第39回厚生科学審議会生活衛生適正化分科会 議事録
医薬・生活衛生局生活衛生課
日時
令和5年1月12日(木)14:00~16:00
場所
AP虎ノ門(港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル)11階 会議室B
議題
(1)飲食店営業関係等の振興指針の改正について
(2)旅館業法等改正法案報告
(3)その他
議事
2023-1-12 第39回厚生科学審議会生活衛生適正化分科会
○小野課長補佐 定刻を大分過ぎてしまいましたが、ただいまより第39回「厚生科学審議会生活衛生適正化分科会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日の会議は公開となっておりますが、あらかじめ事務局より傍聴を希望された方を対象に音声のみの傍聴という形を行っております。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の委員はオンラインでの参加となっております。音声による傍聴と委員のオンラインでの御参加もございますので、各委員におかれましては、お名前を名のってから御発言いただきたいと思います。なお、御自身の発言のない場合はマイクを切っていただきたいと思います。
さらにペーパーレス化の取組の一環といたしまして、会場での資料につきましては、委員の前にありますタブレットを操作して御覧いただく形でお願いしたいと思います。操作などで御不明な点がございましたら、適宜、事務局までお申しつけください。 会議に先立ちまして、生活衛生課長の高宮課長より御挨拶を申し上げます。
○高宮課長 厚生労働省の生活衛生課長の高宮でございます。
委員の皆様におかれましては、平素より生活衛生行政の推進に御理解、御協力を賜りまして誠にありがとうございます。
生活衛生適正化分科会、前回、昨年1月に開催をしております。約1年ぶりの開催になります。この間、生活衛生関係営業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響、行動制限が行われなくなったことなどで以前に比べると若干影響は少なくなってきたかと思いますが、他方で物価高騰等の影響があって、生活衛生関係営業は引き続き厳しい状況だと認識しております。営業者の皆様が事業を積極的に展開して、質の高く衛生的なサービスを提供できるように関係省庁、日本政策金融公庫、全国センターなどと連携しまして、支援に取り組んでいきたいと考えています。
本日の分科会では、飲食店営業などの振興指針の改正に関する御審議をいただきます。それぞれの業界の委員の皆様から現状の報告もいただいた上で、それも踏まえて振興指針に反映すべき内容など、忌憚のない御意見をいただきますようお願いをいたします。本日またよろしくお願いいたします。
○小野課長補佐 続きまして、本日の出席状況について報告させていただきます。大森委員、土橋委員、松島委員、松山委員、八ッ橋委員、若月委員から欠席の御連絡をいただいております。また、田中委員、後藤委員におかれましては途中退席されるという御連絡をいただいております。あわせまして、片山委員、松野委員におかれましては遅れて出席というふうになっております。遅れて出席いただく委員を含めまして、委員総数23名中17名の委員の出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条第1項の規定により、本日の会議が成立したことを報告いたします。
また、日本政策金融公庫国民生活事業部生活衛生融資部、鯨井佳則部長に参考人として御出席をいただいております。
また、平成31年2月より委員として御活躍をいただいておりました全国クリーニング生活衛生同業組合連合会会長の小池広昭委員が昨年10月に御逝去されました。生活衛生関係営業の発展のために御尽力された功績をたたえ、御冥福をお祈りしたいと思います。
続きまして、厚生労働省の事務局を紹介させていただきます。
高宮生活衛生課長です。
同じく生活衛生課長補佐の小野でございます。本日はよろしくお願いいたします。
では、この後の進行は、芳賀会長にお願いしたいと思います。
○芳賀分科会長 皆様、こんにちは。分科会長を務めさせていただきます芳賀でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、本日の議事に入りたいと思います。初めに、事務局より資料の確認をお願いします。
○小野課長補佐 資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第、座席表がございます。
続きまして、資料1、生活衛生関係営業振興指針(飲食店営業関係等)の改正について。
資料2、めん類営業の振興指針 新旧対照表(素案)。
資料3、めん類営業の現況について。
資料4、すし店営業の振興指針 新旧対照表(素案)。
資料5、すし店営業の現況について。
資料6、一般飲食業等振興指針 新旧対照表(素案)。
資料7、一般飲食業の現況について。 資料8、喫茶店営業の現況について。
資料9、社交業の現況について。
資料10、中華料理業の現況について。
資料11、料理業の現況について。
資料12、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案の概要。
参考資料1、関係法令。
参考資料2、振興指針改正に係る諮問書及び付議書となっております。
過不足等ありましたら事務局にお申しつけください。
以上です。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
それでは、次第に沿って議事を進めたいと思います。 まず、議題(1)「飲食店営業関係等の振興指針の改正方針について」、事務局より資料1、2、4、6の御説明をお願いします。
○小野課長補佐 それでは、事務局より、資料1について説明させていただきます。
前回の議論のまとめといたしまして、令和4年1月28日に第38回生活衛生適正化分科会を開催させていただき、資料に記載の事項について御了承をいただいております。
