの病原性が高まるということになった場合には、もう1回審議をしている時間がないから、やはりさらに輸入する可能性があるかもしれない。しかし、このままの状況で、あまり病原性が強くない形であるとしたならば、同じようなロットの違ったワクチンのときには、やはり通常の検定などもやっていくのではないかという議論があったと思うのです。ですから、それと絡めて考えていかないと、損失補償契約をどうするかというのは、慎重に考えられたほうがいいと思うのです。
○加藤部会長 それは特に期限についてですね。
○岡部委員 期限と検定の問題が絡みます。検定をきちんとやった場合には、むしろ特殊な契約というのは、かえってなくなってしまうわけですから、そこの絡みでどういうように有機的になっているかが、私も頭で整理ができていないのです。
○加藤部会長 わかりました。この点は非常に難しい点です。いまの皆様のご意見を聞きつつ、できる限り次回までに事務局で整理をしてください。よろしいですね。
それでは論点の2、接種の優先順位付けです。これは隣の資料の14頁です。
○黒岩委員 先ほど座長がおっしゃったとおり、私は予防接種について、まさに勉強中ですが、どんなに考えてみても、ストンと胸に落ちないところがあります。それはまさにこの優先順位を付けるということです。人が人の生命に優先順位を付ける、国が人の生命に優先順位を付けるということに、どうも腑に落ちないところがあります。これも先ほどの予防接種の全体像の改革の案に、実はつながった話なのです。
「とりあえず、とりあえず」と言われたら、それはもうしようがないということで認めざるを得ないのですが、本来、予防接種というものを考えるならば、こういうことが起きないぐらい、優先順位を付けなくてもいいぐらい、通常から潤沢に用意をしておくという状況、国内産、海外産と分けなくても、いつでもすぐに対応できるぐらいの状態をつくることに、まず優先順位を置くべきであって、人の生命に優先順位を付けるということを法律に書き込む必要があるのかどうかというところが、大変疑問に思います。何もすべてを、この法律に書き込む必要はないと思います。私は、これは法律の中から省くべきだと思います。
○加藤部会長 いまの優先順位付けというのは、あくまでも今回の新型インフルエンザと同等の何らかの疾病が起きてきたときに、ワクチンが間に合わないかもしれないので、優先順位を付けざるを得なかったというのが、今回の学びであると思います。それを踏まえた上で、何かご意見はありますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 いま黒岩委員がおっしゃった、そもそもいちばん大切なことは、きちんとワクチンを整備して、対象となる方に潤沢にワクチンが供給できるようにすべきということです。ただ、残念ながら急にパンデミックが起こって、ウイルスなり病原体というのがその場で同定されて、走りながらワクチンを作っていったような場合には、次に少しずつしかワクチンができていかないという状況があります。我々も別に生命に優先順位を付けるつもりはないのですけれども、そういう限られたワクチンが少しずつ出ていくときに、単に対象者だけを決めて、あとは現場で決めてくださいとか、もしくは県で決めてくださいということで、すべてをお任せしてしまうと、それはやはり現場で混乱が起こってしまったり、ワクチンの奪い合いが起こってしまったり、例えば待ちや予約だけが増えてしまったりということになりかねないのです。
そういう状況の場合は、優先順位が決められるということにしておいてはどうかと。もちろんなるべく努力をして、基本的にワクチンが潤沢に供給できるようにしますし、その場合、我々は対象者を決めるだけで、優先順位を決めることはあり得ないのです。ですから限定的な状況下のみの定めとして、こういうことを決めておいたらどうだろうかということです。
○加藤部会長 ほかにご意見はありますか。
○廣田委員 いま事務局がご説明になったのは、まさに立派なご説明であったと思います。黒岩委員のおっしゃるとおりですが、新型インフルエンザの場合は致し方ない。どこの国もやはり同じ経験をせざるを得なかったというのが現状だろうと思います。一方、普通の季節性インフルエンザワクチンについても、国によっては不足したシーズンに優先を付けるような場合があります。そういう点からいくと、我が国は通常は非常によくやっていらっしゃると考えております。この新型の場合は、私は致し方ないと考えております。
○木田委員 今回は致し方ないというご意見で、私もそのように思うのですが、逆に確保をするのに奔走して、1億5,300万人分も確保して、それがかなり余っているのではないですか。それが有効期間中にどれだけ使われるのか、その情報は私には入っていませんけれども、もっとも確保するということは、人間の生命を守るということでは非常に大事なことです。
