| 議事録(テキスト) |
04/07/12 第21回厚生科学審議会科学技術部会議事録
第21回
厚生科学技術審議会科学技術部会
議事録
厚生労働省大臣官房厚生科学課
第21回厚生科学審議会科学技術部会
議事次第
○日時 平成16年7月12日(月) 15:00~17:00
○場所 厚生労働省 専用第21会議室(中央合同庁舎第5号館 17階)
○出席委員 矢崎部会長
今井委員 井村委員 垣添委員 加藤委員 金澤委員 北村委員
倉田委員 笹月委員 佐藤委員 柴田委員 高久委員 竹中委員
長尾委員 中村委員 長谷川委員 松本委員 南 委員
(事務局)
上田技術総括審議官 中谷厚生科学課長 成田研究企画官 他
○議事
1.厚生労働省の平成17年度研究事業に関する評価(予算概算要求前の評価)につい
て
2.遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する実施施設からの申請につ
いて
3.その他
○配付資料
1.平成17年度研究事業の重点事項について
2-1.厚生労働省の平成17年度研究事業に関する評価(予算概算要求前の評価)に
ついて
2-2.平成17年度科学技術関係施策について
3.遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する実施施設からの申請につ
いて
○参考資料
1.厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
2.厚生労働科学研究費補助金の成果の評価(平成15年度報告書)
3-1.医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会の設置につ
いて
3-2.医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会委員名簿
○事務局
ただいまから「第21回厚生科学審議会科学技術部会」を開催させていただきます。本日は、黒川委員、中尾委員からご欠席のご連絡をいただいております。なお、まだ4名の委員がお出でになっていませんが、委員20名のうち、出席委員は過半数を超えておりますので会議が成立いたしますことをご報告いたします。会議の冒頭にあたりまして、上田技術総括審議官より一言ご挨拶させていただきます。
○上田技術総括審議官
先生方、大変お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。議題に入る前に1点ご報告申し上げます。4月14日のこの部会でご報告申し上げましたが、独立行政法人医薬基盤研究所法案につきましては、その後、衆参両院の審議を経まして6月15 日に成立し6月23日に公布されたところでございます。この研究所は国立医薬品食品衛生研究所、また国立感染症研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のこれらの業務の一部を移管、統合しまして医薬品等の開発に資する基盤研究、また、生物資源研究あるいは医薬品技術等の研究開発振興をまさに一体的に行う独立行政法人として設立しようとするものでございまして、来年の4月1日の設立を予定しております。
今後、この研究所が期待される役割を十分に発揮できるよう万全の準備を進めていきたいと考えているところでございまして、今後、運営費交付金等、必要な予算の要求、また中期目標、中期計画等の検討、あるいは具体的な法人運営の細部の詰めなど、多岐にわたる準備作業を本格化させていくこととなります。この法案成立を機に、各委員の先生方のこれまでのご理解、ご支援に改めて感謝申し上げますとともに、今後ともご指導をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○事務局
次に、本日の会議資料のご確認をお願いいたします。お手元にお配りいただいております資料ですが、いちばん上に議事次第があります。議事次第の下のほうに配付資料、参考資料の一覧がありますので、ご確認いただければと思います。配付資料ですが、資料1が「平成17年度研究事業の重点事項について」。資料2-1が「厚生労働省の平成 17年度研究事業に関する評価について」。資料2-2が「平成17年度科学技術関係施策について」。資料3が「遺伝子治療臨床研究にかかる生物多様性影響評価に関する実施施設からの申請について」。参考資料1として委員名簿でございます。参考資料2が「厚生労働科学研究費補助金の成果の評価」。前回の部会でご審議いただいたものです。参考資料3-1が「医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会の設置について」。参考資料3-2が専門委員会の委員名簿でございます。欠落等がございましたらご指摘いただければと思います。それでは、部会長、議事のほうをよろしくお願いいたします。
○矢崎部会長
本日は、お暑い中をこの審議会にお集まりいただきましてありがとうございました。早速、議事に入らせていただきます。最初に、厚生労働省の平成17年度の研究事業に関する評価。これは、予算概算要求前の評価ですが、これにつきましてご審議いただきたいと思います。まず、事務局から厚生労働科学研究費の重点事項等につきまして、全体の総括的な説明をお願いいたします。
○中谷厚生科学課長
ただいま部会長からお話がありましたが、本日の議題の非常に大きなところが平成17 年度研究事業に関する評価ということでございます。これは、夏の終わりに財務省に提出いたします厚生労働省の概算要求に盛り込むべきことの大枠を決めなければいけませんので、ご意見を伺おうというものでございます。最初に、私から、資料1に基づきまして、大体の考え方をご説明いたしまして、次いで要求前の評価、この分厚いものにつきまして担当官から説明させて頂きます。
厚生労働省の科学技術研究予算は大体1,200億円ありまして、これは政府全体の研究予算からしてみれば非常に小さいのですが、ライフサイエンスという意味では非常に大きなウェイトを占めています。それから、私たちの特徴は、この場で論議していただいているような、競争的に配分する、即ち、公募をして配分する、この配分率が非常に高いということです。資料1の1頁ですが、平成17年度はどのような方針で臨もうかということで、これは、既に政府全体の平成17年度の研究予算の資源配分として総合科学技術会議で論議がなされ、5月末に取りまとめられております。
いちばん上に書いておりますとおり、重点分野としては、研究開発の着実な推進、国際競争力の強化、安心・安全な生活を実現する、科学技術システムの改革、こういうようなことがありまして、私たち厚生労働省としては、特にこの安心・安全な生活を実現する科学技術の推進が非常に大きなウェイトを占めるわけです。そこで、来年度におきましては「健康安心の推進、健康安全の確保、これらを実現するために先端医療を実現
」といった柱立てをして臨んでいこうと思っております。
2頁です。特に私たち国民の安心、逆に言えば、不安の原因は何かというと、寝たきりになってしまうのではないか、病気で長く苦しむのではないか、というようなものが非常に大きな不安要因になっていますし、介護の需要も爆発的に増えております。そこで、より健康な、いわゆる生涯元気な高齢者をつくっていく、こういうアクションプログラムをつくるべきだということで、与党の間でも検討がされまして、健康フロンティア戦略というものが提案されているわけです。
これは、平成17年度から平成26年度、大体10年ぐらいのビジョンで国民の安心の裏返しの不安、即ち、介護不安、寝たきり不安、こういうものから国民を解放していくということから、健康フロンティア戦略ということで、特に働き盛りの生活習慣病と心の健康、女性層に対しては女性のがん対策、高齢者層に対しては介護と予防という3つの柱を立てまして、それを支えるものとして健康寿命を伸ばす科学技術の推進が位置づけられています。