まず、飲食店営業関係等の振興指針については、引き続き、現在の3つの指針の体系を維持することとしております。ここで3つの指針とは、星印にあるとおり、飲食店営業(一般飲食業、中華料理業、料理業及び社交業)及び喫茶店営業の振興指針、すし店の振興指針、めん類の振興指針の3つの指針をいいます。
次に、3つの指針のいずれかに記載がある事項については、原則的に別の指針に盛り込むこととしております。これは、例えば星にありますとおり、「第五 営業の振興に際し配慮すべき事項」のうち、「八 働き方・休み方改革に向けた対応」について、すし店指針及びめん類指針に記載があるため、飲食及び喫茶店指針にも追記をするなどの改訂を実施することなどをしております。
また、3つの指針で表現が異なるものについては、原則的に直近の改正であるめん類指針に平仄を合わせておりますが、一部内容がより充実している箇所などにつきましては、飲食及び喫茶店指針や、すし店指針による記載を反映しております。
さらに、3つの指針以外の指針に記載された事項について、反映可能なものは反映することとしており、こちらも星に記載しておりますが、例えば令和3年3月に改訂された食鳥肉販売業の振興指針などにおいて、「第五 営業の振興に際し配慮すべき事項」にSDGs に関する記載を追加しているため、3つの指針にも追記するなどの改訂をしております。 以上を踏まえつつ、業界の方々の意見を集約いたしまして、さらに一部時点を最新の記載にしたものなどを反映した指針の改訂案として、事務局において資料2、資料4、資料
6を作成しております。
次に、本日御審議いただきたい事項といたしまして、まず、資料2、資料4、資料6の事務局案についての御意見を頂戴できればと考えております。
また、この後、各業界からの現状について御報告をいただきますが、それらを踏まえ、振興指針に反映すべき内容についてどういったことが考えられるかについて、さらに、生活衛生関係営業者の課題、今後積極的に進めていくべき取組等で、振興指針に反映すべき内容としてどういったことが考えられるのかについて御議論をいただきたいと思います。
資料1についての説明は以上となります。
続きまして、振興指針改訂案であります資料2、4、6について簡単に説明したいと思います。
まず「第一 営業を取り巻く状況」、「第二 前期の振興計画の実施状況」につきましては、最新のデータに置き換えをしております。また、「第三 営業の振興の目標に関する事項」以降の記載につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、3つの指針の平仄を合わせつつ、3つの指針以外から追記したほうがよいものを取り入れ、さらに時点の修正が可能な箇所について修正しているものとなっております。時間の都合上、修正箇所について詳細な説明は割愛させていただきます。
資料2、資料4、資料6について、事務局からの説明は以上となります。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
今、事務局より資料1で説明がありましたが、本日御審議いただきたい事項として、本日これから業界からの現状を報告いただきますので、それらを踏まえて振興指針に反映すべき内容、それから生活衛生関係営業者の課題、そして今後積極的に進めていくべき取組等で振興指針に反映すべき内容、これについて御審議していただきたいと思います。
そのため、引き続き、各業界の現況について資料に沿って御報告をいただきたいと思います。時間の都合上、短くて恐縮ですが、各業界からそれぞれ5分程度で御報告いただければと思います。
それでは、まずは資料3、めん類営業の現況について、田中委員より御報告をお願いいたします。
失礼しました。田中委員がまだオンラインに入室されていないようですので、順番を変えさせていただきまして、資料5、すし店営業の現況について、小形委員より御報告いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
○小形委員 小形でございます。
資料5、すし店営業の現況について、業界(組合員)の経営環境について。まず、業界の経営資源の強みですが、調理技術を学び、店を構えた専門知識を有する熟練者が多いということで、組合員のほとんどは、オーナー兼調理師としてじかに接客して、地域に深く根差しているということで、顧客の満足度を高めておるというのが強みでございます。 弱みとしては、やはり戦略の欠如ということがございまして、店主のほとんどが高齢化し、従来どおりの商売が手いっぱいで、ホームページ、IT化とか外国語の勉強といった先々の戦略まで手が回っておりません。スマホを利用したキャッシュレス対応が可能な店舗はまだまだ少ない状況でございます。
また、利益確保の難しさ、仕入れ食材が特に高騰しており、しかも値段が安定しないので、安易に値上げもできずに利益確保が難しいという状態と、相変わらず若手人材の不足、後継者がいるところは今40%ぐらいですかね。そのような状況で、そもそもすしの修業という言葉が結構重いイメージを与えているのかもしれません。これも見直す時期に来ておると思います。
業界(組合員)を取り巻く環境としまして、よい状況は見受けられないというふうに書きましたけれども、全体的に日本を代表する健康によいヘルシー食として世界にも認知されていることは、よい状況なのかなと思っております。
組合員を取り巻く環境の悪い状況といたしましては、営業時間短縮は終了したものの、まだまだコロナ後の影響も残っているのでしょうか。お客様が長時間の飲食をしなくなり、8時という早い段階でお客さんが切れるようになったという組合員のところが多くなりました。また、大人数での宴会も随分減っております。
また、魚介類の水揚げの減少も甚だしく、いろいろな世界的な影響により、魚からそれこそ包装紙に至るまで仕入れ価格が上昇し、経営を苦しめている状況でございます。