しかし税金を使ってやる以上、その効率というか、無駄にしないということも大事です。
今回のこの議論からは外れますけれども、そういった責任はどこにあるのかという話もたくさん聞くのです。もし、こういうことが私たちの市であれば当然、市長は責任を取って訴えられるような話です。本当に何百億円、1,000億円というような無駄が出れば、もう大変な問題だと思うのです。確保しなければならないというのも、もちろん大事ですし、その病原性を見極めて、どのぐらいでいいかというのを判断することも非常に重要だと思います。いまの世論などを聞いていますと、それに対する責任論などは出てきていません。しかし私は税金を使った以上は、その辺りは本当に大事なことではないかと思います。
○加藤部会長 確かに論点はずれておりますが、大切なことです。しかし今回、これは初めての経験でしたので、1回接種するか2回接種するかも瀬戸際まで決まっていなかったということも勘案すると、もしかすると不十分だった可能性もあるということです。おそらく政府はそのように決めたために、もしかすると余るかもしれないということで、結果論としてご意見として承ります。ほかにどうぞ。
○坂谷委員 新しいワクチンができて緊急に使わなければいけない、輸入したものを使わなければいけないけれども、安全性・有効性がまだはっきりしていないというときに、医療従事者が先に打っていただいたのです。これには2つの意味があります。国民からは、信用できないワクチン、本当に効くかどうか、安全がどうか、医療従事者が自分で打って確かめてみろという意思も働いているというように理解しております。
○加藤部会長 そのとおりだと思います。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 今回、いちばん最初の優先順位として医療従事者に接種していただいたのは、今回の新型インフルエンザにかかってしまった場合に、やはり医療機関というのが一番守っていかなければいけない所だからです。そこで従事者がバタバタ倒れてしまって、診療ができなくなっては本末転倒ですので、まずそこからきっちり接種していただきました。しかも今回は医療従事者全部ではなく、インフルエンザの診療に従事するような医師なり看護師なりに接種していただくことにしました。いま坂谷先生がおっしゃったようなことがあったかどうかは分かりませんが、我々としてはいま申し上げたような観点で、まず医療従事者に接種させていただいたということです。
○岡部委員 誤解があるといけないので、ちょっといいですか。優先順位の最初のほうでトライアルも含めて、医療従事者も含めての接種というのは国産を用いたのですよね。ですから優先順位としてやるのは副反応あるいは効果について、製法その他からいってある程度ノウハウがわかっているものでしたので、「先にやってみよう」というのは、ちょっと別の議論ではないかと思うのです。
○加藤部会長 では、事務局が先ほどお話した黒丸の返答についての議論は、それでよろしいですか。
(意見なし)
○加藤部会長 次に15頁のワクチン供給調整について、ご意見を求めます。
○黒岩委員 「国や都道府県がワクチンの製造販売業者、卸販売業者に協力を求めることができる」の「協力」という言葉についてです。先ほどの勧奨とも似ているのですが、「協力を求める」というのがどういう意味なのかというのが、実はよくわからないのです。これは命令ということでもないのでしょうか。要するにビジネスの世界というのは、必要なときには売れるわけですから、放っておいてもそれを作るようになると思うのです。それをわざわざ国が協力を求めるという仕組みを法律に書き込む必要があるのかどうか、そこが私は疑問です。
○生活衛生課長 今回のインフルエンザの予防接種事業には、特段法律の規定はありませんけれども、事実上、協力をしていただくという形で、供給の仕方とか、こういう所に配っていただくということでやっていただきました。こういうことをやる上では、やはり法律なりではっきり規定をして、その上でメーカーや卸売業者にもご協力いただくという形でやるのが、明確にするために筋だろうということで、規定を置くことにしてはどうかということをご提案させていただいているわけです。
○加藤部会長 そういうことですが、ほかに事務局案について何かご意見はありますか。