これまで、メディカル・フロンティアとかミレニアム・プロジェクトとか、いろいろな名前のものがありました。メディカル・フロンティアは平成13年から平成17年度までということで進んでいましたが、これを、今回、早倒しで健康フロンティア戦略の中に取り込もう。ミレニアム・プロジェクトは、ゲノムに鋭意取り組んだのですが、本年度で終了です。このミレニアム・プロジェクトについても、その後継のプロジェクトがあれば健康フロンティアの中に取り込む。こういうような概念で健康フロンティア戦略を定め、その中に科学技術を位置づけているということです。
3頁です。では、その健康寿命を伸ばす科学技術にはどんなものが考えられるかというと、いちばん上に黄色になっている「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」ですが、新しい技術の開発やその臨床応用、既存技術の普及。こういう、新しいものと今までのものの普及をバランスよく投資する。
それから、私たち厚生労働省の研究は、医療、介護の現場で国民にフィードバックしてはじめて評価が高くなるものだと思っていますので、現場を支える各種の技術の開発と普及をする。こういう基本的な考え方で臨んでいこうと思っておりまして、下に書きました生活習慣病、介護予防、それぞれについて主な柱立てを書いてあるところです。 来年度に向けて制度的にも少し変えようと思っていることがあります。それは、かつて、厚生労働科学研究費は振込みが遅っかたのですが、昨年からかなり改善してまいりました。それをさらに改善する。もう1つは、研究費の配分につきまして、研究の現場に近いところ、私たちで言えばナショナルセンター、がんセンター、循環器病センター等々のナショナルセンターが研究についてもう少し色濃く関与していただいたほうがいいのではないか、ということでナショナルセンターに研究費の配分機能を持っていただく方向で検討しているところです。
そして、こういう検討をしながら、いくつかの大きなものにつきまして、研究の一つ一つのプロジェクトはいいのですが、木を見て森を見ずになってはいけませんので、何か戦略的なアプローチをしたい。こういうように思いまして、横長の資料の4頁に「健康フロンティアにおける戦略研究」と書きましたが、厚生労働研究に従来の一般公募のほかに、政策対応型の大型戦略研究を導入しようという論議をしているところです。
これは、大局的な課題を設定し、政策誘導すべき戦略研究課題を提示して、今までの研究は3年ですが、5年ぐらいのスパンで研究計画をつくり、それを公開して、例えば、私たちの病院は患者さんをたくさん診ているから患者さんの症例で貢献できますよ、私たちの大学は基礎研究の観点で貢献できますよ、というエフォートをコントリビュートしてもらう、これを公募していったらどうか。こういうような大規模戦略研究ということで考え始めております。
そこで、特に私たちが健康フロンティア戦略において取り組もうと思っているのは、がんについては10年戦略ができてまいりました。一方で、今まで結構いろいろな所から光が当てられたのですが、うまくスポットが当たっていないと思っているのが糖尿病の問題です。これは、生活習慣病からの取組、循環器疾患からの取組、さまざまな取組がありますが、全体的な取組というものでは総合的な観点が少し欠けるのではないかと思っております。例えば、糖尿病は急増しつつありますので、重要政策課題としては、糖尿病の患者あるいはハイリスクの方々の急増が深刻な社会問題であるので、糖尿病の発症、予防、治療対策が重要である。これから5年後の具体的な成果、例えばハイリスク、ハイパーグラセミアの方の糖尿病への移行を低減する。合併症の発症者を抑制する。こういう具体的な目標を定めて、この目標に到達するためにはこれだけの数の患者さんを集めてこういうことをしなければいけないという、川下から逆に研究計画をつくっていただこう。こういうスキームをつくることを、今、検討しているところです。ただ、これについては「成果重視型」で、なかなか難しいのかもしれませんが、こういう政策ドライブ型の大型研究の枠組みを築いて、いくつかの分野に応用していきたいと考えているところです。
以上、制度的な変更も含めまして、平成17年度の研究予算の方向性をお話いたしましたが、今、私たちの研究事業はいくつかの研究に分かれて推進されています。それぞれに課題があり、また、方向性を論議していますが、それが資料2-1となります。引き続き資料2-1の説明をしてよいのか、部会長の指示に従いたいと思います。
○矢崎部会長
引き続きご説明をお願いします。
○事務局
資料2-1及び参考資料2についてご説明いたします。まず参考資料2は前回の6月1日の科学技術部会でご審議いただいた平成15年度に終了した厚生労働科学研究の評価報告書で、その後、お寄せいただいたご意見を反映して確定したものであります。今回ご審議いただく資料2-1は、この参考資料2における評価の結果を反映させ、平成17 年度に予定している研究事業を事前に評価いただくものです。
資料2-1の1頁にある目次の3にある厚生労働科学研究費補助金、次の頁にある4のがん研究助成金、5の保健医療分野における基礎研究事業について評価いただきます。それぞれの研究事業の評価方法は同じ構造ですので、最初の研究事業の評価を例にとりご説明いたします。8頁の2行目に「1-1)政策科学推進研究」とあります。この研究事業の担当課を説明した後、Aで研究事業の概要を説明しています。即ち、(1)この研究事業に関連する政策体系における施策目標。(2)事業の概要。(3)予算額。(4)趣旨。(5)事業の概略図です。この事業概略図をご覧いただくとこの研究事業の全体像をイメージすることができるかと存じます。
続きまして、10頁からがこの研究事業の評価部分です。(1)必要性。(2)有効性。(3)計画性。(4)効率性。(5)その他。その後に総合評価が記述されています。
すべての研究事業の評価は、以上でご説明した構造と同じです。本来、それぞれの研究事業についてご説明するところですが、時間に限りがございます。そこで、重点事項にある研究分野について担当課から説明させていただきます。この資料2-1と資料2
-2をご参照いただきたいと思います。
○生活習慣病対策室
資料に基づきまして順次説明させていただきます。資料2-2です。1枚目は先ほどご説明があったところですが、2頁に「糖尿病予防対策の推進」があります。先ほどの説明の中で、糖尿病に関する重要性が増している、というところが背景の中で一部説明してありますが、今まで糖尿病が強く疑われる人は約740万人。これは平成14年に行われた糖尿病実態調査の結果ですが、ヘモグロビンA1Cの値で強く疑われる人と糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると1,620万人で、前回は平成9年に調査しておりますが、そのときに比べると18%増という結果が得られています。こういう、ある意味、国民病とも言われている糖尿病に関する調査、研究を強化して、国民の生活のQOLの向上、健康寿命の延伸を図るために、こうした調査研究を推進することが喫緊の課題であるという背景があります。
課題として3つあります。いちばん左から見ていただくと、合併症によるQOLの低下を予防していく。ハイリスク者の早期発見・早期治療、境界型を含めた患者さんへの対応。中央に具体的な研究課題がありますが、予防法の研究、診断法の研究、糖尿病・合併症の治療法の研究という、予防、診断、治療という3つの側面からの研究が重要になってくると考えられます。こうした研究を通して、例えば予防法の確立や治療法の確立を通じて、糖尿病患者の増加を減少に転じ、最終的にQOLの向上、健康寿命の延伸へとつなげていく。そういった講図で考えております。
○老人保健課
資料2-2の3頁をご説明いたします。介護対策を推進する観点から疾病予防・機能低下予防を推進するための研究です。こちらは氷山をイメージした絵で、海面から出ている部分が医療や介護を必要とする高齢者です。こういった高齢者が全国に約350万人おります。痴呆、脳卒中、骨・関節疾患等の患者となります。その背景には、これは海面下に描かれていますが、750万人ぐらいの高危険群。具体的には、低栄養、転倒経験、うつ傾向、物忘れ、そういう方々が750万人いるということです。その背景には、健康な高齢者、約1,300万人の方がいらっしゃるということで、それぞれの健康リスクに応じたサービスの提供、また、それを支える研究が必要であろうと考えております。