2、振興指針に定められた事業の取組状況ということで、組合で策定する振興計画の作成に当たっての指導、振興計画の取組状況の把握ということは、ここに書いてあるほかに、すし商新聞などを通じて組合員に振興計画の取組を指導しているところでございます。 組合への支援事業の取組状況としては、食中毒保険団体割引制度の実施、販促ポスターの配布、全国大会開催時の顕彰制度の推進等を行っております。
特に成果の上がった事業としては、昨年10月18日に都内ホテルですし技術披露会を開催し、組合員の技術の向上、洗練されたすし技術の大々的なPRということができました。また、これらによって若手人材の育成もすることができたということで、成功裏に終わっております。
取組が難しい事業といたしましては、サービス、店舗・設備の改善、業務の効率化に関する事業、特にIT部門などは非常に手を焼いているというお店が多いです。高齢者、障害者、子育て世代、外国人等が利用しやすい設備導入を推進ということもなかなか、原因は効率化ができない、いわゆる資金力が少ないところが原因になっているということで、取組が難しいところでございます。
改善方法としては、サービス、店舗及び設備の改善並びに業務の効率化に関する事業、補助金等の活用を推進する。また、目標を立てて、希望を持って事業に励むというところをすし商新聞、広報紙によって全組合員に配布し、呼びかけているところでございます。
以上でございますが、よろしいでしょうか。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、資料7、一般飲食業の現況について、黒坂委員より御報告をお願いします。
○黒坂委員 黒坂です。
一般飲食業の現状と課題について報告させていただきます。
長引くコロナ禍において、一般飲食業界を取り巻く経営環境は3年あまりにわたり苦境を強いられてまいりました。その間、多様にわたる支援金や給付金、特別融資金でしのいできた地域同業者、全国の同業者はそのほとんどだと思っています。特に昨年暮れから新年にかけては感染者の増加傾向にある中で行動制限もなく、日常を取り戻した感はあるものの、大人数での会食の機会の激減や酒類提供を主とする業態はコロナ前の水準に全くと言っても過言ではないほど戻っておりません。
中でも深刻な人手不足により営業を再開できず、休業や廃業に追い込まれるところも少なくありません。加えて、コロナ特別融資制度の借入れを行った人の多くは、返済が開始され、苦境に立たされています。 飲食業界としても、アフターコロナ、しばらくは続くウィズコロナに対応しながらも前向きな取組が必要とされています。コロナ禍における営業で実践した教訓を生かした衛生管理の徹底は引き続き行っていくことが必要不可欠であると思っています。例えば社会全体ではマスク着用も徐々になくす方向ですが、飲食店従業者においては、しばらく着用は必須と考えており、組合としてマスクを製作し、組合員に配布しました。
今後、業界でも、業界では遅れがちと言われているデジタル化への取組にも対応していかなければならないと考えています。
今年10月より実施されるインボイス制度に対応するため、ポスレジ等への移行などの促進も必要性が高いと思われます。全国組織全飲連では、2月1日より厚生労働省の助成金を活用し、デジタル化、集客力を高めるための事業を実施します。来店時にスマートフォンにQRコードを読み込ませ応募する方式で、抽選によりデジタルポイントが与えられるキャンペーンを3月20日まで展開してまいります。一人でも多くのお客様に喜んでいただき、リピートにつながればよいと思っています。
また、今後の一般飲食店持続可能な営業を目指すために、飲食店営業のSDGsへの取組も、私が所属する秋田県飲食組合でセミナーを実施し、個々の飲食店経営者が食品ロスをなくす工夫や地元食材の活用をより高めるメニュー開発など取組意識の向上を図っております。このような取組を今後の組合活動においてしっかりと取り組むことにより、組織の活性化に結びつき、組合組織の拡大につながることに期待がかけられていると思っています。 どうか引き続き、アフターコロナ、ウィズコロナに向け、述べてまいりました現状をお酌み取りいただき、一般飲食業界に対する御支援をよろしくお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私からの一般飲食業界の課題や今後の展望についてお伝えさせていただきました。ありがとうございます。
以上でございます。
○芳賀分科会長 黒坂委員、ありがとうございました。
それでは、田中委員、御入室されましたね。早速ですけれども、資料3、めん類営業の現況について御報告いただけますでしょうか。お願いします。
○田中委員 我々の業界としては、個人経営のお店が非常に多く、いわゆる独自性が見直されつつある状況なのです。でも、そのことの裏返しとしては、長年地域に密着して営業しているわけでございますので、経営者の高齢化、また跡取り問題というのが非常に大きな問題になっております。お客様につきましても、親子2代でお店を御愛用いただいているというお客様も数多くいるわけでございます。そういう点がうちの業界の今置かれている立場の中でいい部分でございます。
先ほど申しましたとおり、悪いところは、やはり親子2代が1店舗で生活をしていくことができないということ。いわゆる小規模店舗なもので、売上げが少なく、その1店舗で2世代が食べていけないと、どうしても後継者という問題では引っかかり、つまずきが出てくるのではないのかなと思っております。 我々業界、マッチングですとかそういうことも考えながら、どうにか青年部、若い世代を教育しながら、これから業界の若返りを図りながら進歩を見ていきたいなと、発展を見ていきたいなと、そんなふうに考えております。
業界のほうから様々コロナの問題ですとかそういうのがあるのですけれども、一番大きな肝になる問題はその部分だと思っておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
以上です。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、資料8、喫茶店営業の現況について、荻原委員より御報告をお願いいたします。