○黒岩委員 先ほどの優先順位の話もそうですが、私は基本的に、この法律はいろいろなものを書き込みすぎていると思っています。要するに、優先順位の付け方にしても何にしても、前回そういう経験があったわけですから、その経験をどう活かすかというところであって、もうすでにある程度のマニュアルはできているわけです。そうであるならば、後は政治の判断です。内閣が責任を持って、生命をかけて優先順位を決めなければいけないのだったら、それをやると。やはりそれが政治というものであって、法律の中で全部細かく細かく書き込むというその方針自体、私は間違っていると思います。
○加藤部会長 黒岩先生、そのとおりです。この部会は別に法律を作る会ではありません。厚生労働大臣にこの部会として意見を申し述べて、それをまさに先生がおっしゃっているとおり、政治的判断で法律を作るのです。ここは法律の案を作る場ではありませんので、是非ご自由なご意見をお話いただいて、この部会としての意見をまとめるということが私たちの職務です。
○櫻井委員 いまの点ですけれども、そうはいっても実務上はメーカーと言えども、言うことを聞いてくれるとは限りません。
○加藤部会長 協力というところですか。
○櫻井委員 そうです。実務的には協力を求めるという根拠規定がありますと、それはそれで非常に動きやすくなり、実際上の効果があるということは間違いのないことだと思うのです。報告を求めることも結局のところ、相手に負担をかける話ですので、情報収集をしなければいけないという必要性があるのであれば、大して細かい話ではないので、入れておいたほうがよろしいかと思います。
○加藤部会長 ほかにいかがでしょうか。事務局は何か付け加えることはありますか。これでよろしいですか。
(意見なし)
○加藤部会長 それでは2-4、医療機関における適正な接種の実施の確保にまいります。15 頁の下をご覧ください。これに関してご意見を求めます。
○飯沼委員 この項に関しては、実は各都道府県医師会に照会いたしました。8割以上の回答が、何を言うかということでした。要するに、前回私が申し上げたように、医師なり医師会が自浄作用でやられることだから、そんな必要はないということでした。留め置くのは構わないと思いますけれども、法律の文章にこれを入れることに関しては納得できないというのが会員の意見でした。
資料3の8頁の(4)というのは、論点だから書いてもいいのかもしれませんけれども。「ゼアゼルテン」というドイツ語がありますが、非常に少ないケースをここまで書くのは、なかなか納得しにくいということで、8頁の(4)は私も個人的に全面的に。ほとんど片手にも入らない数のものを、「国が定めた優先順位に従わず、接種を行う医療機関が見られたところである」という書き方で文章に出てくるというのは、会員が見たらとても怒りますよ。アンケートでも「予防接種に協力できなくなる」と書いてあります。脅迫になると思うので、それは強調しませんけれども、そういう意見もありますので、これは是非とも再考を賜りたいと思います。
○加藤部会長 飯沼委員は前回の意見と、ちょっと違う意見を述べていると思います。個人的な意見とまた違って、統計を取ってみたら、皆さんの意見はそうだったということですね。
○飯沼委員 いやいや、自浄作用というように、ちゃんと申し上げております。
○加藤部会長 それはよく分かります。
○櫻井委員 この「医療機関に対する報告徴収と調査」ですが、そもそも論として本当にこういう規定を設ける必要があるのかというのは、留保させていただきたいのです。相手がどのぐらいの規模かということもあるとは思うのですが、手法ということで申し上げると、案が3つ挙がっていますね。1つは、いちいち罰則を設けるというご提案は、何とかの一つ覚えみたいです。我が国の実効性確保の手法は罰則ばかりなのです。ですから、それは基本的にやめたほうがよろしいというのが、まず一般論としてあります。
それから報告徴収をするという根拠規定と調査をするというのも、調査も自ら入るという手法がありますよね。これは法文がはっきりしていないけれども、相手が従わなかった場合にどうするかというときに、何も罰則を付ける必要はないのです。罰則はどうせ動きはしないのですから。そうだとしますと、自ら調査実施主体が入ることができるということを任意規定で書くなり、先ほどの勧奨ではないけれども、第2項か何かを設けて、正当な理由がない場合には拒むことができないというように入れておけばいいわけです。それくらいのプレッシャーのかけ方というのは当然あるので、そこは工夫をしていただく必要があるでしょう。
ですから罰則というのは選択肢として、むしろ外していいのではないかという感じがしております。
それから案の3で、契約というのがあります。契約も一見よさそうだけれども、では担保の仕方をどうするのかという常に同じことが問題になってきます。それがコメントです。案についてはもう少し精査をして、そもそも論についても、ちょっと考える必要があると思います。