対応する研究課題を左側にまとめております。ピンク色の部分、要医療・要介護を主なターゲットとした研究として、老化及び老化抑制機構の解明。痴呆、脳卒中、骨・関節疾患等の画期的診断治療法の開発などの研究が考えられるだろうと考えています。また、水色の部分、高危険群に対応する研究としては、黄色で書いてありますが、リハビリテーション技術の確立、特に痴呆ということかと思います。介護支援機器の開発や居住環境に関する研究、効果的な介護予防メニューの開発、そのような研究を進めていきたいと考えています。
健康な高齢者に対しましては、下に青色で書いてありますが、健康増進や疾病予防を推進する政策研究、高齢者の社会参加や自立に関する政策研究。そういうテーマを設けまして、総額として平成16年度は約18億円の研究費でこのような課題に取り組んでいるところです。
○結核感染症課
引き続きまして、4頁の新興・再興感染症研究事業についてご説明申し上げます。最近の新興感染症、代表例が、昨年、東南アジア地域で流行りました重症急性呼吸器症候群のSARSですし、再興感染症としては、今年1月、山口県で79年ぶりに発症した高病原性鳥インフルエンザなどの感染症に係る話題がマスコミを賑わしているところです。そういう中で、感染症の病原体、感染経路、感染力が不明なために、そういう患者が報告された場合にパニックを引き起こす可能性もあるということですので、国民の安心と安全を確保するために、その感染症についての研究を推進する。そして、国内や諸外国への感染症対策に役立てることが緊急の課題となっているところです。また、新興感染症の多くが海外で発症しているということで、速やかにその発症地に赴きまして、リアルタイムでの調査、情報収集を行うことが重要という背景があるところです。
そういう中で、課題としては主に3点挙げております。1つは、国際的な感染症危機に対応するために、危機管理体制を強化すること。そして、新興感染症に迅速に対応するために、疾患横断的な研究基盤を確立すること。そして、新興・再興感染症の実態を把握して、病原体を解明し診断法、治療法の開発を行う。この3点が課題となっているところです。そういう課題に対応するために、具体的な研究課題として、新興・再興感染症に対する診断法・治療法の開発。その中でも、上から6点目、イタリック体になっていますが、動物由来感染症に関する研究を新規課題と考えております。
大きな2点目が感染症対策のための基盤整備ということで、その中でも3点目の感染症対策の効果的な実施のための分析疫学研究を新規課題として考えております。そして、感染症危機管理体制の強化、国際共同研究の推進ということで、現地に赴いたリアルタイムでの調査、情報収集が行えることができるよう、海外で発症した新興感染症等に関する実地研究調査を新規に考えているところです。こういう大きな4本の柱による研究を進めていくことにより、感染症等の健康を脅かす疾病を予防、防止することで、感染症に必要な医療を確保すること。そして、安心、信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進してまいりたいと考えているところです。
○食品安全部情報企画課
食品の安心・安全確保推進事業についてご説明いたします。同じ資料の5頁になっています。食品の安全性確保に関する国民の関心は高くなっておりまして、左に本年5月8日に読売新聞が発表しました食品に関するアンケート調査の結果を示しています。いちばん上の「最近、食品の安全性について、不安を感じていますか」という質問に対して、トータル約78%の方々が何らかの不安を感じているという状況です。また、その感じていると回答した人が、具体的に何について感じているのか聞きましたところ、いちばん多いのは、昨今問題になっているBSE問題、鳥インフルエンザなどがあります。それ以外にも、輸入食品、残留農薬、化学物質汚染、偽装表示など、食品全般にかけて不信感がいろいろな形で出ているところです。
また、その下にありますが、食の安全をめぐる諸問題としては、添加物、薬品の使用、表示の問題、輸入食品の安全性など、食品そのものに対する不安があるとともに、それら食品に関する情報が少ないことも安心できない要因の一つとなっております。
最後ですが、これらに対して消費者が求めていることは、法律による罰則強化、監視・検査体制の充実など、行政施策として反映されるもの以外にも、消費者自身の情報収集や知識の向上という、自らが積極的に行うべき事項も挙げられています。こういった調査結果を鑑みてみますと、今後の食品の取り巻くさまざまな問題に対しましては、1つは、国民の食品への信頼確保、いわゆる安心の部分と、食品の安全性確保、いわゆる安全という、この2つの言葉をキーワードに研究を進めていきたいと考えております。
具体的に申しますと、1つは、いわゆる食の安心のための研究として上にありますが、これは、どちらかというと、食品に関して横断的な全般的な研究事業というように位置づけて、先ほどありました食品の安全に関する情報の関係はリスクコミュニケーション体制の確立。また、次の次にありますが、食品関連情報の効率かつ適切な提供方法の確立などを進めながら、いわゆる安心という情報提供をするとともに、昨今の食品テロを勘案した危機管理体制の強化、食の安心・安全予測システムの開発など、こういう中で安心のための研究を推進していきたいと考えております。
食の安全の研究としては、1つは調査研究という形。もう1つは、個別ハザードに対する検出技術の開発、この2つを大きな柱として研究を進めていきたいと考えております。特に、先ほどの読売新聞の調査にも指摘された表示、特にアレルギー表示や輸入食品の安全性については平成17年度から新たに研究を開始させたいと考えております。また、BSEにつきましても、これまで農水省、文科省と一緒に研究を進めてきましたが、それをさらに発展させて、食品を介したBSE感染リスク等の解明ということも併せながら、これら新しい問題に対しても、今後、食品の研究を進めていきたいと考えております。
さらに、この分野の研究全体を発展させるために、いちばん下になりますが「研究基盤の強化」のところで、こういう研究に関する若手研究者の育成にも力を入れて、全体的には健康の安全の確保、健康安心の推進、この2つをキーワードにこの研究事業を進めていきたいと考えております。
○医政局総務課
私からは、資料2-1の128頁からになりますが、医療技術評価総合研究事業の説明をさせていただきます。資料2-1、130頁、真ん中の概略図になりますが、医療技術評価総合研究事業は、医療安全における課題、あるいは災害対策等における課題、医療技術分野における課題、こういう3つのカテゴリーの課題についての対応、研究をしております。右側に平成17年度における研究課題ということで、それぞれ、3つのカテゴリーについての課題を書いております。
本日、重点的に説明させていただくのはいちばん上の医療安全における課題になります。これらの課題をクリアーすることにより、いちばん右になりますが、平成15年8月に医療制度改革推進本部から医療提供体制の改革のビジョンが示されていますが、こちらのビジョンに沿った形での施策を推進していきたいと思っております。
次に、資料2-2の6頁にまいります。医療現場を支える技術の研究開発(医療安全)の分野ということで簡単にご説明させていただきます。皆さんよくご存じのことかと思いますが、いちばん上の左端の「高まる国民の不信感」ということで、本年度1年間でも、慈恵の青戸の問題、昭和の藤ヶ丘の事件、東京医大で何件か立て続けに医療事故が報告されております。相次ぐ医療事故により、国民の医療に対する信頼感は大きく揺らいでいる状況にあります。医療における安全性の向上と信頼の回復に努めることが喫緊の課題であると認識しております。
それに対応いたしまして、真ん中になりますが、昨年、12月24日に、大臣から緊急アピールを出していただいています。その中で、「人」「施設」「もの」、これら3つを軸とした施策を推進したいということを国民の皆さんにお伝えしたところです。いちばん右に書いてありますが「期待される将来像」。全ての医療機関における医療安全体制の確立、医療事故、安全対策等に関する国民への情報提供体制の確立、医療事故発生後の対応方策の確立、このようなことを目指して平成17年度も研究を進めたいと思っております。