○荻原委員 喫茶店営業の現況につきまして、喫茶組合の荻原のほうから報告をさせていただきます。
まず、業界の経営資源の強みということで、喫茶店は開業するのも楽だが閉めるのも早いとよく言われておりますが、我々組合員の店では、くつろぎと癒やしの空間であったり、コーヒーにこだわった店が多く、長く続いているお店が多くあります。今回のコロナ禍の中でもほとんどの店が残っており、全国的に組合員の減少は見られていないということが強みではないかなと思っております。
逆に弱みといたしましては、経営基盤が脆弱であったり、後継者不足もあり事業承継が難しいという店も出てきており、また、人手不足が非常に大きな問題というふうに捉えられております。直近では、原材料高騰でもなかなか価格に転嫁できない店が多いというところが弱みではないかなと思っております。
業界を取り巻く環境のよい状況ということにつきましては、最近、昔ながらのフルサービスによる喫茶店に若い人が多く来るようになったと思っております。理由は分かりませんが、コーヒーは体に悪いイメージであったと言われておりますが、学会等の研究結果から、健康にいい飲み物ということが最近よく言われていることが挙げられるのではないかなと思っております。
逆に業界を取り巻く悪い状況といたしましては、ファーストフード、コンビニ、自販機は前からあるのですが、低価格コーヒーが簡単に飲めるということで、コーヒーファンの底上げにはなっているのですが、我々組合員の店のお客さんが減っているというようなことが挙げられます。そして、最近ではキャッシュレス化、IT化ということがよく言われますが、なかなかレジを変更するとか、手数料の問題などから踏み切れないという店が多く見られております。
続きまして、組合で策定する振興計画の作成に当たっての指導、振興計画の取組状況等につきましては、本部といたしましては、各県組合への計画策定に関するフォローアップをしたり、また、各県で取り組んでいる良好事例を役員会等で共有しております。
組合への支援事業の取組状況につきましては、記載のとおり、調理講習会、HACCP、インボイス制度などの研修会を実施したり、生産性向上に関するセミナー等の実施を行っております。また、本部といたしまして、組合加入勧奨パンフレットなどを作成しております。 直近では、障害者差別解消法に基づく障害者受け入れ態勢の整備というリーフレットも作成をいたしました。
その中でも特に成果の上がった事業といたしましては、HACCPの対応の推進であったり、コロナ対策ガイドライン遵守による衛生管理の徹底などが挙げられております。
また、取組が難しい事業といたしましては、いろいろな研修会等を行いますが、コロナ禍でもあり、リアル開催の講習会への参加者が集めにくかったことであったり、コロナ禍の影響による売上げの回復が遅れ、経営者の高齢化に伴い店舗及び設備に対する投資意欲の衰退というのが考えられております。
今後は行政や公庫などからの各種助言、援助の有効活用をしていきたいと思っております。
喫茶組合からは以上の報告とさせていただきます。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
続きまして、資料9、社交業の現況について、保志委員より御報告をお願いいたします。
○保志委員 全社連の保志でございます。
資料9を御覧になっていただいて進めさせていただきます。幾つか抜粋させていただきながらお話しさせていただきます。
現状の経営環境について、まず業界の経営資源の強みという部分においては、顧客へのきめ細かい接客サービス、小さな店が多いものですから差別化という部分の中ではすぐできるのだろうなと思っております。また、従業員教育の徹底ができる。こちらもやはり小さなお店が多いというところで、こちらのほうの教育の徹底、また、人間的な魅力を売りにできる、おもてなしを売りにするというところだと思います。また、店舗が繁華街に集中しておりますので、地域密着型であるということも強みである。
弱みにおいては、長引くコロナ禍において個人のライフスタイルの変容により夜の街に人出がなくなり、客数が減少しているというのが現状です。また、人材不足による求人難、こちらのほうもかなり高い意味でなかなか求人が来ないというのがあります。また、経営者の高齢化がかなり進んでおりますので、後継者などが不足をしているところもございます。
続きまして、業界を取り巻く環境、これはよい環境という部分においては、ガイドラインを徹底しておりますから、安心で安全なサービスが利用できていますよ。また、規制緩和、制限の解除のおかげで、インバウンドや来客数の増加が見込めている。また、各種の補助金や協力金によって、廃業や経営規模の縮小は最小限度にとどめられたということです。また、融資の優遇というのが非常に大きなところでもありました。
業界を取り巻く環境で悪いところになってきますと、当然ですが、原油価格の高騰、円安により原材料の値上げがあり、なかなか難しいなというところです。また、テレワークにより生活パターンが変わり、夜の街に出向くというのが減少しているのではないか。また、企業が自主規制により会食の制限等をしているというのが、これもずっとこのまま伸びてくると大変なことになるのではないかなという感じがします。
続きまして、振興指針に定められた事業の取組状況ということで、組合への支援事業の取組状況ですが、組織拡大を最重要テーマとして、新規組合員の獲得を図っている。そのために組織の基盤強化及び拡大のために基盤強化対策チームを編成しまして、地方へ出向いて直接指導をしていったということで、また、研修会を毎年行っていまして、後継者育成及び組合運営リーダーの育成事業を毎年やっております。
そのおかげで成果が上がったというのは、全国の組織拡大運動が実を結び、会員減少に歯止めがかかりました。令和4年度の登録人数は1万9000店舗を超え、前年度比は1,500 店舗あまりの増加となった。人と書いてありますが、店舗と同じように経営者の数と思っていただければいいのかなと思います。
また、新型コロナウイルス感染症のガイドラインについてはホームページに新しい情報を掲載しまして、どんどんと提供している。