○今村委員 これも個人的であり、かつ全国衛生部長会の意見でもあるのですが、今回のワクチン接種は、本当に医療機関の献身的というか、使命感でかなりうまくいったわけです。これは本当に事実です。これがなかったらきっと行かなかったと思います。そういう状況の中で本当に、もう櫻井先生がおっしゃったので言いませんが、こういう罰則なんて論外という感じで衛生部長会、受けています。
そういうものではなく、やはり医師自身の使命感の下でものをする中、手法的には集団接種のやり方、その他もっとやりやすい方法、いろいろな所で受けられるようにするとか、そちらの議論をするなど、むしろ医療機関に対してもっと配慮すべきであるような気がします。
○加藤部会長 ありがとうございました。大体似たような意見になってまいりましたが、とにかくいまはパンデミックが出てきたときの話をしております。今回の新型インフルエンザワクチンの接種の際には、医療機関、病院はもちろんのこと、診療所の先生方の協力なしにはこれだけ鮮やかに、世界に希に見るようなスピードと集中力を持って、そのワクチン行政が行われたということは考えられないということにして、それは私は高く評価されて良いものと思います。
そのことと、また、しかしそれはあまりにも、この次に起きたときに野放図にやってはいけませんよということは今回の一つの反省点から出てきたものであると考えております。
そういう意味で案の1、2、3ということが話題になってきているところでございます。罰則をつけることはとんでもないということは皆さんの全く同じご意見であろうと思いますが、これは論議していきましても尽きないことであると思いますので、少し先送りもできないのでしょうけれども、この辺は次のときまでに事務局にとりまとめておいていただきまして、そこで最終的に妥協案といっては変ですけれども、妥当であろうという線に押しつけたいと考えますが、いかがですか。事務局、よろしいですか。はい、わかりました。どうぞ。
○宇賀委員 この(案1)、(案2)、(案3)については、それぞれ法律論からいえばどれもあり得るものではあるのですけれども、(案2)の中にも、任意調査であるけれども根拠規定を置いておくという場合と、それから担保手段はないのだけれども、義務規定というのもあるのですね。例えば、刑事訴訟法197条第2項に基づく捜査関係事項照会というのは、閣議決定された政府の解釈だと、応ずる義務があるわけです。しかし、応じなかったからといって何ら制裁がない。そういうものもあるので、案にも、こう2つの類型があるのではないかなと思います。
それから(案3)に関しては、契約ですから当然相手方との合意が前提になるわけです。契約の中で、優先順位を守るというような義務を相手との合意のもとで課すということができますが、それに従わなかった場合には契約解除はできますが、それによりどちらが困るかという問題になります。あとは債務不履行を理由とする損害賠償が考えられますが、本件のような場合、損害があるといえるのかという問題が出てくることになります。
○加藤部会長 どうもありがとうございました。ただいまのようなご意見を拝聴した上で、事務局のほうでとりまとめていただきます。論点2についてまとめさせていただきます。誤っていたら、事務局のほうで正してください。
論点2-1、損失補償が可能となるケースはワクチンの需要が極めて逼迫して、急速にワクチンを確保しなければ国民の生命及び健康に重大な影響が及ぶおそれがあるような場合とする。そして、損失補償の対象につきましては健康被害を基本としつつ、その他ワクチンの性質等を踏まえまして、国が真に損失補償の責任を負わなければならない場合とする。それから損失補償の手続についてですが、その透明性や国民に対する説明責任を果たしまして、損失補償の必要性、妥当性を担保することとするで、いかがでしょうか。
そして若干宿題になっておりますのは、損失補償の対象となるワクチン、損失補償規定の期限についてですが、これは本日若干意見がまとまりませんでしたので、事務局の預かりとさせていただきたい。
論点2-2、パンデミック時には国が対象疾病、接種対象者、標準的接種スケジュールを定めまして、都道府県が具体的な接種スケジュールを定めます。そして自ら実施するか、市町村に実施を指示するかの仕組みとなります。
論点2-3ですが、ワクチンの供給調整につきましては適正な臨時接種の実施の確保のため、国や都道府県がワクチンの製造販売業者や、販売卸売りですね、販売業者に協力を求めることができる仕組みの導入について検討すべきではなかろうかと考えました。