具体的な研究内容につきましては下段に書いてあります。大きく4つの分野に分かれた研究をしたいと考えております。いちばん左端にありますが、医療の安全にかかる基礎情報の収集と提供ということで、医療事故の発生頻度の把握と国際比較。あるいは、医療事故事例情報の収集・分析・提供。これは、医療事故という一つの分野の基礎情報を収集して、それをベースに、右側にある3つの研究分野の基礎情報にすることを目的としております。
真ん中の3つですが、まず、いちばん上になります。個別領域の具体的な医療安全方策の研究ということで、こちらは新しい内容になっています。右にあるように、医療の安全性の向上を目的とした研究で、産科、手術室、NICU等ハイリスクな部署や診療科別に的を絞った安全と質の確保方策の研究開発。安全性の高い療養環境及び作業環境の確立に向けた方策の研究開発等々です。真ん中ですが、医療事故発生後の対応の研究ということで、医療紛争における裁判外紛争処理に関する基礎的研究。あるいは、医療事故の調査に関する研究ということで、こちらは医療の信頼性の向上を図るための研究です。いちばん下段になりますが、医療の安全性の評価方法の開発ということで、医療機関の診療特性、医療を受ける患者特性等を考慮した安全性と質の合理的な手法の開発を行って、医療の透明性の確保を図りたいと思っております。この3つの課題をクリアーすることによりまして安全・安心な医療を提供したい、あるいは健康寿命の延伸を図りたい。このような内容で施策を進めてまいりたい、研究を進めてまいりたいと思っております。
○研究開発振興課
重点事項の3の先端医療の実現につきましてご説明させていただきます。資料2の27 頁、IIの「厚生科学基盤研究分野」の部分に関する説明ですが、かなり大部ですので実際の説明は資料2-2の7頁から始まります2枚の紙に基づいて説明させていただきます。
先端医療の実現に関しましては2つの大きな柱で進めてまいりたいと考えております。1つは、7頁のゲノム科学・タンパク質科学・ナノテクノロジー等を活用したよりすぐれた治療法につながる先端医療技術の開発です。 2つ目としましては、8頁の先端医療技術の実用化・知験環境の整備等を推進するための研究です。この2つの柱によって先端医療の実現に向けて研究を進めてまいりたいと考えております。
まず、7頁目ですが、先端医療の実現に関しましては、医療技術と言われるものを開発していくという大きな課題があります。それにつきましては、基礎から応用まで、ここに書いてありますように、途切れることなくシーズを発見し、そのシーズを選別、組合せ、さらには臨床応用をしていく研究をサポートして、それによって先端医療を実現していきたい。これは、医薬品についてご説明すると、シーズの発見の段階に関しては、先ほどもご説明になったミレニアム・プロジェクト、メディカル・フロンティア等によってゲノムタンパク質の解析を行っております。これは、シーズの発見という基礎的なところに近い分野です。併せまして、厚生科学研究費の中でも、ヒトゲノム再生医療という形で研究を続けさせていただいています。
そのシーズを発見したものから、さらにシーズの選別、組合せにつながるところの研究としましては、医薬品分野に関しましては疾患関連タンパク質の解析研究ということで、疾患に関連して出てくるタンパク質等について解析をいたしまして、データベースとして構築する研究を続けております。併せて、そのシーズの選別、組合せですが、安全性・有効性の予測をするシステム基盤技術の開発ということで、トキシコゲノミクスに関しての研究を続けております。この2つの分野につきましては、先ほどご説明がありました医薬基盤研究所で平成17年度より研究をすることとなっております。
最後に、医薬品の分野での臨床応用に関してです。ここに書いてありますファーマコゲノミクスということで、これらのシーズの発見、組合せ等によってわかってまいりましたゲノム分野での新しい発見を臨床現場における安全性・有効性予測のシステム開発ということで臨床現場に応用していきたいと考えております。これは平成17年度から新規でお願いしたいと考えている研究分野です。
続きまして、医療機器についてです。これは、医薬品と若干違いまして、シーズの発見から臨床応用までかなり幅広くカバーできる形の研究分野2本によってサポートしているものです。最初に、ナノメディシンと書いてありますが、これは、我が国が得意としておりますナノテクノロジーを医薬品・医療機器に応用して侵襲性の低い、もしくは侵襲性のない医薬品・医療機器を開発する研究です。
最後のフィジオームですが、これはナノテクノロジーなどのような基盤的な要素技術を組み合わせまして、身体機能を解析・補助・代替する医療福祉機器の開発をしている研究です。これらによって、先端医療の実現に向けて医療技術を開発するという形のものが1つ目の柱です。
続きまして、実用化・知験環境の整備等を推進するための研究です。先ほど申し上げたように、医療技術が個々にできてまいりましても現場にまではなかなかつながらないということで、1つは、基礎から臨床への、いわゆる死の谷と呼ばれているものについて、そこの橋渡しをするトランスレーショナルリサーチということで研究を進めてまいりたいと考えております。さらには、ある程度、臨床分野にまで応用されましても、実際に広く医薬品として開発されたり、医療機器として開発されるまでには、知験という段階を経なければなりませんので、その知験環境の整備を推進するということで医師主導型の知験の支援等を通じて知験環境整備を推進してまいりたいと思います。以上のような研究によりまして、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に速やかに提供できるように進めてまいりたいと思います。
○矢崎部会長
ただいまのご説明は、平成17年度に向けた厚生労働省の研究事業の方向性とその内容を述べていただきました。この部会では、それについてご討論をお願いしたいと存じます。最初に、中谷課長からは、ミレニアム・プロジェクト、メディカル・フロンティア、そして今度の健康フロンティアの研究の流れで、今回は、予防、健康寿命を延ばすという、安心・安全を目指した研究をポイントに置く。従来は公募型が主であったが、今度は大型研究プロジェクトである戦略研究課題のイメージを提示していただけたかと思います。そして、その他の重点事項にあります研究分野について、担当課からご説明を受けました。その内容は大変多岐にわたりますが、全体的な、総括的なコメントあるいはご意見、個別的なご意見でも結構ですので、これは重要な課題ですので活発なご意見をいただければ大変ありがたいと思います。
○高久委員
中谷課長からお話があったと思いますが、ミレニアム・ゲノム・プロジェクトが、平成16年度で終わります。このミレニアム・ゲノム・プロジェクトでは、糖尿病、痴呆、高血圧、がんといった、非常に重要な疾患をその様な対象にして全国的な共同研究を実施してきました。その枠組みがようやくできてこれから成果が出てこようというときに終わるものですから、ぜひ、ミレニアムゲノムプロジェクトを健康フロンティアに引き継ぐような形で発展させていただけく様、ミレニアムゲノムプロジェクトに関係している者として、お願いしたいと思います。
○今井委員
資料1の2頁目の健康フロンティア戦略の、真ん中の女性層、女性のがんというのがあります。これは、例えば胃がんなど、今まで健康診断などで注目されているがんプラス、新たに女性のがんということだと思うのですが、実は、女性のがんのほうが男性の性器のがんより多いだろうと思います。がんの順位から言うと、例えば前立腺がんなどはかなり低くなっていますが、そのまま骨転移をしたりして、男性の方々はかなり長い間苦しみながら亡くなっていくということでは、QOLを考えるとこちらのほうの研究も必要なのではないかと思うのです。男性は非常にフェミニストで、割と女性の性器のことは一生懸命されているのですが、ご自身たちは悲しいかなという気がするのです。この場合に「女性層」ではなしに「女性性器のがん」となっていれば、これは、マンマ・クレーブスなどは男性でも起こりますし、そういうことを考えると、ここは性別による扱いというよりは性器がんそのもの全体に網をかぶせたほうがいいと思うのです。そのほうがフェアなのではないかと思います。