今後の取組の難しい事業という形になりますと、小さな店舗が大半なので、受動喫煙の防止とか、また、高齢者、障害者等に対するバリアフリー、こちらの対策においてはどのように取り組むかが課題になっているのではないのかなというのと、全国的にはデジタル化がなかなか進んでいない。
あとは改善方策としては、政府や公庫が取り組んでいる各種支援、補助金等を有効に活用するようにこれからも指導していきたい。また、広報紙を全組合員に配布することによって、新しい情報を絶えず提供していきたいということです。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
続きまして、資料10、中華料理業の現況について、日比野委員より御報告をお願いいたします。
○日比野委員 日比野です。まず最初に、遅れて来まして大変申し訳ございません。
それでは、中華料理業の現況について報告させてもらいたいと思います。
コロナ禍で行動制限が解除され、客足が戻りつつあるが、最盛期と比較するとまだ影響は大きく、常連客の客離れも外食離れもある状態です。今後、全国旅行支援や入国制限緩和でよい方向に向かうことを期待し、店舗オリジナルの製品を開発したり、客層の狙いどころを分析するなどの体制を整えています。
また、組合ではバランスの取れた店舗経営を後押しするため、日本政策金融公庫を活用し、資金調達を行ったり、厚労省をはじめ関係機関から情報も組合員に提供しています。しかしながら、円安をはじめ、材料、燃料、光熱費の大幅な値上げなど外的要件による影響を受け、組合員各自、創意工夫や経費節減など解決できる問題ではありません。
コロナ禍で従業員の削減を図ったが、現在、人手不足で従業員募集を実施するが、応募者が皆無です。店舗設備を改修したいが、売上げが減少しており、返済を考慮すると資金調達に踏み切れないなど、高齢化も相まって閉店を選択する場合が増加し、組合員も減少しているのが現状です。
振興指針に定められた事業の取組状況について、組合の査定する振興計画に当たって厚労省から示された振興計画作成事項に補足説明書を配布し、必要に応じて個人指導も行っています。年度末には実施状況の報告書をもって把握に努めてまいります。事業推進に際して料理コンクールに参加推進、「HACCPの考え方」冊子を全組合員に配布するなど可能な限りのアドバイスをしています。
香川県組合では行政を巻き込んで県産品ブランド「讃岐餃子」を開発し、マスコミにも取り上げられ、取り扱いたい店舗からの申出や組合員獲得にもつながりました。周辺の組合もこの盛り上がりに刺激を受け、組合の活性化に結びつき、特に成果の上がった事業となりました。
次に、組合が難しい事業について。組合員の高齢化にしたがい、スマホ、インターネット、SNSなどIT関係への理解や取扱いも困難な推進の壁となっています。これから組合単位での勉強会など実践知識の吸収を図る機会を増やしていきたい。パソコンやタブレットの購入を推進するため、大幅な購入助成金制度を御検討していただければありがたいです。
以上でございます。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、資料11、料理業の現況について、小林委員より御報告をお願いいたします。
○小林委員 小林でございます。料理業について御報告させていただきます。
まずは資料11なのですけれども、少し抜粋して、今までの皆様のところと重なるところはなるべくお話ししないようにして、料理業に特化しているところだけお話ししたいと思っております。
私たちの業界、日本料理店の強みというのは、お食事をするだけではなくて、器とか座敷とか、またそれを供するサービス全てを味わっていただけるというのが一番の強みとなっております。また、このことは年々薄れていると言って久しい日本文化の保持に大きな役割を担っていると自負しております。冠婚葬祭や年中行事に沿った料理が各地にあり、晴れの場所として節目節目に人が集い宴を提供する、思い出の場になっていけるということも大きな強みでございます。
ただ、これがコロナ禍になり、ちょうど逆になってしまったのですね。人が集まれない、サービスする人と距離が近いということが逆になってしまって、今、大変な状況に陥っているところでございます。
また、この業界では板前になるのにとても長い修業期間が要るということもありますし、仲居などもアルバイトで補塡することはほぼ不可能だということで、人材確保は皆さんおっしゃっているとおり本当に大変なことだと思っております。
コロナで大変なこともたくさんあったのですけれども、今は日本料理が世界的なブームというふうに言われてきて、外国の方が日本風の料理ではなくて質の高い本当の日本料理を見直してくださっているところがとても喜ばしいことでもありますし、若い人の間で和の結婚式というのが見直されて、料亭で披露宴を行うというような動きも最近は見られております。また、コロナ禍でランチをやっていなかったお店がランチをやったりですとか、本格的な料理のお取り寄せができるようになったというような、今までになかった動きも出ております。
ただ、悪い状況は皆様同じだと思うのですけれども、リモートワークが定着していて、企業の接待というものがほとんど行われなくなり、私たちの業界は本当に大打撃を受けております。行動制限がなくなったとはいえ、去年の暮れから今年の今現在、お正月を見ても、やはり戻っていないというのが私たちの業界の実感でございます。また、外国人労働者を活用しようとしても、任せられる仕事がすごく少ないということもありますし、戦後生まれの方が人口のほとんどを占めるようになり、日本料理のだしというところよりも、油や香辛料、激辛料理とかそういうものが好まれているというのが日本料理が苦戦している一つであると思っております。