論点2-4ですが、医療機関への調査についてです。調査、報告徴収に関しまして、先ほど来語られております、案の1が法定化するとともに罰則を課す方法、案の2が法定化のみの方法、案の3は契約により担保する方法等が考えられるということで、ディスカッションをいただきました。
ワクチンの安定的な供給と予防接種の適正な実施につきましては、どちらも重要であると認識しておるところですが、メーカーに対する協力の要請と医療機関に対する報告の徴収は、両者のバランスを考慮する必要があるのではなかろうかと考えまして、この辺のところを十分整理していただき、次回事務局に案を提出していただきたいと存じますが、事務局はそれでよろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○加藤部会長 よろしいですか、はい、ありがとうございます。
続きまして3つ目の論点に入らせていただきます。臨時接種として接種を実施した新型インフルエンザの定期接種化についてです。その件につきましては、資料2の17頁からでございます。ご意見をいただきます。ご意見ないですか、お疲れになりましたか。
○岩本委員 前もこの件で発言したように思うのですけれど、基本的には僕は法律で決めているのと、政令で決めているのとまだよくわかっていないのですが、1番目の黒丸についてです。定期接種をするということが、臨時接種から定期接種に変えるということが前提になっていて、定期接種とする蓋然性がどれぐらいあるかという判断が後なのですね。季節性インフルエンザとしてよかろうという判断が出た段階で定期接種にするのだというのが筋だと思います。それにはおそらく2、3シーズンかかるので、議論はもちろん必要だとは思います。原案の書きぶりでは定期接種に移すということが先になっているので、おそらく感染症法と予防接種法の関係だと思いますけれど、ワクチンをどうするかが先にあって、その病気の軽重を後から考えられるような話になっていて、僕には非常にわかりにくいです。
○加藤部会長 それは岩本先生は、いつも感染症法の考え方と予防接種法の考え方のバランスが合わないという、先生の持論ですけれども。
○岩本委員 いや、持論かどうかわかりません。
○加藤部会長 と考えますが、その辺はちょっと事務局説明できますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 最後に岩本先生ご指摘になった、感染症法におけるインフルエンザの規定と予防接種法におけるインフルエンザの規定の違いは前回も資料を用いてご説明をしましたけれども、感染症法上は5つにインフルエンザを分けて規定しています。予防接種法上は1つしかないということで、この入り繰り関係が若干理解が非常にわかりにくくはなっているというのは、事実だと思います。
2点目は、いちばん最初に岩本先生がおっしゃった、定期接種化という予防接種のやり方が何か冒頭にあって、それに病気の軽重を合わせるようなちょっと書きぶりになっているではないか。それは我々も反省すべきなところがあります。実際上、定期接種化するかどうかというのはまさにその時期や条件も含めて、それはもう本当に専門家の先生方の間で透明性のある議論をしていただくべきなので、そこはいまするべきだとか、来年すべきだということを我々は議論しているわけではないのです。ただ、ここで言いたいのは一つだけで、そういう議論があったときに、いまのままの法律の規定の仕方ではその法律がある意味でいうと障害になって、高齢者以外にH1N1なり、新型インフルエンザ全体なりに対するワクチンを打っていただくときに、法律が邪魔になってできませんということになってしまう可能性について、取りあえず法の仕組みとしてはそこを外しておくのはどうでしょうかという、先生方に対する問いかけです。もちろん具体的にどういう人に打つかというのは、岩本先生がおっしゃったように、どういう人に効くのかとか、どういう人が感受性が多いのかとか、そういうことも含めて議論をしていただいて、具体的に政令で決めたらいいということです。法律の定めのやり方と、それ以下の政令における定めのやり方を少し区別をさせていただいて、今回は取りあえずその法律の定めの仕方で、ある意味で言うと、必要なときに障害にならないように穴を開ける、その部分を解除するということが是でありましょうかということの問いかけです。
○岡部委員 長くなってしまいますけれどすみません。背景がわからないと、なかなか判断できないと思うのですけれども、高齢者に対する定期予防接種化をしたときは、疫学的に高齢者の場合はかかる可能性としては少ないが、かかった場合にはかなり重症になります。超過死亡というような形でも現れてくるので、高齢者に対してインフルエンザというような病気で命を落とさないようにしようというのが、定期接種化のときの議論です。