次に、これは両方とも同じ問題を持っている2つの事項なのですが、資料2-2の
「介護対策を推進する観点から」と「食品の安心・安全確保研究事業」についてなのですが、これは、もしかすると、省庁をまたがってしまう狭間ということがあって、ここではできないのかもしれませんが、介護に関して、もしくは食品に関して、そのものズバリを扱うのみならず、その周辺のものがすごく大切なのです。例えば、介護で言いますと、これはほかの所がやるべきなのかもしれないけれども、支援そのもののシステムの問題ではなくてハード、例えば温泉療法が保険であるのですが、家族風呂がなくて男女が分かれている。奥さんが介護の形になっても、介護士を雇えないような状況のときにはご主人は女風呂に行けないですよね。そういうことが具体的にある。
食品の場合も、食品そのものが持っている、付加されてしまった有害化学物質とか外因性内分泌撹乱化学物質とか、そういうものも問題なのですが、容器が問題だったり調理方法が問題だったりすることがあります。例えば、紙コップは100度まではフェノーレが出ないような形になっているけれども、電子レンジの中で、油ものが入ったりして 100度をゆうに超えてしまうことがあると溶け込んでくるという問題も出てきます。多分、両方とも周辺の問題なのだろうけれども、そこのところがある程度加味されているほうがいと思います。
介護のほうの対策に関しては、言葉的にどこを直せばいいのかよくわからないのですが、「食品の安心・安全確保推進研究」の所は、2つ下の右側に「食に関する科学技術」となっていて、食品と書いてないで食に関すると書いてありますから、最初から「食の安心・安全確保推進研究」に変えれば周辺も混ぜられると思うのです。
○中谷厚生科学課長
若干補足をさせていただきますと、女性のがんを考えた理由が2つあるのです。女性のがんというと、まず、乳がんと子宮頸がんと考えるわけですが、乳がんの場合に私たちが特に意識しているのは、アメリカとの対比で考えると、アメリカでは1990年以降、乳がんの死亡率が下がっています。一方で、日本は右肩上りなものですから、早期発見、早期治療の体制を考えなければならないということが非常に大きな私たちの背景になっております。
それから、子宮頸がんは、日本の場合には死亡率の低減が高止まりといいますか、あまり変わっていないのです。低年齢化をしておりますし、こういう言い方をしてよいのかわかりませんが、性感染症としての側面というものもありますので、こういう対策上研究を進めなければならないということでこういう提言になっています。もちろん、前立腺がんも非常に大切な問題でありまして、これはまた後で垣添委員から補足があるかと思いますが、私たちの重要な課題でありまして、対がん10ヶ年の戦略の中で取り組んでいるところです。
介護と食品の問題ですが、確かに、介護につきましてはご指摘のとおりなのです。研究費という側面からするとハード面までの対応は難しいかと思いますが、ご指摘を踏まえて、今は家族風呂も結構流行ってきておりますが、どういうようにできるかわかりませんけれども、念頭に置いていきたいと思っております。食品の分野につきまして、担当課から補足をいたします。
○食品安全部情報企画課
食品分野の研究ですが、食の安全のための研究の中は代表的なものを入れさせていただいています。お話がありました容器などの問題につきましては、別途、食品中の化学物質対策分野の中で包装容器からの溶出実験も研究されておりますので、こういう中で今後も行っていくことになっております。
○垣添委員
女性がんのことについて関連して発言させていただきます。厚生労働省が、昨年度から検診のあり方を検討する委員会を立ち上げ、私はその座長を務めています。女性がんに関して、2003年度中にとりあえず中間報告を出して、乳がんと子宮頸がんの検診のあり方に関してまとめました。このとおりに行けば、中谷課長が言われたように、我が国でも乳がんや子宮頸がんで亡くなる方が確実に減るだろうと考えられます。厚生労働省としては本気で癌検診に取り組む姿勢だと私は理解しています。今年度に入りまして、肺がん、大腸がん、胃がんなどほかのがんと、現在は検診の対象にされていない前立腺がん等も含めて検討することになろうかと思います。
○笹月委員
高久委員からお話があり、私も同じようなことを申し上げようと思っていたのですが、ミレニアム・プロジェクトが健康フロンティア戦略に取り込まれる形で何らかの形で継続するだろうと。ちょうど、5年経ちまして、ゲノムの解析が進んで、やっと成果が出つつあるところなのです。ゲノムのタイプだけでは生活習慣病、例えば糖尿病などは遺伝子だけでは決まらないので、今度は生活習慣あるいは環境因子、何がこのゲノムと一緒になって病気を発症するのかということが大事になると思うのです。
ですから、新しい健康フロンティア戦略の中では、今までのゲノム解析を一方で継承しながらも、むしろ、それと相互作用して病気を起こす環境因子、生活習慣を明らかにするような、私どもはゲノム疫学と呼んでいますが、それが非常に大事になってくるだろうと思うのです。これまでは、疫学の人たちは患者と健康な人を2つに分けて環境因子の差を探してきたのですが、ゲノムの成果がわかると、ゲノムとしてのハイリスクグループ、その中で病気を発症した人としない人と分けられますので、そういう分け方をしたときにはじめて環境因子の解明が可能になってくるわけです。ですから、一般公募というよりは、指定課題みたいにして応募させる形でスタートすることが、本当の意味の病気の解明あるいは病気の予防につながるだろうと思いますので、ぜひ、そういう分野をよろしくお願いしたいと思います。
○矢崎部会長
先ほど、中谷課長が言われた大型研究プロジェクトで、戦略型のものをイメージ、提示されました。その中で、例えば糖尿病といった場合にも、今までの実績、ゲノム関連も含めた大きな包括的なテーマとしてとらえていくようなことを私は理解したのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○中谷厚生科学課長
確かに、ミレニアム・ゲノム・プロジェクトで爆発的にゲノム科学が発展していますので、私たちも、その成果をいよいよ臨床の場あるいは公衆衛生の場に活かしたいという観点ですので、例えば、部会長がおっしゃった糖尿病の解明のためにゲノム科学をツールとして使うことは非常に歓迎するところです。ただ、ゲノム研究ということであれば、それは基礎的な観点から文科省で進められることだろうと思います。厚生労働省はゲノム科学の成果を臨床の場に活かしたいと思うのです。そういう意味でのプロジェクトが組めるのであれば非常に大歓迎であろうかと思います。糖尿病のことを仮に例にとれば、合併症予防のためにどういう対策をとったらいいのか。こういう風下から考えて、その上で、ゲノム解析がどのように役立つのか。そういう意味でのゲノムのコンポーネントが入ってくるというイメージを私自身は持っていますが、またこれはご相談しながらさらに進めていきたいと思っています。
○笹月委員
ここの「糖尿病プロジェクト」の所に、ハイリスクグループということが書いてありますが、これは、おそらく、GTTなどの、そういう臨床検査の上でのハイリスクグループだと思います。そこに、もう1つ、ゲノムレベルでのハイリスクグループという概念を入れていただくと、その人たちが発症するかしないか、同じハイリスクグループでも発症した人としない人ではどこの環境要因が違うのかというので、私は、意外な新しい環境因子が見つかるのではないかということを非常に期待しているのです。例えば、潰瘍において誰も思わなかったヘリコバクターピロリーなどが突然出てきたように、何か新しい環境因子をそれによって見つけることができる。逆に言えば、それを利用して本当の意味の予防ができるのではないかと思いますので、非常に重要な分野だろうと思うのです。
○北村委員
食の安全の所がありましたが、これは、例えばプリオンの自動スクリーニング検査開発というものも、科学研究の推進という所でテーマに出ていますが、農林水産省も同等な課題を既に出していましたね。こういうところの他省庁との連携というか、厚生労働省としてこれをやろうということで独立した形でやられるのか、あるいは、他省庁との課題との摺合わせや検討をされた上でこれが出ているのか、お聞きしたい点が1つあります。