組合の取組なのですけれども、新電力やLED電球への交換とか、冊子を作ってみたりとかいろいろなことはやっているのですけれども、がたいが大きいお店が地方に行けば行くほど多くて、そうなると老朽化に伴いそれを改善していくということに多額のお金が必要で、自分たちだけでそれをやっていくというのはほぼ不可能なのではないか。今、本当にどんどん減って、東京都内なんかを見るとどんどんオフィスビルやマンションになっているというのが現在の状況でございますし、地方に行きますと、行政が買い取ってというふうにはなっているのですけれども、行政が買い取ってとなると、もう料理屋としてはやらないということになってしまう。これはコロナ禍の前から言われてきたことなのですけれども、コロナ禍で表立って言われてきたというところになっております。
これからも皆様、行政とか金融機関とかに御相談しながら、こういうことは何か画期的なことを考え出していかないと、日本料理というものを背負ってきた料理屋が減っていく結果になってしまうのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
各業界からの現況について御報告をいただきましたので、委員の皆様から御意見や御質問をお願いしたいと思います。御発言の際は、挙手をした上で、オンライン参加の委員は「手を挙げる」ボタンで挙手の上、私が指名してから御発言いただくよう御協力のほどお願いいたします。
それでは、御意見、御質問があればお願いいたします。
早速、田中委員が挙手していただいています。田中委員、お願いいたします。
○田中委員 私から2点ほどございます。まず1点目としては、我々は本日の業界からの報告を伺いまして、個々の営業者が施設整備を実施していくことは大変難しいというような印象を受けたわけでございます。我々の業界は大多数が小規模経営の零細事業者が多いわけでございまして、今般のコロナウイルス感染症や物価高騰の課題が生じる中、個々の営業者が単独で設備投資や技術向上等を進めるのには限界がどうしても出てきてしまう。こうした課題に取り組むためには、個性がなくなってしまうおそれはあるのですが、今後は組合が中心となり、業界で共同事業や協業化の取組を進めていってはいかがかなと考えておるわけでございます。様々な問題があるわけでございますけれども、共同事業、協業化、この取組を行うということを今回記載してはいかがかと考えております。それが1点です。
それと2点目でございますが、本年の10月1日から開始されますインボイスの問題について、組合員の中ではまだ十分理解がされていないというような気がしてならないわけでございます。このようなことで、やはり国等が説明を組合員に対してもっと集中的にインボイスを周知するという立場で努めていっていただくということも、併せて記載をされたらいかがかなと思っております。
以上です。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。2点ほど御意見いただきまして、ありがとうございます。
共同での施設整備に関しては、ほかの業界からも同じような御意見が出ていましたので、ぜひ今後の振興指針に盛り込んでいきたいと思います。インボイスについてもやはり周知徹底していくタイミング、今必要だと思いますので、適切な御指摘だったと思います。ありがとうございます。
それでは、ほかに御意見は。保志委員、お願いいたします。
○保志委員 それでは、1つお願いしたいなというのがありまして、生活衛生関係においては様々な税制優遇措置があるのですが、その内容がほとんど浸透していないのではないかな。こういう状況ですと、実際に国のほうで税制優遇措置がありますよといっても、そういうのがあるんですかというようなことで本当に浸透していない。これがまず1つありますし、また、税制が非常に複雑であって、まず生活衛生関係営業者には分かりにくいところが非常にあると思います。複雑な税制を生活衛生関係営業者に分かりやすく周知していただく。税制に関する知識の普及を図っていただいて、経営改善につなげるといった記載をしてはいかがでしょうかということです。ぜひお願いしたいと思います。
○芳賀分科会長 ありがとうございます。税制ですとか、ほかにも補助金などいろいろな役に立つはずの制度があるのですけれども、知られていないのか、分かりにくいのか、なかなか有効活用されていないというお話をよく伺いますので、本当に貴重な御指摘をありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。それでは、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 私から2点ほどお願いしたいことがございます。今伺いまして、税制のこととか補助金のことなど、やはり徹底して分かっていないということもございますし、コロナとか物価高の諸問題を乗り越えていくためにも、組合が中心となって様々な情報提供を行っていただき、業界全体で業績の悪化から回復を目指していくといったような記載をしたらいかがかなというのが1点。
もう一点ですが、皆様のお話の中にもたくさん出てきましたが、料理業界を含めて業界全体でデジタル化がまだまだ進んでいないというお話が先ほどから出てまいりました。社会全体でデジタル化が進んでいる中、生活衛生関係だけが取り残されないように、今後はデジタル化を推進し、事業の効率化や高付加価値化を進めるといったような記載を盛り込んだらいかがかなと思いました。よろしくお願いいたします。
○芳賀分科会長 ありがとうございます。また2点ほど御意見をいただきましたけれども、物価高とかエネルギーコストの高騰というのは、多分ほかの業界でもというか、全ての業界に共通する大きな問題だと思います。コロナで終わるかと思ったら新しい問題が出てきてしまったので、それへの対応等もぜひ検討しなくてはいけないと思います。
それから、デジタル化、DXもほとんどの業界で今後の課題として重視されていたと思いますので、こうした点についても検討が必要かと思います。どうもありがとうございました。
ほかに御意見等はございますか。松野委員、お願いします。
○松野委員 パルシステム東京の松野と申します。すみません。ちょっと入口が分からなくて遅刻してしまいまして申し訳ありません。