そのときに、同じように子どもたちの現場、小児科領域の議論も行われていましたが、その時点ではまだ十分なデータがなかった。その後に、では小児についてはどうしましょうとやったときに、現行の接種方法の年齢に応じた0.1ml、0.2ml、0.3mlというやり方では限界があって、現行の方法ではその効果は20-30%という表現ですが、そのぐらいの効果である、という成績がだされました。これは廣田先生とか神谷先生のデータで、そうなってきているわけです。その後にインフルエンザ脳症などの問題が出てきて、小児をどうしようというのが接種量を変えれば効果は上がるかもしれないということが検討されてきています。
それから、いまの新型インフルエンザパンデミックH1N1/2009というものの疫学状況は、感染状況から言うと、やはり小中高といったような小児の集団で発生をするので、重症度とは別に非常に社会的な問題にもなりました。あるいは学校を休まなくてはいけないとか、受験をどうするのだという問題が出てきたので、ここはやはり病気のインパクトのあるところだと思います。
それから高齢者にとっては発生数は非常に少ないけれども、やはり高齢者での致死率は高い、ということは、どこを主に防ごうかと考えた場合に、この両方はできれば防いだほうがいいだろう。しかし、いまの定期接種のままだと、おそらくは高齢者だけしかワクチンがい
かないから、全部にもうちょっと幅を広げようというところで、これだと思うのです。私は、これだとしたら、disease burdenの激しい部分の小児領域、あるいは中高生、高校生と言うと浪人どうしようかという話が出てきますが、そういう年齢層が現在の疫学状況からは必要になってくるのではないか。でも、そうやって考えていると、結局アメリカが日本のかつてのことを見本にして高齢者に接種をし、現在入院数を減らそうとして小児から18歳までに広く接種をするほうになっていますが、だんだん何かそれに近付いているような考え方になると思うのです。
ただ、もう一つ別なのは、重症度から言ったら大したことはないけれども、会社を休みたくない、あるいは病気を軽くしようとする一般健康人をどうしようかというところだと思います。
それからハイリスクの人は別途、これはできるだけ防いでいただいたほうがいいだろうというのが、現在の疫学状況から考える私の意見です。
○加藤部会長 ありがとうございました。どうぞ。
○廣田委員 私はこの法律上の高齢者限定規定、やはりこれは削除していただいたほうがいいと考えます。インフルエンザは、平成6年に予防接種法から一旦外れて、そして平成13 年にまた入ったわけです。いろいろな理屈はあったのですけれども、やはり平成6年のとき、要は効かないから外したというようなことがどんどん一人歩きしたのですね。平成13年に再度入れるときに、効かないといったのに何で入れるかという議論がまたあった。おまけに平成6年と平成13年の法改正に取り掛かる時の厚生大臣が同じ人だったのです。内部的にも、やはりこれは高齢者ということを非常に強調する必要があったようなこともありますし、また世相としてもそういうのがあったということも聞いております。私は、この高齢者限定規定はやはり外すべきだと考えます。
○加藤部会長 ありがとうございました。ほかに飯沼先生、何かご意見はありますか。
○飯沼委員 僕も外すことには賛成です。
○加藤部会長 他にいかがでしょうか。よろしいですか、事務局から何かありますか。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 確認をさせていただきたいのですが、我々
3つの選択肢というのをここに書いてあります。H1N1、それから新型インフルエンザについてはこれは国民の大多数の方にやはり免疫がないので、ここまでは外すことにおそらくあまり大きな異論はないのではないかと思いますが、季節性についても外すかどうかということについては、平成13年当時やはり限定をかけるべきだとおっしゃった方もおられるし、いま大きく違うデータが、例えば70%について重症化予防効果があるということが目前にあるわけでは必ずしもないという現状からすると、ここまで今回手をかけると、それは反対の方との間でやはり挟まってしまって、この新型インフルエンザさえ抜けなくなってしまうかもしれないということもありますから、今回については資料2の19頁の案でいうと、新型インフルエンザまでを高齢者限定を外しておくということで、少なくともそれについては先生方について反対がないかどうかということについて、ご意見をいただきたいと思います。