第2点目は、資料1の3頁、真ん中辺りの「推進する具体的研究」の右側にある縦の枠の中に、小さく書いてあるのですが、いちばん最初に「専門医等の育成」と書いてあります。従来から、厚生労働省は、医政局が専門医の広告の認可をやってこられましたが、育成については行政は関与しないという方向性であったように思うのです。ここに専門医の育成が挙がっているのは、何ら意味があって書いておられるのか、医療安全の推進から単に書いておられるのか、お教え願いたいと思います。
○中谷厚生科学課長
プリオン関係の研究の省庁間調整ですが、これは、実際、農水省とは、食品安全部がしょっちゅう協議をされていますので、実務レベルでの協議があります。文科省も、今、人獣共通感染症の研究を一生懸命やりたいということでやっておられますので、そういうレベルでも調整があります。どちらかといえば、私たちは、より臨床に近い立場で、というようなイメージですが、後で補足があります。
次に、専門医の養成ですが、これは、昨年、対がん10か年の論議の中で、がん医療の全国的な普及のところは非常に大きな話になりまして、研究を一生懸命するのはいいのだけれども、その成果を国民に還元するのはドクターあるいは専門のプロフェッショナルでしょうと。こういう意味では、クリニカル・オンコロジストのような方々に対して研究成果を積極的に還元するとか、養成をお手伝いするとか、何かできるのではないかという論議がありました。そういう中で、こういうさまざまな病気について「専門医の養成」がここの文言に入っています。それでは、担当課から補足をさせます。
○食品安全部情報企画課
BSEの関係につきましては、一応、農林水産省と文部科学省と定期的に会合を持たせていただいて、そういった役割分担をさせていただいています。特に、厚生労働省におきましては、食肉衛生検査場やと畜場という、食品になった後で人にどのような影響があるかというところで研究を進めることになっています。先ほどの検査のところになりますと、今後、食肉衛生検査場において、食肉になった後にBSEが残っているかどうかということも検査しなければいけない。また、食肉衛生検査場では大量に食肉が入ってきますので、自動化の関係のスクリーニング検査を開発していきたいと考えているところです。
○北村委員
非常に少ない研究者数だと思うので、3省庁から同じような課題が出ると、同一研究グループがすべて確保できるような状況にもなるので、各省庁でどこに特徴やポイントがあるかを明記して応募課題としていただければと思います。先ほどの絵はこれはCTには見えないと思うので、出されるときは描き替えをお願いします。
○矢崎部会長
オーソドックスに側面で描いたほうがいいですね。こういう視点からやったのは初めてですからね。
○金澤委員
今までとは少し違う観点でお話したいと思います。健康フロンティア戦略という新しいものを立てられたことは大変結構だと思いますし、中身も納得できるものだと思います。特に「超高齢化社会への道」と規定されるとこういう形になると思いますが、こういう新しいものを立てられると新しい予算を要求されるのだろうと思います。スクラップ・アンド・ビルドの感覚からいくと、今までの施策の一部は削られていくのではないかという心配を持っています。
その中で特に気になるのが子どものことです。例えば、この分厚い資料の2-1の66 頁から67頁にかけて、子ども家庭総合研究事業を拝見したのですが、私の見るところですが、全部で7億円前後ということで、本当にこれでいいのかと考えているところにこの話が出てきたものですから、全体の中でお考えいただいて、少なくとも、この子ども家庭総合研究事業にはあまり影響が及ばないような形で健康フロンティアを進めていただきたいと思っております。
○竹中委員
私、医薬品産業に身を置く者として、先ほどの7頁のゲノム科学云々の所でコメントとお願いがあるのです。お隣にいらっしゃる長尾委員や私がディスカバリーをやっていた時代は、受容体、酵素、イオンチャンネルが見つけられたときで、それにケミストリーを加えて医薬品が出てきたわけです。その後、それらの疾患ターゲットが枯渇したものと、ちょうど、モレキュラー・バイオロジー、ゲノムが出て、疾患をそういう面で分析されて、新しいターゲット、モレキュールを探した。今、ちょうど、それが出てきて、タンパク科学などが出てきたわけですが、その間はバイオロジーやモレキュラー・バイオロジー、ゲノミクスがブームになって、どちらかというと、ケミストは疎外されて寂しい時期があって、ケミストがあまり参加しなかった時期がこれまで続いているわけです。したがって、日本においても、おそらくアメリカにおいても、医薬品開発におけるケミストリーの参画が少なくて、少し弱くなっている時期なのです。
ちょうど、今、これだけいろいろなタンパク等々がわかってきたのですが、今までの手法は例えばジーン・トゥー・ディジーズであったり、ディジーズ・トゥー・ジーンという非常にバイオロジカルな研究にサポートしてきたわけですが、それらが整備されてきたので、コンパウンド・ジーンとか化合物を探す時期に来ているのではないか。この中のプロジェクトで、それにいちばん近いことをやっていらっしゃるのがトキシコゲノミクスのご研究です。これは肝臓の細胞でしたね。それにいろいろな加合物をかけて、どんな変化が起きるか。そして、肝障害を起こす物質を早期にディテクトするというケミストの参画が非常に大きいのです。
同じようなことを、ケミストリーとケモインフォマティックスみたいなものを、これからもう少し整備していかないといけない。また、化学の先生方も、意外と、自分のおつくりになったコンパウンドに対する知的財産権を自ら捨てられているような、私は非常にもったいない状況にあるように見えてしょうがないものですから、その辺をもう少し宣伝して、そして参画していただけるように。
実は、このところ、アメリカが完璧に始めておりまして、化合物は何百万ぐらいのいろいろな情報を集めるとか言っていますので、今後、もしできましたら、ナノテクノロジーももちろん面白いのですが、ケミストリーをもう一度見直して、助成したり育成したりしていきたいと思っております。
○矢崎部会長
今の竹中委員のご発言に、長尾委員から何か追加がありますか。
○長尾委員
トキシコゲノミクスはケミストリーとパソロジーと、両方に基盤を置くことを明記していますが、実際に、データとしては、トキシコゲノミクスと先ほどおっしゃったようなケミカル・ゲノミクスを重要視しており、ですから、トキシコでやっていますが、実際の情報としては両方を含んでいるということです。今、FDAなどもそれを大規模にやりだしたので、我々としても、トキシコとは言っていますが、ケツミクス、ケミストリーの分野へ拡張した形でやろうと思っているところです。
○中村委員
先ほど笹月委員がおっしゃったこととつながるのですが、ミレニアムプロジェクトは平成16年度で終わるにしても、ゲノム研究は終わるわけではありません。スニップスの研究などは大きく展開していくのだろうと思うのです。その結果が本当に予防、診断、治療につながっていくためには疫学が非常に大事だと思うのです。それも、今までの疫学と違って、遺伝子を基にした疫学になるわけですから、社会の受けとめ方が今までとは少し違うと思います。
実際に、よその国でも、アイルランドやイギリスなどの先行している国がありますが、いろいろと問題が起きています。しかし、このゲノムの研究を本当に活かすためには、どうしても疫学が必要なのだと思うのです。ですから、例えば、糖尿病予防を今回の戦略になさるのでしたら、これを一つの例にして、日本の中での遺伝子情報を基にした疫学を、どう立ち上げて、どう定着させていくか、ということは大きな問題だと思いますので、それをこの中で少し意識して考えていただきたいと思います。
○長谷川委員