皆様の御報告を伺って、ただでさえ現代の中でいろいろ小規模経営の飲食店は大変な中で、本当にコロナの影響をもろに受けて大変な状況がまだ続いているんだなということを実感いたしました。もともとやはり地域に密着した営業をなさっていますので、本当に私たち消費者としてはいろいろな暮らしを支えていただいているのがやはりそういうお店だなというふうに思っています。
先ほど最初の方がおっしゃっていましたけれども、それぞれの業態ごとではなくて、やはり地域の中で手をつないでやっていただける可能性はたくさんあるのではないかなと。特に次世代に向けて、私たちは結構食育を大事にしていまして、日本料理とか、おすしとか、中華料理も、おそばとかも本当に全部そうなのですけれども、それぞれ安心・安全な食材を手作りで作って食べて、五感で味わってもらう、そういうふうなことができるのはやはり地域の飲食店さんなのかなと思います。
なので、今の指針の中にもありますけれども、やはり地域の中での連携をしっかりしていただいて、よりいろいろな方に場を提供していただくとか、子供食堂とかをやっていただいている方たちもいっぱいいるというのを伺っていますので、そういうところと手を組んでできるようなことを指針として入れていただけるといいなと思っています。
あと、伺っていてすごく心配なことがあったので、ちょっと伺いたいのが2点あります。人手不足の話が結構出ていました。経営者の方の世代交代もそうなのですけれども、学生さんのアルバイトが、オンラインになって特に家からでない学生さんが増えているので、多分そこの人材確保がすごく大変なのではないかなと思います。皆さんどのような取組をされているのか。本当に人が足りなくて、それで廃業なさるようなところもあると伺っていますので、その辺の深刻度がどのぐらいなのかを伺いたいなと思います。
といいますのは、私は大学生協の方ともお付き合いがありますので、やはりそちらのほうも学生のアルバイトがなくなって大変で、就業が厳しくなっているということも結構聞いていますので、もしお役に立てればいいなと思いましたので、そこを質問させてください。
あと、本当に応援をしたいなと思っています。やはりウクライナ情勢もありまして、安心・安全な食材が手に入りにくくなっていて、特にもともとのちゃんとしたものを出そうと思うとお金がかかりますよね。今は経済状況もよくないので本当に皆さん大変御苦労されていると思います。ぜひその価値をうまく伝えていただいて、そうしたら消費者のほうもちゃんと選んで、こういういいものをちゃんと食べて次に伝えたいということをやっていけるかなと思いますので、ぜひ応援していきますというか、一緒にやっていきたいと思いますので、質問も幾つかさせていただきましたが、意見もさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○芳賀分科会長 ありがとうございます。まずは地域密着というのは、せっかく単独店舗とか、1店舗だけだったらできないけれども、組合を通じて共同でやればもっといろいろできるのではないか、ぜひ進めてほしいという御意見ですね。
○松野委員 食育の。
○芳賀分科会長 食育等々。食育に限らず地域貢献みたいな形ですよね。それを進めたらどうかという御意見。
それから、あとは御質問として、人材不足への対応、あるいは深刻度というのを1点いただきました。これについて何か御回答をお願いいたします。
○保志委員 各地でこれは深刻で、求人情報を出すのですけれども、まず業界に入ってこない。サクラじゃないのかなぐらいな電話がかかってきたりとか、実際にあっても1日で終わったりとかというのが何度もありまして、本当に深刻な問題です。この業界、社交飲食業、バーだったりそのようなところでもそうなのですけれども、ほかのところでもそういうことになっているのではないのかなと思っております。
○芳賀分科会長 職種によって業務内容が、さっき小林委員もおっしゃっていましたけれども、アルバイトでは務まらない業務というか仕事もありますし、また、調理ができるとなるとそう簡単には人が集まらないだろうと思いますし、どんな職種でも人材を集めるのは大変という感じですか。
○保志委員 実際に専門家はもちろん5年、10年で出来上がるようなものですから、すぐに1年で出来上がるような職人さんってあまりいないですから。ただ、私どもの業界は皿を洗ってもらえるだけでもいいのでというふうな感じでいるのですが、それでも来ない。
バイトさんでもなかなか来ないということです。
○芳賀分科会長 それぐらい深刻な状態だということだそうです。ありがとうございます。 それから、最後にもう一つ、食材調達の話ですね。
○松野委員 それは応援していますということです。
○芳賀分科会長 応援してくださるそうで、引き続き応援をよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
ほかに御意見等はございませんでしょうか。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
本当に貴重な御意見、御質問等をありがとうございました。貴重な意見ばかりたくさんいただいたと思いますので、事務局におかれましては、本日いただいた意見などを踏まえて、振興指針の改正案を修正するようお願いします。次回の分科会において修正案を確認して、取りまとめを行いたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、報告事項に移りたいと思います。報告事項(1)「旅館業法等の一部を改正する法律案について」、事務局より資料12の説明をお願いします。
○高宮課長 そうしましたら、私のほうから旅館業法等の改正法案の概要について、資料 12で説明いたします。こちらについては前回、昨年1月の本分科会において、旅館業法の見直しの検討会の状況について報告をしております。その後、昨年秋の臨時国会に旅館業法等の一部を改正する法律案として提出をしております。臨時国会では審議や採決は行われておらず、通常国会への継続審議となっております。そのような状況でございますが、法案の概要説明をいたします。
資料12の真ん中ぐらい、改正の概要の部分になります。大きく項目は2つございます。