○加藤部会長 この株においてという意味ですね。岡部さん。
○岡部委員 その場合プラクティカルなこと、ちょっと検討してもらわなくてはいけないと思うのです。今後のワクチンのコンポーネントがまだ決まってないわけですけれども、可能性の高いものとして、1本のバイアルの中に季節性インフルエンザの2種と、新型インフルエンザの1種を組み込んだ3種混合型ワクチンのほうが、使い勝手からいうと良いので、こういうものが仮に出てきた場合に、この定期と臨時と一緒になって接種されることになります。ただ、そのようなことは過去にも、例えばDPTの3混で破傷風が任意であったときとか、MMRのムンプスのときも同じようなことをやっていたので、そういう解釈をする可能性があるかどうかということが1点です。
それからもう一つ面倒くさいのは、「いいです、それなら私は新型だけ定期としてやります」と言ったときに、新型のバイアルをやはり確保しておかないと、一方では臨時接種と言ってやりながら、そのワクチンはありませんというような状況になってきてしまうので、その辺をどうお考えになっているのか。ちょっとプラクティカルなことは検討しておいたほうがいいと思うのです。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 ちょっと確認をさせていただくと、加藤部会長が案の1とおっしゃったような気がしますが、案の2をいま我々は説明しました。
いま岡部先生がおっしゃったことについては、たぶんこの場で決めることはできないと思うのです。WHOのSAGEの議論でありますとか、それから当然作られるほうの生産ラインの話等も含めて、今年流通していくワクチンをどういうコンポーネントにするのか、3価 1価の問題ですとか、量の問題ですとか、時期の問題ですとか、いろいろな問題がありますので、そこは別途データに基づいて議論をしていただこうと思っております。
○加藤部会長 他にご意見はよろしいですか。この黒丸のところ、ご意見はございませんか。
ないようです。
それでは、少しまとめにくくなりましたが、この臨時接種として実施した場合の定期の接種化についてです。現在拝聴したところでは、新型インフルエンザを臨時接種として接種した場合に、その後一定の要件が整えば定期接種化するかどうかについては今後検討する必要がある。今回の新型インフルエンザ及び他の新型インフルエンザについて定期接種をすることとなった際に、高齢者以外の者を定期接種の対象者として接種すべきと判断される蓋然性は一定程度あるということは、複数の委員から賛成が得られます。従って、新型インフルエンザに対するワクチン接種を定期接種として実施する際に、迅速に対応できるよう、法律上の高齢者限定規定を新型インフルエンザに限って除外いたすと、こういうご意見が多数を占めたと思いますので、このように一応このセッションはまとめさせていただきます。また、これを基に次回事務局が草案として組み入れていただきまして、もう一度各委員にチェックしていただくということで、事務局にはよろしくお願いします。
ありがとうございました。それではだいぶ時間も経ってきました。いつも終わりのほうが詰まってきて、座長の仕切りが悪くて、大変申し訳ございません。次回は、本日の議論を踏まえて、資料3にありますような予防接種見直しについての第一次提言の案を事務局より提示していただきます。本日の資料のものは素案、即ちたたき台でございますので、簡略にご説明お願いいたします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 時間が過ぎておりますので、簡略に申し上げます。先ほど飯沼先生からご意見もありましたように、ここはあくまでたたき台ですので、今日のご議論というのをこれに反映させるということが当然でございます。それから今日のご議論、ちょっと時間もありませんので次回までの間、例えばメールなりお電話なりファックスなりでいただいたご意見は当然反映させていただきたいと思います。
全体の構成だけ簡単に申し上げます。はじめにのIのところは、実際に昭和23年に予防接種法が出来て以来いろいろ変わってきたけれども、この予防接種部会というのは緊急に対応すべきことと、それから大きな全般的な見直しの問題、2つがあった。今回は、取りあえず前段の緊急に対応すべきところについて以下のように考えるということです。IIの1は従前の経緯です。IIのところは大きく(1)から(4)のような、やはりいまの予防接種法なり今回の
事業というものについて課題があったのではないかといっていただいた上で、4頁になりま