資料1の3頁の健康フロンティア戦略ロードマップでいろいろ挙げられている中で、心の疾患と痴呆が入っています。ほかのがんなどもすごく重要なのですが、私は、日本社会におけるこの50年の殺人の変化という研究をしていまして、こういうことはあまり知られていないので少しお話したいのです。子どもが親を殺す殺人と親が子どもを殺す殺人で、1990年代から2000年にかけての10年で明らかに多くなっているのが、アルツや痴呆の高齢の親を高齢になっている子どもが殺すのが本当に増えています。要は、現場ではそこまで大変だということです。こういう研究結果というのは即効性のあることにはならないかと思いますが、サポート体制や周りを取り巻く人たちの心の健康の問題も含めて、非常に重い問題なのだということを思ってやっていただきたいと思います。殺すまでに至るのは本当に少ないけれども、殺すまでに至らない非常に困難を抱えた人は膨大にいるわけです。
親が子どもを殺す場合で、この10年間で増えている感じがするのは精神疾患の子どもです。精神遅滞や精神疾患、統合失調などを苦にして殺すというのは、30年、40年前にサンプルしたときは入ってこなかったのです。それが、この10年は、親が子どもを殺すときの理由に、精神疾患や精神遅滞を苦にしてというのが随分入ってきています。それは、1つには、子どもの数が少なくなって、そのコミュニティみたいなものもなくなって、親と子が対峙するときには本当に1対1で親の負担が大きいし、子どもの数が少ないだけ子どもに対する期待も大きいから、その辺の相克がすごいのだと思います。そのこともありまして、心の疾患と痴呆のことは、その周りを取り巻く人たちの心の健康も含めて、サポート体制をどうするか。それと、社会全体でネットワークをつくるにはどうしたらいいかとか、広い意味でも政策的に非常に大事だと思いますので、その辺も含めてお考えいただければと思います。
○柴田委員
全体を見ての感想のようになりますが、資料2-2のご説明を聞いていて、6頁の医療現場を支える技術。言うならば、医療事故をどうなくすか。今の緊急の最大の課題であるこの部分が、健康フロンティアという言葉の中に入ってくるわけですが、少し違うのではないかという気がしてしょうがないのです。ほかの先端医療などはフロンティアでいいのですが、この医療事故をなくすのは、特にいま最大の問題になっているのは医師をはじめとする医療関係者のヒューマンエラーがいちばん大きいと思うのです。ヒューマンエラーをなくしていくにはどうしたらいいか、というのは決してフロンティアの問題ではなくて、先端的な問題ではなくて、むしろ、関係者の意識改革や教育などの部分が非常に増えてくるのだろうと思うのです。
多分、そのいちばんのキーワードは情報公開だと思うのです。飛行機事故のヒューマンエラーをなくすための最大の問題として、事故にはならなかったけれどもヒヤリとした事故というものを報告するような制度がありますが、そういうようなことを、しかも情報公開をする中でやっていくようなことが、医療の世界でもう一度起こってこないとヒューマンエラーはなかなかなくせないのではないかと思うのです。そういうことから言うと、今現在とすれば、健康フロンティアの中の一部に入れるのではなくて、医療事故をなくすという項目は、医療事故撲滅戦略みたいな格好で、厚生労働省としては独立させて取り組んでいただきたいような感想を持つのですが、いかがでしょうか。
○矢崎部会長
厚生労働省で既にそういう取組をやられていると思いますが、どうですか。
○中谷厚生科学課長
いまご指摘があったようなこと、例えばヒヤリハット事件の収集とフィードバックのようなことは始めております。ご指摘のとおり、健康フロンティアは健康に関する安心感を醸成するようなものですし、一方で、いまおっしゃられたことはソフト面、ハード面を含めて健康の安全という意味で、それを確保することは重要ですので、それは切り離して対応していきたいと思っております。ご指摘ありがとうございました。
○垣添委員
他省庁との関連の話に戻って恐縮なのですが、新興・再興感染症で感染症の問題に関して、1ヵ月ほど前でしょうか、文部科学省も大きなセンターをつくって取り組むという話がありました。資料2-2の8頁のトランスレーショナルリサーチも、文部科学省が今年予算をとって取り組むわけです。厚生労働省は、どちらかというと、臨床に力を置いた取組をしていくということはわかりますが、こういう予算要求につながっていくような話の今の段階で、例えば総合科学技術会議からそういう省庁間の連携やオーバーラップなどに関して何か働きかけがあるのかどうか。その辺のことを教えていただければありがたいのです。
○中谷厚生科学課長
総合科学技術会議は、予算資源配分の方向性が5月に出されまして、今お話がありました諸点について、文科省の担当課と実務的な話合いをしております。ですから、大体、向こうの懐に何があるか、また、向こう側もこちらにどんなプライオリティがあるかということはお互いに承知しながらやっております。あと、私たちの所にいろいろな先生方から「こういう研究をやりたい」ということがあると、基礎的な研究であれば、こちら側からも「文科省もこういう枠組みがあるからどうでしょうか」と。逆に、文科省のほうから「もう少し臨床の部分で協力してほしいのだけれども」という話が私どものほうにある。特に、文科省のほうは、いまは感染症の分野の例がありましたが、国立感染症研究所に参加してほしいというようなことであれば私たちがおつなぎをする。国際的な面の協力であれば、国際医療センターもこれありということで、お互いに論議を実務的にしている状況です。
○倉田委員
それに関連してですが、新聞記事は誰が誘導したか知りませんが、それはそれで結構だと思います。新聞にはいろいろなアドバルーンを上げる方がおられますから、私はそのようにとらえています。あの中で、対策という問題に関しまして、例えば、WHOでも、数日以内にここに対して対応とか、いろいろな問題が国際課を通して感染研に来ているわけで、大学の場合は、明日教授が替わってしまうとそのテーマがなくなってしまうということで、基礎的な研究の問題と現場の行政対応的な意味での対応は少し違う。そういう仕分けは厚生労働省がしているわけですし、感染研もその役を負っていると考えています。
それから、日常的ないろいろな診断に関する行政検査も、地方におきましてもわからないときは全部来ていますが、これも感染研がやるという格好で仕分けがされているわけで、共同できる研究に関しては一緒にやる、そうでないところは自ずから分けて考える、というところかと思っています。そのとおりでよろしいでしょうか。
○笹月委員
例えば、資料2-2の4頁の新興・再興感染症の所ですが、課題として危機管理体制の強化が述べられていますし、具体的な研究課題のいちばん下の所では、国際共同研究の推進が謳われていまして、私ども国際医療センターとしても、非常に使命の一つとしてやらなければいけないことだと思うのです。一方、垣添委員からも話がありましたし、中谷課長からもご紹介があったのですが、文科省が、国際的に、海外に感染症に関する研究の拠点をつくりたいということで、それをどのようにするのか、感染症研究のコンソーシアムをどうするのか、というミーティングを大学を中心に行っているのです。私は、当然、国際的に拠点をつくるとすれば、文科省だけではなくて、厚生労働省あるいは農水省人獣感染症なども含めて、国として共同して拠点をつくっていただきたいと思っております。その件に関しまして、厚生労働省側の考えをお聞かせいただきたいのです。
○中谷厚生科学課長
まだ十分協議をしていないのですが、文科省はそういうようなお考えがあるやに聞いていますし、私たちも、非常にいいことなので協力できるところはやりましょう、というようなスタンスで臨んでいるところです。
厚生労働省のほうは、今、研究が種々ありますので、そこの中で海外に箱物を含むようなプロジェクトまで体力が続くかどうか自信がないところがあるのですが、私たちは感染症研究所があり国際医療センターがあります、又、、私たちの感染症研究所はアメリカのCDCと比べて人数が少ないのですが、感染研がいま非常に力を入れておられるのは、日本の場合には地方衛生研究所が80ほどありまして、それぞれご活躍されていますので、そのネットワークをつくってやるということもあります。、そういう意味での協力もできるということでやっております。気持としては大いにやりたいという感じであります。
○矢崎部会長
そろそろ時間が迫ってきましたが、介護、リハビリテーションで佐藤委員から何かコメントがありますか。