1つ目が旅館業の施設の感染症の蔓延防止対策、差別防止のさらなる徹底などということで、旅館業法の改正になります。
(1)感染症の蔓延防止の観点からの宿泊拒否事由の明確化などを行うこと。米印のような定義を設けた上で、特定感染症が国内で発生している期間に限って、旅館業の営業者は、特定感染症の症状を呈する宿泊者に対し、感染防止の必要な協力、あるいは特定感染症の患者に該当するかどうかの報告、医師の診察を受けてもらうというようなことを求めることができることとする。正当な理由なくこれに応じないときは宿泊を拒むことができることとするというのが1つ目になります。
2つ目のポツ、その他の症状のない宿泊者の方に対して、こちらの感染防止に必要な協力を求めることができることとする。こちらについては、正当な理由なく体温その他の健康状態などの確認の求めに応じないときは、宿泊を拒むことができることにするというものです。
この2つ目のその他の宿泊者に対しては、宿泊を拒むことができる事由が体温などの確認の求めに応じないというような場合に限定をしております。
②で宿泊拒否事由のうち、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるときというものを、これも特定感染症の患者であるときと明確化をいたします。
③はいわゆるカスタマーハラスメントへの対応になります。宿泊しようとする方が営業者に対し、実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求を繰り返したとき、宿泊を拒むことができるとするものです。従業員を長時間にわたって拘束したり、威圧的な言動でクレームをつける、そのようなカスタマーハラスメントを想定しております。
(2)が差別防止のさらなる徹底、感染症の蔓延防止対策の適切な実施、あるいは高齢者、障害者などの特に配慮を要する方への適切な宿泊サービスの提供のために従業員に対して必要な研修の機会を与えるよう努めなければならないというような努力義務を設けます。
2つ目の柱が2番目の生活衛生関係営業等の事業譲渡による営業者の地位の承継になります。こちらは旅館業法だけではなくて、食品衛生法、美容師法、工業場法、旅館業法、公衆浴場法、クリーニング業法、美容師法など、生活衛生関係営業等が関係いたします。事業譲渡について、事業を譲り受けた方が新たに許可の取得等を行うことなく、営業者の地位を承継することとするということで、生活衛生関係営業などが必要な場合に円滑かつ簡便に事業承継できるようにするというものになっています。次の通常国会においてできるだけ早期に審議をいただいて、成立されるように、引き続き努力をしてまいりたいと考えています。
報告は以上になります。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。
本件は報告事項でありますが、もし御意見や御質問があれば、お願いいたします。
お願いします。
○大久保会長代理 横浜市衛生研究所の大久保です。御説明ありがとうございました。
(1)の③のカスタマーハラスメントのことですが、これは感染症に関することがかかっているわけですね。具体的に感染症に関することでどんなハラスメントが想像できるのか。先ほどは一般的なお話ですけれども、例えば感染症にうつらないために高価なスイートルームを用意しろとか、イメージとして具体的にどういうことなのか、すみませんが追加の説明をいただければと思います。
○高宮課長 生活衛生課長です。
今、御指摘のあった③、いわゆるカスタマーハラスメントへの対応の部分については、特定感染症国内発生期間に限らない措置になります。ですので、感染症に関係ないような要求について、従業員の方を長時間にわたり拘束して威圧的な言動で要求するというような場合に適用になるという条文になります。
どういう場合がいわゆるカスタマーハラスメントとして該当するのかということについては、法律が成立しましたら、また関係者を集めた検討会を設けてガイドラインを策定し、こういう場合が該当しますよというようなものを示そうと考えています。
○大久保会長代理 ありがとうございました。そうすると、感染症蔓延防止というタイトルになっていますけれども、この③に関しては、それを越えていいということですね。この資料は誤解を招くような資料かなと思ったものですから、コメントさせていただきました。
○高宮課長 生活衛生課長です。
今回、新型コロナウイルス感染症等の影響の中で、このようないわゆるカスタマーハラスメントの対応を旅館業の従業員の皆様が行うということで、必要な感染症の対策、ほかの宿泊者に対する対応なども支障を来すおそれがあることから、今回の新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応した法案の中に盛り込んだというものになっています。
○大久保会長代理 ありがとうございました。
○芳賀分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょう。
よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、本日の議事は以上となります。
その他、事務局から何かありますでしょうか。
○小野課長補佐 本日は活発な御審議をいただき誠にありがとうございました。
本日いただいた御意見を踏まえ、振興指針の改正案について調整させていただければと思います。
なお、本日の議事録につきましては、原稿が出来次第、各委員に送付、確認いただいた上で、厚生労働省ホームページにおいて公表させていただきたいと考えておりますので、併せてよろしくお願いいたします。
次回の開催日程は追って御連絡申し上げます。
以上です。
○芳賀分科会長 以上をもちまして、第39回「厚生科学審議会生活衛生適正化分科会」を終了いたします。本日はお忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございました。
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