す。IIIの1から論点の1-1からずっときまして、最後が9頁になりますがIII-2ということになります。くどいようですが、今日いただいたご意見なり、これからいただくご意見も踏まえて、この文章は変えさせていただきます。いま、こう書いてあるからこうするという意味では、当然ございません。こんなイメージということで示させていただいています。
その上で9頁からは、これは先ほど申し上げた緊急に対応すべきこと、抜本的に考えること、2つあります。今回は、緊急に対応すべきことについてIIIのところで言ったけれども、それ以外のところは大きくこの6点ぐらい、どういうワクチンを加えるのか、健康被害が生じた場合に国やメーカーや医療機関の関係をどう整理するのか、責任をどうするのか、情報提供をどうしっかりしていくのか、費用負担をどうするのか、評価や検討というのをどういう組織で、どのように行うのか、ワクチンをどう確保していくのか。これ以外も当然あると思いますが、こういう大きな6つの論点があるので、これについては今後しっかりやりますよということで、最後の終わりのところに、政府については今回提言をしたような内容できちっと速かにやってほしいと。それから引き続き、いま申し上げた1から6の論点については重ねて議論をしていくと、こんな全体の構成になっています。構成自体について、それから中身について、今日でも、それからこれが終わった後にメールでも、ファックスでもご意見をいただければ、なるべく組み込んで、19日までにお示しをしたいと思います。
○岡部委員 これ、いまざっと拝見したのですけれども、いまの新型インフルエンザH1N1、
2009の評価というのはいちばん最初の1頁に、発生したときに少し経ってから季節性インフルエンザと類似した点が多いけれども、小児等は重症化する可能性が多い。(1)、(2)とあるのですが、こういう会議が開かれた時点での疫学的なこのH1N1パンデミックに対する評価を入れないと、これからの体制の参考にならないと思うのですね。ですから、是非それを現在の疫学的状況あるいはこの病気に対する状況というのを、こういう文書の中には是非入れていただいたほうがいいだろうと思います。
○加藤部会長 北澤委員はこのたたき台について何かご意見ございますか。
○北澤委員 この部会が始まる前に既に決まっていたことと、この部会で議論したこととが両方とも入っていますので、そこを少し整理していただいたほうがいいと思います。
つまり、この部会が始まるまでに既に厚労省が実施しており、既に対策としてやってきたことについては、この部会で新たに話し合っているわけではないので、別立てにするとか、わかりやすく区別してほしいと思います。
○加藤部会長 そうすると、前段の方は参考資料程度にして、後ろに付けていただきたいと、こういう意味ですか。
○北澤委員 構成については事務局にお任せしたいと思うのですが、報告書としては、この部会で話し合ったことを載せてほしいと思います。
○加藤部会長 事務局、了解しましたか。了解だそうでございます。その他の中身につきましては、今日お帰りになりまして、気がついた所、今日の議論を踏まえて、この中に書かれてあることについてコメントがございましたら、事務局のほうまでお知らせしていただきたいと考えます。
そして最後の10頁を開けてください。いつも尻切れトンボになってしまいまして申し訳ありませんが、この部会はインフルエンザだけをやる部会ではございません。先ほど黒岩委員、櫻井委員、その他たくさんの委員からも出ましたが、今後煮詰めていかなければならないような必要な事項がたくさんございます。このインフルエンザの件が片付きましたらば、早々にこの部会を開催いたしまして、いわゆる抜本的な予防接種の改正という方向で、各委員から意見をいただきますので、各委員の方々は十分にその辺のところご推察していただきまして、ご出席を続けていただきたいと存じます。以上で、本日の議題は終了いたします。
最後に、事務局から何かございましたら、よろしくお願いします。
○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回ですが、2月19日の15時開催予定しております。場所等はまたご案内を差し上げます。また、本日これに引き続いて日本脳炎の小委員会がございますので、該当の委員の先生方はお残りいただきたいと思います。
○加藤部会長 本日は長時間にわたりましてご議論いただきまして、誠にありがとう存じました。これを持ちまして、第4回予防接種部会を終了いたします。ありがとうございます。
照会先:健康局結核感染症課(03-5253-1111 内線:2077)
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