○佐藤委員
この分野に関して、高齢者も障害者も同じような側面を持っています。また、障害者が高齢化していくこともありますので、関係してやれる部分はお互いにやっていきたいと思っております。
○矢崎部会長
医療安全で、南委員か松本委員にご発言いただけますか。
○南委員
医療安全に関しましては、大臣の緊急アピールなどを基にした厚生労働省としての独自の取組をしていらっしゃることを承知していますので、先ほど個別の対応と言われましたが、私も、そのほうがスッキリするのかなという印象を持ちました。
○松本委員
今の医療安全の件なのですが、確かに、フロンティアという感じがしないというのは私も同意見です。ここにおける信頼あるいは安心は、医師に対する信頼だと思うので、医師に対して患者あるいは一般国民が何となく信頼できないという、その「何となく」という部分がいろいろな問題、例えばクローン胚のようなものにも出てきているような感じがします。より広くは、医師という専門家の行っている、あるいは医療職自体が行っていることに対する信頼感を高めるような方策を考える必要があるのではないか。情報を集めて、それによって防ぐというのも一つでしょうけれども、もう少し広い視野から信頼の再構築をお考えいただきたいと思います。
○上田技術総括審議官
先ほども中谷課長がお話しましたように、資料1の図を見ていただきたいのですが、基本的には、厚生労働省として、安心・安全と、2番の健康安全、これは医療安全も含めてですが、それから先端医療の実現、この3つの柱を重点的に進めていこうということです。そういう意味では、医療安全も大きな柱の一つとして位置づけて研究も進めていきます。当然、それは対策につなげていくということが1点です。
健康フロンティアのお話がありましたが、ここにあるような糖尿病などの疾患予防、あるいはこういう対策を進めるにあたってのゲノム科学、これらをミレニアム・プロジェクトの発展とメディカル・フロンティアを前倒しして、この健康フロンティアという戦略の下に発展させる。さらに、ゲノム科学を、より臨床に近いといいますか、疾病オリエンテッドの研究を行い、治療薬の開発や予防対策等につなげていく。そういう意味で、この健康安心と先端医療を一体的に健康フロンティア戦略という形で我々としては進めていきたいと考えております。
○井村委員
先ほど、中村委員から、ゲノムがかかわるような疫学研究はこれから非常にやりにくくなる可能性があるというご指摘がありましたし、ほかの委員の方々の発言にもかかわることだと思うのですが、そういうことが起こる非常に大きな理由は、国民に対して科学技術についての情報がなかなか行き渡らないことなのではないかと思うのです。資料1の3頁に「概要」があって、その下の右端に「全体目標」と書いてあります。そこの2番目に「国民ひとりひとりが技術の進歩を実感」と書いてあるのですが、この国民ひとりひとりの実感は結果的にそうなるのではなくて、これを積極的にやらなければいけないのではないかという気がするのです。これは、この会議のテーマ以外の所でも度々感じることなのですが、一般の市民に対する情報の提供、わかりやすい情報の提供を積極的に進めていく必要があるのではないかという気がいたします。
○矢崎部会長
ありがとうございました。まだまだご意見がたくさんおありかと存じますが、時間の関係もありまして、本日の議論はここで終了させていただきたいと思います。本日、委員の皆様からいただいた大変貴重なご意見、いま上田審議官がまとめられましたけれども、そういう研究の継続性といいますか、研究の流れを大事にしてほしい、あるいは省庁間の調整を十分に図っていただきたい、医療安全の問題、子どもの問題、心の問題など、これから我が国が取り組んでいかなければいけない大切な問題を指摘いただいたと思いました。
これらいただいたご意見は、後日、事務局で報告書としてまとめさせていただきたいと思っております。なおほかに、まだまだご意見がおありかと思いますが、ぜひというご意見がございますれば、7月20日火曜日までに事務局に送付していただければ、その報告書の中に組み入れていきたいと思います。また、まとめました内容については、私が事務局から報告を受け、最終案として取りまとめたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○矢崎部会長
ありがとうございました。それでは、残りの議題に進みたいと思います。次の議事である、遺伝子治療臨床研究にかかる生物多様性影響評価に関する実施施設からの申請について、事務局から報告をお願いいたします。
○事務局
資料3につき、時間が押し迫っていますので簡単に説明させていただきます。遺伝子組換え生物等、例えばウイルスベクターを使用する遺伝子治療臨床研究につきましては、その実施にあたり、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づき、実施施設からの第一種使用規程承認申請が必要とされています。さらに、第一種使用等の承認等にあたって、主務大臣は学識経験者の意見を聴かなければならないとされていますので、そのための場として、こちらの科学技術部会、及びその下に別紙2のとおり作業委員会が新たに設置され、今般、4頁目に記載の先生方に作業委員会の委員を引き受けてくださるとのご承諾を頂いております。その次の頁の横長の表にございますとおり、現在実施中及び審査中の遺伝子治療臨床研究のうち、黄色で囲った8件の臨床研究について、本日までに第一種使用規程承認申請が提出されておりますので、これらの申請につき近日中に作業委員会でご審議の上、論点を整理していただいたた上で、こちらの科学技術部会でご審議いただくこととなりますので、ご報告いたします。
○矢崎部会長
それでは、次の議題です。医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会について、事務局から報告をお願いいたします。
○事務局
医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会の設置についてご報告させていただきます。参考資料3-2です。前回の科学技術部会におきまして設置を認めていただいていますが、委員については名簿のとおり14名の先生方に御就任に頂いております。第1回の会議は7月14日水曜日に開催させていただきます。これに関しましては、前回の部会でもご説明させていただきましたが、文科省、経産省と連携をとって検討を進めさせていただきたいと思っております。
○矢崎部会長
医学研究における個人情報の取扱いで、個人情報の法律が実施されましたので、それに対応して改めて具体的に検討をするということですので、よろしくお認めいただきたいと思います。本日の議題は以上ですが、事務局から何かありますか。
○事務局
どうもありがとうございました。次回の部会につきましては、9月末あるいは10月ごろを予定させていただきまして、平成17年度に向けた公募課題のご検討をお願いしたいと思っております。
○矢崎部会長
ご議論をまとめた報告書はいつごろ出るのでしょうか。
○事務局
20日までにご意見をいただきまして、それを取りまとめましたら先生にご相談をさせていただいてチェックさせていただきたいと思っております。
○矢崎部会長
10月の前に出るのですね。
○事務局
はい。スケジュールからまいりますと、今日ご議論いただいたご意見に基づきまして、8月末の概算要求の資料づくりに反映させていただきたいと思っております。8月末に概算要求が終わりまして、それに基づいて9月あるいは10月に平成17年度に向けた公募課題のご審議をいただければと思っております。
○矢崎部会長
よろしいでしょうか。それでは、本日は大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。これをもちまして本日の部会を閉会にいたします。
-了-
【問い合わせ先】
厚生労働省大臣官房厚生科学課
担当:屋敷(内線3804)
電話:(代表)03-5253-1111
(直通)03-3595-2171
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